Russian Tetrode "GU-84B" を50MHzで研究するページです(ハイパワーが目的ではありません!)

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総合回路図GU-84Bのスペック・・・クリックしてください。

グラビア(PDF)・・・クリックしてください。


Jan 〜 Mar. 2005
Mar 31. 2005 上部チムニィの実装とショートリングの芯合わせ実施

     
シリコンゴム(SiSP340)による上部チムニィを実装した。素材は秋葉原の坂口電熱が販売しているもので、幅40mmでプレート1周分の長さに切り出したシリコンゴムの端を突き合わせ、ステンレス製ホッチキスで固定し円筒状にする。これをプレート上部から帽子の如く差し込む。たった数cmだが吸出し効果が上がりタンクボックス上蓋の温度が下がるのが面白い。
オンマウスカーソルで見える写真は、プレートタンクコイルを構成するバリLのショートリングのセンター合わせを行った様子。何てことは無い、シャフトに入れている金属スペーサーを長さの短いモノに交換し、はみ出したシャフト(3mmブラス)を5mm程度切断しただけ。またスプリングが若干長くなるのでニッパで程良き長さに切断した。これにより50MHzバンド全体に同調が可能になった。
アルミ部材が幅10mmと狭くなったため、シャフト穴を最適位置に空けられず軸が若干ずれている。これをシャフトカップリングで吸収している様子が分かる。スプリングはショートリングがガタつかないようにする工夫である。シャフトを絶縁材でやると誘電により溶け出すので、このように最初から金属にするのがベター。
部材幅が狭くなったため、ようやくコイルらしくなった。今までは幅があるためスペースが稼げず随分とストレー容量を生んでいたものと思われる。スペースを取らず容易にKWを扱えるこのバリL方式を多くの方に追試して頂きたい。

Mar 30. 2005 GU-84Bプレートフィンの目詰まり

     
どうも最近プレートから吹き上げる排気の勢いが減ったような気がしていた。タンクコイルの交換に併せて、ファンを回したままGU-84Bを取り外してみたら綿ぼこリが勢い良く吹き上げた。それでプレートフィンの中を下側から覗くとやはり部分的にホコリが詰まっている。
実験をしている部屋は6畳の和室で布団の上げ下げや愛犬の出入りもあるため確かにホコリっぽい。上向きにしているスペアナのディスプレイは知らぬ間にホコリまみれになり叩きたくなるほどだ。
掃除機を取り出し細いノズルを取り付け下側にホコリを吸い出した。これによりやや吹き上げが力強くなったような気がする・・・気分の問題か?。
いずれにしても吸入側に何らかのエアフィルターの実装が必要なようである。
写真は取り出しホコリを吸い出したGU-84Bの勇姿。背景にソケットや出力タンク回路を配置してみた。こんな手の平に乗ってしまうような球から、良く3KW以上の高周波を取り出せるものだと感心してしまう。
プレートを始めとする金属表面の状態は購入当時と殆ど変わらずピカピカしている・・・もっと無理をしても良いのかも知れない。GU-74BをPd=800W近くで使い1KWを搾り出すのとは全く異なり、安心してKWアンプが製作できる。本当に使いやすい球だ。

Mar 29. 2005 出力タンクコイルを決定する

     
懸案だった出力タンクコイルを決めた。写真はその様子。10mm幅で2mm厚のアルミ棒を約85mmΦに巻いた。インダクタンスを稼ぐために、プレート側はぎりぎりまで巻き「への字」に折り曲げブロッキングコンに締め付けた。この状態で凡そ50〜53.5MHzに同調が可能。現在ショートリングの中心がずれているため、芯合わせを行えばもう少し可変範囲が増加するものと思われる。今まで実験していたアルミ部材より幅が5mm少ないため、同じ巻き方をしてもこちらの方がインダクタンスが多く約0.5MHz共振点を下げることができた。なお経路長は500mmで殆ど変化は無い。
オンマウスするとタンクコイル変遷の様子が分かる。左上が一番初期で右上がその次、左下と右下は最近のもので、いずれも幾度も取り替えてデータを取った。
2KWの連続Keyingを1時間程度行い様子を見たが、2KWに設定した出力の低下は全く感じられない。しかしタンクコイルの発熱はそれなにりにあり手では触れない程になる。この際熱伝導の良好な銅材だとブロッキングコンやスタンドオフ代わりに使用しているロード補助コンに多量の熱が伝わり容量変動もさることながら、内部のハンダ付けへの影響が考えられる。と言うことはこの場合、アルミ部材の選択は全体の温度バランスに貢献していると言えそうである。実はプレートとブロッキングコン間は当初よりアルミ伝導である。 クリックするとスプリアス特性が表示されるが、ハイ落ちの素直な特性になっている。注意:ここではサンプラーのf特補正はしていないので真のデータは表示より良好(6dB/oct)になる。

Mar 27. 2005 LPF挿入時のスプリアス測定

     
3月27日に帰省た折、COMETのLPF/CF-50MR(57MHz/1KWpep)を持ち帰りテストに加えて見た。写真はπL型出力タンク回路で1KW/CWを出力する状態でダミーロード手前にCF-50MRを挿入してテストしている様子。オンマウスカーソルするとこの状態でのスプリアス特性を確認できる。スペアナ上では基本波に対し2次と3次が-80dB程度に落ち、それ以外はノイズレベルである事が分かる。1KWに対する-80dBは0.01mW=-20dBmであるが、それでも気になる場合はノッチフィルターなどを併用する。しかしこれは、既に受信機で取り扱えるレベルである。
このレベルになると測定機やケーブルの配置でも表示が微妙に変わってくる。写真では手前のLPF入力側と、サンプラー出力とが近接しあまり好ましいレイアウトではない。1KWの被測定信号がサンプラー出力に漏れ込む可能性があるからだ。こうした状況をみると、測定方法にも一定の技術が必要である事が分かる。
したがって、減衰-80dBをうたうLPFを取り付けたからといって安心出来ない。高調波が-80dBも減衰する事は稀で、それは測定ベンチ上のチャンピオンデータと言っても良いだろう。何故なら配置と配線やコモンモード漏洩の影響で状況は刻々と変わり、特性データ上で-80dB得られるはずが-20dBも得られていないから。要するにLFPは魔法の箱ではなく、最大限の特性を引き出すにはそれなりの工夫が必要と言う事で、単体ではなく送信システムの一部として捉えなければいけない

Mar 22. 2005 Sg回路を考える

           
4極管を使い出すと必ずSg回路の振る舞いの不思議に遭遇する。過去Eimacの4CX1000Aそれにロシア製のGU-74B/4CX800Aや4CX1600Bなどを手がけて来たが、夫々に振る舞いが異なり大変勉強になった。そして前者は「暴れん坊」、後者は「おとなしい」の印象が強い。また後者は、比較的ローパワーなSg電源で動作可能で、簡単なシリーズRegで目的を果たすことが出来た。実はその延長線上でGU-84Bを考えていたのだが、色々と追い込んでいくうちにIsgの逆振れ領域が広いことに気付くと共に、2.5KW出力程度ではIsg=0mA辺りを示す事が分かった。それで「Isgが流れないからSg電源は小規模でOK!」と早合点しそうだが実はそうではない。Isgが逆振れ、すなわち管内からブリーダー抵抗や電源に向かって逆流するDC電流の終端状態が問題となる。4極管のSgをオープンにしてEpを印加すると、最初Ipは少ないが時間と共に増加し最後は暴走する。この場合Sg電位は管の内部抵抗の分圧比で決定されるが、Sgオープンで非常に高インピーダンスのため、Ipの増加が電荷レベルでSg電位を上昇させ(Isgはオープンだから流れない)、さらにそれがIpの増加を招いた結果である。このような状態に陥らないためにSg回路にブリーダー抵抗抱かせSgを直流的に終端しているのである。実はこの抵抗値がクセモノで、シリーズRegを使ってる場合は電源自らの終端は期待できないので特に注意する必要がある。「Esg電源はシャントRegにせよ」とか「十分なブリーダー電流を流せ」とOM諸氏が唱えるのはこうした由縁であるが、本質は電源電圧を安定化する意味よりSgの終端による制動にあると言って良い。
前置きが長くなったが、Isg=0mAと言うことはその瞬間DC的にオープンになるので、Sgの終端状態、すなわちブリーダーの抵抗値が問題となる。入力ドライブを上げて行ったときに急に出力が伸びたり、出力の増加に遅延(時定数)があったり、発振に似た現象があってもIcgが流れないような場合はSgの終端設定が甘い(大きい)状況を示している場合が多い。当初メーターを読み易くするために、Esg=360Vで10mA振らすために36KΩで終端していたが1.5KW出力程度で上記現象が確認できたため、段階的に減らし現在は18KΩとし20mAを流している。ただし理想的には0Ωであることに越した事は無い。30S-1でSg直接地方式を選択したコリンズのエンジニア達の声が聞こえてきそうである。なお海外のサイトには12KΩと書いた回路図があったり、Esgは315V以下でシリーズRegはダメと予防線を張った記述も散見される。
図は現在の回路を示している。この状態でIsgの最大逆振れは30Wドライブで1.5KWを出力した時の-16mAで、Isg=0mAになるのは50Wドライブし2.5KW出力(Ep=3KV)した時である。本機ではブリーダーに流れる電流で予めIsgメーターを振らせておき、逆流があった場合はその位置から逆方向に触れる仕掛けにしてある。Sgの安定動作は前述の如く気まぐれな高インピーダンス回路を如何に制動出来るかにかかっていると言って良いが、球によって(電極の位置や構造、2次電子量etc)振る舞いは様々なので処置方法も様々と言えるだろう。なおグラフはIsg 特性とその時の入出力特性(オンマウス)であるが、負荷状態が異なるため前述と一致しないので悪しからず

Mar 20. 2005 3KW出力で連続1時間のKeying・・・再びπL回路で高調波抑制

                 
日曜日の午前中という事もあって家の電力使用量が少ない。これ幸いと3KW出力で連続1時間のKeyingを行った。この辺りの出力電力は微妙で、ドライブ電力の外に受電電圧でも影響を受ける。今朝のコンディションは昨日より良好で、50Wドライブで約3KWを示した。この時の状況を以下に記した。
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50W/CW Driving when・・・AC Line=193V、Ep=3KV、Ip=1.25A、Ecg=-68.5V、Icg=1.6mA、Esg=360V、Isg=25mA、PlateInput=3.75KW、Output=3KW、PlateDisspi=750W、PowerGain=17.6dB、PlateEffi=80%
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このGU-84Bアンプは不思議で、長時間連続Keyingしても出力の低下が殆ど見られない。1時間連続Keyingした後で確認しても殆ど変化は無い。またこのレベルになると出力の増加があっても、プレート損失は横ばいかむしろ低下している。但し主にカップリングコンやロード補助コンに温度特性があるものとみえ、若干ではあるが容量変化が同調周波数に影響を与えている。HT50の温度規格はN4700なのでNPOの方が好ましいかもしれない。その差は出力変化で見ると最大で200W程度である。
写真は50Wドライブで3.1KWを示したBIRD43(5000A)。電力的にはほぼ目的を果たしており、次はIMDなどの近傍の歪みに興味が移る。
π型タンク回路で50Wドライブ時Icg=1〜1.5mAでほぼ安定に3KW出力を得られるようになった。となると気になるのはπ型タンク回路の高調波抑圧の限界である。-80dB程度の減衰特性を持つLPFを入れてしまえば良しとする声も聞こえて来そうだが、ここは研究と実験のページなので再びπL型に挑戦して見た。
スペアナ波形は、50W/CWドライブ時に最大出力になるようにプレート&ロードチューンを取ったときのもので出力は丁度3KWである。その効果はてき面で第2次と6次以外はノイズレベルまで減衰している。ここで面白い実験を行った。2次と6次の関係がロードVCの位置でどのようになるかを確認したのがオンマウスカーソルで見えるスペアナ波形である。すなわちロードVCで10目盛(≒7PF)分容量を足した(VCを入れた)状態である。波形から分かるように第6次は殆ど変わらないが2次が-58dBから-63dB付近まで落ち、6次と同程度になっている。更にロードVCを足すと2次は更に低下するが出力も低下し始める。いずれにしても3KW出力において全て-63dB以下に減衰しており状態としてはかなり良好と言えるだろう。
実運用では負荷はリアクタンス分を持つだろうし、一々スペアナなんか覗いていられないのでLPFの力を併用する事になる。なおπLにした事で同調範囲が1MHz近く高い方にシフトしている。この対策はコイルを巻きなおすかプレートストレー容量を意識的に作るかどちらかである。
πLの2次コイルの決定について触れる。当初2mmスズメッキ線を12mmΦに5T巻いてあった。この状態で高調波の出方を観察しインダクタンスを調整する。コイルの巻き幅を調整しながら様子を見ると、倍近く広げた状態が良好であったため、思い切って1T切断し4Tにした。πL回路の整合条件からインダクタンスを求めても、最終的にはこのような調整が必要と考えている。また現在線材は2mmであるが、出来れば3mm程度のパイプ材にしたいところである。
写真は取り付けを容易にするために、出力同軸ケーブル(5D-2W)の芯線に直にコイルを取り付ける。この部分はちょっとした整合不良で発熱したりするので、電工スリーブによる圧着を基本としている。なぜなら1KWoverの世界ではハンダが流れ出す程度の発熱は常に考えられるからである。したがってハンダは流さない方が懸命である。また同軸は耐熱性の物を使いたい。コイルの反対側はラグ端子を圧着しロード補助コンにタンクコイルとロードVCラグを共締めする。
オンマウスで見えるのは昨日交換したHT50で500PF/7.5KVのドアノブコン。3個共同一品なので安心して使える。手前にアルミのタンクコイルが見えるが、この実験を御覧になった「銀メッキ信者」や「アルミ・アレルギー」の方の奮起を期待したい。個人的にはアルミは素晴らしい材料だと思っている・・・銀メッキのコイルを使ってもリターン回路の多くはアルミに依存していますから。

Mar 19. 2005 BIRD 5000Aエレメントと500PFドアノブコン届く

     
米RP PARTSに依頼してあったBIRD/5000AとHT50/500PF(3個)が昨日届いた。HT50はブロッキングコンとして実装、あり物3個で電流の不揃いが心配だったがこれですっきりした。なお容量の変化に伴い線路の電気長も変っている。50W/CWドライブ時のデータを取ったので以下に紹介する。タンクコイルはアルミで回路はπ型。
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50W/CW Driving when・・・AC Line=192V、Ep=3KV、Ip=1.25A、Ecg=-68.5V、Icg=0.5mA、Esg=365V、Isg=25mA、PlateInput=3.75KW、Output=2.9KW、PlateDisspi=850W、PowerGain=17.6dB、PlateEffi=77%、Sprius:2nd=-59dB 3rd=-59dB 4th=-58dB 5th=-50dB 6th=-54dB 7th=-47dB 8th-61dB 9th=-77dB
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特徴は何と言ってもプレート効率の高さだろう。この数字をみると、やたらと大きなファンなど実装する気にならなくなる。それにIsgの少なさにはいつもながら驚く。ハーモニックスはドライブレベルを40W程度に落とすと全て-60dB以下に落ちるが、これはIcgの流れ出しがそのターンニングポイントになっている感じがする。運用は法令遵守で十分なパワーコントロールとLPFによる高調波対策が必要だろう。 写真は5000Aを実装したBIRD43で2.9KWを示している。オンマウスカーソルするとスプリアス特性を見ることが出来る。なお受電電圧が上昇すると出力は3KWを超える

Mar 17. 2005 1.5KWで連続7時間超の連続Keying・・・今後の方針

     
昨夜23時頃から今朝6時半まで1.5KW出力で連続Keyingしてみた。その間はじっとアンプを見つめている訳ではなく、オーナーは床に就く。IC-756のメモリーキーヤーが「VVV VVV VVV DE JH2・・・.」と1シーケンス約60秒に調整された電文を繰り返し打ち続けた。連続Keyingの目的は総合評価の意味を持ち、電気的・機械的・材料的な限界を知る事ができる。コンテストなどの長時間運用の一助となるはずである。
この季節の朝は普通15℃程度の気温だが、起床すると何と35℃のポカポカと言うより真夏状態だった。借用中のBIRD8890-300(2.5KWダミー)もそれなりの熱さになり、丁度オイルヒーターの様だった。
予備実験開始からほぼ1年程経ち、そろそろこのサイトも「まとめ」の時機を迎えている。作るだけでなく意図的に回り道をして、動作や原理の再確認をして来たが実に早いものである。以下に今後の方針を記す。
@タンクコイルの最終決定
AALC(パワーコントロール)回路検討
BIMDを含む各種測定データ(試験成績)取得
C完成図書執筆
Dその他・・・中和・パワーコントローラー・エキサイタIMD改善・受電環境改善・Icg逆振れ考察・集中常数共振と線状共振を併用したデュアルバンド実験etc

Mar 13. 2005 入出力特性を取ってみた

     
発注中のFIRDのエレメントが届かないため、知人から借用したKuranishiの電力計RW-3003Lを使用して入出力特性をとってみた。
入力側はDRAKEのWV-4で測定した。グラフはその様子を示しているが、タンクコイルはアルミ製で、2KW出力時においてEp=3.1KV、Ip=1A、Esg=310V、Isg=0mAであった。
Isgは2KW出力でようやく0mAに達するが、それ以下の出力ではマイナス方向(逆振れ)であり驚きを隠せない。また当初はEsg=360〜370Vでテストをしていたが、ここまで上げると飽和点が更に高くなり2.5KWを超えるが全体の安定動作を考慮し現在は310Vでテストしている。
電力計のリニアリティの問題があるせいか思ったよりリニアリティが良くない。またローディングにより更に出力を増加させることは容易だが、その場合スプリアスの増加があるため、ここでは基本波に対して-60dB以下になる様にロードチューンを行っている。出力が増加して効率が上がったように見えるがスプリアスとトレードオフしている場合もあるので要注意だろう。スプリアスを無視すれば、この状態から容易に2.5KW出力を得る事が出来る。この場合Isgは40mA程度に達する。
オンマウスカーソルすると測定中の電力計表示を見る事が出来る。入力40W程度で2KW程度出力している。

Mar 12. 2005 ボックス上蓋と上カバー排気口に塗装処理

     
ファイナルボックス上蓋の上面と上カバーの排気口の切削面に塗装を施した。普通の方は単純にスプレーを噴けばOKと考えてしまうだろうが、安定な塗装のためには若干工夫が必要である。
すなわち、スプレー塗料だけの塗装だと、後でネジを締めたときに必ず塗装が割れてしまう。殆どのHandMakerは主に金属塗装でで同じ様な苦い経験をされている筈である。
写真は関連部材と黒スプレーであるが、こうした不具合を解決するために特に密着バインダーを用意した。この密着バインダーを下塗りとして塗っておくと、母材と塗料との食い付きが改善されネジを締めても割れない塗装が実現する。古い無線機のパネルを全面塗装する様な場合の必需品である。
オンマウスカーソルすると上蓋をファイナルボックスに実装した様子が伺える。また上カバーの排出口は母材が鉄なので錆が発生するため必ず塗装を施したい。
こうした作業は電気的性能には全く関与しないが、モノ作りの楽しさを倍化してくれるものである。軟アルミの地肌丸出しのファイナルボックスを見ていたら、何とかしたいと言う気持ちにわいて来てこのような結果になった。殆ど趣味の世界かもしれないが、食わず嫌いと言う事もあるので一度お奨めしたい。

Mar 7〜. 2005 1KW出力で連続6時間以上の連続キーイングテスト

     
自動Keyingにより、就寝から起床までの時間で連続送信するテストを数日間繰り返している。日によって時間は異なるが平均すると6時間以上になる。
連続キーダウンするほどの冷却容量はないので、ほぼハーフデューティのKeyingによりテストを行っている。長時間の運用をする場合にはこうしたテストを済ませておくと安心である。例えば当該機の何処が弱いか或いは余裕があるかを掴んでおくと良い。アンプの評価は「総合力」だと思っている。したがって夫々の回路や部品が同じ余裕度を持っている事が好ましい。しかしアマチュアの場合は、集めた部品から物作りが始まる場合が殆どであろうから、一度やってみないと分からないのが実情だろう。出力の極端な低下や局部的な発熱等が無い事を確認する。
それにしてもこの季節だから部屋の中は暖かい程度で済むが、真夏にだったら一体どんなになるだろうかと心配している。

Mar 6. 2005 出力タンクコイルを変更してテスト

     
タンクコイルを一般的サイズに変更し、π型回路に戻してテストした。コイルは10mm幅x1mm厚の銅板を内径45mmで3T巻いた。この狙いは経路長を短くすることにある。当初の銅板の大型コイルは520mm長であるが、このコイルは450mm長。但しインダクタンスはほぼ同等である。効果はてきめんで、300MHz付近の高調波に感度を持っていた状況が一変した。但しこれもロードVCを大きく可変(増加)して強引に同調点を変えると再び300MHz辺りがもたげて来る。また出力が1.5KW程度になると従来通り逓倍増幅が顔を出してくる。この時Isgはそれまでマイナス方向だったのが一気にプラスに転じ40mA程度流れる。Icgはマイナス方向に振れたままである。この状態からロードVCを抜くとIsgはマイナスに転じ動作は正常になる。
以上の結果から、暫定的に以下の対策を施した。
@補助コンデンサを160PFから100PFに減らした・・・ロード容量が共振目的外共振範囲に与える影響を軽減するため。
AEsgを370Vから320Vに下げた・・・全体に利得が高いのを抑制、その分CgバイアスEcgを深くした。
これらの処置により2.5KW程度まで安定に伸びるようになった。写真はテストのために交換したコイル、但しバリL機構は持たせていない。Isg=0mA時の出力は約2KWに達し、それ以下でのIsgはマイナス領域である。

Feb 28. 2005 出力タンク回路の考察

     
図は出力回路の振る舞いを整理するために書き出したものである。Lump回路はいわゆるLCの集中定数回路である。またLinear回路は線状回路でいわゆる分布定数回路として捉える事が出来る。共振回路を作る場合LCによる方法が一般的であるが、線路の長さによっても同様の共振が得られる。LC回路で作ったつもりでも、両者が必ず共存することを知っていないと高周波の取り扱いが難しくなる。HFアンプだから問題ないと思っていても必ずV/UHF帯に共振点が存在するから安心はできない。
@Lump回路・・・LCによる集中定数回路。図のCo・L・Vcのπ型回路はその典型。f=1/2π√LCはこうした場合に適用される。
ALinear回路・・・信号源から負荷までの間の線路長(電気長)による共振。図では信号経路にCo・Cc・Vc等が装荷され電気長に影響を与えている。一般にλ/4なら先端短絡でHi-Z、λ/2なら先端短絡でLow-Zが信号源(プレート)側で得られる。
以上を考慮する必要があり、図からもそのような可能性が読み取れる。こうした共振が目的外周波数でも、目的周波数の整数倍に位置していると一定の対策を施す必要がある。以前より「逓倍器」と記述してきた由縁はそこにある。
なおこれら要素に含めP→GND(K-Tap)→Cgが電極リードやGND回路で結合し、Co・Cgk等の(電極間容量やストレー容量)により発振回路が構成される場合がある。この場合はカソードタップのハートレーやコルピッツ発振回路となるが、一般の寄生発振はこの形である。
こうした考え方は雑誌などでは余り記述されていないので参考になると思う。挫折するHandMakerの多くはこうした部分に理解が及んでいないものと推測している。

Feb 27. 2005 アルミ製タンクコイルを試す・・・3時間の連続Keying

     
300MHz付近の第6次高調波に劇的な低減が見られないので、気分転換にタンクコイルをアルミに変えて見た。以前テストで使用したものをそのまま復活させたが、ショートリングを回せるようにアルミ部材に3mmΦの穴を空けた。従来の銅板2mm厚x20mm幅と比較すると2mm厚x15mm幅で幾分表面積が少ない分単位長辺りのインダクタンスが増え、経路を短く出来る事を期待した。それから1KWのパワーでアルミに問題が発生するかどうかにも興味があった。 1KW出力で3時間を超える連続Keyingを行う。連続KeyingはエキサイターであるIC-756のメモリキーイング機能を使った。メモリした文字列のFキーを長押しすると自動送信が繰り返される。
結果は上々であった。1KW出力時の損失は先の銅コイルと比べて全く遜色なかった。アルミをタブー視しているOM諸氏の追試を期待したい。また6次高調波は-80dB近くまで落とす事が出来た。喜んでロードVCを回す(入れる)と電気長が見かけ上変わり共振点もずれるため再び6次がもたげて来る。またドライブレベルを上げると今まで通り出力1.2〜1.5KW程度で寄生発振気味になる。なおブロッキングコンを1000PFx3パラから100・160・240PFの3パラに変更し電気長の変更も試みたが状況は同じ。3時間の連続KeyingでもBIRD8890-300の表面温度は42℃(室温25℃)程度と涼しい状況だった。 オンマウスカーソルで見えるのは自動Keying中のIC-756。この機能が無いと長時間の耐久テストがやり難い。

Feb 26. 2005 サブシャシ他のスナップ

     
写真は暫く紹介していなかったサブシャシ内部の様子。オンマウスカーソルで見えるファン吸入口ガイドの製作に併せてサブシャシを取り外したときに撮影した。
入力タンク回路と50Ωダミーロード周りが良く分かる。ソケットの筐体に接地端子をボンディング出来れば良いのだが、半田ゴテのパワーが及びそうにないためソケットの4隅の固定ネジに接地ラグやポストを取り付けている。このためパスコンルートがやや長くなり、接地場所の違いで入力SWRが変化しRFを感じさせてくれる。すなわちこんな狭い場所でも筐体の電位や位相が場所によって様々に変化することが分かる。入出力の結合を嫌うために接地位置には細心の注意を払う必要がある。ダミーロードはホットとコールドを逆にしてグリッド板を放熱器代わりに使っている。本当はグリッド直ではなくPSか制限抵抗を介したいところであるが未対応である。カップリングコンは200PFマイカを2個並列にし400PFとしている。この辺りの配線はインダクタンスを持つので入力SWR値に直結する。RFCのインダクタンスは読み取れないが50〜100μH程度と思われる。Sgは外部にもパスコンを取り付けている。IsgがIp表示に影響を与えないようにするためにSgブリーダはカソードにリターンさせている。
グリッド吸入ガイドはファンとシャシ間を直結してボックス内のエアを吸わない様にする。ガイドはネオプレンゴムシートを約20mm幅で切り出した物を丸め、端々を付き合わせたところをホッチキスで留めている。プレートRFCは試験的に2分割にしている。

Feb 21. 2005 300MHz付近に利得がある件の考察

     
スプリアス特性を見るといつも6次=300MHzが落ちずに顔を出してくる。これが何によるものか考えてみた。目的は50MHzである・・・LC集中定数に基いた共振回路がこの周波数である。300MHz付近が落ちないのは、その付近で何らかの共振現象が発生しているとしか思えない。信号源に対して並列でも直列でも共振特性を持っておれば、必ずその周波数にピークが出る。
それで目的周波数には影響を与えず、高調波域で減衰特性を持たせ対策をすることになる。では一体何がそうさせているのか・・・色々考えると、タンクコイルを作るときの銅棒の切り出しが50cm付近であった事に遡る。コイルは直径90mmもあり2Tなので、コイルと言うより伝送路的な捉え方が出来る。単純なLCの集中定数の共振(基本波)と分布定数による共振(6次=300MHz/波長1m)が共存して思えてならない。今こうした疑問が湧き、コイルの形や大きさ、それにその素材に興味が及んでいる。RFの振る舞いや奥の深さをひしひしと感じるが、その対策に当って様々な想像や推測を誘発してくれる。写真は再びディップメータを突っ込んで共振点を探る様子。何と294MHz付近に強烈なディップ・・・思わず、こいつが6次を強調させているのか!、それに寄生発振も!、これなら2mアンプの製作も容易だ!。
話は変わるがオンマウスするとπ回路に追加したコイルが見える。これだけでも十分な高調波抑圧が期待できる。固定は全てラグ端子とビス締めである。

Feb 20. 2005 出力タンク回路をπLにしてデータを取る

     
出力タンク回路をπ型からπLに変更しデータを取ってみた。コイルは2mmスズメッキ線を12mmΦで5T巻いた。これはARRLハンドブックの4CX1600B/50MHzアンプのコイルデータを参考にした。コイル両端にラグ端子を圧着し、ローディング用の補助ドアノブコンと出力同軸との間に挿入した。測定はいつも通り1KWCWで最大出力が得られる点で実施した。
グラフがその様子である。π型に比べ明らかに特性が改善されているのが分かる。これを見るともうπ型には戻れないような気がするが如何だろうか?。
気になるのは第6次高調波がいつも第2次と同程度のレベルで出ている点である。恐らく300MHz付近に回路かファイナルボックスが共振特性を持っているのだろう・・・3〜5次は-80dB以下のノイズに埋もれているのに、実に面白い振る舞いだと思う。
但しπL型であってもローディングの取り方で高調波の出方が変わってくるので、チューニング操作には注意が必要であることは云うまでもないだろう。
オンマウスカーソルするとエキサイター出力のスプリアス特性を見る事が出来る。エキサイターはIC-756で、特にLPFなどは挿入していない裸特性であるが2次高調波のレベルは-60dB程度で余り良好とは言えない。。この場合基本波レベルの校正はしていないのGU-84Bアンプの利得分尖頭レベルが下がっている。スペアナ上では20dBダウンとなっているので出力は10W程度と思われる。

Feb 19. 2005 同軸リレーのブレークルートを補償する

     
これも課題のひとつであった同軸リレーのブレークルートの補償を行った。経験的には20PF程度を2個シリーズになった接点回路の中央に装荷すれば良いと思っていたが、実際にやってみと20PFでは多すぎ、結局5PFが最適だった。やり方は入力側にSWRアナライザを、負荷側に50Ωダミーロードをつなぎ、目的周波数でSWRを監視する。そのままでもSWR=1.1程度で問題は無いが更なる改善を求め、リレー接点で同軸関係が崩れオープンになった部分にコンデンサを抱かせ完全にSWR=1に調整する。SWRアナライザは表示を見易するために感度を最大に上げて行う。高だか5PFであるが、効果はてきめんである。コンデンサは手持ちの関係で5PF/5KVを使用した。なおこれは集中定数なので他のバンドで使用する場合はこの限りではないだろう。
その作業を見て「では送信側はどうなの?」を思われるかもしれない。実は送信側は余り考慮していない。リレーがタンク回路直付けなら整合回路に依存していると説明が出来るが、同軸の途中ではそんな事は言えない。したがってSWR=1.1程度と明示して逃げることにする。
なおこの作業により1KW以上で発振気味になる現象が押さえられるかと期待していたが変化は無かった。

Feb 18. 2005 中和(Neutral)回路を考える

     
課題のひとつである中和について考えて見た。中和手法はCpg(Cpk)による入出力の結合を遮断する方法として、負帰還ブリッジによりCpgをキャンセルする方法が一般的だが、Cg-Sg-P間で構成される静電容量のΔ(デルタ)回路をY(スター)回路に変換しその一端(Sg)を直列共振で接地し入出力の結合を断ち切る方法がある。
図は後者の考えに基く回路である。この方法はアマチュアの場合「スクリーン(Sg)中和」とも呼ぶが、業界では「ワグナー(Wagner)中和」と呼ぶのが一般的である。中性点からSgまでの静電容量とLによる直列共振回路が構成されるが、周波数の微調はCにより行う。Csgはソケット内臓のSgバイパスコンデンサ・・・このCsgでも中性点を低リアクタンスで接地しているのだが・・・とする疑問を実は持っている。
また送信管の中には、SgやCgのリードインダクタンスを予め共振要素として設計し組み込んだ物もある。この場合は「ワグナーの自己中和」と呼んでいる。いずれにしてもΔからY変換したYの中性点を直列共振回路(リードインダクタンスを含んだ)で接地している事には変わりない。詳細はTest&Dataコーナーで解説しているので御覧頂きたい。
THE ARRL HANDBOOK 2000版以降に掲載されている4CX1600B/50MHzアンプでは、同様の中和回路が使われている。調整は管の動作を停止(Ep・Esg断)させておき、目的周波数でドライブし出力への漏れが最小になるようにすれば良い。
オンマウスカーソルすると参考までにNFBブリッジによる中和回路に切り替える事が出来る。

Feb 13. 2005 ノーマルモードで減衰されたエネルギーは何処へ?・・・遂にサーモスタット実装

           
朝Sype(PC電話)で、BIRD_8890-300ダミーロードを提供していただいたJA2TNY高須氏と話をしていたら「LPFを通したデータは取らないの?」と言われた。そういえばそうだがLPFが手元に無いのでと返事したが、色々考えるとLPFでノーマルモードで減衰されたスプリアスは何処へ行ってしまうのだろうかと言う疑問に突き当たる。
確かにLPF出力コネクタのノーマルモード、すなわちコネクタの芯線とシールド側の関係にはLPF効果が得られるだろうが、スプリアス成分は阻止されても接地されても終端されていないので一番電位の低い信号源側に戻っていくと思うのだが・・・。そして戻り方によってはコモンモードノイズにならないだろうか?。周波数が目的の整数倍なら整合状態から明らかに逸脱するだろうし・・・。ダミーロードやアンテナ等の負荷に供給されない限りスプリアスは吸収されないまま路頭に迷い余計な悪戯をしないだろうか・・・「スプリアスも負荷に消費(熱)され仕事をしたいはず」・・・話がやや宗教的になってきた。そうした考えに基いて物作りをすればきっと一ランク上のHandMakingが出来るだろうと考えている。
それにしても冬季の電気使用量は多い。休日でも3.5KV程度で配電NFBがトリップするためフルパワーの実験が出来ないでいる。トリップさせるとPCingしている息子達から非難轟々になり、怪しいものを作っていると言われオヤジが悪者になる。
作業が滞っていたが、坂口電熱のサーモスタット(温度スイッチ)F-1A型(部品コードBF140L)を実装した。
写真の様にファイナルボックス上蓋の排気口に僅かに顔を出し、プレートフィンからの熱風が当たるように配置した。このサーモスタットは40℃でONになり、電源を切っても40℃になるまでファンを回し続けるオフディレイ制御をファンに対して行う。実験では1KW/CWで30分間のKeying後でも、長時間のアイドリング状態からでも約4分30 〜45秒のオフディレイでファン電源が切れる。この場合室温は約24℃であった。
回路が単純なのでオーナーは好んでこのサーモスイッチを使っている。電子回路によるタイマーで構成するのも良いが考えてみれば日本の温度変化は夏冬で30℃近くあり、こうした温度によるセンシングの方が間違いが無いかも知れない。原始的だがRFI等の心配が無く確実である。
オンマウスカーソルするとサーモスタットのリード線の様子が分かる。排気口に専用のサドルで固定されリード線は上蓋に沿って背面パネルまで行きファストン端子で中継され被制御側に送られる。
1KW/CWの連続Keyingを30分行うと部屋の中は暖房状態になってくる。しかし出力の低下もなく安定に動作している。

Feb 12. 2005 1KW/CW出力時のスプリアス測定その2

     
昨日の測定で実はロードVCがいっぱい入った状態だったのが気になり補助コンデンサを100PFから160PFに変更し再測定してみた。負荷との結合状態でスプリアス状況がまるっきり変わるので、この話は余り深入りしないようにしたいが、参考のために測定データを表示した。1KW/CWで最大出力になるよう同調をとると、補助コンデンサが60PF増えた分ロードVCは抜け切る手前辺りになった。
スペアナの表示で分かるように、昨日の表示と傾向が異なっている。すなわち全体に高調波レベルが低下し、2次・6次が-60dBまで低下している。逆に3次がそれらより高いレベルになっている。全体に良好な測定データとなっているが、ローディング状況で様々な顔を出すので非常に評価が難しい。こうしたデータの変化を見ると、実運用ではローディングが、また測定ではその条件設定が如何に重要かが分かる。いずれにしてもLPFを併用すればノーマルモード伝送におけるスプリアスは問題ないレベルまで低減できるだろう。
なおこのスペアナは表示スクリーンをGIFファイルでセーブできる。ただしこの形式ではグラフデータがグリーンで表示されるためやや見難い。昨日も同様だがデータは見易くするために、グリーンをレッドに手打ちで書き換えたもの。世の中便利になったが、最近のスペアナは機能があり過ぎてPC感覚でやらないと操作に苦慮する。扱いはMS-DOSやWindowsのファイル操作そのものである。前面にKeyBoradコネクタがあり、ここにPS2のKeyBoardを差し込むとPC感覚で操作ができる。気に入った設定も直ぐUserFileに登録しないと後が大変だ。

Feb 11. 2005 1KW/CW出力時のスプリアスを測定してみた

     
Agilent(旧HP)のスペアナを借用する事が出来た。図は気になっていたスプリアスを測定したもので、スパン500MHzで中心周波数は250MHz。目的周波数である50MHzで1KW/CW送信した値を基準に表示している。測定は出力1KW/CWをBIRD43(1000A)と自作RFサンプラー(抵抗分圧結合)を経由しBIRD8890-300で終端する。一方サンプラーで取り出された被測定信号は可変ATT経由でスペアナに接続する。スペアナは過大入力にならないようにATTで調整し最適なレベルで測定する。サンプラーにC結合型や方向性結合器を使わない理由は、それぞれが持つ周波数特性が気になるから。Cは周波数に反比例してリアクタンスが変わるし、良質な方向性結合器でも6dB/OCTと云った特性持っているため、ワイドスパンで表示をさせる場合には補正をかける必要がある。
当初スペアナの設定が飲み込めず「出来すぎた表示」をしていたが、やっとそれらしい表示になった。2次=-46dB、3次=-58dB、4次=-72dB、5次=-78dB、6次=-50dBある。これらはLPFで十分取り除ける範囲だろうと楽観視している。またπL型なら更に落ちると思われるので後日確認をしてみたい。これらの様子は負荷との結合状態、すなわちロードVCの位置で大きく変わり取り扱いが難しい。あくまで参考値である。
なおこのスペアナはFM用途専用で、TowTone信号を見る様な分解能は持っていない。
オンマウスカーソルすると自作RFサンプラーとダミーロードのアップ、それに以前にも搭乗したコモンモード輻射によるTVIテストの様子をグラビア風にまとめた画像を御覧に頂ける。

Feb 9. 2005 入出力リレーのリークについて

     
同軸リレーボックスの入出力の結合が発振を誘発している模様で、その結合を数dBでも落とすための対策を検討する。製作した同軸リレーは、入力切替・出力切替・スタンバイ制御の3系統を同時に切り替える。売りは同一リレーのため相互に遅延を生じないところにある。3極管GGアンプのように低利得なら問題は生じないが、利得(本機は20dB以上)のあるハイμ4極管では、入出力を一つに同梱する場合工夫が必要になる。出力の一部は出力ブレイク接点にCoで結合し、入力ブレイク接点からCiで入力に結合される。ブレイク接点同士は被覆電線(Lo+Li)で接続されているから、CoとCi及びLo+Liの直列回路で入出力が結合される事になる。出力から入力までの電気長の調整でこの対策を行なえそうだが・・・果たしてどうだろうか。発振条件を満たす原因が帰還のレベルか位相かを考察すれば解決の糸口がつかめる。またCpgによる帰還とも相乗すると考えられるの実に興味深い。
しかしその前に、ブレイク系統(受信ルート)のSWRを高感度で測定し、同軸がオープンになっている部分にCを装荷してSWR最低点に調整しておく必要がある。ひょっとしたらこれだけで効果があるかもしれない・・・多分上手く行く。何故ならCo/Ciはせいぜい1PF以下でCは経験的に20PF程度だから、両者による分圧比はCo-C間だけ見ても1/20にもなるからである。 写真はメタルカンに封入されたリレーで入力用に最適かと思ったが、考えてみたら全体がカンで覆われていても同様な静電容量は残る。したがって前述の如くブレイク接点とブレイク接点を渡すルートに何らかの処理を行なうか、入出力の位相合わせを試みた方が良さそうである。

Feb 8. 2005 残り作業の整理

     
残り作業とこれからの予定について書き出して見た。
@オフディレイ用サーモスタット実装
フィードスルーコンの実装を伴うため板金が必要、ファン電源の時にやっておけば良かったとシクシク。或いは電子回路で組むか・・・。
A外部スタンバイ回路はオンディレイリレーとAND
電源投入後のオンディレイ中に送信制御があるとスタンバイリレーがONになる・・・オンディレイリレーの接点を1回路増やしスタンバイ回路とAND回路を組む。
B入力リレーを独立させる
ドライブレベルを上げ出力が1KWを越すと、利得があるためやや発振気味になる・・・入出力リレーの結合容量が効いているようで、シールド処理するか入力リレーを金属カンのハーメチック型に変更する。
C中和回路
プレート同調でIpディップ点と最大出力点にズレがあるので中和を施す。効率アップとNF効果でIMD改善を狙う。プレートから入力終端のコールド側へCで帰還させる。
Dファン吸入チムニィとトップチムニィ
前者はネオプレンゴムで後者は耐熱シリコンゴムで行う。
・・・これらが完了したら落ち着いて各種データとり作業に入る。

Feb 6. 2005 DC接地用保安RFC2と実装

     
保安用のRFC2を巻き実装した。ブロッキングコンは高圧を阻止するが、チャージされるため非常に危険である。電源断でも負荷がオープンだとチャージされた高圧が露出する。したがって感電や接続機器の破壊が予想される。そこで出力側をRFCで接地しDC電位を持たない様に対策をする。ブロッキングコン自身が短絡した場合は、プレート回路が接地されるが保護抵抗R2が飛び電源を守る。
写真はトロイダルコアで製作したRFC2を出力補助ドアノブコンに取り付けた様子。ホット側はプレートコイルと出力同軸芯線をドアノブコンに、コールド側はドアノブコン接地アングルに同軸シールド側と共締めしている。
オンマウスカーソルするとRFC2単体が見える。リードの先端には4mmラグを取り付けビス留めが出来るようにする。コアは#43材、線材は1mm/UEWで巻き数は33Tである。念のためLCメーターでインダクタンスを測ると70μHであった。この値が50MHzで示すリアクタンスはXl=2πfL=2x3.14x50x70≒22KΩとなりちょっと巻き過ぎの感がある。巻き数を半分にするとインダクタンスは1/4になりXlも1/4になるので、10T〜15T程度で十分だろう。
温度計を接触させ1KWoverでKeyingし発熱を確認すると55〜60℃程度の温度を示した。この数字は、温度計の上昇速度から見てRFC2自身の発熱と言うより、他からの熱の様である。ビス締め構造にしておくとこの様な作業が非常にやり易い。

Feb 5. 2005 トップチムニィ&ファンテストとBIRD"8890-300"ダミーロード

     
写真をみて一体何が始まったんだろうとする向きもあるかも知れない。先週帰省した折にスペアナを持ち帰る予定でいたが失念してしまい、スプリアスの測定が出来ないもどかしさを払拭するために、このような実験(イタズラ)を試みてみた。
なんて事は無い。A4サイズのボール紙を丸めホッチキスで留めて円筒を作り排気口に立て、その上にファン(日本電興:ダッシュファン/23W)を乗せ強制排気を試みる。アマチュアの場合殆どは圧力エアをプレートフィンに送りそのまま排出してしまうのが殆どであるが、それを援護するために強制的にプレート排気を吸い出す。業務用の機器の中にはこうした排気構造の物が散見される。
比較方法の決定打がないので取あえずカバー排気口付近の温度を比べた。測定は室温25.2℃、無入力送信状態(Pd≒700W)で、@無し、Aチムニィのみ時、Bチムニィ&ファン時での3条件について温度を測定した。温度測定には遅延が生ずるので、測定開始から10分経過時の温度を取得した。結果は、@無い時=34.2 ℃、Aチムニィのみ時=31.6℃、Bチムニィ&ファン時=27.6℃であった。この数字をどう見るかは難しいところであるが、チムニィを付けるか、更に吸出しをする事で明らかに筐体の温度が低下している。
なお同じロシア球ファンである安城市の高須氏/JA2TNYから昨日BIRD"8890-300"(2.5KW油冷ダミーロード)の提供を受け、その動作確認も含めてテストした。右下に見えるのがそれである。油冷+膨大なフィンでKWoverでKeyingしても発熱は殆ど無く僅かに暖かさを感じる程度である。
オンマウスカーソルすると"8890-300"の勇姿が見える。このダミーは輸送中にオイルが漏れないように専用のプラグ(ネジ)が付属しており、運用時はエア抜き構造のプラグに変更する。2.5KW連続の動作が2.4GHzまで可能であるが短時間なら更にパワーが入るだろうから凄まじい。
これらの作業はあくまでロシア球GU-84B及び周辺回路・環境の調査研究を目的としているので誤解の無いようお願いしたい。また当Webは法令遵守をモットーとしており、作業は全てダミーロードの中で行われている。

Feb 3. 2005 バリL駆動シャフトをテフロンに変更する

     
長時間のkeyingを行うと又してもバリLを駆動するベークシャフトが焦げあの電気部品の匂いが漂った。プレートコイルの直径をぎりぎりまで大きくしたため、シャフトカップリングとボールドライブ間のクリアランスが減ったのがその主な原因である。その後回復したのだが気味が悪いのでベークを諦めテフロン(PEFE)に交換する事にした。
写真はと取り出したベーク棒と新たに用意したテフロンスペーサー。ベークはが黒く焦げ無残な姿になっている。テフロンスペーサーは直径が6mmで長さが15mmのART315。オンマウスカーソルすると同時に購入した袋入りのART-315と長さが20mmのART-320が見える。両者は株式会社ウィルコから通販で購入した。インターネットで16時までに申し込めば翌日には届くので大変便利である。同じ商品が株式会社廣杉計器でも取り扱っており、価格もほぼ同じである。
テフロンスペーサーはこうした用途以外に、高圧や高周波のスタンドオフやRFCのボビンとしても大変有効である。このARTシリーズは最大で直径10mm長さ50mmまであり両サイドにネジが切られているので、テフロンネジで継ぎ足せばプレートFRCのボビンとして使える。またテフロンやその他素材による有効な部品が各種あるので上記Webを覗いてみると良い。

Feb 2. 2005 RFメーター用ダイオードを組み込む

こんなもの最初からやっておけば良かったのだが今になってしまった。RF出力レベルメーター用の整流ダイオードを組み込んだ。ダイオードはシリコン系の物を探せば良いのだが、昔から使い慣れたゲルマニュームダイオード1N60を使った。
ゲルマニュームダイオードの良いところは順方向の電圧降下が少ないところにあるが、こうした送信機の出力は取り扱うレベル(電力)が高いのでそれは全く問題にならない。回路はファイナルボックス内の強電界にリード付きのダイオードをさらし、両端に発生する整流出力を1000PFのフィードスルーコンデンサで平滑しメーターに供給する。
レベル調整すなわちメーターの振れ具合はダイオードとボックス側面との間隔を調整して行う。間隔を広げると振れが大きくなり、側面に近づけると振れが小さくなる。当然であるがダイオードには比直線の整流特性があるので目盛はリニアにはならない。しかし相対的な出力表示や最大出力調整に有効である。ダイオードの特性上、一般的に低レベル時より高レベル時にの方がスケールがリニアになる。最終的に500Wとか1KWのポイントはメーター状に書き込んでみるのも良いだろう。なおボックス上蓋の有無で表示が変わるのも考慮に入れる。オンマウスカーソルするとプレートコイルとの位置関係が分かる。

Jan 31. 2005 安全対策・・・高圧部のアクリルカバーを修正する

高圧配線のフィードスルーコンデンサ部分が露出していたのが気になり、アクリルカバーで覆う事にした。この部分は高圧を絶縁カバーで包み込んだファストン端子で接続しているが、コンデンサ側はL型構造のため絶縁カバーの取り付けが難しい。そこで、従来から高圧ブリッジ整流基板にかけていたアクリルカバーを延長し、フィードスルーコンデンサの位置まで伸ばす事にした。新たに2mm厚の透明アクリルを50mmx220mmに切り出し取り付けた。ファイナルボックスは別として、高圧に触れる機会を撲滅する必要があり、気がついた時は早めにこうした安全対策を施しておくと良い。
写真は、電源部からの高圧配線(BEAMEX耐熱電線+シリコン伸縮チューブ)が絶縁カバーを被ったファストン端子によりフィードスルーコンデンサに接続され、その上を透明アクリル板で覆っている様子。オンマウスカーソルするとアクリル板は高圧ブリッジ整流基板も含めてカバーしている様子が良く分かる。
感電は非常に危険であり生命も危うくさせる。1000Vを超える高圧の感電は我々がAC100で感電するのとは訳が違う。注意をしていても予期せぬ事態の発生はある。したがって、少なくとも露出した構造を回避する安全対策をとる必要がある。

Jan 30. 2005 筐体(コモンモード)輻射によるTVI確認を行う

TV受像機をアンプの上に置き、1KW/CW/50.5MHz/ダミー終端で送信しTV受信に異常が無いことを確認する。特に50MHzの倍の周波数に位置するTV-2・3/9・10chには気を配る。これはかなり厳しいテストであり、写真を見て嘘だろうと言うOMもいらっしゃるかも知れないが本当である。
名古屋地域のTV-3chはNHK総合TVである。オーナーの受信環境は屋根に設置された八木アンテナ出力を分配したものでブースターは使用していない。送信点からの距離は約8Kmである。受信映像を観察しビートが混入していない事を確認する。写真はその様子でオンマウスカーソルするとTV受像機と電力計のアップになる。
このテストの目的は、自分の送信システムの筐体輻射が如何ほどのものかを掴むためである。アンテナをつなぐ前に励行しておくとTVIが発生したときの対策が非常にやり易くなる。すなわち筐体輻射によるものか、アンテナ(含む給電線・アース回路)からの輻射によるものなのかのすみ分けがし易くなる。
ちなみにダミーロードは、800Wチップ抵抗型乾式ダミーロードに5D-2W/60mのアッテネータを付けているが、5D-2Wは放熱のために家の外までを往復している。よって筐体輻射を増長させる条件は十分揃っているのだが、TVIは全く感じない。これは出力タンク回路のリターンが殆どシャシを駆動していないところに起因すると考えている。もしこのテストで明らかなTVIが確認できるようであれば、出力タンク回路のリターンルートの再検討が必要になる。

Jan 29. 2005 ちょっと気になる低ドライブ時の入出力特性

以前測定したEcg-Ip特性でカットオフ点手前がダラダラと伸びているのが気になっていた。ドライブレベルとIpとの関係が2次関数的になっているからだ。それで実際に低レベルでドライブしたときの出力の様子を見た。
グラフはその様子で、1W〜18W間で入力を可変したときの出力をプロットした。結果は低ドライブ時の出力が2次関数気味になっている。1Wより低レベルでは更にダラダラと寝て来るに違いない。1月15日に測定した「Ecg-Ip特性」のカットオフ手前の特性に似ている。なおプレート同調とローディングは約40W(CW)ドライブ時に最大出力が得られる位置にしてある。この曲線をどう見るかは議論のあるところだが、Web読者の皆さんのご意見をお伺いしたい。ロシア球のGU-シリーズを使用したアンプは「音が濁る」と主張するOMもいらっしゃるがこの辺りが起因しているのだろうか?・・・。電力計はBIRD43+1000AとDAIWA/CN-510でエキサイタはIC-756。
なおこれ以上のドライブレベルについては電力計の精度が曖昧なので明示は控えているが、振れ方としては1次関数的ではある。詳細は後日測定する。初期の段階で急にIpが増加してやや寄生発振気味と記したのはこの事だったのか?・・・と色々と想像が巡る。
オンマウスカーソルすると、Phil/VA3UX(exVE3OZZ)制作のPi&PiL Net Work Calculatorで計算した出力タンク回路の定数を遅れ馳せながら示す。

Jan 28. 2005 ケース上カバー排気口にステンレスネットを取り付ける

排気口はファイナルボックスの上蓋にダイアプレスの金属ネットを張ってあるが、ケースカバー側は未対策だった。そこでシールドと物の落下対策のために、ケースカバーに2.5mmピッチのステンレスネットを張った。ネットは編み物で作業中にバラバラになる可能性があるため、切り出した部材の周辺に半田を流し形崩れしないように対策をする。そしてカバーの内側に取り付けるが、カバーには2mmタップを8ヶに立て皿ビスで行う。ネットをビス締めする場所にも半田を流し形崩れを防ぐ。
しかし問題はステンレス。通常の半田フラックスでは半田が流れない。そこでオンマウスカーソルで見えるようなステンレス専用のフラックスをしみ込ませ半田を流す。皿ビスを使う理由はボックス上蓋とケースカバーとのクリアランスが狭いためである。固定した後、上部にはみ出したビスをニッパーで切り落とし完成。これで排気口の一連の対策が完了したように見えるが、最後に塗装が残されている。エンドミルで切り落とした丸穴の内側は鉄の地肌が露出している。こに密着バインダーで下塗りを行い最後に黒の塗料を塗る。ネットも塗装しても良いが、今のところはこのままステンレス地で行く予定である。
2mmのタップ作業はハンドタップよりピンバイスで行った方が正確なネジが切れる。なかなかサマになっていると思う。面倒に見えるがこうした作業も実に楽しい。

Jan 27. 2005 排出空気温度を測定してみた

オーナーはPA(PowerAmplifire:電力増幅器)製作の過程で必ず冷却のコンディションを把握するために排出空気温度を測定する事にしている。ここでのテストは無入力の送信状態、すなわちEp=3.5KVでBIAS(Ip)を200mA(Esg=370VでIsg=0mA)流した状態のものである。
写真はその様子で、測定にはTandD社の「おんどとり」を使用し、ケース上カバーに空けた排気口上で、プレートの真上・真上−フィン間・フィン上・外側の4点について温度測定を行った。シリコンゴムのチムニィは室内の空気対流の影響を受けないようにするために被せてある。ちなみに温度センサーから夫々のポイントまでの距離は12mm/32mm/40mm/0mmである。
測定結果は95.3℃/90.9℃/74.2℃/35.2℃で室温は18.5℃であった。
プレート真上は余り排気の対流が無いと見えてプレート温度がそのまま伝わってきている感じがする。またフィン上部は一番対流のあるところでプレート真上より約21℃温度が低い。また排気口の外周は35℃台まで落ち手で触っても熱さを感じない。なおスタンバイ(カットオフ)時のプレート真上温度は32.3℃。オンマウスカーソルで送信解除からの温度下降特性を見る事が出来る。
このデータはRFドライブしていないDCによる損失なので、実運用ではプレートRFによるプレート損失やスクリーン損失による熱量が加味される事になる。

Jan 24. 2005 1KWoverを測定してみた

友人の福井市在住のY氏がBIRD43のエレメント2500Hを送ってくれた。氏は誤差は少ないと言っていたが、元々2-30MHzのHF用なので半信半疑だった。やってみるとまるっきし振れが悪い。止む無く2500Hで5KW目盛で500W振らし、次に1000A(25-60MHz)に交換してみると何と750〜800W振る。2500Hで5KWの目盛表示を750/500=1.5倍すると言う荒業で1KWoverのデータをとった。
表は40Wでドライブした時の状態を書き取ったものである。何処まで精度があるか疑問だが、この数字だけ見るとまずまずの成績と言えるだろう。
特筆は効率。Pdが1KWちょっとなので小振りのシロッコファンでも程ほどの冷却効果を得ている。1KWのヘアドライアが回っている感じである。AC200V受電が188Vまで落ち込んでいるが、これは1Fと2FのコンセントのHOT側を引っ張り出し、強引に200Vを取り出すと言う荒っぽい事をやっているためである。ちなみに現状でもドライブを50W程度に上げると出力は3KWに達し、効率は75%程度まで上がる。
現在米国のRF PARTSにBIRDの5000Aを依頼中で、早ければ来週中の届きそうなのでデータがどうなるか楽しみである。また落ち着いたらスプリアスやIMDの測定に入る予定である。それからトランスの唸りが気になってきた。オンマウスカーソルで上カバーをかけた上面の様子と、クリックで長男が携帯カメラで撮ってくれたオーナー入れ込みのスナップを見る事が出来る。

Jan 23. 2005 残工事・・・GND(保安アース)端子取り付け

GND端子を取り付けた。本来なら板金作業中に取り付けるべきだが、無精癖が抜けず結局この段階になってしまった。GND端子といってもいわゆるRFのGNDではない。あくまでも保安上筐体の電位を固定するためのGND端子である。したがってこの端子はシャックの保安アースに接続される。単相3線式屋内配線のAC200Vラインを受電としているので、大地からみたら200Vラインは比較的平衡度が保たれていると言ってよいだろう。またACラインフィルターも200Vラインに対しては平衡回路で構成しているので、ACラインからのリークがあっても筐体の電位は比較的安定している。単相3線で100Vを取り出すときの環境から比べたら遥かに優しくなっている。
写真は久々に見るリアパネル全景で、中央上に見えるのがGND端子。左は入出力端子と同軸リレー&スタンバイリレーボックスで右端はACラインフィルターボックス。そして上にはBIRD43ワットメーターが乗っている。
GND端子は5mmビスを仕切り板を固定している4mmビスの代わりに取り付け、ワッシャ&ナット締めしたあと更にワッシャ2枚とラグ端子及を通し蝶ネジ締め付けて完了。なおビス穴は5mmに拡大すると共に、5mmビスの頭が大きいのでヤスリで平らにしてサイズを合わせ回転防止も兼ねた。
オンマウスカーソルするとGND端子を含んだ同軸リレーボックス周辺が見える。随分と形になってきたなぁとやや感傷にふける。
以下参考までに未掲示の「ちょっとした手直し」を書き出した。
@Esg電源への逆流防止・・・Esg電源出力にダイオード挿入。逆流分はブリーダーに流す。
A入力終端を50Ωに変更・・・電力利得が125倍あるため終端抵抗を100Ωから50Ωに落とし利得を80倍程度に落とした。
B電源SWオフ時にIpが流れる・・・24Vリレー電源よりEcg電源の方が早く低下していたためCg-BIASが浅くなり送信制御に関係なくIpが流れ出した。24V電源の平滑容量を1/10に落として解決。
C電源オフ中誤ってEsg電源Regのドレインを接地しスパーク・・・ドライバーが転がって短絡。電源オフでも平滑容量があるため400V以上の電圧がドレイン抵抗15Ωに加わりスパークと抵抗断。
Dリレーボックス入力側SWR異常に高い・・・リレーボックスは問題ない。入力端子を結ぶNP-NPケーブルで芯線が地絡。どっちのコネクタ側がNGか?、UHFのSWRアナライザで見当をつける。
Eウォームアップ中に送信制御が出来てしまう・・・これ忘れ物。オンディレイリレー接点でスタンバイリレー電源を制御する予定。
Fピークで寄生発振・・・出力計を1KW付近まで振らせると寄生発振の気がある。マイナス領域のIsgが一気にプラス45mA程度まで振れる。PS回路挿入を検討中。

Jan 22. 2005 DCブロッキングコン周り修正・・・その他トラブル

DCブロッキングコン騒ぎが一段楽したのでコンデンサをパラっている銅板を適正サイズに切断した。元々コイルの取り付けの為に余裕を持って作ってあったが、必要最小限に切断した。写真は最終的なDCブロッキング周りの様子である。HH58は3個とも昨年沼津市のM氏から提供していただいた物でJenningsの印刷がある。オンマウスカーソルすると銅板切断の様子が見えるが、銅板と言っても厚さ3mmで幅15mmあるため写真のようにしっかりと固定して行う。
写真は昨日のと良く似ているが、良く見ると前述の銅板の長さが短くなり、一番左のコンデンサが変わっているのが分かる。
数分間1KW近い出力でキーイングしてからタンクコイルに手で触ると結構熱い。当然だがショートリングも同様だ。これだけ太い部材によるコイルでも、さすがにKW近くなるとそれなりの熱を発するのか。まぁ銅の色が変わるようなことは無いので取り敢えずは安心している。
幾つかトラブルがあったので紹介しておく。
@背面パネルNJ-NJとNP-Lコネクタ接触不良で黒化→出力激減
写真は接触部分が黒化したNコネクタ。タンク回路の出力をこのNコネで中継して外に出すのだが、NP-Lが半差しの状態でテストをしていた。Nコネはネジピッチが細かいので締まったつもりでも締まっておらず、慌てていると良くやる話。慎重に差し込んでネジを回せば良かったと反省しきり。送信テストするとジュワーと音がして出力が激減して分かった。両Nコネを座・プラグ共交換した。
Aショートリングシャフト延長ベークライト黒化→出力激減
これはバリLのショートリングシャフト(3mmΦ)が長すぎてシャフトカップリングをつき抜けボールドライブ側のベークライトスペーサーの中まで貫通していた。直流的にはシャシから浮いているが、RF的には誘電体なので電流が流れベーク内側が絶縁破壊して黒化した。ジュワーと言う音と共に、ベークが焼ける匂いが家中に漂った。ショートリングシャフト長を必要最小限にして、ベークライトはムク材に変更した。オンマウスカーソルでベークライトの様子が分かる。右がNGになったスペーサーで左がムク材の棒。
慎重にやっているつもりでも間違いや忘れ物が多いので気を付けたい。

Jan 21. 2005 DCブロッキングコンを3パラレルにする

プレートに直付けしたDCブロッキングコンデンサを3個パラにした。今まで金具には2個分の穴しか開けてなかったが、中央に1個追加し3個取り付けられるようにした。
写真はHT/HH58型のコンデンサを3個取り付けた様子。手持ちの関係で1000PFを3個使用しているが、一番左はコイルの固定用スペーサーの関係もあってネジはISO4mmのHH58M。右側の2個はinchiサイズのHT58である。輸入した物や国内に流通しているHT/HH型の殆どはinchiネジであるが、秋葉原の斉藤電気にはISO4mmネジのHH58M型が置いてある。最後のMがmm単位のISOネジの意味で、ネジ外周は6角形ではなく円型である。
オンマウスカーソルすると出力回路周りの俯瞰ショットを見ることが出来る。出力ケーブルの5D-2Wはラグ端子処理して出力補助コンデンサの両端からとっているので分解などのメンテナンスが容易である。サブシャシを底から固定しているビス4本と、プレートコイル・出力ケーブル・シャフトカップリングのビスを緩め、プレートDC供給の半田付けとファン電源のファストン端子を外せばサブシャシを取り外すことが出来る。保守性が悪いと障害時に面倒くさくなって投げ出してしまう結果となるので、後々の事も考えた対策をとっておくとよい。メーカー製アンプでも、どうして組み上げたか分からないような機器があるが、作りっ放しのような気がしてならない。絶対に壊れないと言う地震があれば話は別だが・・・。
DCブロッキングコンを3個取り付けていざ通電。低圧入り後3分待って高圧が投入された瞬間にバーン。何てこったぁ!。空けてみると前述のHH58Mが見事に破裂している。何だろうと考えたら直ぐ思い出した・・・これはGU-74B/144MHzアンプの実験段階で可笑しくなった一品だ!。ダメージを与えていた事を忘れていた。良く見ると周辺の色は変わっているし、中の半田は流れ出している・・・まともではない。写真は取り外して撮影したもの。粉々ではないので何とか形にできる。オンマウスカーソルで見える写真はバラバラにしたもの。電極間の誘電体を突き抜けた様な黒い痕が確認できる。なおタンクコイルにも放電痕が確認できた。出力はダミーロードで終端していたから、その瞬間はコイル途中の方が電位差があったのだろうか。
真空管は動作していないのに・・・いやヒーターが点きカットオフBIASが与えられその3分後にEsg→Ep(Hv)の順に投入された瞬間だから、全く動作していないとは言えない。ではこの破裂は単純にDCによるもの?、DCトリガによるRF共振によるもの?、真空管を含んだRF共振によるもの?・・・色々な事を想像させてくれる。
その後別のHH58に交換したが問題なく動作している。ということで原因は単純にコンデンサ単体の問題として片付けておこう。HH58Mタイプが無いのでinchiネジに4mmISOネジを切り直して対応している。それにしても高圧の振る舞いは面白い。

Jan 18. 2005 出力タンク回路の目的外共振周波数

目的の周波数だけ見ていると問題の無いアンプでも、実はとんでもない高い周波数で利得を持ち寄生発振の原因になったりする。受信から送信に移ったときのDC的なトリガ(カットオフが解除されたりした時)でV/UHFでパルスを発生したりする既製品アンプも少なくない。そうした可能性を掴むためにタンク回路の目的周波数(50MHz)以外の共振周波数を探ってみると良い。
写真はタンク回路にディップメータを近付け共振周波数を探っている様子。タンクコイルに近づける必要は無く、むしろ配線のループの方が良い。本機では260MHz台に強力な共振を確認する事ができた。ディップメータはDELICAのDMC-470で470MHzまで可変できるが、260MHz台以外にははっきりとした共振点を見出すことは出来なかった。
したがって50MHzには余り影響を与えず、260MHz付近で程よきインピーダンスを示すパラスチックサプレッサをタンク回路に挿入すれば寄生発振防止対策になる。
ところが今回はバリLを使用しているため同調容量の殆どは球の出力容量とソケットを中心とするストレー容量で占められている。またプレートとDCカップリングコンが直付けなので挿入箇所が難しい。ブロッキングコンの後に入れるとバリLとシリーズになるため、共振回路の真っ只中となりコイルのQ値を低下さるどころか燃えてしまうだろう。したがって現段階では入力のCg回路で対策する方が懸命と考えている。

Jan 17. 2005 ケース上カバーに排気口を開ける

所用で田舎に帰省時、友人のF氏に依頼しTAKACHIのケース上カバーに排気口を空けてもらった。罫書き…というより丸穴なので中心は名古屋で採寸しポンチ打ちまで行い田舎に持ち帰った。このケースのカバーは1mm厚の鉄板で塗装済みのため、妙な工具でやるとバリが出るのと塗装が焼けだすので念のため専用工具(エンドミル)で加工してもらった。
写真はケースに上カバーを被せた様子である。ファイナルボックスの穴と同心円で同サイズで空けた。直径は102mm。切削面は鉄が露出しているが、密着バインダーを塗り黒塗装する予定。カバーの内側にネットを取り付ける考えを持っていたが、隙間が1mm未満と狭くやや苦慮している。このままだと物を落としたときや、電磁的なシールドに疑問が残るので気分的には小ピッチで薄手のステンレスネットを1枚挟み込みたくなるが、問題は塗装したカバー内側への取り付け…。BIASを300mA程度流すと1KW近い発熱があるが、排気温度の上昇に対しケースの温度上昇は殆ど無く良好な排気が行われている。
オンマウスカーソルすると前面から見たフルショットを見ることが出来る。ようやくそれらしくなってきた感があるが、電力計とダミーロード環境が1KW止まりなのでフルパワーでのテストが始まらない。ダミーロードは例によって同軸でATTを構成して対応する予定だが、電力計についてはBIRDエレメントを捜索中。

Jan 15. 2005 GU-84BのEcg-Ip特性を測定してみた

凡その特性は球のデータシートで分かっていたが、カットオフ手前の状況がどの程度のものか気になっていたのでEcg-Ipの関係を測定してみた。Ecgの可変はBIAS-VRによって行ったので可変範囲に限界があるが、ある程度の感じは掴めたと思う。グラフはEp=3.3KV(Ipにより変動あり)、Esg=370Vで測定したもの。これによると調整範囲の最大マイナス点で約10mAのIpが流れているから、カットオフ点は-100V前後ではないかと思われる。また最小マイナス点は-40Vであるがこの時はIp=760mAを示している。曲線の直線部分を仮に延長してみるとEcg=0Vの時Ip=1560mAに達する。したがってIgが流れ出す程にドライブをすると入力は4.5KWを超える…但しそんなにリニアに伸びるか不明だし、だいいち冷却不足や電源容量不足が先に発生するだろう。図に示す特性曲線はEcg電源の製作やBIAS電圧決定の参考になると思う。 なおスタンバイ時のカットオフ電圧は-150Vとしている。

Jan 14. 2005 出力タンク回路のチューニング完了…結局コイルを巻き直す

その後色々と検討したが、20mm幅x2mm厚の銅棒が500mm程度残っていたので思い切ってコイルを巻き直した。念のため同じサイズのアルミ棒で、今までより約10mm大きい内径86mmΦで巻き、サイズや共振点を確認した後に銅棒で巻く。2度手間かも知れないが銅棒で無駄な加工をしたくないからだ。巻くと言っても2Tなので大した作業ではない。むしろプレート側・負荷側・ショートリングシャフトの位置あわせに神経をつかう。本機では上蓋をすると共振周波数が上がるため、オープン状態で49MHz付近で同調させると蓋をした時49.8MHz程度になる。
写真は周波数調整が終わったタンクコイル。ショートリングのシャフト軸受けは突起がコイルスペースを圧迫するため今回は取り付けないでシャフトサイズの3mm穴のみを空けた。またショートリングが妙な電位を持たないようにスプリングで常時タンクコイルに接触する構造にした。オンマウスカーソルでその様子が分かる。
ところが通電を開始し高圧投入された瞬間にボーンと音を立てプレート回路の保護抵抗が飛んだ。色々と調べると、コイルが大きくなった分ドアノブコンとのクリアランスが取れなくなりドアノブコンのプレート側とコイル中央付近で強烈にスパークしていた。また理由がはっきりしないがドアノブコン端子が脱落しかかっていたため、お馴染みだった赤色の日東電磁製を止め米HEC社のHT50型に変更した。以上の作業により49.8〜52.5MHz(1KW出力時)の範囲でチューニングが取れるようになった。ショートリング径を大きく設定すれば更に広い同調範囲を得ることが出来よう。
この写真は左が取り外した旧タンクコイルで右が事前確認用に製作したテストコイル。旧タンクコイルは内径が76mmでややインダクタンス不足のため、右のテストコイルは内径を86mmで巻いている。またテストコイルは作業し易いアルミで製作し、最低同調周波数の確認だけなのでショートリング軸受け穴は開けていない。前述のように上蓋を被せると同調周波数が上がるので、その分を加味しやや低めに設定する。作業は出力コネクタにZアナライザを接続し、プレートに1〜1.5KΩの抵抗を負荷して行う。同調(整合)点では見事にSWR=1となる。
テストコイル中央に黒い放電跡があるが、これがDCブロッキング用のドアノブコンのプレート側との間でスパークした跡。当初使用していた日東電磁のドアノブコンは電極が直径一杯まで及んでいるため、コイル径を大きくした事でクリアランスが激減していた。とんだ落とし穴だった。HEC社のHT50等は電極が外周にむき出しになっておらず安全だし使い易い。バリLをショートリングで行っている関係で、可変範囲を大きくとるために直径を大きくし巻き数を減らしたコイルになっているが、果たしてコイルの無負荷Qってのはどの程度?。蓋をしたらストレー容量の増加で共振点が下がりそうだが、逆なのはコイルとボックスの電磁的結合の結果?。・・・などと見ていると色々な事を想像させてくれる。オンマウスカーソルすると球を外した出力回路の様子が見える。

Jan 13. 2005 出力タンク回路のチューニング実験

出力回路の同調周波数を微調整してみた。写真はコイルの直径を拡大するために金属棒をコイルのホット側に入れた様子。取り付けビスの芯-芯で見ると約15mm延長されている。またプレート同調容量を稼ぐためにタイトVCから取り外したローター羽根を2枚共締めしてみた。羽根は既にコイルの面積による静電容量があるので思った程の効果は出ない・・・むしろテフロン板を挟んだ方が効果的と思われる。この結果バリLインダクタ最大で53.7MHz付近まで同調点を落とす事が可能であった。またこの状態から更に、5mm厚のテフロン板をローター羽根と上蓋との間に挟み込むと52.5MHzまで落ちることを確認できた。オンマウスカーソルするとテフロン板を取り付けて実験中の様子が見える。この状態から上蓋を被せるとテフロンの比誘電率(ε≒2)により容量の増加が実現する。ただ、こういうやり方はボックスへの結合を増やすので本来ならソケット筐体との間で容量を稼ぎたいところである。
以上はあくまで実験である。過去に記述したようにコイルを作り直すのは、ボックススペースの関係で直径は限界、巻き数を増やすとインダクタンスが増え過ぎ、ショートリング軸受け工作が面倒等の理由で余り得策ではない。ただ素材が幅20mmと広いので、同じ直径で素材幅の狭いもので巻き長さを詰める方法はある。でもやはりサブシャシからテフロンで絶縁したフラッパーをプレートに向けるのが一番簡単だろう。

Jan 12. 2005 出力タンク回路のチューニング考察

出力タンク回路の同調周波数が、一番低いところで約54.5MHz付近にある。これを50MHz付近に落とすための検討をしてみた。コイルCとコンデンサLによる共振周波数はf=1/2π√LCで求められる。C可変で周波数を変える場合、周波数変化比冉は、コンデンサの変化比僂の2乗に反比例する(LCが√内にあるため)。例えば周波数を2倍(1/2倍)にするには、Cを1/4倍(4倍)にする必要がある
54.5MHzの共振点をC増加により50MHzに下げるには・・・54.5/50=(Cmax/Cmini)2乗=1.09となるからCmax/Cmini=√1.09=1.044・・・現在の同調容量は30PF付近であるから・・・Cmax=30 x 1.044=31.32(PF)で、1.5PF程度のC増加で目的を果たす事ができる。またLを増加する場合も1.044倍にすれば良い。何れも微小なのでZ変化は無視できる。ちなみに2Tのインダクタを1.044倍するにはどれ位い巻き足せば良いか計算してみる・・・L=AN2乗k/l・・・であるから(A:コイル断面積、N:巻き数、k:定数、l:コイル長)A・k・lには変化がないものとしてNのみに着目すると。Lmax/Lmini=ANmax2乗kl/ANmini2乗kl・・・1.044=(Nmax/Nmini)2乗・・・Nmini=2Tを代入すると1.044=Nmax2乗/4・・・Nmax=√1.044x4=√4.176=2.0435T・・・巻き数Tの増加は2.0435-2=0.0435Tとなる。
写真はテフロンブロックを挟み込み同調点を53.6MHzに下げてKWテスト中のスナップ(Hv=3.1KV/Ip=0.6A/Esg=370V/Isg=-4mA)。排気口はまるでヘアドライアーだ。

Jan 11. 2005 遅れ馳せながら…ファイナルボックス上蓋製作

作業手順が相前後しているが、遅れていたファイナルボックスの上蓋を製作した。この作業は2mm厚アルミ板の切り出し、100mmΦの穴開け、ダイアプレスネットの取り付け等がある。またプレートと上蓋間のクリアランスを確保するためにボックス上部を4mm厚x12mm幅のアルミ棒でかさ上げし、蓋上部面をシャシフレーム面と並べる。このため上蓋の固定は皿ビスになる。ボックス上部縁・アルミ棒・上蓋の3者は同じ位置に穴を開る必要があるので。ボックス側は3mmのタップを立て、蓋のビス穴の皿モミ処理は後日行なう予定。なおアルミ棒は左右夫々ボックス上部縁に皿ビス1本で固定、穴は上蓋も含めて3.2〜3.5mmとし多少遊びを作る。
写真は排気丸穴を開けダイアプレスネット処理した上蓋の様子だが、未だ皿モミ処理やビス締めは行なっていない。オンマウスカーソルするとそれ以前の作業の様子が分かる。先ず穴開けを終わったアルミ棒をガイドにしてボックス上部縁に2.5mm穴を開け、更に3mmのタップを立てる。ボックスの素材は3mm厚のアルミ板だが、肉厚があるのでアルミでも十分。上蓋についてもアルミ棒をガイドにして穴を開ける。この辺りの作業は一定の精度が必要なので、罫書きの段階で精度が確認できない場合は穴あけ作業に入らないようにする。
切り出したアルミ板に直径100mmの丸穴を開ける。作業にはシポラツールを100mmに合わせて切り込んでいくが、今回は電気ドリルは使わず手力で切削を始めた。アルミはやわらかくシポラツールのバイトにくっ付き易いので、CRC5-56などの軽い油を流し作業を進める。また表側と裏側の両面から攻めると効率が良い。しかし普段使わない筋肉を使うため、作業はそれなりの力と根気が必要である。この作業には30〜45分程度の時間が必要であった。電気ドリルを使えばものの数分で行なえるが、音が出るのと切削物が飛び散るので深夜の「6畳間HandMaking」には辛い。穴が開いたらバリを取りサンドペーパーをかけ凸凹を平らにする。
ネットは黒塗装済みの鉄製ダイアプレスネットを使用した。程よき大きさに切り穴の周辺8箇所に3.2mmの穴を開け、3mmのブラインドりべっターで固定する。リベットのネット側は必ずワッシャーを入れ面でネットを押さえるようにする。穴の位置はネットを当て穴の位置で罫書くと間違いがない。
写真は上蓋に取り付けが終わったダイアプレスネット。オンマウスカーソルすると、取り付けを予定しているシリコンゴム製の上部チムニィの様子を確認できる。リベット4箇所よりリン青銅製のL型又はコの字型金具を出して固定する予定。上部チムニィの機密性があれば、ソケットはチムニィ一体型でないタイプが使用できるし、ファンの位置も変わってくるが、ここでの目的は単純に排気のガイドにある。

Jan 10. 2005 プレートRFCを実装…そしていよいよ通電

深夜、曜日が変わり次の日になったが、作業が佳境なため未明まで続けた。どうしてもプレートへの通電まで確認したくなりプレートRFC1巻く。三協特殊無線が製造販売していた50MHz用プレートRFCのタイト製ボビン(13mmΦを使う。同社は現在でも秋葉原駅のお茶の水側ガードの西側にありRFCを置いてある。そのままではコイルが細いのと巻き過ぎなので、巻きほどして新たに1mm/UEWを50T巻いた。これをサブシャシ角の程よき位置に4mm穴を空けビス止めし、プレートフィンガーストックへ配線(1.6mmSn)する。ビスを余り強く締めるとタイトボビンがかけるので、スプリングワッシャやファイバーワッシャなどを挿入すると良い。RFC2は100KΩ/2Wソリッド抵抗に1mmUEWを20T程巻きつけて製作したが、最終的には使用を止めて変わりに15Ω/10Wのセメント抵抗を取り付けた。この抵抗の目的はプレート回路でスパーク等が発生したときの緩衝と地絡が発生したときに自らが燃え尽きて断線する保護用である。と言う事で高圧回路に入れていたヒューズは撤去することにした。
写真はRFC1が実装され通電を待つGU-84B周辺の様子。オンマウスカーソルすると久しぶりに出力タンク回路も実装した様子が伺える。
いよいよ通電を行う。電源までは既に確認をしているので、未知数はGU-84Bのプレート回路と、実際の動作である。出力タンク回路の整合状態をZアナライザを出力端子につなぎ、プレート-GND間に1.5KΩ程度の抵抗を取り付け同調点を確認しておく。真面目に同調点を追い込んでないので、最小で54MHz台に同調点があった。約4MHz高いほうにシフトしている。バリLコイルを修正するのは大変なので、同調容量を数PF装荷することで行う予定。BIAS-VRを左一杯(深い方向)にする。入出力はオープンにならないようにダミーロードで終端する。電源投入すると低圧及び高圧電源が起動する。恐る恐る送信状態にする。するとGU-84Bはカットオフ状態で立ち上がった。BIAS-VRを右に回していくと徐々にIpが増加する。300mA程度にして様子を見る。Ep=3.1KV、Esg=370Vで安定している。見る見るうちにフィンから吹き上げるエアの温度が上昇。1KW程度が熱になっているから当然の話だが。数分後スタンバイ状態に戻し約1時間程放置。
ここでやはりRFを入たくなる。ボックス上蓋も未だ実装しておらず、よせばいいのにIC-706MK2Gを持ち出しテストが始まった。このIC-706MK2Gは輸出仕様で何とアマチュアバンド外でも送信が出来る優れもの。送信状態にしてキャリアを放り込んだら何といきなりKWオーバーを記録。写真はテスト状況とサブシャシの最終状況。

Jan 9. 2005 入力回路の最終版

サブシャシを取り外し、入力回路の最終チューニングを行う。既に共振周波数や整合状態は確認しているので、むしろ修正と言うべきかもしれない。 ここでは以下の作業を実施した。
@入力VCのアングル製作・・・固定と接地回路を兼用する。
AVCにはDCをかけない・・・不測の事態でEcgが接地されないようにする。
BCgプレートを180度回転させる・・・Cg周りの配線をすっきりさせる。
C終端抵抗を100Ωに変更・・・50Ω+50Ωとし倍のステップアップを狙う。
Dコイル調整とタップ決定・・・VCが入った位置で50MHz付近に同調させる。
・・・これによりバンド幅2MHz内でSWR=1に調整出来る。またSWR=1.5以内なら6MHzのバンド幅が得られ通常運用では全く問題ない。タップはSWRアナライザを見ながら最良点を探す。気持ち良い程SWRが落ちて行くためやっていて楽しくなる。
写真は入力回路周りのクローズアップ。50ΩダミーチップはフロリダRF_Labs製の30W型を2個直列にしているが、放熱を意識して金属片に接触させている。オンマウスカーソルするとアングルに取り付けた入力VCが見える。アングルは15mm幅2mmm厚のアルミ板で製作した。4mmビスで金属スペーサーに固定され接地される。カップリングは500PFのシルバードマイカを使用した。入力側の信号ルートは、シャシが出力側とコモンにならないように配置し、結合要素を作らないようにする。目的周波数も当然だが、V/UHF帯の寄生発振の要素にもなるから。

Jan 5. 2005 NISHIZAWAのU-60/DC2A電流計の内部仕様と考察

叶シ澤電機計器製作所営業部から年末に打診しておいた標記電流計の内部仕様を知らせるメールが本日届いた。その内容は以下の通りである。
@メーター本体の電流値:DC1mAフルスケール
Aその内部抵抗値:約50Ω(メーター単体=10.5Ω、シリーズ抵抗=39.5Ω)
B分流器抵抗値:0.025Ω(25mΩ)
図は上記データを書き込んだものである。やはりメーカーさんとしても標準的なメーターを流用し分流器と併用することで様々な値の電流計を製作しているようである。
このデータを元に、GU-84Bソケットのカソードと筐体間に挿入されている抵抗Rk=0.542Ωと電流計に合わせて2Aが流れたとき発生する電圧Ekで1mA電流計(内部抵抗50Ω)をフルスケールにするための倍率器Rmを求めてみる。オンマウスで等価回路表示。
Rkの両端電圧Ek=(2-0.001)x0.542=1.083458V
倍率器Rm=(1.083458/0.001)-50=1033.458Ω
・・・となる。1033.458Ωは半端な数字だが、1KΩを何本か当たって見て最も近い値のものを選べは良い。この場合は0.025Ωの分流器はU-60を分解して取り外す事になる。メーターに流れる電流は最大で1mAなので、電線の引き回しも気にならなくなる。これは無理な話かもしれないが、メーカーさんは自作派向けに、色々な値の分流器や目盛板を部品として販売して貰えると有り難い。なおメーター内のシャント抵抗25mΩを25.44mΩに増加させても同様な効果を得られる

Jan 4. 2005 大須で部品購入…アルミ板・アクリル板他

残された機構関係の作業に必要な部材を買い求めた。写真は2mm厚のアルミ板(白の部分)、4mmx12mmのアルミ角棒、2mm厚の透明アクリル板(茶の部分)、ラグ端子と倍率器用1MΩ抵抗。
アルミ板はファイナルボックスの上蓋に使用する。切り出した後にGU-84Bの排気口を丸穴で空けネットを取り付ける。この際GU-84Bのプレートトップとのクリアランスがやや心配なので、アルミ角棒により4mmかさ上げする。この角棒はボックス上部ノリシロに四角状に取り付ける。最終的にはケースのカバーにも穴空けが必要になるがその形状は未確定。ネットを貼るのも大げさなので、3mm程度の小穴をパンチング板をJigにして円状に空けようかとも考えているが・・・。
アクリル板は、高圧整流ブリッジ基板のカバーに使用したモノがややサイズが小振りなので、程良きサイズに切り出して交換する。ラグ端子類はサーモスタットの配線用。1MΩのカーボン抵抗は、Epメーターの振れがやや低いため交換して様子を見るための物。直列にしたブリーダー&デバイダー抵抗10本のうち1/10の部分をEpメーターの測定点としたが、どうも抵抗値が不揃いで誤差が多目に発生している模様なので、この1MΩは余り期待できそうにないかも。
交通費とか、確かに能率の悪い買い物をしているが、長い時間を掛けるアマチュアHandMakingには、店との人的なつながりも発生しそれが楽しさを倍化させて行く。

Jan 1. 2005 ・・・A Happy New Year!