2001/3/16の夜中 店内レイアウト
内装設計、現場監理をしたIKMOが書く現場日誌16

久保田さんのこだわりについて、3/9のメールを紹介したい。
「・・・この事業というかこの店をやろうとしたきっかけ、というか目的は、そんな大衆や時 代やトレンドに乗らない物達を扱いたい、売りたいと思ったことなのであって、決し てこちらから大衆に歩み寄ることなどしない、というのが基本にあったのです。 現 代はマーケティングというものに従って生み出されたグッズが世の中に氾濫していま すが、人の懐具合と腹のうちを見透かされているようで、どうも不愉快でたまらない 自分がいて、そういう論理から外れた、まず物ありきという、でもその作者の気持ち とか思い入れとかがダイレクトに表現されている物達にデザインフェスタで出会って 、こういう物をこそ求めている人がまだまだ多くいるはずだと、こういう物から癒さ れる人はきっといるはずと思ったわけです。 そもそも、日々ニュースなどで危機的不況と言われていますが、私に言わせればこん なの不況のうちに入らない、だいたいあのバブルの頃と比較するからいけないのであ って、セールをやれば高額商品から順に売れてゆくし、だいいちこれほどろくでもな い一国の首相がこれほどの徹底した不信任を浴びながら今だに暗殺されない国なんて まだまだのどかなもんではありませんか。 本当に不況ならば、大衆におもねること は必須かもしれないけど、この国の現況ではむしろ逆ではないかと、、、、考えたり しているです。 仮にトレンドとか時代の流れやマーケティングに基づいてショップを始めるのであれ ば、もっと別のものを扱うだろうし、こんな(なんて言っては失礼だが、、、)物は そもそも扱わないでしょう。 その意味では確かに比護さんの言う通り、このMONOBI Tは私のセレクトショップであって、そこは久保田ワールドであって、その運営方針 が気に入らなければ来なくてもよい、という風に割り切って考えてもいいはずなんで すよね。 そこが、実は、やはり会社のことをどうしても考えてしまうし、収益を上 げなければと、半年以内に黒字に転換、ということにとらわれてしまい、本来のスタ ート地点でのコンセプトを忘れてしまっていた自分に実は最近気が付いたのです。  でも、自分でそう思うだけでは『本当にそれでいいのいか?』という思いが湧いてき て、自己中なだけではないかと、、、、、でも人からずばりそう言われると、私の考 えは間違っていなかったと、許されることなんだと再認識できたわけで、、、、<な んか倉本聡のシナリオのような口調ですが (^^;)>、、、おかげで少し肩の荷が下り た気分なわけなのです。 ちょっと前になりますが、ある女友人と電話で話しをしているときに『いろいろ大変 だよ、胃がいたくなる思いだよ』みたいな話しをしたのですが、その時彼女は『自分 が好きでやれているなんて幸福なことじゃない。うらやましいくらいよ。私だったら もっと楽しんでやっちゃうけどな。』なんて言われてしまいました。 その時は“そ んな甘いもんやないで!”と思ったものでしたが、こうなってみて初めて彼女の言う ことが分かるような気がします。 そもそもこういう店を開こう考えたこと自体普通 じゃないのであって、その店が普通である必要などないのですよね。   これまで言ってなかったですが、このMONOBITでは当初から「高校生以下の入店お断 り」という方針だったのです。 それは『ガキを相手の商売はしたくない』からで、 だいたいモーニング娘なんてぐにもつかないジャリ歌手がトップチャートを占め、そ の支持層が小中高生という、小中高生がCD業界を支えているというばかげた経済構造 におもねるなんてもってのほか、死んでも嫌なわけですからこそ、先の方針をはなか ら確立したわけで、、、、でも最近、はたしてそんなんでいいのかなぁ、というふう に弱気になっていたのですが、おかげで再度少し意を強くできたようです。・・・」
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