VK4KDD/Ronが、初めてのe-mailからいきなり自作アンプの写真を添付してきた。
写真はλ/2長同軸型キャビティによる430MHzアンプ。球は4CX400シングルであるが、動作はGKだと思われる。高圧電源の入り口に真空リレーが見えるが、これで何をしているかは不明。まさかスタンバイではないと思うが、高圧のオフディレイ用かも知れない。プレートチューンやリンクコイルとロードチューンの様子が良く分かる。RFCは430MHzにしては随分と巻いてあるが、巻き過ぎのような気がするがどうだろう・・・。このアンプは700〜800Wの出力を持つとRonは誇示していた。以下Ronからの原文ですが、temp compensated・・・のくだりが興味を引きます。
One amp is for 70 cm with halfwave cavity, this one is temp
compensated. When the cavity becomes longer because it warms up, the
capacity is reduced because the plates move away from each other.
This is with a 4cx400 and has very good cooling even at 700 or 800
watt out.
これは14〜50MHz用のマルチバンドアンプ。最初は50MHz専用機として製作したがグレードアップしてHFを追加したそうです。4CX600JBシングルでWARCバンドを含む構成で出力は1KWと言っています。電源は別ですが、真鍮・鉄・アルミ材料を使ったケースに入れるのが彼のスタイルらしい。シロッコファンの噴出しがそのまま真空管方向に向けられているが。これでどれくらいの冷却が出来ているのかやや疑問である・・・1KWともなると。疑問質問などの問い合わせは
VK4KDD/Ronまで英文でどうぞ。
JA2XCR's 3-500Zx2 HF GG Liner Amplifire
丸尾氏/JA2XCR製作の3-500ZパラレルによるHF(80m-10m)5バンドアンプ。写真は左:フロントパネル、中:RFデッキ部(製作途中)、右:電源部である。オードソックスな回路を品質の高い部品で組み上げ、全く無理をしていないアンプである。RF部と電源部を完全に分離しラックマウントされ、写真では確認できないがソケットを5mm程度沈め、底から3CX3000A7用のシロッコファンで吹き上げている(風量は十分だが騒音が課題らしい)。フィラメントはAC5Vの並列配線で、バイアス電圧は6V/30Wのツェナーダイオードで得ている。プレート電源はAC2200Vをブリッジ整流しDC3200Vを得るが、負荷時は3000Vを割り込み2800V程度まで下降する。またスタンバイ方式は33KΩ陰極抵抗の短絡/開放による自己バイアスで行っている。入出力タンク回路もオードソックスなπ型を採用している。出力側のバンド切り替えは単純なタップ切り替えで、空きタップをショートする手法は採用していない。こうした部品は職場の廃品でまかなえるそうで、オーナーの様なプアマンハンドメーカーとしては羨ましい限りである。HFでありRF部は大変ゆったりとした造りになっているが、リターン回路がRFで駆動された時に発生する筐体輻射がやや気になる。また冷却風の通りがチムニィ処理できない分、ソケットをオープン型にして管面に直接風を当てたい気もする。なおこの写真は「静岡DX同好会(SDXRA)会報」に掲載されたものからの引用です。質問やお問い合わせは丸尾氏までどうぞ。
Mr Harada's 8877/3.5MHz & 8874/50MHz Tow Linear Amplifire
安城市在住のHarada氏製作による3.5MHzと50MHzのリニアアンプ2作。前者は8877/3CX1500A7による3.5MHzのGGアンプで、大型のコイルとVCで無難にまとめ28Wドライブで安定に1KW出力を得る。入力・出力共にπ型タンク回路。冷却は背面に取り付けられたシロッコファン(ORIX)でシャシ底から吹き上げる強制空冷。コバルトブルーに塗られたフロントパネルに、梅沢製のボールドライブ&ダイアル目盛と氏お気に入りのシーメンス製メーターやSW類が映え、独特の雰囲気をかもし出している。なお出力タンクコイルはバリLで、気分次第で他バンドでも運用可能との事。
後者は8874/3CX400A7を使った50MHzのGGアンプ。23Wのドライブで500Wを出力する。こちらも入力・出力共にπ型タンク回路。入出力切り替えは6msの真空リレーを使いブレークインを可能にしている。写真には写っていないが、冷却は60mmのシロッコファンによる強制空冷で、騒音は殆ど気にならないそうです。
いずれも1990年代前半に製作されたもので既に10年以上の歳月を経ています。19インチラックへのマウントを前提に設計されたもので、ラックマウントを目指す方の参考になると思います。ご質問や問い合わせはオーナーまでお願いします。
JA1VKV's GU-78B 7MHz Linear Amplifire with NFB
左はフロントパネルでメーターとノブそれにランプ類の配置が美しい、右はGU-78B周辺と奥にNFB用(左)と中和用(右)のバキュームVCが見える
左はドライブアンプであるGU-36Bとその周辺、右はフルパワー時のツートーン波形で非常に綺麗なエンベロープとクロスを示している
左はフルパワー時のIMD特性でPEPから換算した3rdIMDは-50dB近い、右はエキサイター(1W出力時)のIMD特性で同じく-60dB以下を示している
JA1VKV/田中氏製作の7MHzモノバンド・リニアアンプ。ドライブにGS-36B(Ep=1.1KV)、終段はGU-78Bx2とロシア球2ステージで構成している。半年ほど前に製作情報を頂戴していたが完成を伝えるメールと共に写真とデータが届いた。モノバンドと言うことでNFBによる低IMDに果敢に挑戦し驚く程の特性を得ている。その様子をスペアナ写真で確認できるが、フルパワー時の3次IMDはPEPより-50dB近い値を示している。この値になるとエキサイターに何を使ったかが気になってくるが、田中氏は自作のエキサイターで駆動し、1W出力時の3rdIMDは-60dB以下を示しているとのこと。大きなフロントパネルに多くの計器を配置する造りは、田中氏のリニアアンプに対する考え方が出ていて興味を引く。高分解能スペアナをはじめとする測定器群を揃え、特性や回路技術を追求する姿にアマチュアスピリッツとラジオ少年の心意気を感じる。また、大いに触発される。ご質問やお問い合わせは田中氏までお願いします。
JA2MRN's GU-84B HF Linear Amplifire
JA2MRN井戸さんの試作によるGU-84BのGKアンプ。周波数は3.5〜21MHz。G1入力は50Ω無誘導抵抗で終端される。出力はVVCとバリLによるπ型タンク回路。プレートRFCは2本構成(L型HPF2段)。プレート側とロード側のVVCがバリLを挟んでレイアウトされている。ファンとプレート側VVCが若干窮屈にレイアウトされているが、ファンは右奥(出力低Z側)に置き、タンク回路をシャシの中心に持って来ても良かったのでは・・・バリLが長すぎるのか?。出力側のリターン回路が長くなるため銅板を敷き詰めグランド回路の強化を図っている。この位置関係がそのままパネルデザインとなっている。写真には見えないが出力は同軸でコネクタに導かれるが、タンクボックス内とは言え、ここで同軸芯線がむき出しになるのがやや気になる。写真と一緒に14MHzでの入出力特性やIMD波形が送られてきたので一緒に掲示した。その中にIMDとローディングの関係で興味あるデータがある。CWで最大出力1.25KWにチューニング後、ロードVCを抜いた状態(左)と入れた状態(右)を示している。IMDの変化が実に面白く負荷の掛け方次第で5次以降の値が大きく変化し、場合によっては3次より大きくなる。このような違いを見ると、アンプの特性と言うよりチューニングの仕方が明示されていないデータには疑問を持たざるを得ない。入出力特性が意外と湾曲しているのは電源電圧の低下か?。入出力特性の1250W出力時の各データは・・・Ecg=-46V、Esg=350V、Ep=3.25KV、Ip=640mA。Idg=0mA。IMDデータはEsg=300V、Bias=300mA、ツートーンで出力1000Wpepによるもの。
また4CX1000Aを乗せたサブシャシと入れ替えも可能なようで、全体の印象としてはデータ取得用の実験機の雰囲気が強い。ご質問やお問い合わせはオーナーまでどうぞ。
JA2MRN's 7F71R 14MHz Linear Amplifire(Test)
JA2MRN井戸さんの試作による7F71RのGGアンプです。周波数は14MHzのモノバンダーですが、主に7F71Rの諸特性を探る為に試作実験中のものです。フィラメントチョークはトロイダルコアに平編み銅線を巻き込んであります。フィラメント電流が80Aもありますからアマチュアの工作手法としてこの方法は大変有効だと思います。プレート側は一般的なパイ型でVCはVVCを使っています。
さて気になるデータですが、グラフは出力1KW(左)と500W(右)時(PEP)のIMD特性を示しています。測定条件は、出力タンク回路をCW/1.2KWで最大出力になるよう調整し、その後ツートーンを入力したものです。3rdIMDは驚くなかれ、ツートーンの先端から容易に-43dB以下を示し、PEPからみれば-49dBに達します。この数字はIMDを意識したものではなく普通にCWのチューニング(ローディング)をしただけの値ですから、チャンピオンデータを出そうと思えば容易に-50dB以下が期待できるでしょう。
なお7F71Rの動作環境は、Ep:3600V、Esg:500V、Isg=15mA(1KW/CW)、Bias:-50V(Ip=200mA)、G=17dB(50倍:20W入力で1KW出力)です。
井戸さんは7F60RのGKアンプも同時に試作されデータを送って来られましたが、それよりGGでありながら利得の高く、さらに良好なIMD特性を容易に示してしまう7F71Rに驚かれた様子です。一度この球の魅力を知ってしまうと、もう病みつき状態に陥ります。
1960年代のVHF-TV放送機の主流が7F37Rや7F60Rだったのが、カラー化により1970年代中盤には軒並み7F71Rに置き換わって行った理由が納得できます。
その後追試でこのIMD特性が送られてきた。1KW(PEP)出力時と思われるが、ツートーンの先端からみて3rdIMDは-50dBを示しており、並みの特性でない事が判る。ちなみに井戸氏によれば、エキサイタからのドライブケーブル長によりこの値が6dB程度変化するとの事だが、これについては考察を加える必要がありそう。
JR7AAH's GU-74B 144MHz KW HPA with U-Shaped Plate Line & Short Ring
JR7AAH大場さんの作品。拙作のGU-74B/144MHz HPAを参考に自力で製作された。怪しいU-Shaped出力タンク回路等に、当初戸惑われていたようだが見事克服された。この周波数帯の共振と負荷の与え方についての感覚を掴んでいただけたと想像している。大場氏は、もとより工作好きと見え、板金工作や電気・電子工作は実に器用にこなされていて安心感がある。
報告頂いたデータを記すと・・・ドライブ:50W、Hv:2400V(無負荷時3200V)、Ip:800mA、Po:1KW。現在AC100V運用なので単相200Vに変更予定との事。
この出力タンク回路を追試され成果を収めているアマチュアがワールドワイドに広がり嬉しい。
JA5EEU's GU-74B 144MHz KW HPA with U-Shaped Plate Line & Short Ring
JA5EEU松本氏のGU-74B/144MHz/EME-HPA。U-Shaped Plate Lineに興味を覚えて頂き、半年ほどのやり取りの後完成を伝えるメールが届いた。
写真左は調整段階に届いたGU-74Bとプレート同調ラインの様子。右は完成後のもの。オーナー推奨のバリL方式を採用され、ベンドしたプレート同調ラインの内側にショートリングが確認できる。
Ep=2500V、Esg=340VかけIp=800mA、Isg=20mAで出力1.2KW力でプレート効率60%を得ている。なおGU-74BはGK方式で、入力はπ回路で50Ω終端してCgを駆動しているがSWRは完璧に1。
2011年7月のTV放送の完全デジタル化を待ってQRO申請するとの事。(2011.05.22)
IK0SMG's GU-74B 144MHz KW HPA with U-Shaped Plate Line & Short Ring
イタリアのPino/IK0SMGは時々近況写真を送ってくる。
過去に数回のメール交換があったが、今回はU-Shaped_Plate LineとShort_Ringによる出力タンク回路を採用したGU-74B/144MHzアンプのサプライズ写真を送ってきた。
もとより彼は工作好きとみえ、板金や電子工作は恐れい入ってしまう程の職人芸を感じる。入手できるパーツは各国でまちまちであるが、同じ目的のためにパーツを効果的に利用する姿が想像できて「何処も同じ…」の印象である。
動作データは添付されていなかったが、製作にあたって参考に出来る部分が多くここに掲示することにした。
U-Shaped_Plate_Lineを使うHPAはこのコーナーで紹介しているが、友人のVK4KDD/RonやDL2MDU/Chrisは自前のHP上で紹介されている。(2013.09.10)
JA1VKV's SD8901HD RECEIVER for 7MHz BAND
JA1VKV田中氏よりCalogic社のDMOS SWITCHデバイス"SD8901HD"を使った受信機"SD8901HD_RECEIVER"の完成を告げるメールが届いた。2006年8月、BBSの読者へ共同購入を募り、このデバイスを田中氏のマネージメントで購入した事を昨日の事のように思い出している。
氏は同じ受信機を2台製作された模様でその情熱に驚かされる。そして内部を拝見すると、シールドボックス処理を前提とした丁寧な作りに強いポリシーと夢を感じる。
7MHz専用でIF=8.83MHzのシングルコンバ−ションでウェ−ブ電子のDDSをリファレンスにしてPLLを組んでいる。SD8901HDは局発レベルが25dBm程度必要なのでその辺のスプリアス対策が大変だっとコメントを頂戴した。
別項のTest&Dataページでもう少し詳しく紹介しているので参照されたい。