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メフィストの牢獄/M.スレイド

Burnt Bones/M.Slade

1999年発表 夏来健次訳 文春文庫ス8-4(文藝春秋)

 M.スレイドは主要な登場人物にも容赦がないという先入観があるので、例によって騙されてしまいました。手首に続いて切り取られたのは“別の部分”だと思い込まされましたし、ディクラークが射殺した〈籠男〉もてっきりクレイヴンだと……(例のミュージシャンは直接登場していないこともあって、存在を忘れていました)。クレイヴンが悲惨な目にあったのは確かですが、それでもあれだけの“死亡フラグ”――キャットへの遺言状まで――を乗り切ったところをみると、以前のジンク・チャンドラーのポジションに収まったといえるのかもしれません。

 最後に示唆される〈メフィスト〉の正体には唖然。あれだけ執拗にスコットランドとストーンヘンジへの強烈なこだわりを描いておきながら、“種々の歴史的背景に応じて、自分自身の〈色〉を変えていくという性癖が想像される”(587頁)――まったく別の“ペルソナ”へと変貌し得るということで、少々脱力を禁じ得ないのは事実ですが、いかにもスレイドらしいオチともいえるでしょう。

 最後の最後になってディクラークに生存をアピールしている〈メフィスト〉ですが、解説で紹介されている続刊の内容をみると、第9作『Death's Door』あたりで再登場してきそうです。次回は何とか決着をつけてほしいものですが……。

2007.10.11読了

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