*****《ある町の退任人権擁護委員のメモ》*****

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【生きる羅針盤の提案(50):育児7不向】


 人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。

 「私が生きる羅針盤」を考える第50版です。子育ては愛情や責任を持ちながら日々取り組むべき重要な役割ですが,その一方で「自分には向いていないかもしれない」と感じることもあるのではということで,子育てに向いてない人の特徴を理解してみましょうという記事が目にとまりましたので,生きる羅針盤に参照してみました。
  ※参照先の「子育てに向いてない人の特徴7選!親が気づかない危ない考え方とは?」は こちらです。

生きる羅針盤の提案(育児7不向)です
【3. ストレス耐性が低い】
《説明》子育てには,寝不足や体力的な疲れ,精神的な負担が常について回ります。授乳や夜泣き,また子どもの急な体調不良やケガに対応しなければならない場面も多く,ストレスは避けられません。そのため,ストレス耐性が低いと,日々の育児が苦痛に感じることがあるかもしれません。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 育児中にストレスを上手に管理できないと,子どもに対して感情的になりやすくなります。疲れやストレスが溜まると,冷静に対処できなくなり,子どもに不必要な怒りをぶつけてしまったり,うまく接することができなくなることが考えられます。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,子どもの存在を尊重してやれることです。親が尊重してやることで、子どもの自尊心が育まれていきます。そのためには,親が沈着冷静であることが必要です。子どもの心身を多少に関わらず傷つけることは御法度です。ちょっとした感情のすれ違いがあり得ますが,もう一人の自分がきちんとフォローできる落ち着きを発揮することです。この子に寄り添うのは自分しかいないと思い続けることが愛情です。親に尊重されていなければ,子どもの成長は始まらないのです。《WHO》

【4. 相手の気持ちになって物事を考えられない 】
《説明》子どもが何を考えているのか,どう感じているのかを理解し,共感することは子育てにおいて非常に重要です。ですが,時に大人は自分の都合や思い込みだけで物事を進めてしまうことがあります。子どもが何を言おうとしているのか,何を求めているのかを察する能力が低いと,親子間に誤解が生じやすくなります。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 自分の価値観だけで物事を進めると,子どもの思いを無視してしまいがちです。特に子どもがまだ言葉でうまく感情を表現できない場合,その反応を理解することが重要ですが,感情の共有ができないと,子どもは孤独や不安を感じてしまう可能性があります。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,親子という絆の居場所を守る気概です。子どもの思いをまっすぐに受け止め,親子という居場所を確保して,絶対的な安心を与えているのです。その根源的な関係は強固であるはずですが,実際にはとてももろいものでもあります。ほんの出来心,迷いに過ぎないということでも,ひび割れを生じてしまうことがあるという自覚が求められます。安心が壊れてしまったら,子どもな閉じこもり,育ちを封じてしまいます。《WHERE》

【1. 子どものことを後回しにしやすい】
《説明》子どもは大人の予定やペースに合わせるのが難しい存在です。そのため,急なお願いや,予期しない行動をすることがあります。例えば,家事をしている最中に「お腹空いた!」と言われたり,外出前に急に「トイレ行きたい!」と言われることもあるでしょう。こうした場合,すぐに対応するのが大切ですが,忙しさや自分の都合でつい後回しにしてしまうこともあります。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 この特徴が子育てに向いていないとされるのは,子どもが「今,やってほしいこと」を待てないからです。親が忙しくしているときに「後でね」と言ってしまうことが多いと,子どもは不安や不満を感じ,親との信頼関係に影響を与えることもあります。

+【6. 子どものペースに合わせるのが苦手】
《説明》子どもは大人と違って,物事の進み方やペースが遅くなることがあります。例えば,外出する際に「まだ着替えてない!」とか,「おもちゃを片付けない!」と言い出すこともよくあります。こうしたときに,大人はつい急かしてしまうことが多いです。しかし,子どもは急がせても逆効果であることが多く,親のペースに合わせることにストレスを感じることもあります。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 子どものペースに合わせることが苦手だと,親の焦りやストレスが子どもに伝わり,子ども自身が不安定になってしまう可能性があります。また,子どものペースを尊重することなく自分の都合を優先すると,親子間の関係がギクシャクしてしまうことも考えられます。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,お互いの思いが同時進行できることです。タイミングがすれ違うと,つながりが成立しないために,親による支援が滞ったり,子どもの育ちの機会の喪失をもたらします。子どもの育ちと親の生活のタイミングがずれた場合は,初回は可能な限り対応して,その状況を回避する予防措置を考えることが大事です。繰り返さないことです。もちろん,子どもができることを具体的に教えることも必要です。《WHEN》

【7. 疲れていると育児が手に付かない 】
《説明》子育てには精神的,肉体的なエネルギーが必要です。夜泣きや育児中の家事,仕事との両立などで,知らず知らずのうちに疲れが溜まってしまうこともあります。疲れがひどくなると,育児が手に付かなくなる,または自分自身を追い込んでしまうという状態に陥ることもあります。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 育児は休みがない仕事とも言われます。特に,体力的に厳しいと感じたとき,育児の質が低下する恐れがあります。子どもとの接し方や言動にイライラが出てしまうことも多く,結果的に子どもに悪影響を及ぼす可能性があります。疲れているときこそ,自分をリセットできる時間を持つことが重要です。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,親子が協働して良い生活感を見いだしていくことです。子どもは親による子育て,つまり保護がなければ育つことができません。一方で,親になって初めて保護という責任を引き受けているので,戸惑うことばかりで,自分の時間や体力を余分に消耗することになります。この一方的な状況を親がマイナスと思ってしまうと、子育てを回避する向きに意識が向いてしまい,親子共に望ましくない事態になります。親が苦労ばかりと思う一方で,子どもの育ちをきちんと見届けるようにすれば,苦労の甲斐を実感できることでしょう。苦労は無駄ではなく,喜びを生み出しているのです。《WHAT》

【5. 問題を丸投げして,現実逃避を繰り返す】
《説明》子育て中,日々の中で解決しなければならない問題が次々と現れます。例えば,子どもの教育方針やしつけ,家庭内の役割分担,経済的な問題など。こうした問題に対し,つい他の人に責任を丸投げして,自分は逃げてしまうことがあるかもしれません。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 この特徴が育児に向いていないとされるのは,子どもは親の行動をよく観察し,学び取るからです。育児に対する責任感が欠けていたり,問題に直面したときに逃げる姿勢を見せると,子どもも困難に立ち向かう力を身につけることができなくなります。また,親が問題を避けることで,家庭内での信頼関係が崩れることもあります。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,親子で迎える明日という未来を期待できることです。未来の実態として子どもの育ちを認識すれば,子育ちに最も関わっている親の離脱はあり得ないことです。もちろん,親だけに子育てを押しつけるのも、実際的ではありません。親が逃避すれば,子育てそのものが消えてしまうので,親は我が子は社会の子どもでもあるという共通理解を想起し,支援を受けていく選択を決意することです。親が子どもを社会につなげていくのです。子どもが育っていく未来,それは社会の未来なのです。《WHY》

【2. 完璧主義】
《説明》育児において「完璧」を求めることは,しばしばストレスや行き詰まりを引き起こします。育児書やインターネットで見かける情報に頼りすぎて,何事も完璧にこなさなければならないというプレッシャーを自分にかけてしまうことがあります。しかし,子どもは個性豊かで,成長のペースも一人ひとり異なります。
《なぜ子育てに向いていないのか》
 完璧を求めるあまり,子どもの小さな失敗や遅れを許せず,過度に反応してしまうと,逆に子どもが自信をなくしてしまうことがあります。また,自分が完璧に育児をしようとするあまり,結果的に精神的な疲労が溜まり,育児へのモチベーションが低下することがあります。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,親子共にできないことを見つけ,できるようになろうと努力することです。今日は失敗してできないことがあるけれど,明日にはできるように挑戦する機会を持つというプロセスが,育ちそのものなのです。親も子も共にそれぞれ至らないと思う失敗などがあっていいのです。完璧であるなら,育ちは無用です。また,皆ができているのに我が子はできないという形での,あるべき育ちが押し寄せてきますが,育ちは多様であり,それぞれの課題は前後しながら進んでいくものです。いずれできるようになるという余裕が、育ちを楽しみに待つことになります。《HOW》

○以上,子育てをする上で常に配慮しておくことは,親子が共に育っていきたいという願いの実現です。親と子は保護される者と保護する者という反対の立場ですが,それだけにつながりは必須のものです。頼り頼られるという関係は,人として根源的なつながりです。人は社会的な生き物と言われますが,その形は与える者が当てられる者とつながることです。この関係が存在しないと,人は生きてはいけないのです。その大切な関係の原型が親子なのです。
 育児の7不向きの状況を「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。

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 社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
 人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。

(2026年01月18日)