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殺竜事件/上遠野浩平

2000年発表 講談社ノベルス(講談社)

 まず、“容疑者”たちが実際には(EDにとって)まったく容疑者でなかったという真相には、やや拍子抜けの感が否めません。物語の展開上、主役たちの旅が必要だということはわかるのですが、事件の解明にほとんど貢献していないことを考えると、やや釈然としないものがあります。

 殺竜事件の真相については、“どうやって竜を殺したのか?”という謎の中に、直接の殺害手段だけではなく“どうやって竜の防御(もしくは反撃)を阻止したのか?”という謎が含まれているのがポイントになっています。竜を油断させるために、竜の近くに村を作り上げて機会を待つという計画は、ある意味で壮大であり、またある意味で不毛です。

 直接の殺害手段はよく考えられていると思います(卑劣な犯罪ではありますが)。解決に至る逆転の発想もいいと思いますが、“ピストルアーム”や“火傷を負った赤ん坊”という伏線が効果的に機能しています。

2003.01.18読了

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