真珠の首飾り/R.ファン・ヒューリック
Necklace and Calabash/R.van Gulik
1967年発表 和爾桃子訳 ハヤカワ・ミステリ1698(早川書房)
“首飾り盗難事件”の実行犯が太公望亭の帳場係・泰民であることは早い段階で明らかになりますが、当の泰民がすでに殺されてしまっており、背後の黒幕や駆け落ち相手の存在もあって、首飾りの所在がまったくわからなくなっています。具体的には、
- 直接の依頼人・藍六の手に渡った
- 黒幕の手に渡った
- 駆け落ち相手の手に渡った
- 泰民自身がどこかに隠した
物語の進行につれてこれらの可能性が一つずつ潰されていくという展開はよくできていますし、最後に泰民自身が隠した場所を狄判事が推理する場面は圧巻です。そして何より、隠し場所自体が非常によくできています。最初から大胆に読者の目の前に登場しているにもかかわらず、形が違っていることもあって目を眩まされてしまうのですから。
2001.12.08読了