*****《ある町の退任人権擁護委員のメモ》*****

人権メモの目次に戻ります

【生きる羅針盤の提案(7):性格の悪さ】


 人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。

******************************************************************
 「私が生きる羅針盤」を考える第7版です。今号では人間関係における不都合である性格の悪さといわれることについて見ておきましょう。


生きる羅針盤の提案(性格の悪さ)です
 人とお付き合いをしていると,性格が悪いと思われてしまう言動があります。いろいろと言われていますので,それらを無作為に集めて,その特徴を示す表現を羅針盤上に整理してみたのが,上の図です。羅針盤軸に従って,具体的な言動を提示しておきましょう。

※「自分都合のイメージで他者を束縛する」
  ○自己中心的で気分によって左右される
  ○人を外見だけで決めつける
  ○自分の話ばかり,自慢話
  ○下の人には威張り,上の人には腰が低い
  ○常に自分を被害者と思う

 対峙する人と自らの上下関係をその場の状況に応じて,都合のよいように思い込み,その判断を勝手に押しつけています。良くも悪くも押し込まれてくると,不快になります。自他の間合いはそれぞれに判断されるべきものですが,一方的に決めつけて,相手に押しつけてくる束縛の態度は,不遜であり不愉快です。

※「他者を見下して差別する」
  ○人を軽んじる発言が多い
  ○頻繁に他人の悪口を言っている
  ○比較してマウントを取る
  ○人格を否定するような注意をする
  ○人のあら探しを好む

 人として対等に向き合うことでお互いに信頼し合える関係が生まれますが,人としての存在を軽んじ否定するような言動は失礼です。度が過ぎてあからさまに差別に至ると関係は破綻します。人間としての関係を結ぶつもりがないと主張してくるのであれば,それはそれで相手にしないで済ませるしかありません。

※「他者の表現・話を否認や無視をする」
  ○相手の話を肯定せずに否定ばかりする
  ○根も葉もない噂話を広める
  ○人の話に耳を貸さない,興味を示さない
  ○他人を平気でだます

 人のつながりは相互理解によってもたらされます。思いや考えなどの意思表現は真実であることが原則ですが,それを真実のままに受諾できない相手とは,理解し合うことはできませんし,逆にそうした相手の言動の真実性を疑わざるを得なくなります。表現の信憑性がない以上,理解の外に置くしかありません。

※「自己愛に溺れ他者を貶め排除する」
  ○他人の不幸が大好き(顔を潰すことを平気で)
  ○嫉妬心が強い
  ○人にありがとうと言えない(当然と思う)
  ○困っている人がいても無視(損になる)
  ○人の幸せを妬み不幸を喜ぶ

 お互いを尊重しお互いのためになることをし合うのが,人との基本的な関係です。それを自分の欲に駆られて一方的に他者を搾取するものと見なして排除する言動は不穏な関係をもたらすことになります。付き合いは遠慮したい人として避けられるはずです。

※「自分の明日への希望を否定する」
  ○思い通りにならないと不機嫌になる
  ○過去の出来事をいつまでも根に持つ
  ○希望が通らないと腹を立てる
  ○マイナス思考で自分だけが大変と思う

 今現在の自分が,過去の自分に対してもあら探し的な視線を向けてしまっています。せめてこれからはといった希望を見つけることができても,他者との協働が思い浮かばないのでは結局状況の改善は難しく見えてくるので,自らを否定的に見届けてしまい,腹が立つのでしょう。他者からの不条理が自分に降りかかっていると思い込むことで,気分の落ち着きを失っているようです。希望は冷静に見届けるべきものです。

※「自分の成長を自ら妨害する」
  ○自分の悪いところや失敗を認めない
  ○心から反省することができない
  ○自分の非を認めず人のせいにする

 今日までの自分はたとえ至らなくても明日の自分は少しはましに成長するのが,人としての能力であると信じることができないようです。成長は今の自分のできないところを見るのではなく,できているところを見届けて,そこから次の挑戦を見つける考察が必須です。自分の有り様は,自分が見届けて,自分が努力することで良くしていくことができるのです。

******************************************************************
 性格の悪さと思われてしまう言動は,人は日々成長し続けているという生きている原則に気付いて,自らに気持の余裕を向けることができると,まず自分をまっすぐに見届けることができて,他者にも期待を持った言動を向けることができていくことによって,脱出できることでしょう。。
 人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。

(2025年03月16日)