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しゃべくり探偵の四季/黒崎 緑 |
1995年発表 創元クライム・クラブ(東京創元社) |
一部の作品のみ。
- 「騒々しい幽霊」
- 近所の“オバハン”がいかにも怪しすぎで、しかもその狙いがお婆さんの家財道具だということも見え見えです。ポルターガイスト現象が古伊万里と思われる皿のすり替えに関わってくるところは面白いと思うのですが、あくまでも先に挙げた予想可能な構図の範囲内にとどまっているといえるでしょう。
- 「注文の多い理髪店」
- 被害者の顔と手を焼いた理由は見当がつきますが、靴を持ち去った理由はなかなかよくできていると思います。
髭を剃り落としてしまったから、という殺害の動機には唖然とさせられますが、被害者が恐ろしい暴力団の幹部ということで、それなりに説得力は出ているのではないでしょうか。
- 「戸惑う婚約者」
- 提示される解決は面白いのですが、名前が平凡でほとんど喋らないというだけの手がかりをもとに、婚約者が日本人ではないという結論を出すのは、さすがに飛躍しすぎではないでしょうか。
- 「怪しいアルバイト」
- 服を着替えてごまかすというのは古典的なトリックですが、置いてあった他人の服を借用するというのはユニークです。しかも、服の持ち主に後ろ暗いところがあるために、そのまま何事もなかったかのように現場を離れるしかなかったというところが秀逸です。つまり、二つの事件が重なることで、接点のない二人が結果的に協力関係になってしまうという構図になっているのです。
また、“五十円玉二十枚の謎”が最後に面白い形で扱われているのも印象的です(もちろん、この作品は『競作 五十円玉二十枚の謎』のために書かれたわけですが)。
2003.07.17再読了
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