FL-2100BにGU-74B/4CX800Aを組み込む(Feb 23〜. 2011)
関連情報
・・・
Yaesu FL-2100Z/Bのテストと改修
はじめに
2011年2月22日、JA9LSZから古びたリニアアンプFL-2100B(No.6G311111)が転がり込んで来た。FL-2100Zへのロシア球組み込みを耳にし、自慢のFL-2100Bにもその洗礼を浴びさせようと言うものだ。
実は2003年、ロシア球GU-74Bを組み込もうと入手したその後継機FL-2100Zが、ピカピカ状態でとても改修する気にならず、2006年そのまま友人へQSYした事があった。
そして2010年11月、再びチャンスが訪れ、遂にFL-2100Zにロシア球
GU-74Bを組み込んだ
。また2011年1月、更にFL-2100Zが転がり込み、これにも
GU-74Bを組み込んだ
。
そして今回、これらFL-2100Zでの好結果を受け、FL-2100Bにロシア球を組み込む改修サイトを立ち上げた。FL-2100Zではいずれも「ヘー」と言う好結果を得ており、同ファミリーのFL-2100Bにも興味が及んでいる。
FL-2100Zは八重洲無線最後の真空管式リニアアンプ。FL-2100Bはその兄貴分にあたり、機構的にも電気的にも共通点が多く同様な成果が見込まれる。また21MHzタンクコイルスはペースが広く、28MHzタンクコイルは線材が太い点もFL-2100Zよりハイバンドに考慮があり、50MHzバンドの組み込みにも拍車がかかる。
写真はFL-2100Bの勇姿。昔これに憧れた時代があった…。(2011.02.23)
FL-2100Bを観察する
早々に外観を見る。それなりに経年変化があり、電源トランスには赤錆も確認できる。 事前の動作テストを行ってきた様子で、400W程度は出ていたようだが、入力電力やバンドなどの詳細は不明。 FL-2100BとFL-2100Zで大きな違いは・・・
@1.9MHzとWARCバンドなし(初期型FL-2100ZもWARCバンドなし)
A入力π回路がμ同調(FL-2100Zは固定定数のトロイダルコイル)
BALC/RY端子がビス締めターミナル(FL-2100ZはRCA-JACK)
Cカバーが上下コの字型でない
DEp/IP・SWRメータの配置が左右逆
EカットオフバイアスはAC13V巻線を負1倍圧整流しリレー電源と併用。リレーに直列に挿入(スタンバイ回路)するVRで運用バイアス設定
Fリレーは1個で入出力回路を切り替え、バイアスは直接外部接点制御
GSWRセンス回路が同軸ライン
H21MHzコイルはスペース巻きで、28MHzコイルは線材が太い
I入力π回路に小型ドアノブコンとタイトボビンコイル・・・低Q回路なのに100Wドライブを前提にしたのか?
J出力コイルのシールド構造が異なり、FL-2100Bにはトップカバーが無くコイルが露出
K配線はFL-2100Zに比し遥かに丁寧
L出力リレーと同軸周りの剥き出し配線は伝統的・・・輻射の嵐?
MロードVCが2連・・・プレートRFCの移動スペースに自由度
NACラインのインターロックSWが無い
O入力同軸ケーブルに出力と同じ5D-2W・・・オーバースペック
PALCバイアス電圧(約3V)は高圧平滑コールドエンドブロックから抵抗分圧で得ている
Qスタンバイ端子にはEの如く負(マイナス)電圧がかかる・・・半導体制御は注意
R中和回路を設けてない
…などである。電気的な作りは当初同等と見ていたが、バイアス回路などで大きく異なっていた。(2011.02.23)
写真上は上下カバーと終段箱と後部箱のシールドカバーを外してポーズ。背景には既にGU-74Bが組み込まれたFL-2100Zが2式転がっている。
右は背面からのスナップ。後部箱にある入力π回路の小型ドアノブコン6個(箱上横にビス締め))が物々しい。1KV耐圧のマイカ程度でも構わないと思うのだが、どうだろうか。
FL-2100BはFL-2100Zと同系列なのだが、で良く見ると違いがあって面白い。電源トランスは同一のようだが、シャシ底のタンクコイルのシールドカバーはFL-2100Bには無い。(2011.03.01)
札幌のFDT-LABORにお願いしていたGU-74B(USED)が3本届く。(2011.02.24)
不用部品の撤去とソケット穴打ち抜き
不要部品の撤去を開始。後部箱のバンドSW他、入力π回路やソケット類は分解しないでその形のまま取り出す方が作業が簡単。
FL-2100Zの場合より出力タンクコイルスペースが広いためシャシが狭く感じる。このため89mmパンチは、Lラグやケーブルハーネスを周辺に寄せ、ギリギリに入る状況だった。
左はファンを外した状態。やはりFL-2100Zに比し出力タンクコイルスペースが広い。
左下は取り出した入力回路の塊。低Qのπ回路にタイトボビンコイルやドアノブコン等を使う八重洲無線の心意気を感じる。
しかしさすがにオーバースペックとコスト高と考えたのか後継機のFL-2100Zでは簡素化が図られている。
下は油圧パンチを当てて打ち抜き作業を始めるところ。シャシにスポット溶接した部材がありシャシ内が平らでないので、補助材等を挟みこむなどの工夫が必要。スペースが限られるので自ずと位置が決まってしまうため芯出しの必要は無い。
電気回路はイメージ中なので余計な部品まで外さないように気を付けた。回路は下記の総合回路図に随時記入(履歴無し)して行く予定。 (2011.03.03)
部品の実装始まる
左はフロントからのトップビュー。ソケット(SK-1A)を実装。4mm平トラスビスとΩ状スペーサーでパンチした89mm穴内側にSK-1Aを固定する。プレートRFCは外側へ18mm移動するために後部箱に4mm穴を開ける。その分カップリングコンが遠のくのでCu板でつなぐ。PSはFL-2100Z改修の余剰品を流用しプレートキャップAC-2を取り付けた。GU-74Bを差し込むと大分雰囲気が出て来る。
右はシャシボトムビュー。全体の位置関係が分る。RL1はオリジナル位置だとハーネスや出力RFCが窮屈になるため、思い切ってギリギリまで後方へ移動した。取り付けビス穴は後部箱内に開けた。ただしRL1周辺はノーシールドなので、まさに強電界の嵐。後部箱にEsg用トランスが見える。この感じだとEsg基板は後部箱、オンディレイリレーは高圧平滑部の側面(シャシ)になりそう。Ecg基板は強電界を嫌ってやっぱり後部箱内か・・・。色々と想像すると楽しい。
それにしても出力回路の剥き出しはどうにかならなかったものか・・・時代を感じるが、こんなもので本当に良かったのだろうかと・・・。(2011.03.05)
左は作業が進んだシャシボトムビュー。ソケット(SK-1A)周りの配線、オンディレイタイマーリレーの設置と配線、オリジナル配線の修正、その他(ブランクパネルあてがい等)などが行われている。
ソケットは従来の改修機と同じ方向で設置している。配線については全く気分でやっているが、RFやDCの電位差や温度差等を考慮して行っている。したがって、考えにブレが無ければ大体同じ配線になる。
オンディレイタイマーリレーは、取付金具の細工が面倒なのと整流器基板の横にスペースがあるため、シャシ側面から専用金具を金属ポスト2本(3mmビス締め)で浮かせ、横向きに取り付けた。
前項の写真と比べると判るが、オリジナル機は出力同軸の引き回しやシールド処理がオーディオ的。これを3D-2W相当の耐熱電線に変更しシャシ側面へ追いやった。また出力リレー周りの配線も見直しスペースを確保した。
なおSWR検知ラインから出力リレーまでの配線が、1.6mmスズメッキ線(白グラスチューブ)が10cmも剥き出し配線されており苦笑する。出力リレーの内部経路も同等にあるため、最終段で20cm程度の経路が剥き出しになっている事になる。シャシ内の輻射が相当量に達することは容易に想像できる。SWRの悪化を招き、アンプスルー状態でエキサイタのSWR表示は1.5(50MHz)もあった。何とかしたいが、今回のテーマではないので今は深追いしない事にする。
この後、Esg電源(別トランスとReg)とEcg(13V+6.5Vの負3倍圧とReg)電源製作と実装。リレー電源はオリジナルのマイナス電源流用。ALCバイアス電源もオリジナルの高圧平滑ブロック(最下段)からの抽出に依存しようと考えているが、ALCスレッショルは調整出来るようにしたいのでこの限りにあらずかも知れない。 (2011.03.06)
取り敢えず動くようにした。EsgとEcg、そしてRl電源を1枚の基板に組み込んだ。
簡単に動作テストを行う。7MHz/CWで50Wでドライブすると出力は850W程度に達した。3.5MHzはもっと伸びた。エキサイタ(IC-756)ATUはスルーである。入力SWRがやや高いが、ATU無しでフルドライブできている。
左は元々入力π回路部があった後部箱とシャシ背面。後部箱にEsgトランス(ノグチトランス2PMAT-15K)とEsg/Ecg/Rl電源基板を実装した。Rl電源はFL-2100Zと統一するために、正24V電源を組み込み、オリジナルの負12V電源(グリッドバイアス併用)は撤去した。小型24VリレーRL2が見えるが、RL1との立上り・立下り時間の調整が必要な場合は遅延用コンデンサを抱かせる。
下方に見えるLラグの部品はオリジナルのALC検波部品。シャシに追加したパンチ板の直下にRL-1があり、そこからCで結合する予定。ALCバイアスはオリジナルで高圧電源からの分圧に依存中。
バイアス設定VRはGND端子(蝶ネジ)の穴を拡大して取り付けた。GND端子はそのVR下方の元フィラメントRFC固定ビス穴を拡大して移動した。
右は7MHz/850W出力で30分の連続キーイングテスト中の改修FL-2100B。FL-2100Zに比べて7MHzの出力の伸びが良くないが、これは部品劣化か・・・。しかしそれでも850Wに達している。(2011.03.07)
左は後部からのフルショット。サーモSWは天板の内側へ変更し、リード線は天板とフロントパネル間の隙間から取り出し電源SWへ導いている。
この天板とフロントパネル間の約3cmの隙間の目的は一体何なんだろうと見るたびに首を傾げてしまう。
当然の如く隙間からはPLATE-VC、LOAD-VC、バンドSW、出力タンクコイルが丸見えである。この疑問に答えていただけるOMがいらっしゃったら是非助言を頂きたい。
なおビス類の殆どは鉄系の材料で錆を伴っている。錆落としはビスを金属缶に入れ、CRC-5-56等をたっぷりと吹きつけた後、ハンドシェイクしてイモ洗い状態を暫く続けるとピカピカになる。(2011.03.16)
7MHz/800Wで再び連続キーイングテスト。今回は60分。面白いことにトランスの鉄心は余り熱くならなずコイル部分が圧倒的に熱い。FL-2100Zの時は両者同じように熱かった記憶がある。本機の特徴だろうか。トランスの熱は短時間なら素手で触れる範囲だった。ちなみに巻線の電圧構成はFL-2100Zと同じ。RF出力の低下も無く良好だが、トランスがあの独特の匂いを放ってくる。しかしまずまずの動作である。
ただFL-2100Zの様に70W程度のドライブをしても1KWまでは伸びず900W程度。周辺部品か実装の問題と思われる。カソードRFCの磁器飽和も考えたが・・・Ipは伸びるので違うか?。要検討だ。
更に各バンドの動作確認をすると28MHzが昨夜初めて動作した時から不安定。接触不良か半断的な動作をする。終段箱天板の隙間からバンドSWを覗くと、何と28MHz接点が溶解している。ローター側は大丈夫だ。これかぁ!と納得。恐らくオーナーの仕業・・・572Bx2で28MHzコイルを短絡して50MHzにトライしたらしい。その時の寄生発振による放電か?。しかし弱った・・・さてどうする。溶解には至らないが明らかに放電で加熱したと思われる接点が他に2つある。
写真はやはりカットオフバイアス昇圧用に電源トランスに4T巻いた補助コイルの様子。隙間の位置の関係でこの様に斜め巻きになった。(2011.03.08)
バンドSW接点の復活を行う。前述の様に接点が溶解しているため、28MHzバンドの動作に不具合があった。バンドSWの未使用空き接点を28MHz位置へ移動し復活させた。詳細は末尾の
COFFEE BREAK2
に記述。(2011.03.08)
50MHzの同調点と28MHzでの最大同調周波数を確認する。SWRアナライザを出力側につなぎ、プレートに2.2KΩを装荷させて50MHzでSWR最小点を探る。
同調点は見つかるがSWR=1.15、どうチューンしてもSWR=1に落ちない。可笑しいと思い3.5MHz/7MHz/14MHzで試すが同様でそれぞれSWR=1.15程度ある。
過去の経験だとピタリとSWR=1に落ちる筈なのだが…何処かにリアクタンス要素が残っているのか。出力の安全RFCを疑い取り外してみるとSWR=1.1程度になった…意外と影響している。
しかしまだ納得が行かない。装荷した2.2KΩにリアクタンス分が残っているのだろうか。いやほとんどの場合VCで相殺される筈だ…あるいはDCブロッキングコンデンサの不良?…Qの低下はあっても整合は取れる筈だが、と思いが巡る。
初期の目的を果たせないまま作業継続中。(2011.03.10)
前項の様に気になる点もあるが50MHz動作を確認する。プレートに2.2KΩを装荷し、28MHzバンドでPLATE-VCを抜き切った状態で、LOAD-VCとSWR アナライザの周波数を可変して、SWR≒1になる最大周波数を求めると約34MHz付近まで上がりまぁまぁ…FL-2100Zと似たり寄ったりか。
続いて28MHzコイルにショートCu板を半田付けして50MHzバンドの整合点(SWR≒1)を探す。28MHzコイルの巻数は
FL-2100Zが5.5T
でFL-2100Bは5T。FL-2100Bは線材が太い分巻径が大きいのでインダクタンスは同等と思われる。当初はロード側から4T分ショート。しかしこれだとPLATE-VCがやや入る(1時半)方向なのでショートを3T分(写真)にすると抜け切る手前(2時半)へもって行くことができた。
これで25W程度のドライブで500〜600W程度の出力を得ることができる。ところがその時Ep=1900V、Ip=600mAスケールアウトで、効率は40%台と実用範囲に至らない。入力の殆どが熱になるため排出空気と電源トランスコイルの温度上昇が早い。
そしてIpのディップ点が分かり難く、LOAD-VCがローディングと云うよりチューニングと言った感触を受ける。またチューニング中、PSの抵抗が閃光を放ち一瞬で燃え尽きた。
この際、底カバーのタンクコイルへの影響を確認しようとカバーをビス留めした。ところが、カバーのパンチ面積が少なく吸気量が低下、GU-74Bの冷却不足(上記出力でキーイング中)を招いてしまった。気付くと、暗い部屋なのでプレートの一部が薄赤いことを目視。こりゃまずい!と思ったが既にダメージ(Ip低下)を与えた後だった。ややトホホだが、まぁ実験用としては使えるかと言い訳をして気を取り直す。セラミック球のプレート赤化を見るのは何年振りだろうか…。 50MHz化について現在の所見(私見)は以下の通り。
@出力経路が出力リレー周りで前後20cm程度剥き出し…Zが暴れノーマルモード輻射とコモンモード輻射(筺体駆動)を招く。スルー状態でもSWR=1.5以上。一度同軸化した経路が剥き出しになった分をタンク回路で強引に整合操作する疑問。
A曖昧なRFリターンルート…PLATE-VC、LOAD-VC、PLATE補助コンデンサ、LOAD補助コンデンサ、出力同軸で最寄シャシへ接地しているが、RFリターン回路として疑問。RFによるシャシ駆動でシャシ上に様々な電位差生成。効率の低下や不要結合(寄生発振)を招く。
B40%台のプレート効率…HFのπ回路を引きずり、これがつながっている以上ストレーインダクタやストレーキャパシタの影響は避けられない。随所にリアクタンス分が存在し効率を落としている。プレートダミーで出力につないだSWRアナライザがSWR=1に落ちない理由もこの辺りに有りそうだ。バンド切替え方法に工夫(タンクコイルをPLATE側とLOAD側で完全切替え)が必要と思われれる。
Cプレート負荷抵抗…28MHzコイルをショートして50MHz共振を得ることは容易だが、HFπ回路を引きずっている以上ストレーキャパシタが多く、共振時のプレート負荷抵抗値は極端に低下。低電力ドライブでもIpが容易にスケールアウトする状況になる。オーバーロードでGU-74Bの動作点として好ましくなく特性を引き出せない。このジレンマからの脱出はB末尾に記した方法しか無いと考えている。
DIpディップ点の近傍にIpピーク・・・明らかに目的周波数で正帰還がかかる感じ。チューニング点を探ると28MHzでも同様な状況になる。V/UHF帯の発振ではなく、目的周波数を増幅しているが、自己発振に至るレベルではない。IpとVCとの関係を監視していないと見逃す(出力ピークのみでチューニング)場合もある。やはりこれはGU-74Bが縦置きで、入力回路と出力回路がシャシ内で同居していることに剥き出しの出力配線が拍車を掛けた結果と思われる。
Eその他…オリジナリティは損ないたくないので、あくまでHF+50MHzで共存を考えている。
…等々と色々思いを巡らせてくれるアンプだ。(2011.03.11)
やはり入出力リレー周りの配線が気になり、剥き出し配線の同軸化や接地の整理を行った。
@リレー接点使途変更・・・八重洲無線の初期オリジナル(スタンバイ時に入力を接地)を止め、後期オリジナルに変更。
A入力リレー-GU-74B間接地変更・・・リレー側接地を最寄のボンディングから入力コネクタラグへ変更(入出力接地分離・出力側と共通Zになる可能性が高い)。
B出力リレー-SWR検知ライン間同軸化・・・10cm程度の剥き出し配線を3D-2W相当耐熱同軸へ変更。
C出力π回路-出力リレ同軸・処理変更・・・3D-2W相当耐熱同軸へ変更しルートをシャシ側面へ変更・シールド処理を最単に変更(既実施済み)。
これにより上記Dの28MHzにおける怪しいIpピークは解消した。
GU-74Bを組み込んだこともあるが、余りにもオリジナルのRF処理に「らしさ」が無く苦慮している。私見だが、まだFL-2100Zの方が考えて作ってあるのはFL-2100Bの反省があったのだろうと言ったらお叱りを受けるだろうか・・・。
何処かで前述しているが、まさしく「似て非なり」を感じている。機構改修から配線と作業は早く進みあっという間に(何も考えずに)終わるだろうと目論んでいたが、ここに来て「調査や開発要素」が見え出してきた。(2011.03.13)
どの程度の出力が取り出せるのか測定してみた。
ドライブ電力を上げるとIpメーターがスケールアウトするので苦肉の策を採用した。チューニングでローディングによりIpの量をフルスケール(600mA)に設定した時の出力を読むことにした。
ドライブレベルはリニアな領域と思われる30Wとし、エキサイタのATUをONとした。エキサイタはSWR=1になり良好に30Wを出力するが、各バンドのSWRは1〜2程度のバラつきがある。したがって最終的にカソードをドライブしているレベルも異なってくると思われる。表は測定結果を示したものだが、意外と揃っているので驚いている。
余りこの様なやり方の比較はしないと思うが、メータースケールがオリジナルのままなので止むを得ない。かと言って1Aとか0.8Aにしたら、今度は電源トランスに申し訳ない。(2011.03.14)
出力π回路配線の疑問
・・・オリジナルは、下の様に2連VCのステータを貫いたスズメッキ線につながった銅板が、タンクコイル端へ接続されている。 出力は銅板のコイル寄りから取り出している。
この場合コイルとバンドSW間が延々とした経路(銅板+スズメッキ線)となり、バンドSWショートバーでコイルを短絡しても大きなリードインダクタンスが残る。これは気持ちが悪いので左の様に銅板を直接バンドSWへ配線した。何故この様な配線になったのかその理由を知りたい・・・。
それからロード補助Cへの配線。白グラスチューブ線が2連VCを跨いでいる。普通はこの様な配置や配線はしないのだけど・・・。(2011.03.17)
28MHzで入出力ヒステリシス
・・・28MHzの正帰還動作と思われる出力最大点付近のIpピークは押さえられた。 ところが、エキサイタ出力を絞ったとき出力がそれに連動して低下しないことを発見。 一度送信を止め同じエキサイタ出力で再送信すると、何と上記の出力に満たない。 入出力関係にヒステリシスがあるのだ。 他のバンドでは問題ない。何からの発振要素が潜んでいると思われる。 エキサイタ出力を上げて行く時の出力変化を注意深く観察すると、やはりピョンと飛び上がる現象を確認できる。 広い意味では発振に相当するのだろうが…中々楽しませてくれ、容易には終わらせてくれない。 RFの一部がEsgやEcgデバイスへ回り込み誤動作を誘発させている可能性も否めない。(2011.03.18)
冷却対策
・・・底板とファンのクリアランスが殆ど無く、底板のスリットからの吸入には限界がある。それでファン位置に合わせ底板に直径89mmの丸穴を開けた。
これにより吸入が完全になった。また排気側も考慮し終段箱の天板と上カバーについてもこの後検討したい。
左は底板に開けた直径89mmの穴。ファンはIKURA製200V仕様で、予定のSUNON製より風量が2/3程度と少ない。
底板にはファンガードをあてがう予定。このスリットだと、ファンとのクリアランスを相当に取らないと吸入量が伸びない。お恥ずかしい話だが、先日不注意でGU-74Bのプレートを薄赤化させてしまった事情が伺える。
少なくともファンの回転を検知しない限り、絶対に送信へ移られない回路にしておくべきだろう。ちなみにこのIKURAのファンは回転検知出力がある・・・しかしもっと風量が欲しい。
FL-2100シリーズのファンはシャシに取り付けてあるが力が弱く、上下のカバーと終段箱の天板により対流が妨げられ冷却効果が極端に低い。
これもこのシーリースの疑問だが、もう少し堂々とパンチするか力のあるファンを組み込んでも良かったのではと思う・・・騒音対策は確かにあるが。(2011.03.13)
底板のファン穴に安全用対策でフレキシブルブッシングをはめ込みファンガードを取り付けた。
フレキシブルブッシングは不要かも知れないが、スリット部をパンチしているので、暴れないようにするのと指や手に引っ掛かりを気にすると予防保全したくなる。
底板は鉄板で厚さ1.2mmある。ファンガードの固定は写真の左上1ヵ所のみ3mmのタップを立てビス締め。その他3ヶ所は吸入穴のスリット(3mm幅)を利用し3mmビスとナット&スプリングワッシャで締めている。
これで送風ファン周辺の環境は完璧になった。
7MHz/800W出力で数分間キーイングするとあの独特のエキゾースト臭を体感することができる…これは写真や話だけでは分からないが。信頼の臭いか…。(2011.03.20)
テフロンチムニーを製作・実装
・・・テフロンシートは横浜の
村上電業
で1mm厚のモノを100mmx1000mmで切り売りしてもらった。 当初は送風をプレートフィンへ強制的に導く円錐筒形で加工する予定でいた。しかし、スケールファンのCFM量を考慮するとファンからの空気を自然に上昇させるのも手かもしれないと、ファン穴サイズ89mmでストレート方式を試してみた。
GU-74Bのプレートフィン直径は71mm程度あるので、チムニーとプレートとのクリアランスは8mm程になる。テフロンシートのつなぎはステンレス製ホッチキスで行う。ホッチキスの幅でのりしろを作ると良い。
固定は、チムニー上部4角に1mm穴を開けてスプリングを掛け、反対側は卵ラグでシャシ(ファン取り付けネジ位置)へ引っ張り込んだ。左は製作したチムニー、下は実装した様子。
円錐筒形
は長尺円カッターの到着を待って試してみたい。この場合の固定はプレートに鉢巻き上にしたガータースプリングで行う。(2011.03.21)
出力リターン回路の見直し
・・・出力タンク回路のリターンルートがシャシを駆動し、発生したRF電圧が入力側へ帰還している感が強い。28MHzでのピョン動作や入出力のヒステリシス関係はそれを連想させる。PLATE-VCとLOAD-VCの接地(フロントパネル)も曖昧である。
何方がやられたのか分らないが、PLATE-VCのコールド側を、太目のビニル電線でシャシへ側へ数cmで引き込み、Ipシャント抵抗と共にボンディング接地されている。572Bx2の動作でも不安定であったのかと想像させる。
そこで思い切って銅シールによるリターン回路の強化を図った。写真左は出力タンクコイルの鉄シールド板内側全面に貼った銅シール。PLATE-VCの接地はこのシールの右端で行いフロントパネルへの接地は撤去。出力同軸も銅シールの左端に接地。中央付近は写真下の様にシャシ上面へ折り込む形で銅シールを貼りつなぎ、GU-74Bのソケット接地付近へ返している。LOAD-VCはパネルにビス止めなので気休めだが2mm銅線で返している。銅シールのつなぎ目はハンダを長して電気的につなげる。
これにより今までの不安定な現象は一掃された。<2011.03.21)
SK-1Aソケット固定ワッシャー変更
・・・SK-1Aの固定穴は、89mm穴の丁度内側に収まる。前述では1.6mmスズメッキ線をΩ型に丸めてシャシ厚1.5mmまで、固定用ビスとナット(4mm)を締めこんでいた。しかし接触面積的には余り好ましい方法ではないので一工夫した。
左の様な角型ワッシャを1.5mm厚アルミ板で製作し実装した。完全な角型ではなく、一辺は89mm穴の内径に馴染むようにRを付けている。
下は実際にSK-1Aを固定したビスとワッシャーの様子。何しろここはDCとRFの関所、精神的にも大分楽になったHi。
本来ならシャシに取り付け部分を残したいのだが、工作し易くするための丸パンチではそれが叶わない。RF的な接触抵抗も気になるがHFでは問題ない・・・むしろ出力タンク回路のリターンルートの方が影響大だった。
ところでファンサイズを下げパンチ穴を80mmにしたらそんな面倒な事をしなくても良い様に見える。しかしファンを80mm角へ下げるとACファンで50CFM以上を得ることが難しい。DCファンにしてCFMを上げる方法もあるが今度は音が煩くてダメ。スケールファンで直に煽る造りには、92mm角ファンは丁度良いサイズなのだ。<2011.03.27)
高圧トランスの補完テスト
…写真はFL-2100BにFL-2100Zを腹合わせに寄せて
テスト
している様子。
1次200V巻線と2次850V巻線を完全に並列接続する。左がテストするFL-2100Bで右が外部トランスとしたFL-2100Z。
FL-2100Zの上に置いてあるのはオンディレイリレー。整流・平滑回路が生きない様に外してある。
7MHzで試すと容易に1KW出力を達成。この時無負荷Ep=2330V、無入力Ep=2260V(Bias=100mA)。CW/60W程度でドライブすると、Ep=2100V、Ip=570mA。表示はFL-2100Bのメーターによる…ただし写真の様に90度起こしている。
もう少しEpを欲しいところだが、電源トランスの発熱は大幅に軽減される。
細いワニ口リードでつないでいるので、正規の電線で半田付けすればもっと改善されるかも知れない。
また外部に例えば複数(2個以上)のトランスを用意すれば電圧降下も更に抑えられ好結果を期待できる。
新規にトランスを巻くより、JUNKのFL-2100B/Zを探してトランスを投入する方がリーズナブルかも知れない。 (2011.03.29)
気になる出力リターンの変更再び
・・・出力同軸・ロードVC・ロード補助Cを見ていると気になって仕方ない。それぞれ接地点はシャシ底・終段箱側面・フロントパネルに分散している。同軸芯線はロードVCから取るべきところを3.5MHzタンクコイルタップとバンドSW間を結ぶ銅板のコイル寄りから取っている。しかも配線が長い。
これには馴染めず左の改修を加えた。すなわちロード補助CはロードVC筺体(3mmx2ビス締め)から出したL型真鍮金具(9mm幅)に取り付け、出力同軸(3.5D-2V/QEV)のシールドもそこへ共締め。同軸芯線はロードVCへ最短接続。補助VCもバンドSWから最短接続。
下は出力リレー周りの様子。青色C(≒20PF)はブレイク側とGND間に入れ、アンプスルー時にリレーによるSWR上昇を補償するもの。50MHzでSWR=1.5以上ある状況をCの装荷でSWR=1に抑え込む。
タンク回路は定在波の嵐。線路長があればホット側でもリターン側でもお構いなしに電位差を作る。ある点だけで放電(高電圧)したり、異常に高温(大電流)になったりもする…他にもっと狭く細い場所があるのに。条件が揃えば発振器に化ける。目的周波数付近もあるし全く違う周波数も…勝手に発振したり入力やスタンバイがトリガになったりと。だからRFアンプは面白い。
(2011.03.30)
外部高圧トランスによるテスト
・・・先日別機FL-2100Zの高圧トランスを並列接続し出力改善を見たが今回は外部トランスで確認した。
用意したトランスは1KV/1.2KV/0.8A(西崎電機EIコア)と1KV/0.4A(国際電気カットコア)の2機種。FL-2100Bのそれより若干大きい。FL-2100B高圧トランスのホット側は半田付けを外しワニ口リードで1次側と2次側を配線。
7MHz/CWで50W程度のドライブで600mA(フルスケール)までローディングした時の出力比較を行った。1KV巻線では約1KW(両トランス、Ep≒2050〜2100V)を確認。1.2KV(西崎電機、Ep=2500V)では1.2KW出力を、1次タップを操ってEp≒2200V程度に落とすと1.1KWを確認。
念のため1.1KWで10分間の連続キーイングを行ったが異常は無く出力低下も見られなかった。
これら数字はIpメータが読める範囲である600mAのローディングで比較しているので、最大出力まではまだ余裕があると思われる。 28MHzもほぼ同じ動作を示すことから、テストしていない他のバンドも同様と思われる。
プレート損失は横ばいで極端な発熱増は見られない。ただ出力カバーは外しているので、実用に供するには排出口の通風改善が必要と思われる。
写真は作業風景。左に接続した
西崎電機
のトランス、左奥に国際電気のトランス(ビニール被り)が見える。(2011.04.03)
気になる部分の改修
・・・FL-2100BはスタンバイとALCの端子がネジ締め式だ。その後FL-2100ZではRCA-JACKに変更されている。このままだと不便なため、端子台からネジ部分を取り外し新たにRCA-JACKを取り付けた。取り付けにはベーク板の穴をリーマーで拡大する。左はRCA-JACKに交換し配線を済ませた様子。オリジナルのGND端子はそのまま生かした。
また過去にも記述したが、鉄パンチ天板のフロント側が凡そ20m程足らず、VCやバンドSWが丸見え状態だ。どうしてこの様な状況になったのか訳があるなら知りたいところだが、RFモロ漏れ状態は不要輻射や人体への影響も気になる。ひょっとしたら設計ミスのままリメイクしなかったとか・・・。それでアルミアングルを当ててシールドを施した。固定は3mmのタップを立てビス締めとした。ちなみに後継機のFL-2100Zは全面を天板がシールドしている。下はその様子とRCA−JACKの様子が確認できる。(2011.04.06)
ALCレベル設定VRの追加…
出力電力の管理上、エキサイタへ返すALC電圧は微調整したい。 FL-2100Bは、高圧平滑ケミコンのコールドエンドブロック(Ep/6)を2.2KΩと220KΩで分割しEp/600を生成、これをALCバイアスとして検波ダイオードへ与える。無負荷時はEp=2.4KVあるが負荷時はEp=2KVを割るから、バイアスは4〜3V辺りを変動する。この電圧を検波出力が越えるとALC電圧(負)が出力されエキサイタの出力制限を行う。RF検出はGU-74Bの駆動ラインから5PF/50PF比で分割しダイオード検波している。
現状の動作をみるためにIC-756をつなぎ7MHz/CWでテストした。アンプは50Wのドライブで900W程度まで伸びる様にチューニング。IC-756の出力を最低から徐々に上げると30〜40W辺りで制限が掛りアンプ出力も750W程度に抑えられた。現状のバイアス電源である程度の制御が可能だ。不足したら2.2KΩを調整する。左はVRを配しレタリングを施したシャシ背面。
ちなみに制限時のALC電圧は-1.5V程度だった。下は過去に測定したIC-756のALC特性。-1.5Vだと40W手前を示しており上記テストに酷似している。当初リレー電源の利用を考えたが、軽負荷のVR(20KB)で受け可変出力をケミコンでリップル除去してバイアス電源として使うことにした。(2011.04.07)
高圧ケミコンを交換…
やろうと思っていても後回しになってしまう高圧ケミコン。意を決して6個全て交換した。
オリジナルは100μF/500WVだが、入手の関係で470μF/450WVを組み込んだ。入手は新生金属工業から。
プリント基板に多量の半田を流して固定してある。取り外し作業で基板の銅プリントが剥がれてしまわないように注意する。
左は作業中のスナップ。旧ケミコンの状態は悪くなくまだ使えそう。ただ470μFの効果には及ばないのでここではお役御免だ。
これによる改善はIpを多量に流した時の出力波形のリップルが改善されるが、完全な直流トーンにまでは至らない。 (2011.04.09)
どうも可笑しい28MHz…
左は28MHzでCW/800W出力の波形。そしてエキサイタ出力を落として400W程度にすると下の様に妙な波形になる。これって一体何?。試しに21MHz以下のバンドでは発生しない。よく見るとIpの動きも妙で、低下せずむしろ上昇傾向。そしてプレート損失がスゴイ。可笑しい、寄生発振が未だ居る!。アース周りの強化を図ってきたが更に問題がありそうだ。出力剥き出しの近くに3端子Reg等のアクティブデバイスがあり影響を受けているのかも…。そこでEcgをオシロで見ると、送信時この波形のエンベロープと酷似した成分が乗っている…これかぁ。リレーや出力コネクタ付近をアルミ板で覆ったり、底蓋の固定の仕方でも波形が変化する。もう終りにしようと思っていたのに…。(2011.04.10)
気になる28MHzコイルと配置…
全項とは直接関係ないと思うが、実は28MHzコイルとその取り付け場所を変更した。その理由は、28MHzコイルと底蓋及びシールド鉄板とのクリアランスが余りにも狭いから。コイル線材分有るか無いかの狭さである。それから3.5〜21MHzコイルを延長した配置のため相互干渉と経路が長い事も気になった。そこで写真の如きコイルを巻きDCブロッキングCとタイトボビン(21MHzタップ)間に実装した。インダクタンスは0.6μH。線材は4mm銅パイプでオリジナルの5mmより細い。しかしFL-2100Zはこれより更に細い。外した状態でオリジナルと同じインダクタンスになる様にピッチ等を調整する。この変更により28MHzにおけるタンク回路の経路長が改善された。チムニーは円錐筒型に変更されている。(2011.04.10)
終段箱内の放電で不具合発生…
4月10日深夜25時半。帰宅後に電源投入すると高圧投入のタイミングで終断箱内で放電。火花とバチッバチッ音が数秒間に数回散り静かになった…気付いて電源を落とす間もなく。Ip/SWRメーター、IpシャントR、ALCバイアス生成分割R(R2)、アブソーバR(セーフティR)が破断・焼損。4月20までに復旧させた。その模様は下記COFFEE BREAK3-5に記した。
事の原因を考察するのだが、決定的な放電痕が確認できず特定出来ないでいる。いずれにせよ、最初の放電でアブソーバRが破断せず、破断まで数秒に及んだため高圧リターン回路部品(メーター・シャントR等)に障害が及んだ。
プレートRFCには異常が見られないので、アブソーバRの剥き出しリード線が、作業中にシャシに極力接近していたのではと推測。当日昼(12時間前)のテストで発覚しなかった理由は、昼より深夜の受電電圧が上昇ていたとしか考えられない。
高圧回路はこうしたヒステリックな現象や電荷レベルの動作があるので予断を許さない。(2011.04.21)
終断箱パンチ板に丸穴開けとネット組み込み…
GU-74Bからの排熱をより効果的にするためにパンチ板に76mm径の丸穴を開け、ダイアプレスの鉄ネットを取り付けた。
左はパンチ板に76mm穴を開けている様子。下は穴あけ後ネットをブラインドリベットで固定した様子。
これで随分風通しが良くなるが、課題はキャビネットの痛風。天板から5mm程度のクリアランスがあるが、スリット状の穴しか開いていない。やはり丸穴を開けてファンガードかネットを取りつけたくなる。
(2011.04.24)
トップカバーにも排気孔とガード…
終段箱の天板に排気孔を開けネットを張ると、どうしても一番外側のカバー(キャビネット)にも穴を開けたくなる。
実際にプレートに600W程度の損失を与えると、吹き上げる熱風の行き先が不鮮明で困惑する。カバーのスリットのどれかをすり抜けているのだろうが自然の流れとは言えない。
そこでカバー上部に76mm径の排気孔を開けガードを取り付けた。吹き上げる熱風は心地良く丁度緩いヘアドライアーを浴びている感じだ。
写真左はFL-2100B上部カバー、下は排気孔のクローズアップ。ガードは80mm各ファン用のものを利用。排気孔は天板排気孔の真上に位置合わせをしたが、ガードはスリットとの関係でやや回転してしまった。ビス2本はタップ立て、残り2本(スリット部)はナット締め。(2011.04.27)
50MHzバンド機能の強化(バンドSW交換とVRL実装)・・・
50MHzの組込みに拘り、6接点目のあるSWを実装した。SWはJA1IIV窪寺氏の頒布する7接点のモノを流用。このSWは優れもので、ストッパービスの位置を変えることで6接点に変更できる。またプレート回路のストレー容量が、球側(RFC含む)で20PF程度、VC以降(VC最値最少)で20数PFもある。合計すると50PF近い容量となり、これでは50MHzのGU-74Bへ適正負荷を与えられない。仮に同調できてもQの低下が激しく効率が上がらない。それでプレートVCの接地側に直列容量22PFを挿入しVRL(真空リレー)で22PFを開閉する。すなわちHFではスルーだが50MHzではVCと22PFの直列容量とし難を軽減する。VRLはバンドSW接点を利用して開閉する。また430pFx2のロードVCは50MHzでは重すぎるので半分に分割する回路にした。これもバンドSWのお世話になった。
写真左は作業風景、下は実装後の様子。50MHzタップ出し(約2KΩ)とプレートVC直列C・VRLの様子はこの角度からは見えない。
・・・しかしこれだとVCシャフトが50MHzで電位を持つしVC自身のストレー軽減には余りつながらない・・・22PFはホット側に入れなきゃいけないか・・・後で考えよぅ。 (2011.05.08)
怪しい出力波形の原因・・・
2011.04.10に記した出力波形の矩形化。実はEcg波形も同様でしかも同期していたのでEcgの3端子RegLM337HVにRFが回り込んでいると直感。この現象は28MHzと追加した50MHzで発生している。それで確認のために整流器とケミコンのみのシンプルな外部電源を用意してつないでみた。結果は良好で予想通りだった。LM337HVのRFバイパスを強化するかパッシブ回路にする等の対策が求められる。
写真は中村理化の真空管用電源PS-2からEcgを供給している様子。
これで28MHzと50MHzの動作が安定した。50MHzはプレートVCを小容量化する機能が功を奏している。しかしその分タンクコイルからの発熱が非常に多い。500W程度で数分間キーイングするとコイルタップのハンダが流れ出す勢いがある。28MHzとは分離し専用コイルにする必要がありそうだ。そう言えば10年程前に製作した
マルチバンダー
でも同様で、50MHzコイルを独立させた事を思い出している。(2011.05.15)
紆余曲折・・・
実は前項の出力波形の矩形化はEcg上昇を招き不要なIp増加とDC損失を招いていた。RFドライブに連動するので寄生発振かと思ったがスペアナで高調波や近傍の状況を見るが全く問題ない。可笑しい!となったが、先に3端子Reg周辺を疑えば良いものを初期段階でパスコン補強をしていたので確認が後回しになった。
その間回路をGKへ変更、出力リレーをアルミ板で分離、入出力結合を嫌い入力リレーをスルー、Sgバイパスを強化・・・等を試したが灯台下暗しだった。リレーの入出力容量で問題ないのだからアルミ板など全く無用・・・上手く行かないと理論を忘れ何にでもすがりたくなる悪い癖が出て恥ずかしい。
結局後部箱とシャシの2点で行われていたEcg・Esg基板の接地で前者を止め後者のみの1点接地で解決。筐体上のRF電位差に3端子Regが反応していた模様。RFって面白い。
写真はGKで様子を見ている様子だが、回路方式には依存しなかった。ソケット上にCg終端50Ωダミー抵抗が見える。実は放熱不十分でチップを飛ばしている。この実験では、ダミー終端のGKは入力整合が容易だが、Epが低い場合のドライブ電力の有効活用、ダミーと放熱器スペースの確保を考えると、現状では GGが勝っていると結論。
なお右端にプレートVC直列Cを開閉するVRLが見える。この後は50MHzコイルの独立と放熱対策に作業が進む予定。 (2011.05.16)
Ecg回路方針変更・・・
前項で記した通り、28MHzや50MHzにおける出力波形(エンベロープ)の矩形化の要因は突き止めたが、侵入路についてはアース回路以外に未だ要素が有りそうだとテストしていて判明した。底蓋の取り付け状況などで微妙に変化する。
それで、抜本的対策として遂にLM337HVに見切りを点ける事にした。総合回路図に示す様に33V/1Wツェナー(1ZA33A)を2個直列にしたシンプルな構成に変更する。
外部にワニ口リードによるバラック状態で組み供給すると良好に動作する・・・当たり前だが。
スタンバイ切替えはボード上の24Vリレーのメイク接点路利用する事にした。
FL-2100Zではこのような事は無かったのが不思議な位だが、やはりFL-2100Bのシャシ内は不要輻射と異種電位の嵐か・・・。 (2011.05.17)
Ecg基板の変更・実装とテスト・・・
変更した総合回路図に従いEcg電源をバラック状態から基板へ移した。
これによる待機状態と運用状態のEcg電圧を総合回路へ記入。受電電圧の変動もあるのであくまで参考。
気になるEcgの安定は、待機時も運用時(28MHz/800W出力)も-60Vを示し安定であった。800W出力時でもEcgのDC変動無いので電源Zをこれ以上下げる必要も無いだろうと考えている。
なお今回の変更の副産物として、出力波形のエンベロープが非常に綺麗になった。恐らくこれはLM337HVがRFを浴びることで、色々なノイズ成分を発していたものと推測できる。
十分なRFシールドとバイパス或いは接地電位の管理が成された環境では3端子Regの効用は絶大だが、元々非常にアバウトな構造のRF環境では十分な検討が必要という事だろう。本末転倒になる様相を招きかねず、今回の変更は総合的に見て正解と言えそうだ。(2011.05.18)
お恥ずかしい余談・・・
これで50MHzに専念できると状況の確認を始めた。と、ところがまたしても妙。スタンバイSWをOPERにして送信動作させスタンバイSWをSTBYに戻す。その状態でエキサイタのみ送信にしてキーイングすると何とIpが流れる。FL-2100Bはスルーの筈でGU-74Bは間違い無くカットオフになっているのに…。 調べたら何と真空リレーの電源をPTT端子から取っていた。どう言う動作になっていたか考察する。 バンドSWを50MHzにするとRL1とRL2の並列経由でVRL(真空リレー)に電源が供給され、電圧は低いもののVRLは動作する。しかしRL1とRL2は動作電圧に至らず動作しない。 次にエキサイタから送信制御(接地)があると、PTTラインが接地され、RL1とRL2が動作し送信状態になる。同時にVRLへの電源供給は閉ざされ、VRLは復帰しプレートVCに直列挿入したCをショートする。今まで50MHzではCが挿入されているとばかり思っていたが、実はショート状態でHFと変わらない状況だった。VCの可変範囲に大した変化が無いと思っていたが、それは当たり前のことだった。 次にSTBYに戻すとここで奇妙な動作。元々24V小型リレーだったEcg制御のRL2は復帰するが、入出力切替えのRL1は復帰せず辛うじて送信状態を保っていた模様。RL1は12Vパワーリレーで直列挿入したR で電圧調整しているが、動作速度を上げるために電圧をやや高め(15V)に設定している。こうした理由から復帰に必要な最低電圧を上回りSTBYに戻れない状態になった。 配線を修正すると当然の如く所期の動作を示した。 リレーには動作電圧と復帰電圧にヒステリシスがある。余りやらないが、この特徴を意識的に使ってヒステリシスな制御をすることも出来る。(2011.05.19)
ようやく50MHzバンドに専念・・・
出力約500Wのキーイングで現状を観察した状況を以下に記す。 @プレートVCノブ発熱→直列Cの挿入位置をプレートVCホット側へ移しコールド側は直接地
Aタンクコイルの発熱→タンクコイル表面積拡大でRF抵抗値減
B時間経過で同調周波数ズレ→C類の容量アップとタンクコイルの発熱軽減で効果
C出力400W程度から出力エンベロープにキザ→Ecgバイアス回路へのRF回り込み対策再び(とにかく剥き出し出力配線とEcg/Esgが近い)
D直列共振要素→これは難しい問題、タンクコイルをそっくり入替える機構にするか容認 ・・・ざっとこんな状況だが、対策する術はあるので一定の改善は見込めると考えている。 写真は背面からのスナップ。受電電圧変更端子板は200V専用に配線変更し撤去。出力回路とEcg/Esg基板間はアルミパンチ板で仕切られている。ALC用RFはパンチ板を貫通している。(2011.05.20)
50MHz出力エンベロープのギザ対策・・・
28MHzでの対策で完了したかと思ったがしつこい。28MHz程は酷くなく、矩形ではなくパルス状だ。これが始まるとプレートの発熱が上昇(28MHzと同様)しプレート効率が落ちる。それで・・・ @後部箱内アルミパンチ板に銅シールを張る
これで若干の変化があったが解決に至らず。
ACg接地CのFB801撤去
何気なしにファンを外して部品を眺めていると、C(220PF)シルバードマイカに通したFBにパラフィンが溶け込んでいる。FB801の発熱でCのパラフィンが溶けたものだ。何らかの不具合要素になってると感じ撤去すると問題解決。非常にに綺麗なエンベロープとなった。
この発熱でFB801の透磁率が変動(低下)しCg接地容量に変化を与えていたと思われる。
B更にCgアブソーバ抵抗(3.3KΩ)撤去
これは直接問題ないがソケット周辺の風通しを良くするために実施。 ・・・これでエンベロープのキザ問題は解決。50MHzでの動作が非常に安定になり500W超を良好に出力する。ただ効率が50%程度でHFに比べると相当悪いため、前項記述の様にタンクコイルのRF抵抗低減やプレート回路のストレー容量対策が待たれる。(2011.05.22)
VRLの位置を変更・・・
現在プレートVC直列CはプレートVCのコールド側に挿入している。HFではCをVRLで閉じているので問題はないが、50MHzではVCローターが浮くので同調ツマミが静電誘導され熱を持つ。人がこれに触ると更に発熱すると共に同調周波数を変化させ人体からの輻射が始まる。
理科の実験をしている様だが危険なため、VCのコールド側は直接地し、直列CはプレートVCのホット側に変更する。
このためには終段箱側面に16mmの穴を開けVRLをそこへ移す。受電電圧変更端子板は既に撤去しており程ほどのスペースが確保できる。
現在実装している28/50MHzコイルは4mm/Cu素材。28MHzでは良好だが50MHzでの発熱は大きく500Wキーイングを続けると半田が流れ出す。50MHz用を分離し表面積を拡大したコイルにしようと考えたが手元に適当な材料がないこととスペースの問題がある。そこでオリジナル28MHzコイル(5mm/Agメッキ/0.6μH)の再利用を試みるがコイル径が大きく難儀。
それで金属棒を芯にしてコイルをしごきながら径を縮小させる。径が減るとインダクタンスも減るが巻数が増えインダクタンスは確保される。微調整はコイル長で行う。
VRLはカップリングコンと同じ高さに取り付ける。カップリングコンとの間に真ちゅう板(9mm幅)を渡し、途中からタイトコイル間に28/50MHzコイルを縦に配しビス締め。
28MHzの動作確認ができたらいよいよ50MHzのタップ出し。SWRアナライザをANT側に、プレート側には2KΩ程度のダミーRを取り付けて行う。プレートVCが入り切る手前の良き位置で周波数50MHzにてロードVCとタップ位置を調整しSWR(≒1)を得る。概要を掴んだ後、リードを含めプレートVCとロードVCが良き位置になる様に総合的に微調整する。
HFも含めタンク回路は狭い箱に詰め込まれているためストレー容量は想像以上に多い。カップリングコンを境に球側及びプレートVC側でそれぞれ20PFを超え合計すると40PF以上になる。球側は変え様がないのでプレートVC側を半分程度に減じる事でプレート負荷抵抗値の向上を図る。
この処理により・・・
@周波数変化に対するVC角度が大幅に拡大され同調操作性改善。
Aバンド外への離調度激減でチューニング時の寄生発振発生低減。
ちなみにテストでは直列Cを22PF/6KVとしたが、これで4MHz以上の可変範囲がありまだ余裕がある。恐らく15PF程度にすると丁度50MHzバンド一杯がカバーできると思われる。
もとよりFL-2100Bの50MHzでの現状はHigh-C/Low-Lのプレートタンク回路。
HFと同等にするには適正な切替え機構によるストレー容量からの回避、そして更なる低RF抵抗材料のコイルが欠かせないだろう。
HFと同等の動作などは望むべくもないが、それでも600W超/50MHzの能力が組み込まれていることは嬉しい。
写真左上は新たに実装した28MHz/50MHzコイル。考えられる最短ルートはこのようにコイルを縦方向に置き、50MHzタップはバンドSWの直近に持ってくる。真ちゅう板がカップリングコンとコイルそして左端のVRLを結んでいる。
写真左はそのコイルのクローズアップと50MHzタップの状況。リン青銅板でリードしている。右がプレート側で左がロード側。FL-2100Bのオリジナルコイルを手直ししている。(2011.05.24)
一晩寝かせて50MHzバンドテスト・・・
翌朝通電し同調ズレや出力変化などを確認すると全く同じ状態で立ち上がった。
ちなみに
40W入力で出力600W、Ip=580mA、Ep=1900V、入力SWR=1.1。
入力を50W程度まで上げると出力は700W近くに上がる
が、600mA/FSのIpメーターはスケールアウトし、Epは1900Vを割る。容易に電源トランスの限界を超えてしまうので、HFとは別物とする注意が必要。
左はVRL側から見たタンクコイルとプレートVCにバンドSW等。カップリングコンからVRLへ渡す真ちゅう板はコイルを支えその放熱も担う。
VRLに取り付けた黒い部品がプレートVC直列C。この環境でプレートVCのストレーを減らす方法は他には考えられない。
下はバンドSWの50MHzポジション(6)と50.5MHzで600W出力にチューニングした時のPLATEとLOADの各ノブの様子。プレート直列容量を10-15PF程度に減らすとPLATE-VCをさらに良い位置へ持って行ける。LOADはVCを430PXx2からx1にした効果が出て程良い位置だ。これら作業によりプレートVCによるIpのディップがはっきりする様になった。(2011.05.25)
50MHzバンドタンクコイルの放熱…
タンクコイルの放熱には工夫が必要だ。 発熱はRF抵抗値の上昇を招き出力低下など悪循環を招く。以下に対策のポイントをまとめてみた。
@コイル素材の改善…サイズ・質量・メッキでRF抵抗低減
A28MHzコイルの併用…28MHzコイルを放熱器代わりに
B配線に銅・真ちゅう板を使い放熱…対流により相応な放熱
C送風で放熱…底にファンを設置
*タンク回路は電気回路に併せ放熱回路も検討する必要がある。
このプロジェクトでは@〜Bは考慮したが、Cについては未対応。
もしやる場合は小型DCファンをオリジナルの28MHzコイル位置に上向きに取り付け、電源はVRLと並列に接続すればよい。50MHzバンドのみファンが駆動して50MHzコイルや配線材料を冷却する。(2011.05.30)
全バンドの入出力・・・
エキサイタ出力50W(ATU入)、Ip=600mAでローディングさせた時の出力を表にまとめてみた。ローディングは最大出力ではないので、Ipメーターのスケールアウトを無視すれば出力はこれ以上の値になる。WattMeter=Bird4410/43、DummyLoad:Bird8404、Oscilloscope:Tektrnix475、Speana:AdvantestR4131A。(2011.05.27)
WARCバンドの動作・・・
WARCバンドの動作状況を確認した。下の如き状況である。
@10MHz・・・14MHz及び7MHzで同調を得る事が出来ない。
A18MHz・・・21MHzバンドで同調を得る事が出来る。但し出力は上記条件で700W程度。
B24MHz・・・28MHzバンドで同調を得る事が出来る。但し出力は上記条件で700W程度。
交換実装したバンドSWは7接点でストッパービス位置を変えて6接点にしている。7接点戻して10MHzバンドを追加する手もあるが、それをやるとレタリングの変更を伴うのでやりたくない。というよりここまで来てまたばらす元気が涌かないHi。次回からの課題にしよう。
写真はGU-74B周辺の様子。チムニートップに4mm程度のクリアランスを確保し、スプリングを径が太く(5.5mm)目の粗いモノ2本つなぎに交換。お恥ずかしいがその心は、数日前全負荷動作させた際ファン停止に気付かずテフロンチムニー上部を熱で変形させてしまったものを修正するため。プレートは薄く赤化したがこの球丈夫だ。これに併せFANをIKURAの回転センサー付きのN3951Wへ変更。将来はこれを送信制御項目に入れる。CFMはMA1092HVLより少ないが電力が3倍以上あり馬力がある。(2011.05.28)
試験成績
7MHz/800W出力時の出力波形を測定した。左上は800W/CW波形。リップルが確認できるが高圧電源のリップルと思われる。製造後四半世紀以上経過しており平滑ケミコンの劣化は否めない。上は800W-PEP/SSBツートン波形。クロス部の直線性も良好でまずまず。左は800W/Keying波形。IC-756内臓エレキーで連続長点を打ち、オシロスコープでスイープ周波数を微調整して波形を静止させ撮影。シャッター速度とスイープ周波数、そして長点速度の関係で撮影には時間と根気が要る。長点はデューティが50%を越え、排出空気温度は上昇の一途だが出力は安定だが、リップルの重畳は気になる。立上り立下りは良好。(2011.03.18) 測定条件・・・7MHz/CWで800W最大出力(Bird43)になるように出力チューニングする。オシロスコープ表示の先端を3Divに利得調整。その状態でSSBでツートンを入力し先端が3DivになるようにエキサイタのAF利得を調整。CW/800W出力時、Ep=1.9KV、Ip=600mA程度となる。
測定環境・・・エキサイタ:IC-756(icom)、ツートン発生:HM118TN(DTMF-MIC/7key/icom)、電力計:43(Bird)、ダミーロード:8404(Bird)、サンプラ:R分割(自作)、オシロスコープ:475(Tektronix)、カメラ:C-700(OLYMPLUS)。
50MHzの試験成績
50MHzで600W出力時の特性をみた。
左上(Keying):50MHzに限らずCWのリップルは大幅改善。立ち上がり、立下りはエキサイタの特徴がそのまま出ている。傾斜はEpの電圧降下が原因。
右上(高調波):π型タンク回路の限界と思われる。2倍の表示は-42dB程度だが、サンプラのf特が6dB/Oct程度あるので数字は更に改善される。ロードVC角度で2倍と4倍の関係が大きく変わる。LPFの併用が運用時には必須。
左(2Tone):2Toneによる600Wpep出力。クロスが直線になっていないのが気になる。振幅方向は綺麗に伸びている。エキサイタ出力を下げると改善する。暫定的にBias=100mAだが、これを
130〜150mAに増加すると改善する
。
下:Bias=140mAに増加してクロス部分改善。無入力時の損失が増えるのでそこは兼ね合いか・・・。 (2011.05.28)
総合回路図(クリックすると全画面表示、予告無しに修正し履歴は残しません)
オリジナル回路図(クリックすると全画面表示)
COFFEE BREAK
COFFEE BREAK3…プレートアブソーバRやIpメーター他焼損
FL-2100Bの電源をON。3分の余熱後いよいよ高圧ON。ところがそのタイミングで終段箱でバチッバチッと数回放電、強烈な火花が散った。数秒で静かになったがIpメーターカバーが吹っ飛んだ。アブソーバRは丸焦げで断、塗装も飛び散った。IpメーターシャントRも丸焦げで断線。高圧平滑部のALCバイアス生成Rは破断。Ipメーターはテスターを当てても導通無し…しかし針が僅かに動く。平滑ブロックからDC印加があり、針が静電気的に振れる模様。メーターカバーの吹っ飛びは稀に経験するが内部焼損した際の空気膨張が原因だ。開けてみると可動コイルは生きていたが、前側のゼンマイの筺体側が切れ脱落し内部倍率器Rが焼損。放電は地絡だ。行き場を失った高圧はリターンルートに印加される。その経路上のメーターやシャントRはひとたまりもない。程よき値のアブソーバRを安全の為に入れてあったのだが…一気に飛ばず被害が広がった。まだ原因を見いだせないが、新設28MHzコイルが結合Cと接触?アブソーバRのリード線が諸作業でシャシに接触?…色々と想像が巡る。半日前はOKだったんだよなぁ・・・。高圧回路はこの様なヒステリックな現象が発生るすることがあるから予断を許さない。
写真上左は焼損したアブソーバーR(安全抵抗)、上右は倍率器抵抗が焼損し、ゼンマイが断線したIp(SWR)メーター。右は再びフロントパネルを外したFL-2100B。(2011.04.11)
COFFEE BREAK4…Ip/SWRメーター・抵抗類交換で復旧
写真左は焼損断線したIpシャントR(下)とプレート回路に挿入していたアブソーバR(セーフティ)15Ω/5W(上)。アブソーバRが一瞬に焼損せず、放電時に数秒間持ち堪えたため、シャントRまで影響が及び焼損(巻線両端断)したと思われる。シャントRは小振りな巻線抵抗だが、後継のFL-2100Zでは大型化されている・・・これには意味がありそう。プレート側が地絡したとき何処にを負荷を負わせるか、考え方が何となく読める。
写真下はシャシ内の様子。シャントRの他に、ALCバイアス生成用の分割R(R2/2.2KΩ)の破断(この説明も難儀も見える。
Ip/SWRメーター(オークション購入)を含め不良部品(シャントRは0.4Ωセメント)を代替品に交換し暫定復旧。トラブル発生前と同様の動作を示し、12時間の通電でも異常なし。
なおIp/SWRメーター(1mA/250Ω/0.25V)には予防保全として順方向にSiダイオードを並列接続した。 (2011.04.20)
COFFEE BREAK5…FL-2100Bに見るIp/SWRとEpメーター
中古購入したFL-2100BのIp/SWRメーターの内部抵抗を図ると凡そ250Ω。安定化電源の3V出力をVRで調整してフルスケールになる電圧をみたら約250mV。電流で言うと250mV/250Ω=1mAとなる。もしやとFL-2100ZのIp/SWRとEpメーターを同様に調べると、こちらも同じだった。ところがFL-2100BのEpメーターをみると内部抵抗は125Ω程度だった。不良になったIp/SWRメーター(焼損で測定不可)もこれと同様と思われる。したがってFL-2100Bには2種類の内部抵抗のメーターが存在していたことになり注意が必要だ。
ちなみにFL-2100BとFL-2100Zの回路図で倍率器抵抗を見ると、前者は1.5MΩで後者は3MΩ。これでHV/2を3KV/FS表示しているから、電流FSでみると前者は3KV/2・3MΩ=0.5mA/FS、後者は3KV/2・1.5MΩ=1mA/FSと倍違う。当然シャントR値にも影響するので交換する場合は要注意だ。(2011.04.21)
COFFEE BREAK2…バンドSWの28MHz接点の復旧
GU-74B組み込みとは無関係だが、これをクリアしないと50MHzバンドの作業へ入れないので修理対応した。
フロントパネルを外し(左右の座付きビス、PLATEノブを外すと見える皿ビスを緩める)バンドSWのナットを緩め外す。
ハヤトール液を拭きつけ汚れを落とす。FL-2100BのバンドSWには未使用接点が2組ある。このうち一つを外し溶解した28MHz接点と交換する。
接点はリベット留めになっている。ハンドドリルでリベットをさらい取り外す。締め付けは2mmのビスとナット及びワッシャで行う。タイトウェハーを割らない様に「探り」を入れたドリル操作と締め付けで慎重に行う。
左上はノブとフロントパネルを外しスイッチを取り出した様子。左は溶解変形した接点のクローズアップ。上は復旧させたバンドSWで、28MHz接点がビス留めされている様子が分る(上の空き接点を右の28MHz位置へ移動)。
これを再びFL-2100Bへ実装して完成。28MHzバンド動作は良好になった。
念のため28MHz/CW/800W(入力40W)で30分の連続キーイングを行い異常の無いことを確認。出力電力の低下は殆どないことに驚く。この安定感は横置きの572Bx2では絶対に成しえなかった動作である。
この修理方法は、接点を確保できれば誰でも簡単に行え再現性が高い。是非「接点レベルの入換え修理」をお勧めしたい。(2011.03.09)
COFFEE BREAK1…JA9LSZ's Comment
ところでFL-2100B当時としては安くて500Wが得られる手軽なリニアとして重宝でした。 私が500Wのライセンスをもらったのは昭和61年。福井市の松本小学校のすぐ近くの借家に北陸電波監理局の検査官が2人見えて受検しました。 その後1KWにQROする平成8年まで御世話になりました。
その頃は7MHz_DXに一生懸命でアンテナはCDの730V-1(V型DP)でしたが、深夜早朝パケットクラスターもなくワッチ一筋・・・そのおかげで300カントリーUP。アンテナは今でもDPのままで、これ以上は中々増えそうにありません。
FL-2100Bの良いところは直熱管なので、SW-ONとともにすぐ呼べること。ただしTUNEはあらかじめ7MHzにとっておく必要があります。法定最高電力が500Wだったので、早く見つければそれなりに(聞こえれば)CallBackがあり結構楽しくのめり込みました。
弱点はコンテストのようなフル使用にはちょっと耐えかねること。中の構造を見ればわかるとおり極めて冷却効率が悪くすぐにケースが熱っぽくなる。確か一時期BOOKファンをケースの上に乗せて冷却することもやっていました。長時間Callする場合は、呼んでいる局のCallによって(HighPower局)順番を考えSTBYすることも必要で駆け引きも楽しみのひとつでした。
私の場合90%がCW運用なのでFL-2100Bでよかったと思いますが、SSBやRTTYを運用する方ならTL-922位でないと余裕がなかったのではないでしょうか?。 いずれにしても結構長い間DXでは御世話になったAMPで、中古で40K円で手に入れたことだけは覚えていますHi。