PCケースに組む「5T31/450TH」アンティークRFパワーアンプ

5T31/450THアンプ製作始まる・・・自作って本当に楽しい、あなたもチャレンジしませんか!


コーヒーを入れるサイフォン?と聞かれた5T31・・・果たしてこのPCケースに収まるか?・・・12月9日ついにフィラメント灯る・・・3月いよいよ終盤!・・・4月しかし・・・。

Photogravure

Circuit for RF Deck & Power Supply

Coil Data & Parts List(Excel File)


*** **. 2001
青木氏/JF1UQSから5T31でアンプを作りたい旨のメールを貰う。四半世紀もの間、実家で観賞用になっていた東芝製5T31/450THの事を思い出し、密かに構想を練る。幾度かの情報交換の後、氏は5月までに作り上げ、何と3.5MHzのQSOでその5T31アンプを引っさげてきた。私もそれに刺激され、ついに重かった腰が上がる事になった・・・。青木氏/JF1UQSの製作した5T31アンプ(3.5MHz)はグリッド接地、Ep約2.8KVでZ-DiodeとTrによるセルフバイアス約-70Vを与え、600Wを出力するとの事だった。
Sep 2. 2001


幾年も前から構想を練っていた5T31/450THアンプの製作が具体的になった。そのまま作るのでは面白くないので、DOS/VパソコンのマイクロタワーATXケースに収めることにした。長男が友人から貰ってきたSOTECのPC STATIONのケースを譲り受け、川崎まで運んで来た。
終段VCやバンドSWは、ハムフェアでTopGunのブースにあったものを格安で購入した。電源トランスは、8月末に伊勢市の西崎電機製作所から、声援つきで届いた。鉄心容量は1.2kVAである。SocketはB.M電気より\1Kで購入、以前買ったChina製より安くてしっかりしている。
真空管は、四半世紀前に職場で廃棄を待っていたチューブだが、動作は補償付きだ!。問題は限られたマイクロタワーケースに、このデカイ球を如何にして収めるかである。


Sep 24. 2001
秋葉原で電源用の高圧ケミコンを探すが、今日は祝日で肝心の店が開いていない。新生金属工業に10個ほど欲しい旨をメールで入れた。
4.5kV/30μF程度が目標である。秋葉原ラジオデパート入り口にある抵抗器屋さんで、50kΩ/10Wのセメント抵抗を10本購入・・・本当は39kΩ程度のが希望だったが、在庫が無かった。平滑ケミコンのデバイダー&ブリーダーに使う。
Sep 26. 2001
昨日新生金属工業より返信、470μF/450Vが入荷したようで10個依頼し、代金を銀行振込する。
Oct 4. 2001
8時半に玄関のチャイムが鳴った。宅急便でケミコン10個届くが、御丁寧に一個一個緩衝材を巻いてあった。メーカーはニチコンかと思ったが、ライバル社のRubyconだった・・・懐かしい響きがする。
Oct 6. 2001
秋葉原ラジオデパート2Fのマルカで100mmX200mmX3mm厚の黒ベーク板とスペーサー、ラジオストアで100mmX150mmX1.6mmのガラエポ基板買う。何れも高圧電源用・・・ようやく動き出した。
Oct 14. 2001


高圧電源の整流・平滑ブロックを組む。ケミコン10個をパターンカットしたプリント基板上に配し、デバイダー&ブリーダー抵抗を取り付けた。抵抗はセメント型の50KΩ/10Wのもの。整流器はUF2010(1KV/2A)を5個シリーズにし、熱収縮のシリコンゴムチューブを被せたものを2個作り取り付けた。これらは写真の様に3mm厚の黒ベーク板とポリスペーサーによるフレームに組み込まれている。最上部にはアクリルカバーか、アルミのパンチ板が取り付けられる予定。基板パターンのカットはPカッターと通常カッターを併用して行ったが、パターンとガラエポ基板の食い付きが良いため、時間と力が必要であった。ケミコンの高さが45mmと低いため、全体の大きさは100mmx150mmx70mmに収まった。これで47μF/4.5KVである。なお、ケミコン相互がタッチしないように、各ケミコンにはハチマキの如くタイラップ(インシュロック)を巻いている。特に、電位差のある部分には注意する。なお、パターンカットは高圧部の間隔を十分とるようにする。ここでは最大6mmの間隔をとっている。


Oct 15. 2001


ケース内のレイアウトを検討。それにしても球がデカイから、全体がそのあおりを喰っている。3-500Z位にしておけば良かったなんて言わないようにしている。主役はあくまでも5T31である。高電圧小電流の球だから、セラミック球と違いVC類も高耐圧になり占める容積も大きくなってくる。球と電源(トランスと昨日作った整流・平滑ブロック)の位置関係はこんなもんか。問題はプレートと天板とのクリアランス・・・ハムフェアで見つけた低背型のプレートキャップを買っておくべきだった。タンク回路は5インチベイ3個分に何とか収める。


Oct 18. 2001
トランスを縦に取り付けるための金具が西崎電機より届く。従来の付属金具は、長い面を下にする取り付けだったが、これを短い面を下にするように取り付ける事にした(写真の向き)。
Nov 14. 2001


しばらく作業が停滞していたが、本日若干の進展。SOTECのPCケースに取り付けられていた背面金具と5インチと3.5インチ用のスロットを撤去した。また前面側の3.5インチスロットを5インチサイズに切り開きヤスリ処理した。写真は余計な物を取り外したケースに、フロントパネルを被せてみたところ。
RFブロックが5インチスロットの位置に組み込まれる。高さは2インチスロットx2と3.5インチスロットx1分で120mm、幅は148mm。奥行きは180mm程度取れる。なるべくオリジナルの顔を潰さないように工夫している。


Nov 23. 2001


久し振りに秋葉原に行きパーツを購入。リレーを組み込むアルミダイキャストボックスとアルミ板(ラジオデパート2Fエスエス無線)、日本開閉器の16Aスイッチ・DCコネクタ(ラジオセンター東邦無線)、東洋通信機のN-BRコネクタ(千石電商)、ソケットを浮かす黒ベーク板(ラジオデパート2Fマルカ無線)等々。何度も通っていると同じところで買わなくなるのが面白い。店によって値段もそうだが、物が微妙に違うから、どうしてもそうなってしまう。マルカの店先で学生と思われる女性が真剣に配線の事を店員に尋ねていた。見かねて声をかけ、電気は一番電位の低いところに帰るから、余計なところに通らないようにすると具合が良いと説明したら一発で納得していた。


Nov 25. 2001


休日早朝出勤の仕事を早めに切り上げ秋葉原でパーツを購入。30Aヒューズホルダ(ラジオセンター平方電気)、10Ax4回路DC12Vリレー(ラジオセンターパール無線)、再び日本開閉器16Aスイッチ(ラジオセンター東邦無線)、115V:115Vトランス(ラジオセンター東栄トランス)、#43材フェライトコア(ラジオデパート3F斎藤電気)、15Aプラグ付き電源コード(ラジオセンター入り口線材屋)、2回路5接点ノンショートローターリースイッチ(ラジオデパート2F鈴喜デンキ)・・・以上を購入。 リレーは23日に購入したアルミダイキャストケースに入れ同軸リレーとスタンバイリレーを一体に組む。4回路のうち2回路を出力側(20A)、1回路はスタンバイ用で、入出力の間に置きアイソレーションを稼ぐ、もう1回路は入力用にする。


Nov 26. 2001


同軸リレーボックスを作る。ケースは23日に買ってきたTAKACHIのアルミダイキャストボックスTD7-10-3N。リレーはオムロンのLY-4(DC12V)で、写真のように左2回路を並列接続し出力切替えに、右の1回路を入力切替に、間の1回路をスタンバイ(バイアス切替え)に使う。スタンバイ回路はRFバイパスするので接点間のストレー容量の低減も図れる。RFの出入りは全てN-BRで行っている。LY-4の1回路当たりの電流容量は10Aである。これで大丈夫かと疑問視される向きもあるかもしれないが、妙な負荷をつながない限り600W程度なら経験的に問題ない。また、普通なら別リレーにするスタンバイ接点も同じリレーから取り出し、スペース低減に貢献している。スタンバイと電源はRFバイパスを施しDCコネクタで取り出す。このリレーボックスは筐体の背面に取り付けられる。タンク回路からの経路は剥き出しにせず、ここまで同軸ケーブルで導かれる事になる。RFのサンプラーや検波回路をこの中に組み込めるので、タンクボックスに組む必要もなく製作も容易である。念のためSWRを測定しましたが、200MHzでSWR=1.1(Kuranishi:BR-400/詳細はTest&Dataの自作同軸リレーのSWR特性参照)と大変良好で、同軸リレー相当と見て良さそうです。


背面パネルのレイアウトも検討開始。PCスロットで使っていた穴を、写真中央のブランクパネルで塞いだ。下部はパンチ板で吸い込み口になる。上部は入出力のNコネクタが取り付く。この作業にはブラインドリベッターが大活躍する。ファンは寸法の関係で小ぶりの物を2個並べる事にした。写真のファンはTobishi(Ikura)のU8500で@1立方m/分の風量を持つ。写真右は背面パネルの板金加工中のスナップ・・・ファン穴はPC電源用に開いていたものを電ドル・金ノコで切り開き、ヤスリで仕上げる。ACラインフィルタは右下のアルミダイキャストボックスに組み込む予定。同軸リレーも置いてみたが、これは最終的な位置ではない。それにしても薄いとは言え鉄板の板金には力が要る・・・肉体労働だ。それから金属加工音は近所迷惑だったかも知れない・・・。


Nov 27. 2001


高圧電源の整流平滑ブロックにアクリルのカバーを取り付けた・・・写真左。そして、高電圧の警告用にお決まりの「DANGER HIGH VOLTAGE」シールを貼り付けた。なおこのシールは、米国で写真のような形で売られている。表紙には「PANDUIT」と社名と思われる記述があり、「INSTA-CODE SAFETY SIGN BOOK」と商品名が書かれている。
写真右は背面のブランク板に取り付ける予定のNレセプタクルコネクタ。メーカーはSTACK電子。RFの伝送で、一度同軸ケーブルに入れた信号を、途中でハンダ付けのためにバラして同軸関係を断ち切るのは、たとえHFで、かつ筐体内と言えども好きになれない。このコネクタは、外側は通常のN型だが、反対側はNプラグの様に直にケーブルに接続されるため、同軸関係が崩れない。取り付けは、内側からパネル面に押し出したところをナット締めする。私はこのやり方を好んで使っている。秋葉原ラジオデパートB1の一二三電商のジャンク箱の中に新品のままあった・・・ラッキィ!。
・・・5T31アンプ作りも大分雰囲気が出てきた。私の作り方は、最初に環境(周辺)を固め、RF部は最後に取り掛かる事にしている。もちろんRF部のサイズは最初に決めておくが・・・。図面もそれまではスケッチのみで、電子化はしない。


Nov 30. 2001


RelayBoxのアイソレーションを測定してみた。詳細はTest&Dataコーナーの自作同軸リレーのアイソレーション特性に掲載。28MHz=-47dB/50MHz=-39dB/144MHz=-33dBで、144MHz辺りでも利得が高くなければ十分使える。ちなみに東洋通商のCX-800Nは50MHz=-50dB/150MHz:-48dB/500MHz:-37dB/1GHz=-28dB・・・2GH=-23dBで、流石である。
写真は測定中のスナップ。SWRアナライザを信号源にして、リレーボックスの入出力を等価的に50Ω負荷になるようにターミネーションし、リレー電源をON/OFFして出力側の信号がブレイク側を経由して入力側に漏れるレベルをスペアナで測定した。SWRアナライザはMFJ-259とKuranishi BR-400(写真には写っていない)、スペアナはアドバンテストR4131A。こうした特性を数字的に把握する事は、各部の動作を定量的に把握する上で大切な事だと思っている(感覚だけで処理しないと言う意味)。内部写真は配線が見える角度で取り直しました。


Dec 1. 2001


シャシ内の板金加工を行う。電源と高周波部の仕切りのために、写真左の様にアルミ板を加工した。PCケースの片側は全くのオープンで、トランスの重みでシャシがたわまないよう、硬質のアルミアングルで天板と底板をつないだ。また、熱の吸出しがあるので電源トランス上部はパンチ板にしてある。アルミ板の切断はPカッターで溝を掘り、手で折り曲げて行った。パンチ板の切断はオフセンター型の金切りハサミで行った。折り曲げ器は持っていないので、Lアングルをコーナーに使った。固定は殆どをブラインドリベットで行うが、修正等があるので今は一部がネジ留めになっている。トランスは既にシャシ底からビス(4mm)留めしてある。
5T31も入れてみた。ソケットの下は絶縁用のガラエポ基板。なおケースの高さの関係でプレートから天板までのクリアランスが少なく、5T31の取り出しはソケットごとになる予定・・・大胆!。右上は共振室(出力タンク回路)で、プレート・ロードVCそれにタンクコイルとバンドSWが入る予定。またメーターもシールドされて組み込まれる。
高周波部分の側面は、アルミのパンチ板によるシールドを施す予定。グリッドバイアス電源(-105V)は、前面フレームの内側に取り付ける。
5T31周辺のクリアランスが少なく、冷却に疑問をもたれる方がいらっしゃるかも知れない。しかし、四角筒のチムニィが構成されており、最下部のソケット横に吸入穴、最上部に吸出しファンがあって効率良く冷却が行われる。写真右は今日使った工具の一部・・・Gバイスと金切りハサミにPカッターとカッター。


Dec 4. 2001


5T31のソケットと入出力コネクタを取り付けた・・・出勤前に作業する。
ソケットは左右の中心に取り付けたのだが、真空管を差し込むとフックが片方にしかないので、若干奥側に傾いている。ビスは4mmで、シャシ底から絶縁のガラエポ基板を貫通し、更にソケットのステアタイトも貫通しナット締めされる。ファイバーワッシャーを入れ、締めすぎでステアタイトを割らないように注意する。電極の配線はネジ留めを考えている。
入出力コネクタは、Stack電子のNコネクタ2個を背面のブランクパネルに取り付けた。熱対策で真空管のガラス面から逃げるように下方に取り付けた。ただし、それでもガラス面は近いので配線は耐熱性の同軸にする必要があるかも。穴は一般的な16mmΦで、写真のようにシャシパンチで空け、取り付けはナット締めである。なおこれらの作業は、鉛筆による罫書きの上で行われている。


Dec 8. 2001


田舎に帰省した帰りに秋葉原に立ち寄り部品を購入。電線はAC電源配線用の2芯シールド線とフィラメントRFC用の2mmΦフォルマル線。シールド線は2mmSQと3.5mmSQのを1mずつラジオデパート向かいのオヤイデ電気から、フォルマル線はラジオデパート2Fの鈴喜デンキから買った。中央は左からプラスチック製のネジ式ブッシング4個とACコード用のブッシング2個、ACラインフィルターを入れるTAKACHのHD5-5-3アルミダイキャストケース。手前は左から30KΩと50KΩ/10Wのセメント抵抗、5T31ソケットに取り付け予定のフィラメント用ターミナル2個。ブッシングとターミナルはラジオデパート2Fの鈴蘭堂、ダイキャストケースは同じく2Fのエスエス無線で購入。一気に求めず、こうして生活スペースや時間に合せながら購入するのも楽しい。


Dec 9. 2001


ACラインLPFを製作した。アミドンの#43材メガネコア2個と0.01μFのセラミックコンデンサをACライン入力に挿入しRF成分の流出を押さえる。特性は測ってないので何とも言えない。気分的なモノにしたくないので、何時か測定してTest&Dataコーナーに掲載したい。TakachiのアルミダイキャストボックスHD 5-5-3に収めたが、小さいのでFuseホルダやケーブルブッシングの穴位置を誤ると配置できなくなるので注意する。箱は背面スペースの関係で、当初予定していた物の半部程の大きさになった。これを本体の背面に取り付け、ACラインはシールド線でトランスや電源スイッチまで導かれる。5T31の直下を通るので、こうした優しさが必用である。電線は全て2mmSQとした。なお取り付けネジサイズはインチのためJISタップを立て直してある。


AC-LPF、Relay-Box、Fanを背面パネルに取り付けてみた。中々さまになって来たと思う。ACラインの引き込みは背面に丸穴を空けフレキシブルブッシング処理して筐体内に2mmSQ(15A)のシールド線で行っている。写真でその様子が良く分かる。この様に処理しておくとRFが生きた時でも安心できる。 仕切り板に貫通端子を通し(フィラメントとグリッド用)0.01μFでバイパスした。そして、フィラメントチョークを#43材のトロイダルコアに巻き(2mmΦ13Tバイファイラ)ラグ端子との間に取り付けた。暗くなってから恐る恐るフィラメントを灯してみた・・・ウーンやはりガラス球は生きているようでハートが伝わって来るようだ。電圧はトランス出力で7.8V、ソケットで7.7Vであった。


Dec 10. 2001


フィラメントの通電は昨晩から今朝の出勤前まで約12時間行った。電力が7.5Vx12A=90Wで、こりゃまるで暖房機だ。写真は、紹介が遅れたが昨日巻いたフィラメントチョーク(昨日の記録参照)で、5T31のフィラメントにより照らされて美しい。通電による温度上昇は全く無い。インダクタンスがどの程度かを既値コンデンサとディップメーターで測ったが、測定限界を低い方に越え不明。取り付けは仕切り板に取り付けた貫通端子とラグ端子間で行っている。本来なら、ソケットに直付けするべきだが、5T31内のフィラメントリードはもっと長いし、HF用と言う事もあり機構的な作り易さをここでは優先している。もっとも入力SWRが下がらない時は対策を打つが・・・。


Dec 11. 2001


フィラメントのエージング実施。昨夜から今朝にかけ約9時間の通電を行った。5T31のスペアチューブを知人から譲り受ける。製造年は昭和58年9月となっており、実装済みの昭和52年6月より新しい。見た感じも綺麗で新品と思われる。


Dec 12. 2001
フィラメントのエージング実施。昨夜から今朝にかけ約10時間の通電を行った。
Dec 13. 2001
フィラメントのエージング実施。昨夜から今朝にかけ約9時間の通電を行った。
Dec 17. 2001


フィラメントのエージング実施。昨夜から今朝にかけ約10時間の通電を行った。
フロント化粧パネルの小窓を貫通した。この小窓は元々PCのUSBコネクタとGAMEポートが取り付けてあった。化粧パネルの材質は軟らかく、写真のようにPカッターで容易に切断する事が出来る。この小窓には電源スイッチ、スタンバイスイッチ等が顔を出す予定。但しこの位置ではスイッチ類が蓋にぶつかるので奥に下げる必要がある。スイッチはサブパネルにまとめ、フロントパネル(金属部)のほど良き位置に取り付ける予定。ケースのオリジナリティはなるべく壊さないように心掛けているが、それにしてもSOTECさんには申し訳ない・・・社長さんゴメンなさい。


電源スイッチとスタンバイスイッチを取り付けるフレームを製作。写真の様にアルミのコの字型のアングルに3mmの小穴を空け、ニッパーで切り開き最後はヤスリで仕上げる。スイッチの取り付けは押し込むだけでOK。フレームの取り付けは真鍮のスペーサーで約12mm浮かせる予定。位置関係を見るために、各部品を合わせてみた。化粧パネルの小窓に綺麗に収まっている。スイッチの間にパイロットランプを取り付けるかもしれない。


Dec 20. 2001
5T31の動作目標について検討実施。Test&Data欄にある5T31の動作例からすると、Ep=3KV時にEg=-80VでB級動作の模様。大雑把であるが、同じEgでEp=3.5KV程度で使いIgを流さないAB1で使えそうである。Igを流さないドライブの範囲なら、入力Zも安定するものと考えられる。それで、約80Vをスイングするためのドライブ方法を考える必要がある。50Ωで50Wなら50Vrmsで最大値は√2x50V=71V。最大値80Vでの実効値は56.6Vで、この時の電力は約64W(50Ω)となる。ところが動作例を良く見ると、B級でIgに25mA(DC)も流れている(GKだと思うが)。これを見てやや考え方が変わってきた。そこまでスイングしないとパワーが入らないって事か・・・さあどうしよう。
Dec 21. 2001


高圧整流平滑ブロックを電源トランス上に取り付けた。適当な取り付け場所が無いため、電源トランスの金具に3mmのタップを立てて、高圧整流平滑ブロックを取り付けた。3mmのノブ付きビス2本が、ブロック底の3mm厚黒ベーク板を貫通して締め付ける。後方は、実装してからのメンテナンスで手が入らないため、前側だけで締め付けている。苦肉の策だったが、思いのほかしっかりと取り付ける事が出来た。写真の白い部分がノブ付きビス。


Dec 24. 2001


実家に帰省した帰りに秋葉原で部品購入。渋川桑野電機(Kuwano)のTRM-45/500μA電流計(ラジオストア2F菊地電気)と、RFデッキの化粧板(ラジオデパート3Fシオヤ無線)、RCA-JACK・D-Sup9Pin(千石電商)を買って帰る。電流計の内部抵抗は不明だったので後で測る事にした。それが分からないと分流器や分圧器の値を割り出せない。このメーカーは薄型が売りで私は昔から良く使っていたが、何故か秋葉原では置いてある店が無かった。JISマーク付きの2.5級である。RFデッキ部の前面はアルミのパネルで行うが、SOTECの化粧パネルが湾曲しているため、それに合わせる為に若干厚味(3mm)のある樹脂パネルをあてがう。色は赤と白を買ってきたが、センス良くPCケースにマッチするのはどちらだろうか・・・とにかく外見だけではアンプと悟られないようにするのが狙いだから。RCA-JACKは、リレーボックスのスタンバイ接点を取り出す予定。D-Sub9Pinコネクタは低圧電源ユニット(12V・-105V)の出入りに使う予定。


Dec 26. 2001


Kuwano製500μA電流計の内部抵抗を測定。最近のデジタルテスターは便利で、微小電流で電流計の内部抵抗を測定出来る。約180μAの電流で内部抵抗を測る事が出来た。感度の低いアナログテスターでは考えられない事である。それで結果は約225Ωであった(写真の表示は229Ωであるが、約4Ωのオフセットがあった)。これで、IpやIgそれにHvの分流器や分圧器を計算できる。測定はSANWAのPM-7で行った。


Dec 27. 2001
電流計の倍率器と分流器の計算を行う。測定レンジはHv:5KV、Ip:500mA、Ig:50mAとした。なおIpの測定はカソードリターン回路で行う予定で、Igが流れる領域では実質的にIgも含まれる。
計算値・・・Rhv=10MΩ(高圧倍率器)、Rsi=0.225Ω(プレート電流分流器)、Rsg=2.273Ω(グリッド電流分流器)。なお分流器の抵抗値は半端なので幾つか用意し、テスターと直列に接続して表示が最も近くなる物を選ぶ。
Jan 7. 2002


正月休みの帰りに秋葉原に立ち寄り思いついた部品を購入。電流計の倍率・分流器用抵抗(ラジオストア・シーアール)、ファンガードと袋入り30V/1Wツェナーダイオード、USB延長ケーブル(千石電商)を買う。
倍率器は10MΩ/2W(誤差5%)1本、Ip用分流器は0.22Ω/2W(誤差5%)3本、Ig用分流器は2.2Ω/0.5W(誤差1%)1本。次項で計算した通りの値は製品に無いので、幾つか購入し実測して一番表示の近いものを使う事にする(但しここではIp用のみ考慮)。右の写真は分流・倍率器用抵抗のクローズアップで、左からIg用、Hv用、Ip用(3本)である。なお秋葉原には、誤差1%以下の抵抗を取り扱う店が幾つかあるが、私はこのシーアールかラジオデパート2Fの海神無線を良く利用している。
ファンガードは、ガードと言うよりシールド効果の方が大きいか・・・内側に取り付ける。ダイオードの袋には東芝の1Z30A(30V/1W)が100本入っており\300と格安だった。これだけあれば、とうぶんは困らない。USBの延長ケーブルは、アンプには関係ないように思われるだろうが、撮影した映像をスマートメディアからPCに取り込むときに必用なので買ってきた・・・今まではFDアダプタでやっており時間がかかっていた。これも千石電商で\200と格安だった。


Jan 10. 2002


Ip及びIgメーターのシャント抵抗値の確認。写真の様にKuwanoの500μAメーターにシャント抵抗を並列に取り付け、標準電流計(ここではSANWAのテスターEM-3000)を直列につなぎ電源(DC3V+100ΩVR)を供給する。供給電流はVR値を可変する。VR値は最初は最大値から減らしていく・・・誤って0Ωにするとメーターが振り切れストレスになる。写真左はIp用500mAフルスケールを確認中だが、EM-3000にこのレンジが無いので300mAのレンジで見ている。右はIg用で50mAを振らせているところ。結論としては、そのままでもまずまずの精度が出ていると言える。この作業で買い求めた抵抗の中から誤差の少ない物を選ぶ。組み込んでからメーターシャント抵抗の確認をするには骨が折れるので、こうして事前に確認すると良い。


Jan 11. 2002
低圧電源の配置検討。バイアス電源トランスとその整流・安定化回路、それに12V電源整流・安定化回路の配置を検討したが、未だ頭の中で具体的な作業に入れないまま。スペースはあるのだが、メンテナンス性や作りやすさ、それに総合的な機能を考えるとそう簡単には決まらない。整流・安定化回路は同じ基板に載せてしまう予定。
Jan 20. 2002


ソケット絶縁ベースの取り付け。1.6mm厚のガラスエポキシ板を写真左の様に取り付けた。ソケットの底は、写真右の様に端子が剥き出しになるので、このガラスエポキシ板でシャシと絶縁する。固定はブラインドリベットを外側から入れ、内側には卵ラグを入れアース端子とした。またソケットとガラスエポキシ板の間にはファイバーワッシャを入れ若干浮かす予定。ソケットはステアタイト(瀬戸物)なので、余り強く締め付けると割れてしまうから、ファイバーワッシャーは有効な手段である。球の交換はこのソケットごと行う事になる。ケースの高さの関係で苦渋の選択である。球交換の作業は・・・@フィラメント配線ハンダ外し→Aプレートリード外し→B4mmビス・ナット4箇所外し→C球・ソケット一体で取り外す・・・で行う。なおソケット上は、フィラメントとバイパスコンデンサの配線が既に済ませてある。


Jan 21. 2002


電源トランスT1とバイアス電源トランスT2を取り付けた。これに伴い高圧整流・平滑ブロックと電源スイッチ・スタンバイスイッチの配線と取り付けも行った。高圧整流・平滑ブロックにはマルチメーター用の倍率器とIp用分流器を取り付けた。高圧部分の引き出しは古川電工のビーメックス電線で、その他はKyowaのUL耐熱電線を使用した。T2は奥の側面パネルにビス止めし、1次90V、2次115Vで配線してある。電圧の高い部分はポリエチレンのスパイラルを巻いている。スイッチパネルにBIAS電圧調整VRを取り付け、前面から調整が出来るようにした。配線はこのように事前にリード処理をしておき、スパイラル等でグルーピングしておくと後の作業が楽である。また高圧供給用のフィードスルーコンデンサ(680pF/6KV)も取り付けた。電源周りは低圧電源ボード(BIAS用-150Vとリレー用+12V)を製作して完成となる。随分と雰囲気が出てきた。


Jan 22. 2002
低圧電源ボード回路を検討。グリッドBIAS電源の-120Vとリレー電源の12Vの整流と平滑を行う。-120V電源はブリッジ整流後ツェナーダイオード(30Vx4本)により安定化し、リレー電源はブリッジ整流後3端子REGで安定化させる。また、グリッドBIASは外部のVRとのやり取りで電圧調整とIgのメーターシャント、それにBIAS電源が落ちた場合絶対に送信出来ないようにする保護回路も乗せる。保護回路はDC100Vリレー(直流抵抗約10KΩ)をVRとシリーズにすることで動作させ、接点出力をスタンバイリレー回路とANDする。50mmx75mmのユニバーサル基板に乗せ、基板ソケット&プラグで外に引き出す予定。
Jan 24. 2002


渋谷東急ハンズで写真の部品を購入。Takasuのユニバーサル基板と5KΩ/BカーブVR、中継コネクタ3P/4P。実は、DC100Vリレーを探しに行ったのだが、あいにく置いてなかったためこれら部品の購入となった。ユニバーサル基板は低圧電源用。VRは先日組み込んだBIAS用が1KΩで可変範囲が少ないので買ってきた。コネクタは切り離しが必要な部分が発生した時に使う。明日は低圧電源ボードが完成するか・・・。


Jan 25. 2002


仕事帰りに秋葉原に立ち寄り部品を購入。シリコンブリッジ(千石電商)、セメント抵抗・1000pF/10KVセラミック(ラジオデパート1F桜屋電機)、DC100Vリレー(ラジオセンター田中無線)・・・これだけしか買わないのに2時間も歩き回った。問題はDC100Vリレー。カタログにはあっても実際に物を置いてある店が全く無いからだ。止む無くオムロンのMY4型にしたが、本当は基板上に実装できる物を探していた。シリコンブリッジは600V/1Aの物を10個まとめ買いした。セメント抵抗で、数10KΩと高い値の物はやはりここ桜屋さんだ。それに高圧の円盤セラミックも置いてある。


Jan 26. 2002


低圧電源ボードを製作した。T1の12.6Vをブリッジ整流し、7812で安定化してDC12Vを得る。一方T2の出力約128Vをブリッジ整流し、ツェナーダイオード1Z30(4本)で安定化しDC-120Vを得る。ツェナーダイオードは写真の様に事前にシリーズにハンダ付けを済ませておく。両電源を同じユニバーサル基板に組み、入出力は基板用コネクタで行うが、これは部品箱の中にあった・・・今は無き名古屋の「カトー無線」のシールが貼ってあった、懐かしい。保護用リレーは当初基板に乗せる予定だったが、適当な物が見つからなかったため、写真のようにMY4型(OMRON)を使用する予定。手持ちのジャンクの中で取付金具を見つけたので、これを利用する事にした。さあ明日以降このボードに通電を試みる。


Jan 27. 2002


保護回路リレーRy1(DC100V)を取り付けた。取り付け場所は、写真の様に前面パネルの裏側で、高圧整流・平滑ブロックとの間。取り付けてからの配線は不可能なので、事前に必要な配線を済ませておく。昨日製作した低圧電源ボードはこの手前に取り付ける予定。穴あけは、既に部品が取り付けてあるので、ポンチを打ったあとハンドドリルで慎重に行う。切り屑などが部品に落ちないように、裏側に紙等を当てがって作業する。奥に見えるのはBIAS電源トランス。



重大なトラブル・・・通電テストが2時間程経過した時、突然「パーン」と音を立てIpメーターシャント抵抗が破断(写真右)し、500μA電流計がバラバラになった(写真左・目盛板は手で外した)。メーターは、クリアカバーとアルミの化粧板(黒い部分)が吹き飛び、内部のリード線が断線したが、幸いにも可動コイルは生きていた。吹き飛んだ時、電子部品の焦げるような臭いを発していた。密閉状態で内部の空気が膨張し、耐え切れなくなったものと想像する。では膨張の原因は一体何・・・リード線は断線し内部の電線は殆ど無くなっていたが、被覆は残っていた・・・電線だけ溶けて、気化したのか?。シャント抵抗の容量不足が「パーン」音の第一の理由に思うが、シャント抵抗にはHv電圧計用の10MΩしか負荷されていない、なのに何故?。電源のマイナス側とグランド間に挿入してあったシャント方式を止め、ここは直にグランドし、負荷側(フィラメントトランスのCT)に入れる方式に変更した。Igが流れた時にIpに加算されるのを嫌って電源側に入れたのだが、高圧回路を安定に動作させるには、マイナス側の電位を明確にする必要がある。こうした体験は、3-500Z等のゼロバイアス管で、IgとIpの表示を弁別するために、高圧電源のマイナス側をシャント抵抗で浮かせて使用する時、良く遭遇した。負荷の状態で電源のマイナス側の電位が変わるので注意しなければいけない。メーター内部のリード線を取り付け、吹き飛んだ時ずれたゼロ点を修正して何とか回復した。その後、4時間程通電をするが問題は発生しない。
Jan 28. 2002


低圧電源ボードの取り付けと電源関係全般の配線、及び通電テスト実施。写真左は低圧電源ボードを実装し配線を施した、電源部全景。写真中央は低圧電源ボードのアップ。後方に昨日取り付けたリレーが見える。写真右は通電テスト風景。HvはT1の1500Vタップ使用時、4200Vを出力します。BIAS電源は−129V、リレー電源は11.9Vでした。この状態で1〜2時間放置し、異常が発生しない事を確認します。特に高圧電源回路のスパークや異臭・異音には注意を払います。トランスやその他部品が新しいので、熱で塗料が臭いを放ちますが、これが枯れるまでエージングをしたいところです。また高圧電源は、受電電圧の上昇や部屋の湿度によっては突如としてスパークする事があります。場所を特定して、間隔を広くしたり、絶縁材の検討を行います。それにしても4000Vを越えるとちょっと怖い・・・感電は生命に影響するから作業には十分な注意を払う必要があります。
忘れないうちに一首・・・物好きと 言われながらも 今日も灯く ストーブ代わりの ゴティーサンイチ・・・昨年12月札幌の小池氏/JA8FDTに送ったもの。


Jan 29. 2002


重大なトラブル・・・昨夜から電源の通電を実施。ところが、朝確認すると電源ヒューズ15Aが飛んでいる。床に就く1時頃はOKだったので、それから起床した7時頃の間に発生したようだ。相当な音がしたと思うが、全く気がつかなかった。写真の様に高圧平滑ケミコンのホット側のブロック5個全てが膨張し絶縁シートが解けている。さらに一部は電解液が流れ出している。プリント基板は反り返り、四隅にあるスペーサー(ポリ製)の内1本の埋め込みネジがすっぽ抜けた。取り外して調べると電気的にはOKだが、高さが変わっておりそのままでは使えない。恐らく温度上昇に伴い、固体の状態が可笑しくなり、連鎖的に他のケミコンに移っていったものと思われる。コールド側の5個は全く問題ないので、温度だけが原因とは言い切れない・・・ブリーダー抵抗1本辺りの電力は3W(10本)で、大した熱ではないし。ケミコンの特性不良・・・10本の内まとめて5個ってのも変だし・・・色々と楽しませてくれそうだ。、


Jan 30. 2002
重大なトラブル・・・昨日のトラブルの原因を考えてみたが、中々思いつかない。こんな現象が起きるのは、経験的にケミコンに印加する電圧を逆にした時くらいのものだ。通電時は問題なくても、時間が経つと温度が上がり破裂する・・・但し今回は破裂の前に15Aヒューズが飛んだ。少なくとも1.5KW以上の電力をこの部分で吸収した事になる。それで、あらためて電極への配線が間違いないか確認したが、問題は無かった。では一体・・・。いずれにせよケミコンは交換の必要があるので、新生金属工業にe-mailを送った。
Jan 31. 2002
重大なトラブル・・・一昨日のトラブルの事が頭から離れない。ひょっとしたら整流ダイオードが可笑しいか?。テスターのΩレンジでは両者共同じような抵抗値を示していたが・・・。低電圧による直流抵抗では真の値を測れないのかも知れない。ダイオードの整流作用が可笑しくなって、逆方向にも電流が流れるとケミコンでAC1500Vを短絡する事になる。後日、ダイオード(UF2020x5本直列)の状態を条件を変えて測定する事にする。
Feb 1. 2002


重大なトラブル・・・高圧整流平滑ブロックからホット側のケミコン(470μ/450WV)5個を取り外した。両端が膨らんで丸くなっているので、垂直に立たない。写真が歪んでいるわけではありません。今まで「破裂」と記していたが、そこまで至っておらず、発熱・膨張・液漏れの範囲である。ここで「訂正」する。これは言い訳だが、トラブル時にこうして部品を取り外し易く作るのも重要なポイントだ。ケミコンに巻いてあるのはタイラップ(結束バインド)で、ケミコン同士の間隔を維持するための工夫。発注したケミコンの到着が待ち遠しい。


・・・と思っていたらピンポーン。出勤間際の8時半、何とケミコンが宅急便で到着した。早速荷物を空け緩衝材を取り出して撮影したスナップが左。帰宅が楽しみである。
帰宅後慎重にケミコンを取り付けた。念のため、プリント基板周辺のグランドパターンを修正し、電圧が高い辺側は撤去した。また、透明アクリル板は熱がこもるので取り外してある。右はテスト中のスナップ。トランスのタップは1200Vとして、朝まで通電する事にした・・・ここまで約1時間経過問題は無い。電圧計は3200Vを示している。果たして朝どうなっているか・・・。


Feb 2. 2002
午前1時〜9時半まで通電テスト実施。起床して恐る恐る電圧計を覗くが問題は発生していない。正常であった。帰宅後、21時頃から連続通電し1時半床に就く。これまで全く問題は無い。
Feb 3. 2002


昨夜21時〜今朝9時半まで、12時間半の通電テスト実施。問題は発生していない。原因は一体何だったのか・・・特に変わったところと言えばアクリル板を外した事くらいである。アクリル板があると確かに熱がこもり、自身が反り返って若干曲がる。しかし経験的には何時もと変わらないつくりである。
写真は、化学の専門家から見たら幼稚な様に見えるかも知れないが、ガスコンロでケミコンを暖めて直流抵抗値の変化を測定しているところである。ケミコンに直接火が当たらないように工夫された、魚を焼く網でやった。この光景を見て、一瞬にして目的を理解する人は殆どいないだろう。結局、外部からの熱では何の変化も起きなかった・・・電圧を掛け電解液をイオン化させないと、やはり同じ条件は作り出せないか。


スタンバイリレーBOXのDCラインとスタンバイラインをDC端子で取り出した。リレーコイルにはシリコンダイオードを並列に抱かせ、スパイクノイズを吸収するようにしてある。リターン回路はグランドに落とすのみで特別な配線は行っていない。BOX内はRFの巣であるが、RFバイパスは箱の中では行わず、本体の接続コネクタ側で行う事にした。余り根拠は無いが、スタンバイラインにいっぱい充電されたCがぶら下がり、これをスタンバイSWで短絡するのが、蓄電池を短絡するように見えて気持ちが悪いから・・・要は必要最小限にしようという試み。それに能動素子回路ではないから、他への悪影響は無いものと割り切った。BOX背面にはRCA-JACKを取り付け、外部からのスタンバイ情報(接点又はTr-ON)を入力出来るようにした。ACファンも付き大分雰囲気が出てきた。


自己バイアス抵抗、Ipシャント抵抗、DC端子からの12Vラインとスタンバイライン、グリッドRFC&バイパス回路の配線を行う。またファン制御回路も配線を済ませ、サーモスイッチにより温度制御されたAC100Vが背面パネル内側まで延びた。後はコネクタで出力し、ファン側にはプラグを取り付ける。なおファンは音の関係で、ACファン2個を直列で使う事にした。
後ろの写真2枚は、写真は久し振りにフィラメントを灯してみたところ。写真は蛍光灯をベースにして撮影したので、赤黄色方向を強調するために色補正をしている。グリッドとプレートを電源につなげば、DC的なチェックが既に出来る状態にある。但しメーター回路が未だなので、今日はお預けである。


Feb 4. 2002


入力トランスのテストを行う。#43材のトロイダルコアに、コイルをトリファイラで10T巻き、各コイルを直列につなぐ。巻き数2:3でデータを取ってみた。入力は50Ωで終端、ステップアップ出力で5T31のフィラメントをドライブする。5T31の入力容量は8pFとストレー容量が負荷される。電極のリードインダクタンスが気になるが、それも微妙に加わる。グリッドはバイパスコンデンサで接地、プレートはとりあえずオープン。
この条件での測定データをグラフにしたものをTest&Dataコーナーに掲載しました。赤色の曲線がそのデータです。無調整の裸特性ですが、14MHzまでは問題なく、21MHzまでは何とか使えそう。また36MHz付近に共振点があり、インピーダンスがゼロになるポイントがあった。これは2次側の負荷が容量分なので、直列共振するから当然といえば当然か・・・。トリファイラの10Tは低域を気にしての巻き数であるが、全く問題ないので半分くらいに減らしてデータを取ってみる必要がありそうだ。とにかく高誘磁率のフェライトコアの存在は有り難い。
今回はテストだが、最終的にはステップアップした段階で終端し、HFのπ型LPFでドライブするやり方にする予定。π型のC分を、5T31の入力容量に置き換える方式だ。これで非同調の入力回路が実現する・・・多分。
説明が前後するが、ステップアップの目的は入力のスイングレベルを稼ぐためである。グリッドバイアスが-100Vもあり、μもそんなに高くない球ではこうした方法が一番手っ取り早い。


Feb 5. 2002


1時〜8時まで7時間の通電実施。写真は、昼休みに渋谷東急ハンズで購入したスパイラルチューブとDCプラグ。スパイラルチューブはポリエチレンで熱には弱いが、配線ケーブルの束線に使うと、変更にも柔軟に対応でき大変便利。DCプラグはリレーボックスと本体とを結ぶスタンバイライン用。


Feb 6. 2002


1時〜8時まで7時間の通電実施。写真左は出勤前にプレートVCとロードVCを共振室(ちょっと大げさか)に入れてみた。ロードVC(下)はほぼ定位置だが、プレートVCはこれより約20mm上になる。何故ならロードVCのローターが回らないから。両VCのリターン回路(グランド)は、グリッドパスコンのグランド位置にアルミのサブシャシで落とす予定。入れてみると結構デカイ。コイルとバンドSW、それにメーターとメーターSWの位置取りに工夫が必要になりそうだ。VCが出てくるといよいよRFアンプらしくなる。手前に見える赤いのは680pF/6KVのフィードスルー(貫通)コンデンサーで、ここがプレート電源となる。
写真右はグリッドへの配線の様子。平網銅線の両端にラグ端子を圧着しビス止めしている。グリッドのバイパスはセラミックコンデンサ(0.01μ/500V)2個で行っている・・・Igを流すと電流容量がやや心配。奥のRFCは1mH/100mAの物で、直流バイアスがここを経由してグリッドに与えられる。


Feb 7. 2002


入力トランスの巻き数を半分の5Tに減らしデータを取る。測定データを追加したので、Test&Dataコーナーのをご覧頂きたい。青色の曲線がそのデータです。実用範囲が高い方に伸び、レンジが広がっている。2MHz以下のSWR劣化を1.5〜2程度になるまで巻き数を減らした時に、高域がどのようになるか興味がある。いずれにしても裸特性であるから、十分な期待が持てる。
1時〜8時まで7時間の通電実施。


Feb 8. 2002


トランスの巻き数は前回と同じトリファイラ5Tで巻き数比2:3。インピーダンス比はその2乗で50Ω:112.5Ωとなる。今回は出力側を終端(110Ω)したあと球を接続してデータを取った。過去のグラフに測定データを追加した。紫色の曲線が今回の特性である。無調整ながら、28MHzでSWR=1.6以下に収まっており、既に射程距離に入ったと言えそうだ。コイルのストレー容量を減らせば、裸でSWR=2以下に押さえる事が出来るかもしれない。或いは110Ωラインのπ型LPF(HF30MHzを十分通す特性)をトランスと球の間に挿入し、LPFの出力側静電容量を球の静電容量に置き換えれば、更に安定なマッチングが取れる。


Feb 9. 2002


仕事帰りに秋葉原に立ち寄り部品を購入する。右はアースラグ(卵)や3mmナットと黒ベークスペーサー他(ネジの西川電子)、その下は0.22Ω/5Wと1MΩ/0.5W(ラジオデパート2F瀬田無線)、左上はTakasuの基板と真鍮スペーサー(ラジオデパート1Fマルカ電機)、その下は75Ω/30W無誘導抵抗器(ラジオデパート3F斎藤電気)、更に下は7P-MTソケット&プラグと2Pソケット&プラグ(ラジオストア東邦無線)。
無誘導抵抗は200/300Ωは特注という事で、75Ωを直列に使う事にした。7P-MTソケット&プラグはQQQ(中央無線)製だが、「まだ作っていたのか!」と暫し感慨にふけった。これはファン電源用に使う予定だが、その右にある2Pの物もその候補である。基板は無誘導抵抗と入力π型LPFを乗せる予定。0.22ΩはIpメーターシャント用で、この大き目の物に変更する。また1MΩはEgメーター用の倍率器(FS:500V)に使用する。


Feb 10. 2002


入力トランスの最終版を検討。昨日購入した75Ω/30Wの無誘導抵抗を2個直列にし150Ωを得る。5Tのトリファイラをペントファイラ(5重)で巻き、3:5でのステップアップでおよそ140Ωを得る。この状態で150Ωを負荷し、更に球の入力静電容量とストレー容量を加味し15pFを接続してデータを取ってみた。グラフに測定データを追加した。緑色の曲線が今回の特性で、HF全体でSWR=1.3以下に収まり、非同調入力回路として実用の域に達している。これでどの程度のステップアップが図られているか計算すると・・・入力50W(50Ω)とした場合の電圧は50V(rms)であるから、最大値は50x√2=71V、これが3:5にステップアップされるので、71x5/3=118V(peak)程度となる。なお5Tで巻いたが、低域が伸びているので4Tまたは3Tにすれば、全体に広域にシフトし、より広帯域になると思われる。この状態で、IC-756からCW/60Wでドライブしコアの発熱を監視したが、全く問題なかった。
ファン電源を配線する。背面内側まで引いてあった温度制御AC100Vを、7P-MTを取り付け配線した。ファン側はファンを直列にし、5/6番Pinに接続した。5/6番を使った理由は、真空管時代にの名残で、電圧の高い電極(P/Sg)はこのピンを使っていたからである。またリレーボックスと本体を結ぶケーブル(12Vライン、スタンバイライン)も製作した。右の写真はリアパネル内側から撮影したもの。


Feb 11. 2002

1〜12時まで、11時間の通電を実施・・・異常なし。


入力トランスの最終版を製作。昨日の検討版をの巻き数を減らし4Tのペントファイラとした。2次側に150Ω負荷と15pFのキャパシタ(VC)を取り付けSWR特性を取った。グラフに測定データを追加した。水色の曲線が今回の特性で、HF全体でSWR=1.15以下に収まり、全く問題の無い特性を得ている。VCは20pFの物を目分量で15pFとしたが、若干抜くと更にSWRを落とす事が可能で、そのポイントはおよそ8pFで、SWR=1.1に収まる。実際の5T31の等価回路はキャパシタだけでなく、リードインダクタやフィラメントチョークもあるので、そう簡単には行かないはずである。


入力SWRを安定にするために、入力トランスと5T31の間に入れるπ型LPFの計算をする。計算といっても筆算だと骨が折れるので、PCソフトSVCFiltの力を借りることにした。線路のインピーダンス、カットオフ周波数、アッテネーション周波数を入力すれば、瞬時にLとCの値がはじき出される。図は線路インピーダンス150Ω、カットオフ30MHz、アッテネーション周波数50MHzとしたときの各定数が表示されている。但しこの場合の減衰量は5段での値なので注意。使用目的は減衰ではなく、Cの値を5T31の入力容量に置き換える事で整合させる事である。
L=1.08μH、C=33pFが示されている。このうち出力側のC=33pFを、5T31及びその配線ストレー容量で置き換えることになる。5T31の入力容量は8pFであり、ストレーを加味してもせいぜい15pF程度と思われるので、補助コンデンサが必要になる。


入力トランスと併せLPFの回路図を掲示しました(注意:左図の出力側が便宜上150Ωと記してありますが、計算上は139Ωです/=50Ωx5Tx5T/3Tx3T)。上記SFCFiltによる定数で、π型LPFを構成(1段)し5T31を駆動した特性を測定してみた。この場合5T31へはLPFの入力側を接続した。出力側の33pFはフィリップスのトリマーに置き換え、最後は150Ωの無誘導抵抗で終端する。5T31への接続は、当初LPFの出力側を予定していたが、入力側の方が安定していたので、こちらを採用した。トリマーは25〜30MHzのSWRが平坦になるように調整する。LPFのコイルは、アミドンのFT-82-61にECを3T巻いた。入力側容量は全て5T31側に負担させており、補助的なCは接続していない。


今までの実験結果を基板上にまとめた。左は入力側にNレセプタクルコネクタとケーブル(RG-58U)をつなぎ、実装できる状態に仕上がったところ。中央は5T31の向こう側の側面に取り付けて配線をしたところ。実装すると実験とは経路やストレーが変わるため、当初のSWRが得られない。機構上の理由で、ボードからのフィラメントまでの配線が希望通りではない。本当は仕切り版に取り付けたかったが、そこに付けるとボード上のトリマーを回せなくなるし、また仕切り板に取り付け穴を空けスペーサーを取り付ける作業が必要になる。しかしそれでもSWR=1.5程度で、実際に60W程度でドライブしてもエキサイター側はノンチューナーでOKだが・・・。右の5T31後ろ側面に基板を取り付けてある。


Feb 12. 2002


フロントパネルを中心とした機械工作を行う。フロントパネルのレイアウトを決めるが、部品の大きさや入れ物の関係で、自ずと配置が決まってしまう。右上はプレートチューンでその下がロードチューン。メーターの下はメーター切り替えSWでその下がバンドSW。フロントパネルは装置の顔であるから、位置決めは電気的な要素だけでなく、見た目の良さも考慮する必要がある。決まるまで色々な思いが頭の中を過ぎって行く・・・この時間も実に楽しい。
VC類は今は無き梅沢のボールドライブで駆動するが、シャフトカップリングを使いVCのグランドがパネルにタッチしないようにしている(パネルや筐体に電流を流さないように)。パネルはアルミパネル(1.5mm厚)と化粧パネル(3mm厚)のタキロン(商品名?)による2枚構成。穴あけ時はバイスで固定して同時にあけると良い。アルミ板のビス類は突起しないように全て皿ビスで処理している。メンテナンスを考えて、化粧パネル側のメーター穴は四角形にくり貫ている。ノブはサンプルでつけたが、実際には白色系の余り突起の無いものを使用する予定。
VC類は写真の様に取り付け、グランドはアルミ板で5T31のグランドポイントに返す。それにしてもVCがでかく、パネルが小さく見える。なおこのVCはTL-922の物で、昨年のハムフェアでTopGunのブースで格安にて購入したモノ(Tks JN1DNG/川村OM)。
PCケースのフロントカバーがRしていたり、パネルの下側にもRがあったりして、普通の工作に比べ時間を要した。またこれらの工作は、PCのフロントカバーの脱着も考慮しなければならず、かなりの精度を要求される。細心の注意をはらい採寸と加工を行う必要がある。・・・しかしこれで随分とアンプの製作らしくなってきた。


Feb 13. 2002


フロントパネル裏側の構造。化粧パネルの内側は、PCの5インチベイが元々あったところで、本体から25mm程突起させないとフロントカバーと面が合わない。そのため、写真の様にアルミアングルで前方に突起させる工夫をしている。固定は、上下に突き出したアルミアングルを取り付けて行うが、左右方向もアルミパネルにアングルを取り付け、RFの漏れ対策とパネルの補強をしている。この箱のような出っ張りが、フロントパネルのくり貫きに顔を出す事になる。よってある程度の精度が求められる。プレートVCの固定はパネルから4mmの皿ビス4本で行う。アルミパネルは1.5mm厚だが、4mmの皿ビスだと厚さがぎりぎりのため、取り付け部品側も若干皿を彫っておく必要がある。本来なら2mm厚程度のパネルを使いたい・・・。


Feb 14. 2002


秋葉原で部品購入。真鍮のカラー、ゴムペーサー他(ネジの西川電子)、ベージュのノブ(ラジオデパート2F鈴蘭堂)、Kyowaの耐熱電線(ラジオデパート2F鈴喜電機)を購入。
真鍮のカラーは長さ8mm(内径5mm、片側皿処理)、プレートVCとフロントパネルとの間に入れ、シャフトとボールドライブの間隔を調整する。ゴムワッシャは5mm穴で厚さ2mm、5T31ソケットの下に敷く。ノブは若干高級品を買い求めたが、レタリングとの関係で見栄えは幾らでも変わるから、これで決定ではない。耐熱電線はやや細めで、メーター関係の配線に使用する。
となりの写真は、焦る気持ちを抑えきれず、フロントパネルとプレートVCとロードVCを仮留めしてみたところ。プレートVCのみフロントパネルから3本の4mm皿ビスで締め付け、後部の1.5mm厚アルミ板に固定している。右の写真は、プレートVC取り付け穴を空けるために急遽製作したJig。丁度アルミのパンチ板の穴位置がぴったりだった。パンチ板が無い時は、透明のアクリル板を当て穴の位置を決めると良い。


Feb 15. 2002


プレートRFCを並べてみた。左から三協のHFL-5(3.5〜28MHz/0.5A)、自作110μH、三協14〜50MHz(電流不明)、自作50MHz。RFCは真空管にDCを給電しながら、RF成分は遮断するのが目的である。負荷される回路のインピーダンスの大小に応じ、インダクタンスも増減する必要がある。5T31は電極間の距離があり、高電圧小電流型の球である。よってプレート負荷抵抗はかなり高くなるため、ローバンドではそれなりのインダクタンスを確保しなければならない。2.5KVで600mAも流せるGU-74Bなどとは根本的に異なる作りである。データブックの動作例から推測すると、3.5KVでせいぜい300〜350mA程度なので、負荷抵抗は5KΩを越える値になる。左の2本のどれかを使うが、機構的な事も検討に入れる必要があり、まだ決めていない。ローバンドでのインダクタンス不足が予想されるが、その場合はフェライトバーに巻いた物の追加を考えている。左の三協のHFL-5が3.5〜28MHzと周波数を指定しているが、これは推奨管または負荷抵抗値がある筈だが、そこまでデータが無い。110μHでは3.5MHzで(2πfL=)2.4KΩしかなく、そのままではプレート負荷抵抗の半分以下の値となってしまう。さてどうするか。


Feb 16. 2002


プレートVCにカップリングコンデンサ(1000pF/5KV/HH-58)を取り付ける。プレートVCに20mmのLアングルを取り付け、このドアノブコンデンサを取り付けた。アングル側には皿を掘り、インチサイズの皿ビスで5mm厚の真鍮スペーサーを挿入して締め付けてある。RFCまでは真鍮のLアングル、更にプレートまではリン青銅板によるPS(パラスチックサプレッサ)でつなぐ予定。また忘れないうちに、接続のためのラグを取り付けておく。
中央の写真は、カップリングコンデンサを取り付けたプレートVCそれにロードVCをシャシ内にネジ留めしたところ。 右の写真は珍しく、右側から撮影したもの。PCケースの多くは、このように右側面は塞がれており、思うように手が入らないため、部品の取り付けには「段取り」が必要である。


Feb 17. 2002


バンドSWのバネ(コイルスプリング)を調整する(左)。FAL(ファインアンテナ研究所)から購入してあった、米GE製のタイトSWのバネ圧がやたらと強く、直径2cm程度のノブでは摘んだだけでは回せない。そこで、オリジナルのバネを伸ばしたりして調整を試みたが巧く行かないため、国産の別のSWの物と交換した。これで何とか摘んで回せるようになった。このスイッチは、ショートバー方式ではないが、接点容量や接点間隔は十分で、目的を果たせるものと思う。但しシャフトの直径が1/4インチなので、国産の6mmに合わせるためには、軸受け内径を広げたカップリングが必要である。
5T31ソケット底に敷くゴムワッシャー(2mm厚)を取り付けた(右)。絶縁用のエポキシ基板上にソニーボンドで貼り付けた。接着しなくても事は足りるのであるが、球の交換時(ソケットと一体に外す)、複数のビスが貫通するので、このワッシャーの位置併せにイライラする事が無くなる。


バンドSWをLアングルで取り付けた。タンクコイル(トヨムラエアダックス502042予定)の大きさも考慮して位置決めしたが、スペースとしてはぎりぎりである。
マルチメーターSWの配線も行った。このように実装する前に配線をやると、作業も楽だし綺麗に仕上がる。写真の白チューブを被せたのはIgメーターシャント抵抗、裸の抵抗はグリッドバイアス電圧計の倍率器。メーターはRFをもろに被るため、アルミのパンチ板で簡単なシールドを施した・・・気休めかも知れないが。
プレートRFCを取り付け、カップリングコンデンサ間を真鍮のLアングルで固定した。色々検討した結果、このような位置に取り付けた。ボトム側は底に1.6mm厚のゴムワッシャーを挟み4mmのビスで締め付けた。RF経路は自然に流れるし、DC給電は手前側から行うが、課題はバイパスコンデンサーのアース回路。このままRFCの根本では余りにも経路が長い。もう一本RFCを用意しフィードスルーコンデンサまで引き込むのも手か・・・色々思いが巡る。


早る気持ちを抑えきれず、プレートに電流を流してみた。プレートRFCの前後(プレート側と電源側)を電線で結び、送信状態にした。写真では分かり難いが、プレートがほんのりと赤くなっている。この時、プレート電圧約4000V、プレート電流約50mA、グリッドバイアス電圧約-95Vであった。ちなみに、50W/CWでドライブすると確かにプレート電流が増加し200mA近くになる。28MHzバンドまで確かめたが、一通り振れているので一安心。無負荷であり、無理は出来ないので早々に切り上げた。しかし、それにしてもμが低そう・・・オーディアンプで良く使った6080のμ=2に比べたら遥かにまともだけど・・・ひょっとしたら、入力のステップアップ比を上げないといけないかも知れない。
ところが問題発覚。グリッドのバイパスコンデンサ2個のうちの1個が、パッチンと音を立てて割れてしまった。あたりは黒化してカーボンが付着、そのままグリッドバイアスに負荷されてしまい、Ipメーターが振り切れ、電源トランスが唸ってACヒューズが飛んでしまった。内心やっぱりか!だった・・・あのコンデンサは、適当な物が無かったので、仮に0.01μF/500Vのセラミックを2個並列に入れておいた。実験的に0.04μ/3KVのスタンド型マイカを入れ、機能を回復させた。上の写真でプレートRFCに隙間があるのは、そのときの過電流でエナメル線が膨張してしまった結果。
右のグラフは、グリッドバイアスEgを可変できる範囲で動かしてみて、プレート電流Ipの変化を測定してみた。Ep=4KVでスタートしたが、150V程度の電圧降下がある。この状態でgm=僮p/僞gを見ると約2mモー程度である。こりゃ随分と低い数字だ。4mモーはあると思っていたのに半分とは、ひょっとしたらエミ減?・・・先は長くなりそうだ。


Feb 18. 2002


昨日NGになった部分を観察する。左は過電流でエナメル線が延びてしまい、ソレノイドの形が崩れたRFC。しかしプレート側にしかこの現象が無いから、これは単純な直流によるものではなく、RFが乗った事も考えられる。負荷はカップリングコンデンサ経由でプレートVC(容量は約80pFの角度だった)のみだった。
右は割れてしまったセラミックコンデンサー(TAIYO製)。買った店には0.01μ/500Vとあった(確か)。同じ物をパラレルにしておいたのに、片方は黒焦げなのにもう片方は全く異常が無い。電力用の物に交換する予定だったが、適当な物が手元に無かったので、気休めに2個パラにして取り付けておいた物だった。
この様な現象を目の当りにすると、RFって本当に奥が深いし面白いなぁと思う・・・電子・物理のノウハウ習得に最適だと言えないだろうか。


Ipを50mA程度流し、約4時間の連続運転を行った。この作業の目的は、電源や各部の温度上昇、それにファン動作の確認である。高電圧小電流の球らしく、50mAでプレートが赤くなってくる、たかだか200W程度なのに。Hi-μの球しか知らない方にはちょっと手ごわい相手かも知れない。
写真は、ダンボール紙で左サイドを被い隙間を塞いで実験中の5T31アンプ。プレートはほんのりと赤くなっているが、排出空気温度の上昇はそんなに大きくない。


秋葉原に立ち寄り、不足と思われる部品を購入。殆ど思いつきなので、まだ忘れ物があると思う。左から・・・もう完売かと思ったRFC(三協)、2200pF/1KVのJRC製マイカコンデンサ(ラジオデパート1F桜屋電機)、メーターSW用ノブ(ラジオデパート2F鈴蘭堂)、シャフトカップリング(西川電子)、真鍮シャフト延長(鈴蘭堂)、6mm真鍮棒・4mmΦ銅パイプ(西川電子)、1.6/2mmΦスズメッキ線(ラジオデパート2F鈴喜デンキ)。真鍮シャフトはバンドSWのシャフト延長に、銅パイプはハイバンドのタンクコイル、マイカコンデンサはグリッドのRF接地に、スズメッキ線はタンク回路の配線やパラスチックサプレッサのコイルに使う予定。


Feb 19. 2002


予備球の5T31の動作確認をして戻そうとしたところ、グリッドキャップとグリッドロッドの間が緩み(ネジ締め)、ヒートシンクにキャップがくっついたまま外れてしまった。隙間が全く無く、簡単に外れない。無闇に突っつくとキズを付けてしまい、余計外せなくなる。そこで登場したのが木槌。写真で見えるヒートシンクの周辺を叩くと、見事にキャップが浮き上がり顔を出してくれた。一時は「トホホ」ものだった。
中央はコイルを取り付け3.5MHz用でアンプの動作を確認しているところ。コイルはトヨムラのエアダックスコイル502042を32Tで使用した。この状態での電力利得は約2倍で、100Wでドライブして200Wを出力する。プレート入力は4KVx100mA=400Wだから、プレート効率は約50%。何と言う利得の低さだろうと驚かれる方も多いだろう・・・だから言ったじゃないのと、あるOM氏の顔が浮かんだりする。要はドライブ不足!。今まで最大値に主眼をおいていたので、大分計算が狂ってしまった。非同調でやるには入力トランスのステップアップ比を2〜3倍にとる必要がある。或いは狭帯域の同調&タップダウン方式にするか・・・でもバンドSW接点は無いし、取り敢えずトランス方式でもう一度トライしてみよう。この場合、トランス出力側のインピーダンスが上がるので、広帯域と低SWRがよりトレードオフになってくる。とにかく実効値で100Vものスイングレベルが必要なのであるから。
右は、フロントパネルに化粧パネルを合わせ、PCケースのフロントカバーを取り付けたところ。ノブはフロントカバーと同じ白色系を取り付けてみたが、黒のノブに比べてカバーとの馴染みが良い。黒のレタリングを施せば、更に雰囲気が出てくるはずだ。これは一体PCなのかアンプなのか?・・・中々のルックスだと思いませんかぁ?。SOTECの社長さんも驚いているかも知れない。


Feb 20. 2002


プレートヒートシンク(キャップ)とPS(パラスチックサプレッサ)付近の接続。とにかくケースの高さが低く、プレートとフレーム間のクリアランスを稼ぐために、プレートヒートシンク上部への配線は控えた。ビス山の分だけフレーム間が狭くなるからである。このため、ヒートシンクの締め付けビスから90度回った位置に3mmのタップを切り、こことプレートRFCの頂上にラグ端子を取り付けたPSを接続した。低背型のヒートシンクが手に入らないための苦渋の策であったが、やってみたら中々決まっている。PSは50Ω/5Wの不燃抵抗器の上に、1.6mmスズメッキ線を5T巻いてある。


Feb 21. 2002


Ep=4KV,Ip=50mA(Bias)で8時間連続運転するが動作正常。左は、ほんのりと赤色に焼けたプレートのアップ。右は、5T31のソケット周辺。取り付けは底から4mmのビスを貫通させ、化粧ナットで手締めしている。その間、絶縁用のエポキシ基板と保護用のゴムワッシャー(前述)を貫通している。5T31を交換する時は、(プレートとグリッド回路及び)ナットを外しソケットと一緒に取り外すが、フィラメントの配線は外す必要は無い。
参考:これらアンバー色の写真は、カメラの色温度設定を「デイライト(太陽光)」にして、ストロボを使わないで撮影している。良く見せる場合と、このように情緒的な場合とで明かりの当て方を考慮している。


Feb 22. 2002


朝まで約8時間(受信状態)の通電実施・・・異常なし。昨日レタリングに使うワープロ粘着フィルムを購入。今まではコクヨの物を使っていたが、切れてしまったので東急ハンズに行って来た。コクヨを探したが無かったので、PLUSの「メンディング{ツヤ消し)」を2袋買った。それぞれA4サイズの物が10枚入っている。プリンターは熱転写式、ワイヤードット式、レーザー式に対応する。当局は熱転写式ワープロ(リボン式)からプリントアウトしている。爪で擦った程度では剥がれない。このやり方で、オリジナルなレタリングに挑戦している。
右は、粘着フィルムにプリントアウトする前に、紙にプリントアウトし化粧パネルにレイアウトしたところ。全体のバランスやチューニングノブとの大きさも程よい。ボールドライブには赤色の指針を取り付ける予定。


新たに、入力トランス・整合回路を実験するための部品を購入。左上から#43材トロイダルコア(ラジオデパート2F斎藤電気)、Takasuユニバーサル基板(ラジオデパート1Fマルカ電機)、左下から13pFディップマイカ・2.7KΩ/5W不燃抵抗(ラジオデパート2F海神無線)、0.0022μF/1KVマイカ(ラジオデパート1F桜屋電機)。トランスの巻数比を1:3とした時のインピーダンス比はその2乗で、1:9となる。よって50Ωラインが9倍の450Ωに変換される。450ΩでHFのπ型LPFを構成したときに、SVCFilerがはじき出した数字が13pF。ちなみにLは約3μH。


Feb 23. 2002


左は、ワープロ粘着フィルムにプリントアウトしたシートを、化粧パネルに張り付けたところ。ホコリりやチリが紛れ込まないように、化粧パネルやカッター、それに手は綺麗にして作業する。気泡が出来ないように角から貼り付けていく。ここは全くの手作業なので、慎重に納得できるまで作業する。シートは半透明で透けてしまうため化粧パネルに鉛筆等による罫書きが出来ない・・・合せは目視でやる事になる。線や文字の水平感や垂直感、センターリングを確認しながら慎重に行う。穴の部分は貼り付けた後カッターでくり貫く。
右は、化粧パネルをフロントパネルに合わせたところ。ボールドライブの指針(赤色)とノブそれにパイロットランプ(LED)が付けば、フロントパネルは完成である。
バンドSW表示は「MHz」にするか「m」にするか迷ったが、デザイン上のスペースを考慮し「m」表示とした。メーターSWの表示はひとつづつ5枚貼り付けている。まぁまぁの出来具合か・・・年をとったせいか、細かな作業をすると手が震えてくる。


赤色のプラ板が無かったので、今まで好んで使ってきた青緑色のプラ板で指針を作って取り付けた。2mmの皿ビスで留めるので、ボールドライブ側に皿を彫ってある。またノブは背の低い物を使ったので、シャフトが長すぎるため約3mm切断した。
パイロットランプ(電源・スタンバイ)も取り付けと配線を済ませ、フロントパネルの作業はほぼ完了した。「ほぼ」としたのは、チューニング位置が決まったらバンド名を追加レタリングするから。なお、温度スイッチ(坂口電熱製)が電源トランス付近だと温度上昇が顕著でないため、5T31側面に移した。
右の写真2枚は、電源を投入し送信状態にしたところで、パイロットランプが点灯している。自然光で撮影したが、ルックスも中々良好である・・・自己満足!。さあ、これでRF回路に専念できる。
電源パイロットランプは+12Vで光らせている。スタンバイパイロットランプは、スタンバイ用バイアス抵抗(30KΩ/10W)を短絡するスタンバイリレーの接点と兼用し、ダイオード経由でOR(30KΩの短絡接地)をとっている。これは苦肉の策で、スタンバイリレーのコイルに抱かせればOKなのだが、リレーが背面のボックス内にあるため、新たに配線を考えなくてはいけないから。よくよく実物を見たら、バイアス抵抗は送信時にグランドに落とすだけなので、ここでダイオードORできる事に気付いた。
なお、バンドSWのノブを一回り大型の物に変更した。バンドSWは、スプリングを変更して回転トルクを減らしたのだが、未だちょっと力が要るために思い切って変更した。レタリングもこのノブに合わせている。


Feb 24. 2002


トリファイラで巻き数比1:3(Z比1:9)のトランスで実験。斎藤電気から買ってきた#43材トロイダルコア(アミドン製)にKyowaの耐熱電線を7Tトリファイラで巻く。出力側を450Ω(2.7KΩ/5W_6本パラ接続)で終端し、5T31のF-G間をドライブしてみた。3.5MHzでは低SWRだったため、直に接続している。明らかに利得が上がり、50Wドライブで200W近くを出力するようになった。しかし何か変!。それ以上がリニアに伸びない・・・Igが流れ出しエキサイターから見た負荷が重めになっているのか、或いはトランスが飽和しているのか?・・・コリャ毎日が楽しい!。
ここで試しにグリッドドライブに変更してみた。フィラメント端子を0.0022μFマイカでグランドに落し、グリッドをグランドに落としていたコンデンサを外し、450Ω終端抵抗から0.0022μF経由でドライブした。この状態で100Wでドライブ(入力SWR=1.5)すると、約400W(Ep=3.7KV、Ip=220mA、Ig=15mA)の出力を得る事が出来るが、3.5MHzなのにプレート効率が50%を割っておりちょっと可笑しい。ただ、フィラメントドライブ時出力はそこまで延びなかった・・・て事は無理してフィラメントを浮かせてフィラメントドライブするよりは、グリッドドライブの方が手っ取り早いか・・・。いずれにしてもこの球は、ある程度Igを流さないとIpが流れてくれない、やや複雑な心境である。μが低いからそんなに影響は無いのかもしれないが。そろそろIMDの測定準備もする必要がありそうだ。
写真は製作した1:3(450Ω)トランスと不燃抵抗によるダミー基板。ダミーは30Wしか容量がないのに、実験と言って100W(CW)を放り込んだが、さすがに不燃抵抗、臭いはしたが塗料は焦げなかった。グリッドドライブなら1:4(800Ω)でやれば、もっと楽にドライブできるだろう。また逆相の巻き線を設ければ、5T31の中和回路に使う事が出来る。・・・動揺を隠せない。


Feb 25. 2002


入力トランスを巻き数比1:4(50Ω:800Ω)にしてグリッドドライブの実験。終端抵抗に適当な物が無いため、昨日実験した450Ωの物を半分にして900Ωとした。エキサイター(IC-756)のANTチューナーで整合ずれを補償した。その結果50Wドライブで約500W出力を得る事が出来た。この時Ep=3.4KV、Ip=310mA、Ig=24mAだった。ちなみに100Wドライブで約700W出力が得られ、その時Ep=3.35KV、IP=360mA、Ig=31mAとなったが、直線性は崩れている。

グリッド回路は比較的低抵抗で終端されているため、5T31の動作は極めて安定である。試しにグリッドのカップリングをオープンにすると、μが低いと言っても流石に自己発振気味になる。
この動作時のIMD、そしてハイバンドでの動作維持が次なる課題となる・・・でもグリッド接地には未練が残る。低μ管のフィラメント(カソード)ドライブ→Igを流す程のドライブレベル必要→プレート電圧を上げる→Igはそんなに変わらない→グリッドドライブに変更→とりあえずパワーは出た・・・以上今日までのまとめ。
写真左は巻き線を追加して1:4とした入力トランス。右はアンプの上に置いたパワー計(DAIWA CN-101L)で、50Wでドライブした時のもので丁度500Wを示している。
Feb 26. 2002


無入力送信状態で9時間連続通電・・・異常なし。
オフディレイ用温度スイッチの取り付け位置を示す。左はPCフレームの横板の外側に取り付けた様子。素子は坂口電熱のバイメタルスイッチで、45℃以上がオンになる。右はそのアップ。取り付け位置は球を発熱させ、一番温度が上がる場所を手で触れて探した。電源オン時は、電源スイッチによりファンに電源が供給されるが、オフ後はこの温度スイッチによりファンのオン・オフが決まる。ガラス球なので、温度が下がるまでの時間は比較的短い。
素子の交換も予想されるので、取付金具(素子に付属)の2個の穴のひとつはブラインドリベット、もうひとつは3mmのビスをタップを立てて使用している


Feb 27. 2002
どうも効率が悪く、プレート損失も大きいと思い調査すると、中和がずれている 。中和をとっていないから当然だが、500Wで最大出力にチューニングした時のIpが300mAだとすると、Ipのディップ点は更にVCを入れる方向にあり、そこは220mAで出力は300Wに落ちる。明らかに中和が必要である。


現状でのIMDを測ってみた。測定方法はTest&Dataコーナーに掲載の様に、PC-FFTアナライザと自作ダイレクトコンバージョンRxを使用した。局部発振器はPC-VFOjrであるが、約4.5KHzオフセットを付けて表示している。エキサイターはIC-756で3.55MHz(USB)で測定した。サンプラーで取り出した被測定信号で受信機の入力段を歪ませないように、ATTで必要最小限のレベルに落とす(写真左)。実際に表示させるまでは如何程のものかと気をもんでいたが、IMDは500W(PEP)ラインより-35dB付近まで落ちている。Igが10mA以上も流れているのに、何とも不思議な球である。FFTアナライザは色々拾い上げているが、一番下方は電源Humとその高調波だが何処で混入しているかは?。上の方はRxのAFアンプの問題だと思う。最大の特徴は、5次歪み以降の、高次になっても歪みが余り変わらない(落ちてこない)事。まぁ何とかこれでSSBに使えそうで一安心だ。


Feb 28. 2002


電源トランスのタップを1500Vから1200Vに落とし入出力特性をとってみた。Epは約3KV、ドライブ電力は50Wで行った。


フロントカバーの小窓にあるSW群にレタリングを施したところ。ちょっと賑やか過ぎるので、1直線にまとめて作り直す予定。


Mar 1. 2002


レタリングに使っている「ワープロ粘着シート」にプリントアウトしたキャラクター。カッターで切り出して貼り付ける。バンドSWやメーターSWのような回転するものは、幾度か紙にプリントアウトして位置関係を確かめてから正式にプリントアウトする。レタリングは装置の顔の一部分、納得の行くまで検討してから作業を行いたい。写真は文豪ミニ7RXで、Kokuyoのワープロリボン(R2RC-TW-3) を使いプリントアウトしたもの。部品ナンバーやパーソナルロゴを入れると格好良さが一層増す。お試しください。


Mar 2. 2002


入力トランスを変更。連続でRFドライブした時に発熱を感じていたため、#43材のままコアサイズを大きくした。これにより、コアでのロス分が軽減され、トータルのゲインが上昇した。25Wのドライブで400Wを出力する。ここでも駆動方法はフィラメント接地のグリッドドライブ(中和無しで効率悪し、整合はエキサイターIC-756のATUに依存)である。写真は新旧トランスの比較。巻き数は変わらず7Tのテトラファイラ。コアはフィラメントチョークに使用している物と同じもの。


中和回路の実験を行う。入力トランスに1系統コイルを追加し、ペンタファイラにする。これをグランド点に対して逆相になるように接続し、プレートのカップリングコンデンサの出力側(DCカット側)から中和コンデンサで帰還させる。以上、極めて簡単な回路だが、扱う電圧が高いので中和コンデンサは6KV耐圧のセラミックを使用した。手持ち部品の関係で、最初は5pFでスタートしたが余り変化が無い。続いてパラって10pFとしたら、プレートVCでIpのディップ点とパワー最大点がちょっと近づいたが、まだまだ不十分。最後に22pFを冗談半分(ダメ元)で取り付けたらこれが見事的中、Ipのディップ点とパワーの最大点が一致した。実験ではあるが、中和成立である。
表はその状態での動作状況。40Wドライブで500Wを出力し、プレート損失は規格最大の450Wとなったが、効率の53%はチト低い・・・利得は10倍以上ありまずまず。あくまで3.5MHzでの値なのでハイバンドでどうなるかは???。また中和回路に入力トランスに巻いたL(インダクタンス)分が含まれるの、これも要注意である。


僅かではあるが、中和により負帰還がかかっているのでIMDが改善されているだろうと思い測定したのがこのグラフ。低域のHumは測定系のオーディオ段で混入しているものなので無視して見ると、-40dB以下に落ちている。てことは中和による負帰還により改善されたものなのか?。・・・楽しみは中々終わらない。


Mar 3. 2002
タンクコイルのタップ出しを行うが、ハイバンドで自己発振発生。中和回路がハイバンドの同調周波数に影響するため、再びグリッド接地フィラメントドライブにした。3.5〜14MHzまでは順調だった。18〜21MHzは専用コイルとするために、ローバンドのコイルを撤去し単独でテストを行った。ところが自己発振&寄生発振が発生。PS(パラスチックサプレッサ)の抵抗は閃光を放ち、グリッドバイアス電源のツェナーダイオードは短絡、バイアスが無くなり保護リレーがオフになるまで(瞬間)Ipは暴走。自己発振により多量のIgがバイアス電源に流れ込みツェナーダイオードをNGにしたようだ。その結果バイアス電源内部の抵抗も火を吹いて炭化してしまった。ツェナーダイオード無しで何とか復旧させ電源を入れるが、バイアスを流していくと突然発振、またRFを入れると発振する現象が残ってしまった。おまけに、グリッドを接地しているマイカコンデンサが破裂しモールド部分が飛び散った。ローバンドコイルに戻しても現象は同じであった。今朝までの安定感が何処かへ行ってしまった。今日は時間切れ明日以降の課題とする。


写真左上は以前からあった(スタンバイ中で送信中ではない!)、パーン音時にソレノイドが縮んでしまったプレートRFC。この部品に影響があることは、更に下流のプレート側で放電したものと考えているが、その跡は何処にも無い・・・一番隙間の狭いプレートヒートシンクと天板の間とは想像しているが。それにしても一瞬にして線材をこのようにしてしまう電気の物理現象に驚きを隠せないでいる。
右下は自己発振・寄生発振で過電流が流れモールドパッケージが破裂したマイカコンデンサ(0.0022μF/1KV)。グリッドを接地していたもの。これも音を立てて飛び散った。マイカコンデンサはセラミックコンデンサ等に比べ電流容量が大きいが、一体どれ位の電流が流れたのだろうか。
その左はバイアス電源基板に乗っていた2.4KΩのソリッド(モールド)抵抗で、内側から閃光を放って炭化してしまい短絡状態となった。この抵抗はツェナーで安定化したあと、バイアス調整VRへシリーズに接続されていたもの。VRはマイナス側に回し切った位置だったので、グリッド側からの電力がこの抵抗を介してツェナーに流れ込んだものと推測。


Mar 4. 2002


昨日の調整段階でのトラブルの検証。3.5〜14MHzでタンクコイルのタップ出しを済ませ、次に実験的に巻いた18〜21MHzのコイル(2mmスズメッキ線12T/25Φ)に取替えテストを行った。写真のコイルはその時のもので、何の変哲も無い。計算値で予めインダクタンスを求めておくが、実装して実際に動作させ、最高の効率になる位置に調整しなおす。その段階でRF入力を上げていった時昨日の現象に至った。負荷抵抗は約6KΩと高いため、かなりハイL回路になる。
写真のダイオードは30V/1Wのツェナーダイオード(東芝IZ30A)を4本直列にしたものだが、よく見るとハンダ接合部が溶け出している。回路はグリッドチョークのコールド側をRFバイパスしたあと2.4KΩを経由してツェナーに接続されていた。電圧調整VR(5KΩ)が10KΩ(保護リレーコイル巻き線)と直列になっていたが、VRは一番マイナス側にあったので、単純に15KΩが負荷されていたことになる。バイアス電源側のインピーダンスははそんなに低くない。ドライブが増大すると負方向のドライブ電力が行き場を失い直流的に電源側に逆流してきたのだろうか・・・確かにグリッドバイアス電圧がドライブ入力で振られていたことは事実だ。グリッドRFCとバイアス電源との間に直列に抵抗を挿入してみようかと思う。


Mar 5. 2002


背面のリレーボックスと入出力コネクタを接続する。同軸ケーブル5D2Wに、ノーブルのL型Nコネクタ(NMC S-L043)を取り付けた。L型のため突起が少なくスマートにまとめる事が出来る。入力側は電力が少ないので3D2V等でもOK。HFではN型コネクタまで使う必要はないが、何時もの週間でついついN型を使ってしまう。


Mar 6. 2002


背面パネルのレタリングを行う。ワープロ粘着フィルムにプリントアウトした文字類をコネクタや端子の近傍で程よき位置に貼り付ける。ACヒューズは20Aと表示した。益々雰囲気が出てくる。自前のロゴには早くも「Mar 2002」と書いてある。


Mar 7. 2002


ようやく復元完了。3月3日に発生した発振によるトラブルでNGになっていたツェナーダイオードを新品に交換した。またグリッド回路は直流的にみるとRFCがダイレクトにバイアス電源に接続されているため、若干の制限をかけるために直列に抵抗をいれてみた。12KΩ/3KΩ等を入れてみたが、Igに制限がかかるためドライブレベルが変わる。負側のスイング電圧(電力)はグリッドで整流されたような形でバイアス電源側に逆流するため、程ほどの抵抗を挿入したほうが無難だ。もっともドライブレベルを上げなければ問題は無いのだが、それでは出力が伸びない。何しろ実効値で-100V以上スイングしているから、並みの電力ではない。今回のトラブルはもろにツェナーダイオードが負荷となったためと考えられ、少しでも負担を軽減し、かつ出力も伸びるあたりに設定する予定。
写真はグリッド及びフィラメントの貫通端子近傍。茶赤橙のカラーコード・ソリッド抵抗が、実験的にグリッドバイアス回路に挿入した12KΩ。これによりバイアス電源への流れ込みは軽減されるが、12KΩではドライブレベルが低過ぎた。1KΩ以下が実用的な値と思われる。


Mar 8. 2002
入力ドライブのマイナス方向のスイングは、途中から管をカットオフにするが、更にマイナス方向にスイングレベルが上がるとバイアス電源に重畳され自己的にバイアスを深くしてしまう。バイアス電源のインピーダンスが低ければこのような事は生じないと思うが、電源が外部からの流入で負荷になるのは気持ちの良いものではない。そこで、実験的にグリッドRFCのバイアス電源側に105Vの大型ツェナーダイオードを入れてみた。余計な部分(マイナススイング分)をシャントしてしまおうとする発想である。またプラススイング側と同等な負荷になるようにすれば、エキサイターから見た終端状態を安定にする意味もある。RFCから1KΩの抵抗を経由してバイアス電源に接続し、抵抗の電源側とグランド間に入れてみた。50W程でドライブするとEg表示が-150Vを越えたりしていたのが、90-100v程度に落ち着いた。また、利得が一気に上がり15倍近くになった・・・こりゃ凄い!。念のためIMDを測ってみたのが下のグラフだが、概ね良好である
ものの本にはこうした現象の記述が見当たらない。アマチュアの場合は、陰極接地グリッドドライブでIgをジャンジャン流すなんて使い方は余り無かったものと思う。Igを流す事が罪悪だとする考え方がどの球についてもあった。しかしこの球はそうした考え方が通用しない球である。最初はIgを流さない事を前提で入力回路を考えていたが、Igを流さないと使えない球だと言う事がようやく分かり出した。左は、実験に使った低電圧放電管VR-105相当のツェナーダイオードIS1542だが、現在は生産が完了している。


参考までにツェナーダイオードに流れ込んでいる電流は、無入力で0mA、40Wドライブで20mAであるから、約2Wの損失である。出力は500Wであるが、この時の入力トランスはペンタファイラで、RFはZ比1:16、中和用に1コイル使用している。なお1KΩを短絡するとツェナーダイオードは37mA程度に上昇し、出力は40Wドライブで620Wまで伸びる。この時Epは3KVで、トランスは低い方のタップを使った。


その後1S1542を取り付けた。取り付け位置は写真のようにフロントカバーを外したフレーム。ツェナーダイオードであるが、ここでの目的はマイナス方向の飛び出しを吸収するのがその役目。また、前述した抵抗については、この時点で省略している(検討課題)。


Mar 9. 2002


出力タンクコイルを正式に製作する。コイルは実験からの物で、トヨムラのエアダックスコイル#502042を使っている。2001年のハムフェアで購入したモノだが、既に生産中止になっている。3.5MHzコイルは約17μHで巻き数30T。元々目一杯で32Tなので、リード用に解せばこの程度になってしまう。これを写真のように3mmのアクリル板と黒ベーク製スペーサーで固定し、天板に逆さ吊りに取り付けてある。
3.5MHzでの実験データを元に各バンドでインダクタンスと巻き数を求める。プレート不可抵抗は4K〜4.5KΩ程度にしている。右は実装してタップを出しをして配線した様子。机上ではじき出した数字と異なって来るので、最後はカットアンドトライになる。配線はコイルと同じ2mmΦのスズメッキ線で行った。タップの取り出しには、コイルとリードを銅板で巻き込んだところにハンダを流して行う。最終的に各VCの抜け具合がバンド順に綺麗に並ぶようにする。ローバンドでは周波数が倍ならVC容量は1/2に減っていく。ハイバンドではストレー容量が効いてくるのでこの限りではない。また、ハイバンドでは1/4ターンの変化で随分とVC位置が変わってくるので、なるべき良き位置に持って行きたい。


タップ位置の決定は、プレート〜グランド間に4〜4.5KΩ程度のダミー対抗を抱かせ、アンテナ端子にSWRアナライザを接続し、各バンドで共振点を確認しながら行う。写真は3.5MHzを確認中のもの。後で気がついたのだが、中和回路を取り付けずにやったので、ハイフレでは共振点がずれてくるものと思われる。コイルは実験段階では立てていたが、ここでは横に寝かせる事にした。このためメーターやメーターSWのメンテナンスが面倒になってしまったが止むを得ない。
右のスプレー缶はCRCの2-26(左)とLECTRA M. CLEAN(右)。2-26はブラスチックを含んだ電子部品のメンテナンスに便利。これは長野五輪のときCBSのOBスタッフが残していったものを頂戴した。LECTRA・・・はハンダ上げした後のフラックスや、表面が汚れた金属部品の洗浄に有効で好んで使っている。ハンダ面が見違える程にピカピカになる。元々自動車部品の洗浄用で、カー用品店で取り扱っている。今回は、タップの取り出し部のハンダ面とバンドSWのハンダ面を洗浄している。
最終的にはこの位置に来ないかも知れないが、VCノブ周辺にバンド表示を貼り付けた。調整段階においてチューニングの目安となるので無駄になる事は無い。今回はMHz表示ではなくm表示としている。負荷抵抗が高いためπ回路定数がローCになるため、プレートVCの抜けた方向にバンドが集中してしまう。


Mar 10. 2002
フィラメント接地グリッドドライブでは中和回路が不可欠である。ところが、中和回路の帰還容量が出力タンク回路の共振周波数を下げてしまう。思った通りだった。10MHz辺りまでは何とかなるが、14MHz以上では同調点が見つからなくなる。22pFと大容量だから当然と言えば当然。それから、やはりバンド毎にニュートラル点が変わるので、このやり方はマルチバンドアンプ向きでないと判断。あっさりとグリッド接地フィラメントドライブ(GG)に方向転換する。
ところが再び問題発覚。5T31周辺をグリッド接地(RFバイパス)環境に変更し3.5MHzで送信テストをする。無入力なら問題ないが、一度RFドライブした瞬間にIp⇒振切れ、Ig⇒振切れ、AC15Aヒューズ⇒断の現象が発生。7MHzでも同様。メーターが一つしかないので、この現象を確認するために何本かの15Aヒューズを飛ばさざるを得なかった。それで、回路をフィラメント接地グリッドドライブに戻すと問題は解決する。一体これは何なんだ?!。
Igが振切れているから発振である事は間違いない。スペアナでスキャンしようと思っても一瞬の出来事で中々拾い上げられないが、TV画面への被りやPCのリセット、それにPCスピーカー(アンプ内臓)にバズ音等が発生する。RF入力がトリガーとなり、自己発振又は寄生発振を誘発している模様である。
PS(パラスチックサプレッサ)のLを半ターンのリードに変えてみたが変化は無い。ところがその作業中にPSの抵抗器(50Ω/5W不燃抵抗)が折れ、オープン状態を発見・・・これだ!。そう言えば先日閃光を放った時に同じような現象になった。その後フィラメント接地に変更していたから問題が発覚しなかったようだ。抵抗を交換(51Ω/5W酸化金属皮膜抵抗)してテストすると見事OKであった。現状で18-21MHzでチューニングをとると抵抗が発熱し塗料が焼けてくる。この部分はPSコイルの巻き数を減らす方向で検討したい。
しかし最大のメリットは、プレートVCの同調位置は正常な位置に戻り、グリッド接地フィラメントドライブで中和回路も不用になった事である。


入力トランスを巻き数比2:6(1:3)で、3.5MHz/100Wドライブ時、入力SWR=1.4で出力約700W(Ep=3.5KV/Ip=300mA/Eg=-100V/効率=67%)が得られる。また7/10MHzはエキサイターのATUに依存するがほぼ同じデータが得られ、14MHzは約560W出力(PS抵抗発熱あり)、18-21MHzはPS抵抗の発熱が大きいため調整中である。課題は入力整合とPS対策・・・この二つに絞られてきた。前者はトランスの出力側が450Ωなので、ここにLPF(25MHz程度)を入れてインピーダンスを安定化させてみる予定。後者は、初めての長身の球で内部インダクタンスが如何程のものか掴みきれないでいたが、PSのコイル調整で逃げる予定。 表の14MHz以上のハイバンドは、PSを作り直してから測定したもの。完全ではないが随分と改善されてきた。益々面白くなるぞ。


余りお目にかかれないトラブルの紹介。何も自慢できる事ではないが、事実として記述しておく事にする。実はプレートRFCのインダクタンス不足を見込んで写真のようにフェライトバーにECを巻いたコイルを補助RFCとして、メインRFC(上部)にシリーズに入れていた。それで、実験の結果ローバンドでも不要と分かり電源線の接続をメインRFCにつないだ。このとき補助RFCは取り外さずそのままだった。補助RFCの電源側の固定には、20mm長の黒ベークサポートで行っていた。14MHzで500WのCWキーイングを10分ほど続けたところでBomb!。5T31ソケットの周辺に、粉々に飛び散った破片が右の写真。補助RFCにはスペーサーに埋め込まれていたネジ部分だけが残っている。補助RFCとスペーサーのC成分に共振電流が流れ、スペーサーが耐え切れなくなって破裂したものと推測する。我々は誘導現象には敏感だが、誘電による物理現象にも少し敏感になった方が良いだろう。直流的に余裕があっても、高周波による誘電の世界は全く異なると言う事例である。
また、左の写真奥にはPSが写っている。この中の50Ω不燃抵抗が破断して折れている。不恰好に取り付けてあるのが、実験のために急遽用意した金属皮膜抵抗51Ωであるが、既に塗料が焼け焦げている。
続いて寄生発振について考察してみる。この5T31はプレートとフィラメントをループで結ぶとかなりのインダクタンスを示す。PSの抵抗がオープンになれば相当なインダクタンスるはず。球の電極間容量がこのインダクタンスにぶら下がるから、回路はコルピッツ発振回路になる。即ちCpk容量及びCpg&Cpkの直列容量の合成容量が、インダクタンスに並列につながり格好の発振回路を構成してしまう。Cpg/Cpkの比率は発振条件を満たす帰還量を決定する。球がカットオフに近い状態なら一見発振はしないが、一度RFドライブでトリガーを与えるとたちまち発振が始まってしまう。プレート側の条件が同じなのに、GGとGKで様子が異なったのは、入力回路の装荷による帰還量の違いからと考えている。


前面パネルのスイッチ2個とVRのレタリングをやり直す。一枚の粘着フィルムのまとめてプリントアウトしたものを貼り付けた。以前よりずっとスマートになった。


Mar 11. 2002


これまで5T31の実験をしてきて判明した事を表にした。独断と偏見であるから皆様ご注意を!。・・・中和回路の煩雑さにより、マルチバンドかモノバンドかの選択がそのままGGかGKかの選択に連動すると言えそうだ。ゲインを稼ぎたい時はGKにするが、中和が必要になるのでマルチバンダーではチト工夫がいる。入力回路の非同調方式は(現在実験中)Igを流す事が前提の球であるため、ハイミューの4極管のように簡単ではない。GGのInputImpを300〜450Ωと記したのは、ステップアップトランスのタップ選択で一番低SWRだった巻き数比2:6(Z比1:9)からのデータ。とハイバンドでの2:5(Z比1:6.25)からのデータ。


発振対策の実験のために秋葉原を往復した。写真は購入した部品で、入力トランス用の#43材トロイダルコア(ラジオデパート3F斎藤電気)、抵抗・ディップマイカ(ラジオデパート2F海神無線)、USA製L型ラグ(ラジオデパート3Fサンエー)、黒ベークスペーサー(ラジオデパート1F桜屋電機)ハンダ吸い取り(ラジオデパート入り口工具屋さん)。


Mar 12. 2002
昨晩は良好だったのに・・・どうも様子が可笑しい。無入力の送信状態で放置しておいたら、電源ヒューズが飛んでいたのだ。原因を掴みきれないまま、ヒューズを交換してテストすると、どのバンドでも送信に写った瞬間から発振し、IpとIgメーターが振切れる。またトランスが唸り、管内が薄紫色になる・・・危ない危ない。 ヒューズが飛ぶ前にオペレートSWを切る段取りのよさで、無駄にヒューズを飛ばさなくて済んだが喜んではいられない。それで、色々と調べた結果を以下にまとめた。

@入力(フィラメント)をオープンにしても現象は変わらない。
A入力(フィラメント)をカップリングコンデンサ(0.0022μFマイカx1)で接地すると発振は止まる。
Bグリッドの接地コンデンサ(0.0022μFマイカx2)を外すと発振は止まる。
Cプレートタンク回路を切り離すと発振は止まる(タンク回路の設定値で状況変化)。
D発振するとPSの抵抗が焼け切れる。
E発振周波数はVHF帯以上で、TVに障害あり(スペクトラム参照)。
FEpは3KVでも3.5KVでも状況は変わらない。
G球を交換しても状況は変わらない。
Hグリッドを接地回路に抵抗(150Ω)を直列に入れるとローバンドでは発振は無くなるがハイバンドでは抵抗を焼き切るほどの発振を起こす。
Iグリッドバイアスを深くすると発振し難くなるが、高周波ドライブするとで発振を開始する。
Jグリッド接地コンデンサを300pF程度の減らすと動作が安定してくるが利得は落ちる。
KGKでは発振しない。
LRFドライブによって発振を誘発する場合もあったが、殆ど送信状態にしただけで発振する(寄生発振と言うより自己発振に近い)。
M発振すると、送信を解除しても発振が継続する場合が多い。

・・・およそ以上が調査結果である。一体何処が原因なのか考えてみる・・・プレート側の条件が同じなのに、AとJのようにフィラメントを高周波的に接地したGKでは発振しないと言うことは、フィラメントのインピーダンスがグランドに対して高すぎるのか?、或いは回路のQが高すぎるのか?。フィラメントチョークは#43材のフェライトコアに巻いたが、こいつが悪さをしているのか?。


ついに捕らえた寄生発振の周波数スペクトラム(左)。ヒューズが飛ぶため瞬間しか送信できない。送信制御をスペアナの近くに持って行き、送信とスペアナのシングルスイープを同時に行い、何度か繰り返すうちに撮影できた。出力タンク回路は7MHzに同調させてある。入力は巻き数比2:6(1:3)のトランスで非同調。送信に移った時のトリガーで発振状態に陥る。100MHz付近が基本波と思われ、整数倍に高調波がGHz帯まで並んでいる。60MHzにも固有の発振が確認できる。それにしてもこれは凄い。殆どTVI発生器である。
右は寄生発振で燃え尽き折れてしまったPS用不燃抵抗51Ω。


Mar 13. 2002


ハイバンドコイルの発熱について。ここで言うハイバンドとは18-21MHzを意味します。最初からハイバンドはオマケ程度にしか考えていなかったが、14MHzと比べると急に出力が低下しているのを見て欲が出てきた。コイルを見ると、温度上昇によりエアダックスコイルの支持アクリルが変形している。内心「やっぱりか・・・」で、これじゃあまずい!。実は4mmの銅パイプを用意してあるのだが、ついモノグサニなって何もしていなかった。ここでかなりのパワーが食われているようだ。コイルを銅パイプ製に変更する予定。但し18-21MHzにするか、14-21MHzにするかは14MHzの温度上昇を再調査して決定する。写真は18MHz/約500Wで10分程キーイングした状態。
もう一つトラブル発覚。昨日、意図的に発振させスペアナでスペクトラムを拾い上げている時に、どうやらメーターをやられてしまったらしい。メーターそのものは生きているのだが、保護ダイオードが短絡してメーターをシャントしているようで、振れが極小になってしまった。取り出して確認しないといけないが、タンクコイルを取り外さないとメーターに手が出せない・・・ハイバンドコイルの交換に併せて作業する事にする。


Mar 14. 2002


タンクコイルを取り外し、メーター保護ダイオードを交換した。タンクコイルやバンドSW等の部品を、不測の事態に備え交換できるように作っておくと、後処理が大変楽である。メーカー製品でも、部品交換を「どうやってやるの?」と考えてしまう物が結構あります。絶対にトラブルが無いとは言い切れないですから、アマチュアでも多少は考慮したいものです。写真左は取り外したタンクコイルのクローズアップ。これを外さないとメーターの背面にボックスドライバーが入らない。タンクコイルはハイバンド部分を切り取り、新たに4mmΦの銅パイプで作り直す予定。メーターは保護ダイオードが短絡して、見事にメーターを保護していた・・・ひとまずラッキィ!。写真右はダイオードを交換したメーターの裏側。メーターの丸穴の奥にプレートVCが見える。
また、メーターセレクトの1項目、RF(出力)表示用の引き出しをメーターSWから行った。


Mar 15. 2002


ハイバンド用タンクコイルを巻く。4mmΦの銅パイプを焼きなまして、25mmΦの鉄パイプに15T巻き込んだ。巻き終わったら鉄パイプを抜き一度焼入れを行う。両端にラグ端子をはんだ付けして完成。一方14MHz以下は今までのコイルから18-21MHz用を切断した。また、スペーサーはタイト製を使用した。実はこのスペーサー、今までは35mm高の黒ベークを使っていたが、プレート側は既に高周波による劣化が確認されていた・・・危ない危ない。
コイルが全体にパネルから遠のくのでバンドスイッチも後方に約18mmずらした。暫定的にタップ出ししてバンドスイッチに接続してみた。 ハイバンドコイルのインダクタンスが素材長(1mしかない)の関係で小さく、全体にプレートVCが入る方向になってしまった。要検討である。今思うと最初からハイバンドは別コイルでやるべきだった・・・。
左の写真は焼きなましの跡が残るハイバンドコイル。銅パイプ素材長が1mしかなく、目的のインダクタンスに足らないため後日作り直す予定。焼きなまさないと銅パイプがつぶれてしまう・・・生活の知恵だ。右の写真は左奥にハイバンドコイルが見える。バンドSWを後方にずらした様子が分かる。これでメーターやメーターSWのメンテナンスがやり易くなった。


Mar 16. 2002


ハイバンドコイルを作り直した。昨日製作したばかりなのに、作り直した理由はインダクタンス不足。写真左は新旧のハイバンドコイル。右は昨日製作したもので4mmΦの銅パイプを11T巻いている。
写真中央は作り直したもので、3mmΦの銅パイプを13T巻いた。素材は1mの物しか入手出来なかった。これだと11Tしか巻けないため不足分を継ぎ足して巻いた。タップはプレートから8.5Tのところに出している。各バンドがプレートVCの抜け具合(半分で周波数倍)に揃うようにタップを決める。
写真右は東急ハンズから買ってきた3mmΦと2mmΦの銅パイプ。細い方は継ぎ手として使いハンダを流し込んで固定する。店には1mの物しか置いてなかった・・・。
いずれにしても、このように両端をラグ端子で処理しておくと、コイルの交換や実験、それにメンテナンスが容易にできる。


Mar 17. 2002


出力タンクコイルのデータを記した。計算から求めたものがベースとなっているが、狭いところに実装すると、ストレー容量やインダクタンス低下の影響を受けて、自由空間で製作した通り(タップ位置等)にならない。そこで実装した段階で、出力側にSWRアナライザ、プレート側に希望の抵抗器を取り付けて確認する。表はこのやり方で決めたコイルデータである。ローバンド用L1とハイバンド用L2は互いに直角に取り付けられている。プレートVCの抜け具合は周波数が倍になると半分になるようにタップ出ししてある。但し、ハイバンドでは最適値が1ターンの中にある場合が多く、必ずしも希望通りになるとは限らない。150PFのプレートVC全体に3.5〜21MHzが展開するようにしてある。


休日で時間がとれた。寄生発振(自己発振)を考えてみた。状況から見て、寄生発振と言うより自己発振である。何とかしてVHF帯の利得を鈍らせなければ発振を止める事が出来ない。LRによるPSを取りやめ、試しに50Ωのメタルクラッド抵抗を入れてみた。恐る恐る電源を入れ、固唾を飲んで送信に移る・・・オッ発振しない、ラッキィ!・・・全バンドOKだ。RFでドライブするが思った通り目的周波数も利得が低下している・・・あたりまえだけど。100W入れても350W(3.5MHz)程度しか出てこない。次に15Ω(10W)のセメント抵抗をパラッた。この抵抗はL分も含まれるし、VHF帯での利得低下を狙った。出力は伸び、全バンドで発振は無い。更にもう一本15Ωをパラッた。これで18MHz以下のバンドで500Wを出力するようになった(21MHzは400W程度)。当然発振もOKである。

ここまでの結論は、特定の周波数でかなりの利得があり、自己発振を誘発する。そのレベルは30KΩのカソード(フィラメント)抵抗によるセルフバイアスではカットオフできない程高い。Ip/Igはメーターを振切らせ、15Aの電源ヒューズは即断するほどの電力である。
対策として・・・
@プレート回路に目的周波数に見合ったPS回路を設ける
Aグリッド接地回路に目的周波数に見合ったPS回路を設ける
・・・以上の対策が、安定動作には不可欠である事が分かった。


写真左は、プレートPSを上記状態にて一定の動作確認後、初めてケースを被せてみたところ。中々カッコイイ!。当然だが、電源以外の側面はシールド板をあてがう予定。写真中央は休日の単身アパートでの作業風景・・・それにしても散らかっている。アンプはスタンバイリレーを経由しているので、ダミーロードをアンテナに替えれば直ぐにでもオンエアできる。念のため高調波をスペアナで確認したが、2次で-40〜45dBに収まっていた。また寄生発振や自己発振は確認できなかった。更にCWブレークイン時のパルス(V/UHF帯)も発生していない事を確認した。高周波的には問題は無いと言えそう・・・。写真右は、発振で即断した15Aのヒューズ群。全て瞬時に飛び散り、ガラス管内に溶けたヒューズで蒸着している。「闘いの痕!」と言えよう。20Aにしたいが、20Aにすると家のNFBが飛び、他の電化製品(主にPC関係)に影響があるからNG。
今後はPSの更なる検討(プレート&グリッド)と、21MHzの出力アップ、それに入力整合(現在一部でエキサイターのATUに依存中)が作業の中心となる。

参考:3-500Z(TL-922)などは、連続キーダウンでなくキーイングでも、10分もやれば出力の低下や同調点(電極の熱膨張により)がずれてくるが、この球は中々ずれて来ないし、出力の低下も無い。
Mar 18. 2002


グリッド接地回路にPSを挿入した。1.6mmスズメッキ線を2T巻き、その中に51Ω/5Wの不燃抵抗を取り付けたPSを、グリッド接地コンデンサとグランド間に取り付けた。プレート側も仮だがPS処理してあるので安全度は更に増したものと考えられる。
写真左は入力周りのスナップ。入力トランスは巻数比1:3(線材藤倉ビーメックス5Tトリファイラ/Z比1:9)で新たに製作したもの。スプリアスも気になっていたので、14MHz/CWで500W出力時のものを測定したのが右の写真。第2次と第5次高調波が-55dB付近で、他は-70dB以下に落ちていおり、π型としてはまずまずの特性。
最初から何故グリッド側にもPSを入れなかったのか・・・先入観ってのは恐ろしい。40MHzが限界の球だから、100MHz以上で発振するなんて思いもよらなかった訳だが・・・。


写真左は、前述したグリッドPSのクローズアップ。グリッド側に入れるPSの効果は絶大だった。プレートPSとの併用が好ましいだろう。写真右は、その後製作したプレートPS。10mm幅0.5mm厚の銅版を20mmΦに1.5T巻、51Ω/5Wの不燃抵抗を取り付けた。銅版はそのままリードとなり、プレートフィンとRFCにネジ留めされる。
これらのPSにより、全バンドで安定な動作が可能になった。入力回路は非同調にこだわり続けている。現在、3.5〜10MHzバンドまではエキサイタのATU無しでフルドライブが可能であるが、14〜21MHzバンドではエキサイタのATUに依存している。フィラメントドライブZが見込みであるが450Ω程度あるため、ハイバンドで5T31の管内ストレー容量やインダクタンスが効いてくる。色々工夫をしているが、劇的な改善は見られない・・・バンド毎にマッチング回路を切替えるのは楽だが技術的に興味が薄い・・・ATU依存型にしても構わないか。
参考:入力回路は同調形にするべきと言う考え方がありますが、ハーモニックスやIMDを測定すると非同調に対しメリットと断言できるデータになりません。むしろエキサイターの負荷として適正な値を与えてあげる方が重要だと考えます。


Mar 19. 2002


左は、自己発振(寄生発振)対策途中に使用した、抵抗器のみによるPS。全てインダクタンスを持つ抵抗器だが、回路のQを落とすにはこれが一番手っ取り早い。但し目的周波数も影響を受けるが・・・。メタルクラッドは50Ω/50W、セメント抵抗はそれぞれ15Ω/10W。右は、リニューアルしたハイバンド(18-21MHz)タンクコイル。21MHzでも500W以上を出力するようになったが。熱によりコイルが変色した様子が分かる。但しハンダが流れ出すところまでは温度上昇していない。


Mar 20. 2002


7MHzと21MHzバンドの入出力特性をとってみた。グリッドバイアスを-100VもかけたGGで、どれほどの直線性がとれているか心配で、恐る恐る測定したデータがこのグラフ。ところが利得は低いものの、GGアンプとしてはまずまずの直線性である。エキサイタ出力100Wで最大出力になるようにチューニングをとり、入力を落としながら出力をプロットした。メーターの読み取り誤差もあるので、実際にはほぼリニアと想像する。正直なところ、ゼロバイアス管の3-500ZのGGアンプに比べて「遥かにリニア」と言う印象である。また100W入力時点でも出力カーブは伸びているのが素晴らしい・・・自己満足か。おかげ様で21MHzも600W出力をクリアしている。左の写真は測定中の本5T31アンプと、DAIWAのパワーメーターCN-101Lと自作オイルダミーロード。

筐体輻射によるTVIの確認:カバーを取り付けた状態でダミー運転し、TVやオーディオ機器、PC関係にインターフェアの無い事を確認しておきます。このときスペアナでスプリアスの様子を見ながら作業すると、およその感じがつかめます。

自己発振の考察:散々ヒューズを飛ばし楽しませて(悩ませて)くれた「事故発振」について考えてみた。過去の経験では、このように送信に移った瞬間から発振する事は殆ど無かった。大半は、RF入力を上げていった時か、バイアスを浅くしてIpを流し込んでいった時に発生するものだった。
実は、プレートフィンと天板間が7〜8mmと狭く静電容量が一定量ある事が板金段階から気になっていた。144MHz以上のアンプを作った方ならこの状況を見たらピンとくるはず。その間の静電容量を通してプレートが筐体と結合し、共振回路が構成される事が分かる。即ちキャビティである。グリッドはキャビティのコールドエンド付近に接地されているが、フィラメントはRFCによりRF電位を持つ。これにより、ハートレー型(カソードタップ)の自励発振回路が構成されてしまう事が分かる。プレートPSやπ型タンク回路はキャビティに比べたらインピーダンスが高いため、キャビティが共振回路を支配してしまう。無入力時に、グリッドとフィラメントのRF電位が同じであるGKでは、発振する由も無い話であるが、GGでは前述の用にフィラメントがRF電位を持つ事が原理上避けられない。GGで、フィラメントをバイパスさせると発振しなかった事でその理屈が分かる。試みにディップメーターをプレート回路に突っ込むと、100MHz付近に強烈なディップを確認する事ができる。こうなると構造的にグリッド回路にPSを挿入する方法が一番確実と言える。
Mar 21. 2002


写真左は、出力検波回路を組み込んだところ。出力(ロードVC)を30KΩと1KΩで分割し、ゲルマニウムダイオード1N60で整流後0.01μFのセラミックコンデンサ(TAIYO)で平滑し、100KΩ/BのVR(コスモス)を介しメータースイッチへ配線した。抵抗はソリッド抵抗とP型抵抗であるが、ゲルマニュームダイオードを含めて周波数特性を持っている模様で、各バンドで表示が綺麗に揃わずハイバンドが大きく表示さてしまう。チューニングをとるときの「目安」なので余り気にはしていないが、真面目に取り組むと結構難しい課題である。
写真中央と右は、プレート回路の補助RFCを追加した様子。垂直に取り付けてあるRFCがそれで、0.8mmΦUEW(Kyowa)を10mmΦタイトボビンに50T巻いてある。50MHz用に巻いてあったものを流用した。青色に見えるのは、メインRFCとの間に入れた0.001μF/10KV(タムラ)のバイパスコンデンサ。このボビンは元々500μH/500mAのRFC(秋葉原ラジオストア東邦無線)の物。RFの電源側への回り込み(デカップリング)防止に大変有効である。


入力トランスのタップを変更する。ハイバンドでの入力SWRが高く、100%ATU依存型が気になっていた。それで、コンベンショナルトランス(1mmΦスズメッキ線17T)を巻き、入力側のタップ位置を変えSWRの低下する位置を探った。その結果18-21MHzは、巻き数比がおよそ1:2付近が適当である事が分かった。この状態で3.5MHzを確認するとSWRが若干上昇してしまうが、ATU無しでフルパワーが放り込める。総合すると、SWR最小バンドが高い方に移動(14〜18MHz)し、全体に入力SWRの平均値が低下する。こため、思い切って入力トランスの巻き数比を1:2に変更した。これにより、3.5〜14MHzはATU無しで100%、18〜21MHzは80%程度まで駆動できるようになった。ATUは補助的な役割を担う事になるが、挿入すれば全バンドで100%駆動が可能である。
写真は、入力トランスを1:2にタップダウン後の側面フルショットとタップダウンする前の入力トランス。この時は捲き数比1:3で、ローバンドはこの方が良好だった。


Mar 22. 2002


部屋の中の掃除を行う。アンプを机の端に乗せて各バンドの動作チェックを実施。写真と表はその時の模様とデータ。入力トランスを1:2に変更したため、ローバンド出力が伸びなくなった。またプレート負荷抵抗が高めなので、RFCのインダクタンス不足も影響していると思われる。しかし、全バンドに渡って平準化してきたと言える。ダミー運転では非常に安定に動作している。なお全体にゲインが低いのでALCは設けない方向でいる。
なお過去のデータから、100Wドライブ時点でも出力はリニアに伸びているので、150W程度で押せば1KW出力も許容プレート損失(450W)以内で可能と思われる。但しタンクコイルの増強が必須になる。


Mar 23. 2002


余りお目にかかれないスナップを2枚。両者共フレームの底を含んだフロントビューとリアビュー。フロントカバーの直ぐ後ろには大きなエア吸入口がある。外気はここを通ってトランスを冷やしタンクコイルを冷やしてプレートヒートシンクを冷やす。底にはトランス取り付け用のビス(4mmΦx4本)と5T31ソケット固定用ビス(4mmΦx4本)が見える。背面にはパンチ板による吸入口があり、ここに吸い込まれた外気は直に5T31に当り上部ファンに抜ける。カバーは後部からビス3本で留められているが、フレームのガイドにカバーに付いたツメがかかり遊ばない構造になっている。ファン(Tobish U8500)は騒音を考慮して2個直列に接続してある。これはファン電源コネクタの中で行っている。


これは5T31アンプとは直接関係無い話で、参考です。エキサイターに使っているIC-756が不調で修理に出した。エキサイタなので5T31アンプのテストが出来なくなってしまった。不調の内容は以下の3項目。

@LCDのバックライトが点かない・・・以前は時々点いたが、最近は全く点かない、PCで周波数とモードは読めるが他が全く分からない。
A受信感度大幅低下・・・3月7日のQSO中に発生、S9+20dB以上の信号が辛うじて了解できる程度。5T31アンプの発振で、IC-756側にRFが逆流して壊したか?と思ったが、それ以前からなのでアリバイがあり犯人ではない。
Bリレー接点出力が粘る・・・今はTx情報をACCから得てDCアンプ経由で使用しているが、過去に幾度か発生し張り付いた。同じような悩みの方はTest & Dataコーナーの「スタンバイリレー接点の溶解対策」をご覧下さい。ドライブ回路を紹介しております。

写真は、解体して調査中のIC-756。@はバックライト点灯用の電源回路が発振していない、AはIFアンプ以降は正常動作している。3は現在のところ回復していた。
この写真だけでIC-756と分かる方は相当のツウと言えるでしょう。フロントパネルと本体とは2本のフラットケーブルでしかつながっていないので、パネルと本体を切り離したリモートトランシーバーも簡単にできる。
夕刻、名古屋市東区の平丸ムセンに発送した。修理上がりが待ち遠しい。
Mar 24. 2002
朝6時半、今日の目標を設定、フロントパネルに覗き窓を取り付ける。目標を設定する事で他に浮気しないようにする。懐かしい覗き窓・・・3-500Zのアンプでは必ず付けてプレートの状態を確認していた。さてどうなるか・・・朝見た方はまた夜にお越しください!。 覗き窓が出来たら完成宣言をしようと思います。細かいのは未だありますが、それは「残工事」とする予定です。


予定通りフロントパネルに「覗き窓」を取り付けた。位置とサイズを決め、パネルに水性ペンで罫書いたあと、2mmΦのドリルで穴をあけ金ノコで切り出した。化粧板とアルミパネルを同時に切り出している。上下は金ノコが入らないので、穴をつなげて切り出す事になる。角穴が空いたらヤスリで慎重に仕上げる。フロントパネルにキズをつけないように紙やガムテープで覆うと良い。内側からはステンレスネットを当て、2mmの皿ビスとナットで固定した。このとき、構造の関係で内側に出っ張りがあり、ネットに細工を施し対策している(元々「覗き窓」は付ける予定が無かったため)。このような作業が発生しても容易に対応の取れるパネル構造にしてある。


フィラメントを灯して、周辺を若干暗くすると5T31の周辺がフィラメントの明かりが浮き上り楽しくなる。運用時はフィラメントはもとより、プレートの赤化状況をここから見る事が出来る。これで機械工作の殆どは終了した。自己満足の世界だが、中々のルックスだし、DOS/Vパソコンのケースとは思えない!、いや、リニアアンプとはとても思えない!・・・と思いませんか?。
ところで、今まで回路図なんてものを一度も書いていなかった。ノートや一部はPCの中に書き込んであるので、今後残工事として電子化して掲示する予定です。また最終的な試験成績、100W以上でドライブ時の出力曲線やその他特性の測定と掲示も予定しています。
以上、ここでひとまず完成宣言します。


Mar 25. 2002
24時間の連続通電実施。昨日昼からスタンバイ状態で24時間の通電を行った。動作正常である。エキサイタが修理中のため、送信関係のテストをする事が出来ない。
秋葉原を往復する。目的はIpメーター用のシャント抵抗の0.22Ω/20W/10Wを買うため。千石電商のB1で購入。目的は、現在Ipメーターが実はIc(カソード/フィラメント)メーターで、IpとIgの合成が表示されている。プレート入力を計算するのに不便なため、回路を変更する事にした。陰極に入れたシャント抵抗0.22Ωの両端にメーターを接続している。このシャント抵抗を高圧電源のマイナス側に入れるか、グリッドバイアス電源の接地(+側)を、Icシャント抵抗のホット側(トランスのCT側)から取るかで解決できる。今回は前者の方法で対策した。その理由は、後者はバイアス電源の接地回路が、リレー電源である12V電源のマイナス側と基板上でコモンになっており、切り離しが難しいから。シャント抵抗は余裕度を見て0.22Ω/20Wの物を使用した。それは、プレート側で一瞬でもスパークがあると、シャント抵抗にかなりの電圧がかかり、場合によっては破断するからである。


写真左の左上に見える白のセメント抵抗が新らしく取り付けたIp用シャント抵抗0.22Ω/20W。プレート側で不測のスパークがあっても破断しないように大き目の物を取り付けた。通常の消費電力は0.1W以下だが、この程度の抵抗器ではスパーク時に瞬断してしまい高圧が露出する事になり大変危険。下方に見えるちょっと小さいセメント抵抗は、スタンバイ用のセルフバイアス抵抗30K/10Wだが、大分小さく見える。
夜になって実家からIC-750Aが届いた。無線機が無いと余りにも寂しいので、実家に帰ったカミサンに昨日送ってもらった。写真は、そのIC-750Aとのツーショット。深夜に瀬戸市と鹿屋市の局と3.5MHz/SSBで交信した・・・もちろんパワーは絞っている。


Mar 26. 2002


タンクコイルのL1(ローバンド)とL2(ハイバンド)間のネジ留めを今までタイトスペーサーにネジ留めしていたが、圧力がかけられないため一度金属スペーサーで締めてからタイトスペーサーをねじ込んだ。これにより出力改善が見られた。但しこのデータはケースを被せない裸で14MHzでのもの。但し、ケースを被せると100W程度出力が落ちる・・・果たして何処へ行ってしまうのか。


Mar 27. 2002


完成したはずなのに、まだまだ続きます。ここではNG部品を紹介します。写真左は40mm長のプラスチック製のスペーサー。両端には真鍮製の3mmのネジが埋め込まれている。L1(ローバンド)コイルのプレート側を支えていた物だが、やはり誘電による障害が発生した。以前黒ベークスペーサーが粉々に飛び散った写真を紹介したが、ここでは飛び散らないものの、誘電による温度上昇で変形し表面に模様が入り、ネジ部分も飛び出しているのが分かる。左がNG品で、右が正常なもの。一般に売られているものは、プラスチック製とベーク製の2種類があるので購入する時は注意したいが、高電圧の高周波回路ではステアタイト製を使うのが必須である。
写真右は変形断線したプレートRFCコイルを捲きなおしたもの。線材が不足したため、別のUEW線をハンダでつなぎ巻き足した。分割巻きと言えば聞こえは言いが、たまたまそうなっただけ。こんなもんでも十分な動作をしてくれる。その後スパークは無いが、寄生発振によるものだったのか・・・いやスタンバイ時にもあったからそうとも言い切れない・・・高周波と高電圧回路ってのは本当に不思議だ。


Mar 28. 2002


IC-750Aの出力を調整し3.5MHz/600Wでの連続キーダウンを試みた。Ep=3400V、Ip=250mA、Ig=24mAで入力は816Wだからプレート損失は216Wで許容値の半分にも満たない。しかしプレートは赤くなってくる。ところが5分程続けたところでエキサイタであるIC-750Aの出力制限がかかってしまい実験中止となった。アンプにエキサイタが負けた格好になってしまった。リターンマッチ戦は後日行うことにする。


Mar 29. 2002


昨日(28日)朝、出勤前に修理だししていたIC-756が届いた。23日夕刻に出したばかりなので、その速さに驚いた。しかし交換部品の明細リストはあるものの、障害の原因については全く記述が無かった・・・寂しい。
早速IC-750Aと入替えたが、IC-750Aは三日天下だった。写真は窓から入る自然光による撮影であるが、後ろのIC-756のレベルが落ちるので、トップからスタンド明かりを漏らし、下手のPCに当たる外光をカーテンで調整している。また、最終的にPaintShopでγカーブを持ち上げている。これにより、影が強調されないソフトな映像に仕上がっている。ストロボをたいたらこの雰囲気は出ない。


Mar 30. 2002


3月28日にならって、IC-756で連続キーダウンのテストを行った。ところがやはり5分程経過するとエキサイターが出力低下を起こす。こりゃ変だと考えた・・・分かった、入力トランスがAL値を超えている模様。数分間冷やせば回復するし、通常のキーイングでは連続30分でもこのようにはならない。対策を検討することにする。コアを重ねるか・・・コアから縁を切りパイ型のステップアップか空芯コイルのステップアップか・・・いずれにしてもコア以外では共振の力を借りる事になるので、マルチバンド用として新たな切替機構が必要になる。一番やりたくなかった事であるが、また楽しみが増えた。
写真は入力回路に入れた伝送線路型の入力トランス。現象が発生するまで励振すると、触れないほどに熱くなる・・・これではまずい。


Mar 31. 2002


重要なトラブル再発。深夜1時頃急にトランスが唸りだした。最初は時々唸る程度だったが、そのうち連続となった。可笑しいと思い、SSBを出して音を聞くと聞けた音ではない・・・リップルだらけだ。ドライブレベルを落としても同じだった。その後怪しい匂いがして来て、無負荷時のEpが通常は4KV程度あるはずが、3.8KV付近まで落ち更に下降の勢いだった。これは1月29日に発生したトラブルと同じだ!。今まで約2ヶ月間問題なかったのに・・・ややトホホであった。
高圧平滑コンデンサで、ホット側のケミコン5個が膨張し一部で液漏れし、触れない位に熱くなっている。コールド側のケミコンは全く問題ない。整流器の逆方向特性が劣化しケミコンにACが加わったものと推測しダイオードを交換したが、ケミコンが通電で温まると同じ現象が再現した。・・・て事はダイオードは問題ない?・・・いや違う、ケミコンが既にNGになっているからだと判断し、ケミコン5個を交換した。ちなみに整流器の逆方向抵抗は、EM-3000(テスター)の1000MΩレンジで確認すると、僅かにメーターが振れるが、投入したダイオードは全く振れない。しかしコールド側のダイオードはその中間ぐらいに振れた。テスターでは印加電圧が低いから余り参考にならないとは思うが・・・。
写真は基板からNGケミコンを取り外した状態が左で、右は新しいケミコンを実装した状態。ガラエポ基板に焦げた痕が見える・・・かなりの温度になった模様。但しケミコンは、前回のようにチューブが外れるまでには至っていない。


入力トランスを交換した。発熱が多かったためコアをダブルにした。5Tのトリファイラであるが、接続は巻き数比1:2で行っている。また線材を1mmΦUEW線に変更しストレー容量対策を狙った。


Apr 1. 2002


再びNG物件の紹介です。写真は自作のオイル式ダミーロードだが何か形が可笑しい。実は洗濯をしているときに、窓際に置いてあったものを足で引っ掛けてしまい、ベランダに落ちてしまった。そのショックで蓋が空き、オイルの全て(約4リットル)ベランダにこぼれてしまった。ベランダはヌルヌルで、まともには歩けない状態がここ2週間程続いている。

独り言・・・。昨日高圧電源のトラブル対策を行ったが、どうも何時もと違う。何かと言うと、筐体の振動が少なくなっているのである。PCケースのフレームは厚さ0.8mm程度の鉄板で出来ているため、電源トランスを乗せると漏れ磁界によって振動して音になって聞こえていた・・・僅かではあるが。ところが、今はその音を確認できない。もちろん、CWをフルパワーで送信するような場合は、そのエンベロープに応じてトランスが唸るが・・・。色々検討すると、どうやらあの障害の前兆がずっとあったと言っても良いのかもしれない。前回の障害と発生までの時間に違いがあるが、それは部品固体の特性の違いと考えている。
いずれにしても、こんな事を何十年も繰り返していると様々な場面に対応できるノウハウが蓄積される。

回路図を書く。まとまった回路図を初めて書いた(除く電源部)。使い慣れた文豪ミニ7RXの作画ソフトを使って1280×880Pixサイズのキャンバスに書き込んだ。しかし全くゼロからではなく、過去に書いたGU-74Bアンプの図面を修正する形で行った。文豪ミニ7RXで書かれたファイルは文豪専用ファイルのため、これをMS-DOSに降りて*.BMPファイルに変換する。そのファイルをWindowsマシンからLan経由で取りに行く・・・このシステムの詳細はHandMadePCコーナーで説明しています。

ページの壁紙を変更した。今までコールサインロゴをあしらった背景だったが、雰囲気を増すために5T31/450THのイラストを書いて見た。白地に黒で書いたものをネガポジ反転させ、コントラスト比を調整後、単色処理で色を乗せ*.jpgファイルにした。これらの処理は愛用ソフトPaintShopProで行っている。随分と雰囲気が変わるものである。

本日、MakingAmplirireをMakingGoodsと改め、サブメニューを追加した。そしてサブメニューに新しくGU-74B/144MHzアンプの製作も開始しました。
Apr 2. 2002
40時間連続通電テスト実施。31日の午後から今朝まで連続40時間の連続通電を実施。交換したケミコンやトランス、それに筐体やその他部品の発熱や異臭を確認したが異常は認められなかった。


写真は懐かしの「文豪ミニ7RX」で回路図を書いている様子。同機は元々MS-DOS(Ver2.1)をOSとするれっきとしたMS-DOSマシンである。ただし自作のSCSIボードが組み込まれ、外部にハードディスクがつながりハイスピードのロード&セーブが出来る。画面は、作画ソフトで書いたものを、MS-DOS汎用ソフトDISPIMG7.EXEで*.BMPファイルに変換しているところ。無線も楽しいが、HandMadePCingも又楽しい。電源部以外の回路図は書き上げたので、近日中にアップできると思う。


Apr 3. 2002
昨夜から9時間の通電テスト実施・・・異常なし。
高周波回路図をアップします。今まで断片的だったものをひとつにまとめました。慌てて書いたので間違いがあるかもしれません、その場合はあとで修正します。電源部はしばらく時間を頂きたいと思います。
Apr 4. 2002
昨夜から9時間の通電テスト実施・・・異常なし。
電源回路図をアップします。昨日の高周波部に合わせて電源部も書いてみました。両者とも部品番号を入れましたので、部品リストを後日作成します。
Apr 5. 2002
回路図の修正を行う。どうしてもパスコン(バイパスコンデンサ)の記入を失念してしまう。現物になるべく近い形にしたいのだが、パスコンの場合は保険で入れてあったり、慣習的に入れたりする場合があるので、はっきりと記憶が無い場合がある。今日はスタンバイラインやFanPowerラインに書き忘れたパスコンを記入した。
背景を変えてから幾人かの方からご意見を頂戴しました。絵柄の趣が出るのですが、観賞ではなく情報伝達手段として考えたいと思います。見辛い場合は随時変更して行きたいと思いますが、今のところ好評のようです。
Apr 6. 2002
昨夜から11時間の通電テスト実施・・・異常なし。
回路図に忘れ物や部品番号の誤りがありましたので訂正しました。
Apr 8. 2002


1KW出力のテストを行う。前述の様にエキサイタであるIC-756の出力は100Wである。メインボード上にあるVR(HF=R618/50MHz=R619)により電力の調整が可能であると聞き、このテストに挑戦した。表と写真は18MHzで1KW出力を得たときのデータである。特筆すべきはプレート効率、1KW出力してもプレート損失は200Wにも満たない。何かの間違いかと思い覗き窓からプレートを見たが、赤化状態は500W出力の時と殆ど変わっていない。但し、50mAのIgメーターがスケールアウトし、正確な値が読めない。ここまで来るとタンクコイルをもう少し強化する必要がありそうだ。全ては確認していないが、14MHzもほぼ同じ様なデータである。曲線は後日とってみるが、当初予想していた増力で1KW出力が得られることから、この時点でもまだ直線性が確保されているものと思われる。


Apr 9. 2002
昨夜から12時間の通電を実施・・・異常なし。
パーツリストを作成しました。未だ全てを網羅していませんが、徐々に補完していきます。Excelファイルです。
Apr 10. 2002

昨夜から12時間の通電を実施・・・異常なし。


7MHzと18MHzの入出力特性をとってみた。殆どの方が驚かれると思うが、1KW出力時でもまだ直線領域にある。エキサイターの関係で130W以上のドライブが出来なかったが、その先がどうなるか大変興味のあるところである。


100Wドライブ時の動作状況を取り直してみた。入力整合をエキサイターのATUに依存しているため、バンド間でバラツキが発生している。Igの流れ具合をみると、バンドごとの整合回路を設けたくなる・・・例えばπ型タンク回路によるステップアップ。


Apr 11. 2002

昨夜から11時間の通電を実施・・・異常なし。


Apr 12. 2002

昨夜から8時間の通電を実施・・・異常なし。
今まで、紆余曲折を含め発生した事の殆どを綴ってきた。アンプを製作するための情報だけなら、その殆どは必要ないと思われるが、作業して行く段階で「他にも使えるデータ」が取得で来たと思っている。例えば入力トランス。AB1級で動かそうなんて話は5T31では無理な相談だと分り、その過程でAB1級用に実験した入力トランスは、ハイμ4極管アンプの入力回路にそのまま置き換える事が出来る。また筐体を含めた「自己発振とその対策」で、山の様に並んだヒューズ。これらはみんな新たなノウハウを提供してくれた。
パーツリストにコイルデータをを追加しました。


Apr 13. 2002

昨夜から8時間の通電を実施・・・異常なし。


Apr 14. 2002

昨夕から24時間の通電を実施・・・異常なし。
π/πL型タンク回路の計算には、以前からW5FD制作のMS-DOS版計算ツールを使用していた。ところが最近になってVA3UX(exVE3OZZ)制作の計算ソフトを発見した。MicrosoftExclの表計算がWindows上で動いている。周波数・負荷抵抗値・Qを入力すれば、表示されたπ回路図の数値が瞬間に算出される。π型とπL型に対応している。以下は本5T31/450THアンプのπ型タンク回路の定数。負荷抵抗は当初より低めの4KΩ、Q=15と高めに設定している。



Apr 15. 2002

昨夕から10時間の通電を実施・・・異常なし。


Apr 16. 2002

昨夕から20時間の通電を実施・・・異常なし。


Apr 18. 2002

昨夕から11時間の通電を実施・・・異常なし。


Apr 20. 2002

仕事帰り、久々に秋葉原で買い物。ラジオデパート3Fの斎藤電気で、写真のように#61材のフェライトコアと#43材のメガネコア、それにカーボニールコアとフィリップスのトリマー(80PF)を買った。
入力トランスの追加テストに使う予定。


Apr 21. 2002

昨夕から24時間の通電を実施・・・異常なし。

重大なトラブル・・・連続CWキーダウンによる筐体温度の上昇を確認するためのテストを実施した(室温=24℃・湿度=51%、天候=雨)。その際以下の不具合が発生した。
@約8分経過後に、出力がほぼ一気に断になる。
Aドライブ電力を落とし、出力を500Wから300Wに変えてみても変化がない。
Bコアのμsが発熱で低下したものと推測、コアを#61材に変更するが変化がない。
C更に、巻き数を減らしてみたが傾向は変わらない。
DIgが極端に低下し、逆にIpがディップ点を失っているように見える。
Eプレートが更に赤化する。
FエキサイタのATUが追いきれなくなる。
G1分後には正常に復帰している。
HKeying(VVVの連続)動作では30分以上の送信を続けても問題は発生しない
写真は出力500Wでテスト中のスナップ。温度計のセンサーは側面に取り付けたサーモスイッチにアルミテープで貼り付けた。温度計は「おんどりRH(T&D製)」。グラフは出力断になるまでの経過を示している。500Wでの飽和温度は恐らく60℃程度になる見込み。セラミック球に比べガラス球は延びが緩やかである。試験成績とマニュアルを作成しようと思っていたのに・・・色々と楽しませてくれるものだ。


Apr 22. 2002

昨夕から24時間の通電を実施・・・異常なし。

重大なトラブルの原因・・・それはトロイダルコアの発熱による特性劣化にありました。#43材を使った入力トランスとフィラメントチョーク両者共です。まず入力トランスによるステップアップ方式を、π型タンク回路に変更する事で、300W出力で問題がなくなりました。しかし500W出力では9分程度キーダウンを続けると出力が落ち始めます。色々調べているうちに、フィラメントチョークが発熱しているのを発見、これをドライヤーで冷やすと500Wでも問題なく30分の連続キーダウンが可能になりました。またエキサイターをフルパワーにすると1.1KWの出力が可能でした。
グラフはその模様をプロットしたものです。500Wキーダウンを先に行いましたので、300Wキーダウン時は冷え切らず開始温度が500Wのそれを上回ってしまいました。また、本日はカバーを外して測定しましたので、昨日のデータより飽和点が低めに出ています。
元々GKアンプでスタートしたので、フィラメントをRFでドライブするつもりはなく、余り気にせず#43材のトロイダルコアに巻いていましたが、μsが非常に高いためドライブ電力を上げると磁気飽和して発熱していたようです。対策は#61材に変更してみる予定です。
なおπ型のステップアップは素晴らしく、入力SWR=1まで完璧に落とせます・・・バンド切り替えとスペースの問題がありますが、この特性を見るとやや動揺します。

ダミーロードのトラブル・・・500Wのテスト中に突然ダミーロードがオープンになった。オイル缶の蓋から抵抗素子をMコネ延長パイプでぶら下げているが、そのパイプの素材である銅パイプのハンダが流れ出して、抵抗素子もろとも落下していた。そうなった主な原因はオイルが気化して半減していたためで、約1.5リットル補充した。それにしても缶の中は天ぷらナベ並の温度である。


Apr 23. 2002

昨夕からの通電を実施するが、未明に再び電源トラブル発生・・・4時頃、パーンという音で目が覚める。起き上がって確認すると、電源ヒューズが飛び、辺りがあのケミコンが液漏れしたときのニオイ。高圧電源のホット側ケミコンがNGになる現象が再発してしまった。昨日と一昨日のキーダウンテストのとき触ってみたが異常は無かったのに・・・。ひょっとしたらこれは研究に値する出来事かも知れない。
過去1月29日と3月31日に同様のトラブルが発生している。1回目はケミコンを交換、2回目はケミコンを交換したがダメでホット側のダイオードも交換した・・・さて今回はどうなるか。但し前回交換したダイオードは、今まで表記していなかったがUF2010ではなく10D10を5個シリーズにした物である。

帰宅後高圧ブロックを取り出しNGケミコン5個を取り外した。膨張しているためプリント基板が反り返っていた。写真左はその模様であるが、こういう姿を見るのはもう最後にしたい。
過去10台ほど同じ構造による高圧ブロックを作ってきたが、このように同じことを3度も繰り返すのは始めての経験である。倍電圧整流のどうしてホット側だけやられるのだろうか。コールド側も全く同じ部品で同じ電圧なのに・・・。テスターによるダイオード測定では問題を見出す事が出来なかった。
写真右は飛んだヒューズ。飛び散り方からみてまさに瞬断状態で、ガラス管内にヒューズが蒸着されている。ケミコンが負荷になってじわじわと温度上昇し、あるとき一気に短絡状態になったのか?。そうでなければ、このような飛び散り方はしないはずだ
この状況をご覧になって、クスクスと密かに笑っている方もいらっしゃるかも知れない。でもそんな事より、電気・物理現象の不思議に興味を持って欲しい。


Apr 24. 2002

写真は22日の連続キーダウンテストで、入力回路をπ型タンク回路にして実験しているところ。カーボーニールトロイダルコアとフィリップスのトリマーコンデンサ、不足容量はディップマイカで補完している。これで低入力から大入力まで安定にSWR=1を維持できた。これをマルチバンドで組み込むには、バンドスイッチに6接点のウェハーを追加する必要がある。


Apr 26. 2002

再び高圧電源の考察・・・高圧電源回路部分を書き出してみた。単純な倍電圧整流回路である。図でトランスの上側が+側にスイングしたときはD8-12で整流されC20-24で平滑される。−側にスイングしたときはD13-17で整流されC25-29で平滑される。両スイング時に得られた直流電圧は直列に加算され、両波倍電圧整流が成立する。
ところがどうして+側を担うC20-24ばかりがやられるのだろうか・・・設置条件は両者とも同じである。やられるときは直列にした5個のケミコンが全て同時にNGになっているから、固体のバラツキとは考えられず、回路方式か他の要因によるものと考えられる。D8-12は全く正常で、D13-17と比較しても問題は無い。電源トランスの絶縁も問題ない・・・もし絶縁不良なら−側スイングにも影響するはず。
同じような経験をされた方はいらっしゃいませんでしょうか?。


Apr 27. 2002

仕事帰りに秋葉原に立ち寄る。#61材トロイダルコア(斎藤電気)、1.6mmのスズメッキ線とホルマル線(鈴喜デンキ)、UF2010ダイオード(秋月電子)、シリコンゴムチューブ(タイガー無線)を購入する。


Apr 28. 2002

高圧電源の修理・・・整流ダイオード(UF2010x5)と470μF/450V(Rubicon製)5個を取り付けた。動作は回復している。
その他のトラブル・・・電源を投入するとEpメーターが振れない。-Egメーターも同じだ。可笑しい、メーターが壊れたか?。テスターをΩレンジにしてメーターにDCを送ったが触れない・・・これは保護用ダイオードが短絡している!。当たりだった。保護用ダイオード2個の内1個が短絡状態だった・・・しかしどちらの方向がNGかは確認できなかった。これはケミコンがNGになった時に発生したものと推測するが・・・益々分からなくなる。

#61材にフィラメントチョークを巻く・・・#43材コアではμsが高すぎて簡単に飽和し発熱するため、#61材のコアに新たに巻いた。巻き数はバイファイラで17T。線材は1.6mmのフォルマル線を使用したが、フィラメント電圧のロスは問題ない。
#61材に入力トランスを巻く・・・巻き数比1:3で入力トランスを#61材トロイダルコアに巻く。BMEX耐熱電線をトリファイラで4T巻く。
連続キーダウンでコアの発熱確認・・・500W/7MHz/CWで連続キーダウンを行い、コアの発熱と電力低下を確認した。20分まで確認したが、フィラメントチョークに発熱はあるがこれはフィラメント電流によるホルマル線自身のもので手で触れる範囲。出力の低下やコア自身の発熱、またその他異常は認められず良好であった。最初から#61材を使えば良かったのに、インダクタンスを稼げるか心配だったので#43材に手が伸びてしまった。


Apr 29. 2002

昨日から連続12時間の通電を実施、異常なし。

500W連続キーダウンテスト(最終)・・・金属製のかバーをかけ、500W/CWによる30分間の連続キーダウンによるフレーム温度変化を測定した。入力トランスとフィラメントチョークのコアを#61材に交換した効果が発揮され、30分の連続キーダウンでも出力の低下は数Wであった。またフレーム温度(右側板温度スイッチ位置)は約20分で54℃付近に落ち着く。この時の各パラメーターも表にした。電源トランスT1の高圧タップは1500Vから1200Vにタップダウンし、グリッドバイアスは-90Vに変更してある。連休中で電力会社の負荷が軽いのか、AC受電電圧が負荷時でも100Vを超えている。1KW出力でも試してみたいが、タンクコイルがもたないので、こちらはKeyingしながら、パワー計の振れを見て楽しんでいる。


Apr 30. 2002

シャックに組み込む・・・シャックの棚に5t31/450THアンプを組み込んでみた。一番右はメインのDOS/V_PCでその左はPC-9821/V200。無線機と言う感じがしなければ作戦は成功・・・如何でしょうか?。
写真撮影のために、随分と久し振りに机の上が片付いた・・・しかし写真に写らないところはゴミの山。写真はストロボを使わず室内の蛍光灯と机のZライトのみの明かりで撮影した。光量が少ないためF=4でシャッター速度は1/25以下。当然手持ちでは苦しいため三脚を使用している。IC-756のLCDやCRTの光源と、IC-756パネル等の暗部とのバランスが程々に写っている。
なお、MainMenuページに掲載してある、GU-74Bによる1.8〜50MHzアンプは、1年半この席に居座っていたが一時的に机の下に移動した

昨日から連続24時間の通電を実施、異常なし。


May 1. 2002

昨日から連続12時間の通電を実施、異常なし。


May 2. 2002

昨日から連続9時間の通電を実施、異常なし。


May 6. 2002

2Way 5T31/450TH QSO・・・22:19、群馬の青木氏/JF1UQSとの間で「2Way 5T31/450TH QSO」が実現し念願がかなった。e-mailによる情報交換より、遥かに濃い内容のやり取りが出来た。「物づくりは楽しい!」と意見が一致。連休で3日間電源を入れていなかったが、良好に動作している。


May 7. 2002

昨日から連続14時間の通電を実施、異常なし。


May 8. 2002

昨日から連続13時間の通電を実施、異常なし。


May 9. 2002

昨日から連続16時間の通電を実施、異常なし。


May 10. 2002

昨日から連続8時間の通電を実施、異常なし。


May 11. 2002

昨日から連続11時間の通電を実施、異常なし。


May 12. 2002

13時から24時まで連続11時間の通電を実施中、異常なし。


May 13. 2002

覗き窓(チューブファインダー)から漏れる、5T31/450THのフィラメントの輝き。この何ともいえない味が、ラジオ少年のハートを掴んで話さない・・・無線もオーディオも関係ない。
昨日から連続28時間の通電を実施、異常なし。


May 14. 2002

昨日から連続13時間の通電を実施、異常なし。


May 16. 2002

昨日から連続9時間の通電を実施、異常なし。


May 17. 2002

昨日から連続11時間の通電を実施、異常なし。


May 18. 2002

昨日から連続9時間の通電を実施、異常なし。


May 19. 2002

昨日から連続17時間の通電を実施、異常なし。


May 20. 2002

昨日から連続11時間の通電を実施、異常なし。


May 21. 2002

昨日から連続16時間の通電を実施、異常なし。


May 22. 2002

昨日から連続11時間の通電を実施、異常なし。


May 23. 2002

昨日から連続7時間の通電を実施、異常なし。


May 27. 2002

昨日から連続15時間の通電を実施、異常なし。


May 28. 2002

昨日から連続12時間の通電を実施、異常なし。
FALを尋ね久し振りにN氏とアイボール。「変り種アンプ」の話しに花が咲いた・・・やはりこの種の真空管は全体にインピーダンスが高いので、グリッド側にもPSが必須だ!とか、直線性は3-500Z等のゼロバイアス管の比ではないとか・・・。5T31/450THの実用回路例をEimacの資料からコピーさせて頂いた。グリッドバイアスがグリッドPS経由で与えられている。またグリッドRFCが5KΩでQダンプされている。


May 29. 2002

昨日から連続7時間の通電を実施、異常なし。


May 30. 2002

昨日から連続20時間の通電を実施、異常なし。


May 31. 2002

昨日から連続9時間の通電を実施、異常なし。


Jun 1. 2002

昨日から連続8時間の通電を実施、異常なし。


Jun 2. 2002

昨日から連続19時間の通電を実施、異常なし。

なお異動内示があり単身赴任生活にピリオッドを打つ事になった。現在引越しのための荷造りに忙しい。写真はエアクッションを敷いた段ボール箱に5T31/450THアンプを入れたところ。しばらく本コーナーの更新が出来ないかもしれないが、課題も幾つかあるので必ず復帰したいと考えている。


Jun 13. 2002

昨日から連続9時間の通電を実施、異常なし。単身赴任を解消してから、初めての長時間通電である。但し、まだ引越し荷物の整理中で、トランシーバーは接続されていない。


Jun 15. 2002

連続15時間の通電を実施、異常なし。
今日は気温が上がり、日中は30℃を越えた。このため、ファンから排出される空気に涼しさを感じなかった。トランシーバー(IC-756)とPower/SWR計(CN-101L)、それにダミーロードを同軸SW経由で接続し、正常動作を確認した・・・但しアンテナは未だである。


Jun 16. 2002

昨日から連続24時間の通電を実施、異常なし。
写真は机上にセットされた5T31/450THアンプとIC-756、LCDディスプレイ他。


Jun 17. 2002

連続7時間の通電を実施、異常なし。


Jun 21. 2002

運用再開。低ドライブで2局(水戸市・富士市)と3.5MHz/SSBで交信する。


Jun 23. 2002

連続11時間の通電を実施、異常なし。


Jun 24. 2002

昨夜から連続12時間の通電を実施、異常なし。


Jul 6. 2002

昨夜から連続11時間の通電を実施、異常なし。


Jul 13. 2002

8時半〜24時(翌日に継続)の通電を実施、異常なし。


Jul 14. 2002

昨日から連続26時間の通電を実施、異常なし。
写真は朝のスナップ。3.5MHzと14MHzで動作させてみた。室温が30℃を超える季節になり、スタンバイ状態から電源を切ってもオフディレイ回路が動作するようになった。


Aug 11. 2002

昨夜から連続12時間の通電を実施、異常なし。
8月に入って初めての長時間通電(実運用含む)を行っている。午前9時半で気温は既に30℃を超えている。


Oct 5. 2002・・・最終回です!

長らくテスト運用を続けてきましたが、これをもって最終回 とします。
製作から組み上げまで半年、さらにデータ取りやエージング等で半年かかってしまいました。電源ケミコンの破裂の件は「商用入力電圧の上昇で、2次側DC電圧の上昇による規格オーバー」と結論づける事にします(何でホット側だけ?とする疑問が残りますが)。夏の間気温38℃の中での連続運転でも異常なく働いており、問題無しと判断しました。名古屋では1500Vタップ(1KW)で問題ありませんが、念のため1200V(600W)にしてあります。
長い間のご愛顧有難う御座いました。今後観賞用の5T31/450THを発見した折には、そのオーナーに是非ともアンプ製作をお奨め頂きたいと思います。そしてその実例として当HPをご紹介下さい。それではVery Best 73 & 88!。
PS:本当は5T31の数字に因んで5月31日に最終回宣言したかったのですが、転勤等があり今日になってしまいました。なお、製作記を別の視点でまとめたものを出版に寄稿する予定です。


Jun 28. 2003

一度終了していた製作記ですが、上位管である7T40/1000THを入手しましたので再開します。管を差し替えてデータを取る予定です。写真の左が7T40/1000THで右が5T31/450THです。7T410/1000THは外観は5T31に酷似していますが、プレート損失が1KWありプレートや封入部の構造が頑固に作られています。結構使い込んである模様で、新品の5T31に比べガラス面がやや茶色っぽく見えます。フィラメント容量が若干不足ですが目を瞑る事にします。


Aug 2. 2003

5T31の代わりに7T40を組み込んでテストを行おうとしたが、ソケットの深さが非対応でこの目論みは見事にご破算になった。管のピン長が7T40はちょっと長いのである。ソケットがピンの底へ圧力を加えるタイプのため、使えないことが差し込む段になって判明した。バイヨネット方式なら使えそうだが、元々プレートと天板のクリアランスを稼ぐためにこのソケットを使用する事情があった。写真左は裸にしたアンプと手前に御役御免の7T40を入れたスナップ。右は5T31と7T40のピン長の比較。

このままケースを被せるのはしゃくなので高圧ケミコンの交換とプレートキャップのフィンを1段切断し天板とのクリアランスを増やした(筐体とのRF結合低減)。写真左は約1年半振りに取り出しケミコンを交換した高圧整流平滑ブロック。以前よりRubicon製を使っていたが、耐電圧の余裕度に疑問を感じNichicon製に変更した。容量は同じ470μF/450Vであるが、長さが約5mm長い。また基板面のアクリルカバーは撤去する事にして、4角のスペーサーも撤去しビス締めとした。写真右はフィンを1段切り落としたプレートキャップ(フィン)とその残材である。後方に見えるのは仕上げに使用したサンドペーパー。最終的にトランスのタップは1500Vとし、100Wのドライブで出力700〜800Wを確認した。


Aug 3. 2003

昨日から連続24時間の通電を実施(スタンバイ常態で)。室温は30〜35℃に及んだが、高圧整流平滑ブロックは問題無く動作している。
これをもって再び最終回とします。


Nov 24. 2003

2度にわたる最終回宣言を再び解除する。昨23日に電源を入れたら数秒後にタンク回路周りで2回スパークするのを覗き窓から確認できた。慌てて電源を切り、数分後再び電源を入れたら同じ様にスパークが1度発生したため中を調べる事にした。送信操作はしていないので単純なDCによるスパークと思われるが、果たして何故?。


高圧電源ボードや関係する高圧部分を追ったが発生箇所を見つけることが出来なかった。ふとプレートVCとプレートRFC間を結合する1000PF/5KVのドアノブコンの周辺を見るとなにやら怪しい。RFCからは真鍮板をL字に曲げていて、VC側はアルミのLアングル・・・この間にドアノブコンがネジ止めされているが全体に黒っぽい。良く見ると真鍮板には黒っぽい中に斑点上にピカピカな点がある。またアルミ側は溶けたような跡がある。これだ!。実は今に始まった事ではなく製作当初から電源を入れただけで発生するスパークを幾度か体験している。その積み重ねの証がこれか・・・。写真左はそのクローズアップ。また写真右はより間隔を開けるためにアルミアングル側削り落とした様子。これで間隔は約13mmになった。


写真は処置後通電中の5T31/450THアンプ。1時間程の通電を施し異常の無い事を確認した。なおこのスパークが原因でメーター保護ダイオードが身を呈して見事にメーターを保護してくれた・・・今後の交換が面倒なので10D10級に取り替えておいた。
これをもって再び最終回とします。


Jan 3. 2004

3度にわたる最終回宣言を再び解除する。2004年年明け早々に電源ヒューズが飛んだ。


余りにもシャックが寒いので1月1日深夜から連続30時間以上の通電をした1月3日の朝、試しに3.5MHz/850Wでキーイング(ダミーロード)を15分程度行ったら突然ボン!、トランスが音を立て電源ヒューズ(15A)が飛んだ。様子を見るためにヒューズを20Aに変更して電源を入れたら今度はテーブルタップのNFBが飛んだ。正月早々面倒な事が起きたと思いつつ渋々アンプを棚から下ろし中を覗いてみた。トランス回りの短絡を疑ったが全く問題ない。最後に高圧整流平滑ブロックを取り外しテスターで様子を見るとホット側のダイオード(UF2010x5シリーズ)が短絡状態だった。短絡だから正の半サイクルも負の半サイクルも平滑ケミコンが1500V巻き線につながり相当な負荷となる。ケミコンからはロウが溶け出して周辺にしみ込んでいたがコンデンサの機能は失われていないようだ。予備のダイオード(1KV/1Ax5シリーズ)に交換してOKとなる。しかし原因は何なんだろう?・・・24時間以上の通電で問題なく15分程度のキーイング中に発生したと言う事はRFに関係しているのか?。強いて言うなら高圧整流平滑ブロックの上はタンク回路になっているから、ここからRFが漏れて低周波でスイッチング(整流)中のダイオードに影響を与え導通状態を作ってしまったのだろうか?。もしそうなら、プレート電源のバイパスとでカップリング、高圧整流平滑ボード上面に金属板の取り付け等の追加が必要となってくる。或いは過去数回発生したホット側ケミコンの膨張障害で、ダイオードへのストレスが溜まりに溜まっていたのか?。いやキーイング中だからRFの影響が無いとは言えない。て事は両者が微妙に関係して競合的に発生したものなのだろうか?。色々と考察が巡る。
写真は取り外したホット側の整流ダイオードUF2010x5と絶縁に使用していたシリコンの伸縮チューブ。チューブはダイオードの発熱のためか、ダイオードのシルエットに従ったクビレがはっきりと出ている。
これをもって再び最終回とします。