< 離縁の手続と国籍・戸籍の変動 >
渉外離縁の成立要件は、養子縁組時の養親の本国法により、方式は養親の本国法又は行為地法によります。
日本の民法では、離縁の要件を次のように規定しています。
1)普通養子
− 協議離縁は当事者の合意によること。但し、養子が15歳 未満の場合には、離縁後に法定代理人となる者と協議する こと
− 夫婦共同縁組で養子が未成年の場合には、夫婦共同で離縁 すること
− 裁判離縁は、次の離縁原因がある場合に限り、養親又は養 子のどちらか一方からの訴えにより可能
・ 当事者の一方による悪意の遺棄
・ 当事者の一方が3年以上生死不明
・ その他縁組を継続しがたい重大な事由
2)特別養子
− 離縁は原則として認められない
− 例外として、家庭裁判所は次の場合に限り、養子・実父母 又は検察官の請求により審判によって離縁させることがで きる。従って、養親からは離縁の申立ができない
「養親による虐待や悪意の遺棄その他養子の利益を著し く害する事由があり、かつ、実父母が相当の監護ができ る」場合
届出手続:
1)日本法による離縁の場合
− 協議離縁の場合には、本籍地又は所在地に成立の届出をし ます。
− 裁判離縁の場合には、判決の謄本及び確定証明書を添えて 報告の届出をします。
2)外国法による離縁の場合には、日本の戸籍に報告の届出をし なければなりません。この際に、離縁成立を証する書面(協 議離縁証明書又は裁判の謄本及び確定証明書など)を提出し ます。
3)養親の本国法に離縁の規定がないなど、離縁が認められない 場合には、養子の福祉に反する(公序良俗に反する)として 養親の本国法の規定は適用されません。
国籍の変動:
養子が養親の国籍を喪失するか否かは、養親の本国法によります。
1)養親が日本人の場合には、そもそも養子縁組により日本国籍 を取得することはありませんので、日本に帰化していない限 り、養子の国籍は縁組前のまま変わりません。
2)外国人養親の国籍を取得して重国籍となった日本人養子が、 日本国籍を離脱している場合には、帰化により日本国籍を再 取得することができます。この場合には、日本国籍喪失者と して帰化要件が緩和されています(詳細は、パート2 セク ション2「在留手続(簡易帰化条件一覧表)」を参照くださ い)。
戸籍の変動:
日本国籍を有しない者について戸籍が編成されることはなく、日本人養親又は養子の戸籍の身分事項欄に離縁の事実が記載されます。
離縁後の在留資格:
日本人との離縁が成立すると、外国人養子は日本人の養子としての身分・地位を喪失し、在留資格該当性も失います。従って、在留期間が満了しても期間更新はできず、また、他の在留資格に該当しない限り、日本で在留を続けることはできなくなります。
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