結末のない事件/L.ブルース
Case with No Conclusion/L.Bruce
1939年発表 小林 晋訳(新樹社)
意外な真相の構図はよくできていると思います。事件が連続殺人(しかも三件)だということをビーフが明らかにした場面の衝撃には、しばし呆然とせざるを得ませんでした。もちろん、犯人たり得る人物は限られているので、真犯人にはさほどの驚きはありませんでしたが、動機がなかなか推測できないことがラストの驚きを高めています。
ただし、ビーフの態度には納得がいきません。スチュアートの無実(ベンスン殺しに関する)を確信するのはいいのですが、事件の真相を明らかにするわけではなく、かといってかつて殺人を犯したスチュアートを見放すわけでもなく、中途半端にしか感じられません。そのため、どうしてもすっきりしない印象が残ってしまうところが残念です。
2001.08.15読了