*****《団体・グループの運営の窓》*****

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【文書の管理マニュアル】
[文書発送・整理のマニュアル]
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 団体が自立しているかどうかを自己評価する最も基本的な指標は,文書類を自己作成・管理しているかどうかということです。文書を作成するためには,全体的な団体活動の把握が前提だからです。組織運営の要です。
 代表者は,自ら作業をしなくても構いませんが,少なくとも原案は責任を持って作成する心積もりでなければなりません。そうしなければ団体全体の流れが見えなくなります。

 団体活動は,多くの人の協力と参加によって可能になります。それぞれの活動は,依頼状や招待・案内状から始まり,報告書やお礼状で締めくくられます。文書の扱いについて留意しておくポイントを,場合毎にまとめておきます。

1.代表者が文書発送者
団体が発信するすべての文書は,代表者名で発信されます。代表者が自ら発送すればいいのですが,多くの場合は文書発送を事務局に委託していることでしょう。その際には,何時どのような文書を誰に対して発送したかということを代表者に通知しておかなければなりません。代表者は連絡も含めて段取りを図っているので,完了の通知がないと先に進めないからです。また,代表者の知らない間に知らない文書が発信されたことになると,代表者が困ったことになります。

2.代表者が対外責任者
総会や講演・研修会などでは来賓や講師などの部外者の方のお世話になります。招待や招聘して来ていただいたのですが,礼儀としての後始末を忘れないようにしなければなりません。当日の終わりに口頭でお礼を述べたとしても,文書で招いたことに対してはお礼状という文書できちんとあいさつを済ませるべきです。対外的な責任者としての代表者の品格が問われますので,代表者は十分気配りをしておいてください。

3.案内状が行事開始
案内をする場合には工夫が必要です。講演会の場合を例にします。案内文書には,日時と会場,演題と講師名,それに簡単な講師紹介が掲載されています。たまに講師の顔写真が載せられていることもあります。名前だけで人を引きつけられるような著名な講師ならそれでもいいのですが,専門家講師ではそうもいきません。となると,内容による集客を図るしかありません。演題だけでは内容は伝わりません。テレビ番組のCMでは内容の一部を予告しています。代表者は講師選定に当たり必ず何らかの期待を持っており,講師との打ち合わせの際には確認をしているはずです。講師が最も得意とするテーマのさわりの部分を聞き出したら,それを案内文書に添え書きすることです。講演の一部を予め視聴してもらうということです。こんな話が聞ける,という具体的なイメージを感じてもらうことで,案内状から講演が始まってしまうような工夫も大事です。
 もっと大胆には,講師から早めにいただいた講演のレジメを,案内状と一緒に事前に配ってしまうのもいいでしょう。配布部数は増えるかもしれませんが,出席できない方への配慮にもなります。レジメだけでは内容の一部しか分からないので,欠席を促してしまう心配は無用です。

4.保管文書が企画テキスト
代表者が関わっている文書はすべて日付順にファイルしておくことを勧めます。一年分を綴ると,それは団体活動の作業マニュアルになっているはずです。次年度は日程に沿って文書を紐解けば,自然に何をいつすればいいかという情報が手に入ります。これは大事な引き継ぎ文書になります。
 多くの団体では,代表者が交代します。代表者は本業が別にあるので,団体の代表という激務を永く引き受けることができません。ほとんどボランティア的な気持ちで役割を果たして下さることに対して,構成員も甘えていられません。団体は皆で交代して運営する形にしておかないと,リフレッシュ能力が低下します。そこで問題になるのが,団体活動が深まらないということです。代表者を含めた役員の交代の度に振り出しに戻るという現実です。それを解決する手だてが,きちんとした活動経過情報の引き継ぎです。ぜひ,実施して下さい。

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 文書作成上の一般的な留意点は,改めて述べることもないでしょうが,いくつか追記しておきます。まず,名簿類では名前の漢字を十分に確認すること,ワープロ原稿は変換ミスがあるので必ず読み返すこと,会計報告の数字ミスは信頼の失墜になること,複数の封書を同時発送するとき中味を入れ間違えないこと,などが直接間接に経験してきたことです。要は,慣れっこにならずに,いちいち確認することです。