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李白《哭晁卿衡》陶淵明

                     
                    

       哭晁卿衡
                     
李白

日本晁卿辭帝都,
征帆一片遶蓬壺。
明月不歸沈碧海,
白雲愁色滿蒼梧。


******

晁卿衡(てうけいかう)を哭す                

日本の 晁卿(てうけい)  帝都を 辭し,
征帆(せいはん) 一片  蓬壺を (めぐ)る。
明月 (かへ)らず  碧海(へきかい)に 沈み,
白雲(はくうん) 愁色  蒼梧(さう ご )に 滿つ。

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◎ 私感註釈

※李白:盛唐の詩人。701〜762年。字は太白。自ら青蓮居士と号する。世に詩仙と称される。西域・隴西の成紀の人で、四川で育つ。若くして諸国を漫遊し、後に出仕して、翰林供奉となるが高力士の讒言に遭い、退けられる。安史の乱では辛酸をなめた。後、永王の謀亂に際し、その幕僚となったため夜郎にながされたが、やがて赦された。

※哭晁卿衡:晁卿衡の死を悼んで声に出して哭(な)く。 *阿倍仲麻呂が日本へ帰国する際、嵐のために安南に漂着したが、このことが李白の許へは死亡との知らせになった。その死亡(と謂うこと)を悼んで作った詩。 ・晁卿衡:晁衡君。晁衡〔てうかう/現・ちょうこう〕とは、阿倍仲麻呂の漢名。姓名の間に「卿」を入れて使う。「晁
衡」。姓名の間に官職等を入れるのは、辛棄疾詞にある「趙介庵」、王維詩の「廬員外象」や「崔処士興宗」などと同じ。

※日本晁卿辭帝都:日本の晁(ちょう)君は、帝都・長安を辞去して。

※征帆一片遶蓬壺:帰国して往く船は ぽつんと小さくなって、東方海上にある蓬壺を遶(めぐ)ろうとしている。 ・征帆:往く船。 ・遶:〔ぜう/現・じゃう;rao3●〕めぐる。とりまく。かこむ。 ・蓬壺:東方海上にある神仙が住むと謂われる島。=蓬丘、=蓬莱。ここでは、日本の意で使われる。

※明月不歸沈碧海:明月は、碧(あお)い海原(うなばら)に沈んでしまい、歸ってこないで。 「明月」は晁衡(阿倍仲麻呂)を擬している。

※白雲愁色滿蒼梧:(無常を感じさせる)白雲が、愁色を漂わせて、(まるで舜が亡くなった時のように)蒼梧に満ちている。 ・蒼梧:伝説上の五帝の舜が葬られた場所。『禮記・檀弓上』に「舜葬於
蒼梧之野,蓋三妃未之從也。」とある。『昭明文選』卷二十に、謝玄暉(謝)の『新亭渚別范零陵詩』「雲去蒼梧,水還江漢流。…心事倶已矣,江山徒離憂。」がある。

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◎ 構成について

韻式は「AAA」の平声韻。韻脚は「都壺梧」。平水韻になる。この作品の平仄は次の通り。

   
●●●○○●○,(韻)
   
○○●●●○○。(韻)
   
○●●○○●●,
   
●○○●●○○。(韻)
   

2003. 6.16完
2006. 1. 8補
2021.10.13
   

漢詩 填詞 詩餘 詩余 唐詩 

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