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【生きる羅針盤の提案(46):意志決定5向上】
人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。
「私が生きる羅針盤」を考える第46版です。「生き方を変えよう」と考えるとき,私たちの脳が日々の意志決定を行うときに,どのように価値を計算しているかを理解できれば,新しい目標や,変化する自己イメージに相応しい方法を探るにはどうすればよいのか学べるようになるという趣旨で,エミリー氏が『What We Value: The Neuroscience of Choice and Change(私たちが大切にするもの:選択と変化の神経科学)』で述べている5つの洞察を紹介している記事が目にとまりました。早速,生きる羅針盤に参照してみました。
※参照先の「意志決定の質を上げる。ハックしたい脳の仕組み5つとは?」は
こちらです。
【1. 何に価値があると思うかは脳が決める】
《説明》価値判断は自分で意識するかどうかとは無関係に行われます。脳が最初にどのような選択肢を考えつくかによって,その後の選択の方向が決まってしまうのです。それぞれの選択肢に対して脳が割り当てる価値は固定されたものではなく,そのときの状況や気分,他人が言っていることや行っていること,あるいは選択肢のどの側面に注意を払うのかによって変化します。この仕組みを理解すれば,変化できる機会を逃すことなく,より大局的な目標や価値観に沿った選択ができるようになるでしょう。
※私たちが生き方を選び変える局面で配慮することは,判断の根拠となる価値を支えている前提状況を確認することです。その場の雰囲気や情報の偏りがないか,立場の交換にも耐えられるか,時の経過に沿っての変動がないか,一つでも視点を変えた確認をすれば,なんとなくの判断になることを避けることができるはずです。脳はなるべくエネルギーを使わないように働くので,ちょっと余計な作業を組み入れていくことで,私らしい判断ができるでしょう。《WHO》
【「影響力が大きい人」に着目】
《説明》何かの選択をするときに,まず心に浮かぶ人物は非常に大きな影響力をもっています。社会的関連性システムにはこういった先入観があることがわかっていますが,これに対抗するには,つながっている人,つながっていない人をチェックしてみたり,読んだり聞いたりしたことや一緒に過ごしている人を通して新しいアイデアを積極的に取り入れるようにしなければなりません。こうすることで選択肢の幅が広がり,今まで予想もしなかった新しい視点が得られます。また,問題に対する創造的な解決策を考え出す能力も向上するはずです。
※私たちが生き方を選び変える局面で配慮することは,人のつながりに関わる選択については,つながりの核心に位置する人物への忖度が紛れ込みます。そこから逃れるためには,自分を含め周りにいる人たちを意識し,別のつながりにおける状況を参照するようにします。変化が求められる状況とは,つながりの見直しであるはずであり,私たちに良いものを探すことなのです。《WHERE》
【3. 1人だけで決定することはない】
《説明》他人が何を考え,何を感じているのかを理解する役割を担っている脳の領域が存在します。他人が何を考え,何を感じているのかを理解する感覚は,私たちが何を選び,何を変えたいと思い,どのような選択肢を想定するのかにも大きな影響を与えているのです。社会的関連性システムは他人を理解するためには必要なものであっても,私たちを誤った方向に導いてしまうこともあります。人気のある,しかし明らかに虚偽のソーシャルメディアへの投稿に「いいね!」してしまうような有害な面もあります。
※私たちが生き方を選び変える局面で配慮することは,なんとなく周囲の人たちに忖度しがちであることを意識しておくことです。関係のある人たちの意向を理解することが判断に影響しますが,その理解が適正なものであるかどうかを,十分に検討する余裕を持つべきです。情報社会では,みんなの望む方向と一致していると判断できても,実はその方向は情報システムの意図的な仕組みによって偏って届いていることもあり得ます。皆の意向の理解には配慮が必要です。《WHEN》
【2. 自分が何者であるかは脳が決める。限界を決めるのも脳】
《説明》「私」と「私以外」を区別する感覚を形成する脳の領域が存在し,なんらかの決定を行う際には,この自己との関連性が価値観と深く結びついている。すでにもっているアイデンティティを強化するような選択を好み,「自分らしい」と思うアイデアや行動に執着してしまい,自分自身に対する認識を限定してしまうのです。私たちは防衛的になってしまったり,過去の選択に囚われてしまったりして,変化がより難しいものとなってしまいます。
※私たちが生き方を選び変える局面で配慮することは,自らの存在価値を確認することです。それは独りよがりなものである可能性があることを自覚して,周りとの互恵的な関係を意識して,自らの行動やあり方をより望まれるものにレベルアップしていくことが大事です。人として生きていくことは社会への貢献という目標への関与であり,その絶え間ない実績が存在価値を保証してくれます。《WHAT》
【5. 未来の変革は心の中からはじまる】
《説明》私たちの選択によって形作られるのは,自分の生き方だけではありません。その影響は外部へと波及し,文化や集団の価値観にも影響を与えます。他人を意識することが価値判断に影響しますが,同様に,私たちの行動を目にする他者にとっては私たち自身がロールモデルとなります。つまり,私たちが行う価値判断は周囲の人々にも影響するのです。そして,私たちが何を可能と考えるかが,未来の文化を形作ってゆくことになるのです。
※私たちが生き方を選び変える局面で配慮することは,誰にとっても望ましい目的を目指すことです。まずは自分の望む明日をイメージすることから始まりますが,それが身近な私たちにとっても望ましいとの確認を経て,具体的な実践の可能性を考察します。もちろん,その実践は単独ではなく社会的な共同を必要にするものとなっていくはずで,その面でも,関わる人たちから理解と参画を得られる目的であるべきです。《WHY》
【4. 脳と協力すれば、変化を生み出せる】
《説明》意志決定の枠組みを少し変えてみるだけで,価値判断にも変化をもたらすことができることがわかっています。価値システムとは,現在の自分自身と,本来こうありたいと思う自分自身をつなげる役割を担っています。一方で,自己との関連性あるいは社会的関連性システムによって,私たちが何に価値を置くのかが決まります。私たちは感情と目的を一致させるために状況の異なった側面に注目できるようになっています。
※私たちが生き方を選び変える局面で配慮することは,今生きている自分の状況に変革が必要だと感じさせる価値感を,理性的に検証考察することです。自らの変革だけで解決し達成できるものか,他者による関わりが必須なものなのか,具体的な行動の可能性を見計らわなければなりません。人が認知する状況は,違うという感覚に拠ります。何かが違うと感じ,何が違うのか考えて,何ができるかを探す,そこから変化が始まります。《HOW》
○以上,生き方を選び変える局面で意思決定を向上する5つの洞察を,「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。
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社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。
(2025年12月21日)
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