『子育ちは 交わす言葉に 導かれ』

■子育ち12確認■
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『子育ち第5確認』
【お子さんに,耳を傾け聴いていますか?】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という5W1Hの問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第102版では,親が育ちの確認をしていくときに,状況を判断するキーワードとなる12の自問を選んで育ちを検討していくことにします。その構成は,奇数号では「私の育ち」を,偶数号では「私たちの育ち」という配置をします。私の育ちだけに意識が向くと,私たちという社会性に基づく仕合わせな育ちが疎かになります。あちらこちらで人のつながりに欠陥が見られる現状は,私たちによる育ちから得られる「私たち」という意識が未熟だからです。そのことに注目して,羅針盤を手元に設定していただくようにお願いいたします。
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《「耳を傾け聴く」ということについて説明が必要ですね!》
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○国語だけでは物足りない?
小学校入学前には,ママの方が焦ってしまうものです。予習が始まります。「本は一冊,船は一艘,鉛筆は一本,鶏は一羽」。何度教えても,「鶏は一羽」を覚えません。たまりかねて大声で怒鳴ってしまいます。「鶏は何て言うの?」。追いつめられた子どもは,目にいっぱいこぼれそうに涙を溜めて,「コケコッコー」。緊張の糸が切れて,親子で大笑いになります。子どもにとって鶏の体験メモリーは「コケコッコー」なのです。「一羽」といった数詞をメモリーしようとするなら頭の中の「鶏」フォルダーにあらかじめきちんとコピーしておかなければなりません。そのコピーのタイミングは,鳥に出会ったときが最適です。「スズメは何羽いるかな?」
小学校に上がると算数を習います。算数は好きでしたか? 足し算を復習してみましょう。3+2=? 答は5ですね。それでは応用問題です。男の子3人と女の子2人を足すと? 答は5人です。簡単ですが,この応用問題が計算できない子どもがいます。3+2=5はできるのに,計算できないと言います。そのわけは,男の子と女の子は足せないからということなのです。どういうことでしょう? 別の問題で考えてみます。マッチ棒3本と電信柱2本を足すと何本ですか? 5本と答えられますか? 足せないと思いませんか? 同じように男の子と女の子は本当は足せないのです。
算数の基本概念は等号(=)であり,同じもの探しです。男の子と女の子を足した5人とは何者ですか? この計算の陰には,男の子も女の子も同じ子どもだから,子どもの足し算に読み替えるというステップが隠されています。子どもという言葉を自由に使えずに,男や女という言葉にこだわるとき,足せなくなります。言葉を知らなければ,算数にもつまずいてしまいます。算数に限らず,言葉をきちんと教えておかねば,高校まで12年間の学習についていけなくなります。言葉の先生であるママの役目は重大です。決してテレビに一任しないようにお願いしておきます。
・・・国語ができなければ始まりません。
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○今日はどうだった?
学校から帰ってきた子どもを迎えて,「今日はどうだった?」と声をかけます。返事は「別にー」とあっさりしたものです。ママは最近子どもが全く話さなくなったと心配しているので「ねえ,どうだったの」と迫りますが,「何んにもないよ」といなされます。
小学生も高学年になってくると,すべてを語らなくなるものです。親に対する秘密を持つようになって,自立していきます。そのことを前提とした上で,ママの問いかけ方の問題を考えておきます。「どうだった?」と問いかけられたら,どう答えればいいのでしょうか? 何を聞かれているのかがあいまいですから,「別に」とあいまいに返事するしかありません。おそらく,尋ねるママの方も何を聞いたらいいのか分かっていないから,そんな尋ね方をするのでしょう。
話を聞こうとするなら,もっと具体的に尋ねるようにしましょう。「雨に濡れなかった?」,「今日はどんな歌を歌ったの?」,「給食は何を食べた?」,「〇〇ちゃんは元気だった?」などと,年齢に合わせた問で,なおかつ短く返事をできるようにしましょう。最初の一言が交わせたら,会話に入ることができます。問いかけられた方が何を答えればいいか分かるようにすることが話を聞くコツです。
・・・第一声を掛け違わないようにしましょう!。
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○声かけも毎日では種切れに?
特に聞くことがないときは,黙って子どもの様子を見ていてやるだけでもいいでしょう。話したいことがあれば,それとなく素振りが見えます。「なーに?」と誘いをかけてやれば,話してくれます。そのとき親らしい返事をしようなどとは力まないことです。ただ話を聞くだけといった積もりでいてください。子どもは話せば必ず何か言われると思ったら話しません。ただ聞いてもらえればいいというときがあるものです。その関係を持てていないと,子どもは本当に何か言ってほしいときにも話せなくなります。
子どもが家族を意識できるときとして,「留守番をしていたら家族が帰ってきたとき」があげられます。ちょっとした寂しさを味わうから,家族のぬくもりが意識できるのです。うれしそうに「お帰りなさい」と出迎えます。そんなときママが疲れた顔でムスッとしていたら,子どもの気持ちに冷水を浴びせます。せっかく家族を温かいものと感じ始めた出鼻をくじかれます。子どもから「お帰りなさい」と声を掛けられているのに応えていなければ,親の問いかけに「別にー」と応えている子どもより拙い対応です。会話の最初の出だしを,親は案外となおざりにしてはいないでしょうか?
・・・子どもの気持ちを読み取ってあげることです。
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《耳を傾け聴くとは,子どもの言葉を膨らませてあげるためということです》
○本を読み聞かせていると,子どもはすっかり覚えているのに読ませられます。ママは話の筋が分かればいいと思っているので,覚えた話をなぜ繰り返し読ませるのか不思議でしょう。子どもは覚えている言葉と耳で聞く言葉をつきあわせることを楽しんでいるのです。言葉によって自分の中にイメージが広がってくることを不思議な感動として咀嚼しています。話の筋を言葉によって分かる自分が楽しくて仕方がないのです。聞くことは楽しいことです。
【確認5:あなたは,お子さんの話を耳を傾け聴いていますか?】
●答は?・・・もちろん「イエス」ですよね!?
ある実験です。3歳児に「黄色の蝶」を見せて覚えさせてから,別のたくさんの蝶々の中に並べます。「さっき見た蝶はどれかな?」と指ささせます。きちんとさせた子とさせなかった子に分かれます。させた子たちは「黄色」という言葉を知っている子たちでした。「黄色い蝶」と覚えられたのです。同じように蝶を見ても,黄色という言葉を知らない子は黄色が認知できないのです。ただ蝶ではなく,形や色などを添えて,優しく丁寧に言葉を渡してください。
★落書き★
漢字の鳥は,尾の長い鳥を横から見た形を表す象形文字です。全身が真っ黒のカラスは,目を閉じると,横から見たときにどこに目があるのか分からなくなります。そこで,鳥の漢字で顔に当たる部分の真ん中にひかれた眼を表す一本の線をなくして,烏(カラス)という漢字になりました。