《有難い 身の程に合う 見聞で》

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 夜回りをする際に夏から秋への時の流れに沿って明るさを失って闇が深くなっていく空を仰ぎます。温暖化をもたらすよどんだ空気によって,見えるはずの星がほとんど光を届けることができなくなっています。この小さな星である地球が自らの環境を人類というわがままな生物によって変えられていくのをいつまで我慢できることでしょう。
 人類はもっと欲しいという欲望を飽きることなく追い求め続けています。今よりずっと昔は人間は自然の前で謙虚に慎ましく生きていました。弱い存在という自覚を持ち,その対処のために互いに支え合うという行動を選んでいました。そこでは私たちという連携が生き方の基本になり,社会を作り出しました。その維持と発展を進める中で,限られた資源をめぐって隣接する社会との競争や軋轢が生じることが出てきました。戦うという自衛手段に訴える選択をして,寄り強いものが生き残るという歴史を紡いできました。
 自分たちを護るためにという理由のために,他を排除するしかないという結論を選択してしまいます。その大きな渦に巻き込まれて,個々の人たちも分断を選ぶようになってきました。人は互いに助け合う存在であったはずなのに,我以外は我のために存在すべきであるという思い上がりが吹き出してきました。身近なところではハラスメントとして,遠いところでは他者の生活を破壊する侵略戦争として,地球上に渦巻いています。
 情報社会になって人の助け合いが一層進むはずなのですが,副作用もありました。他者のもっと良い暮らしが際限なく見えてくることによって,欲望を過度に刺激されてしまい,程のよいところでゆっくりと豊かさを求めていくゆとりを失わされています。今すぐに我も最先端にというイメージに追い立てられています。人を結びつけるはずの情報は,分断する副作用をもたらしています。遠いところからの情報は程ほどにして,ごく身近な人の間で分かり合えるための情報を密にすべきです。
 人が生きていくための豊かさの歩みは,人の能力に見合った速さがあります。レーシングカーにだれでも乗って走ることができるはずはありません。世の流れがだれにでも相応しいものになるためには,それなりの配慮と工夫と訓練を経るゆとりが必須なのです。人の進化はゆっくりなのです。

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(2024年09月08日:No.1276)