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暗黒大陸の悪霊/M.スレイドEvil Eye/M.Slade |
1996年発表 夏来健次訳 文春文庫ス8-2(文藝春秋) |
終盤の6頁、“最後の一撃”の3連発はやはり見事です。ある程度予想できることもあって、衝撃そのものはさほどでもありませんが、2頁ずつの3章にわたって、しかも二元中継によりカナダ→アフリカ→カナダと繰り返される“最後の一行”には、美しささえ感じられます。 読者が真相に到達するための最大のヒントは、“〈邪眼鬼{イーヴル・アイ}〉=〈策士{スリッカー}〉”(749頁)という記述です。誤射事件を通じて黒人に反感を抱いているタール巡査長が黒人と手を組むはずはないのですから、〈策士〉すなわち〈邪眼鬼〉は黒人ではあり得ないということになります。そして、クレイヴンのレッド・サージに母親の血液を付着させることができた人物を考えてみれば、〈邪眼鬼〉の正体は明らかになるでしょう。 随所に挿入される100年前のエピソードで示唆され、さらに現代の人種問題と重ね合わされてクローズアップされていく黒人vs白人の構図が、結局は壮大なミスディレクションだったという真相には、思わず苦笑です。 2004.09.20読了 |
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