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「第 73-05 章」 |
『子育ちは 言葉覚えて 分かりゆく』
■子育ち12願語■
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『子育ち第5願語』
【分かりたい?】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第73版では,「子育ち」をしている子どもたちが,育ちの発露としての願っていることに寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという思いを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと支援の手を伸ばすことができるでしょう。それは一方で,子育てをしている大人には,大人の出過ぎる願いを控えることにつながるはずです。子どもの願いという新たな12の指標盤を楽しんでください。
《分かりたい?》
子どもは親や先生から「知らない人には注意を」と言って聞かされて,知らない人を怖いと感じています。分からないというのは不安になります。○○ちゃんのお父さんと分かれば,安心します。知らないイヌは避けますが,○○さん家のクロと分かっていると触りたくなります。子どもは「あれは何?」とやたらに疑問を持ちますが,分かって安心したいのです。散らかっている部屋では落ち着きませんが,分類して整理すると状況が分かりやすくなって落ち着きます。物事を言葉で分けると分かるのです。
自分のことを分かってもらおうとすると,自己紹介をします。先ず名前という固有名詞です。続いて,住所や年齢,趣味などの説明をします。このように分類してそれぞれに言語表現をしていくと,自分を他者と分けていくので,分かってもらえます。人だけではなく世の中を分かるために,学校の授業で学ぶ科目は言葉を扱う国語を基本としています。言葉を操って話ができると,利口になったことになります。住む世界の理解が進むので振る舞いも多様になっていくことが,育ちというものです。
親として,子どもが分かりたいという願いに向かって育つためには,どのように関わっていけばいいのでしょう。例えば,子どもに「ちゃんとしなさい」と指示する前に,親が「ちゃんとしようね」と実際にしてみせることです。具体的なものが先にあって,言葉を後付けするようにします。コオロギという虫を見たことがない子どもに,コオロギという言葉を教えても分かりようがありません。母親が言葉の先生というのは,子どもの側にいて,現物を共有して言葉を与える立場にあったということです。
文科省の調査発表によると,いじめの報告が増えているということです。いじめ防止法によると,いじめられている子どもが心身の苦痛を感じているなら,それがいじめということになります。いじめている者のいじめているつもりはないといういいわけはできないのです。第三者のふざけであるという判断も通用しなくなっています。いじめられて嫌な思いをしていると訴えてよくて,それを受け取る仲間が周りにいれば,いじめは無くなっていきます。いじめという言葉の意味をきちんと教えてやってください。
★落書き★
ラテン語で小川を意味する「rivus」が派生して,「川を共同で使う者」という意味になりました。それが英語の「ライバル」になっていきました。ただ,英語のライバルは「対抗者」という意味合いが強くて,「好敵手」といった友好的なニュアンスはないようです。ところで,川の右岸と左岸はどちらになっているかご存知ですか?問題は,人が川に対してどちら向きに立っているかということです。山に背を向け海を見るように立って,右側が右岸,左側が左岸となります。場所を説明するときに間違えないようにしてください。
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