扶桑已在渺茫中,
家在扶桑東更東。
此去與師誰共到,
一船明月一帆風。
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日本國の僧 敬龍の歸るを送る
扶桑は 已に 渺茫たる中に 在り,
家は 扶桑の 東の 更に東に 在り。
此こを去りて 師 與(と) 誰か 共に到らん,
一船の 明月 一帆の風。
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◎ 私感註釈
※送日本國僧敬龍歸:日本國の僧である敬龍の歸國を送る。
※扶桑已在渺茫中:扶桑は、もちろん、渺茫たる彼方にあり。 ・扶桑:東海にある神木。ここでは、日本国の意では使われていない。 ・渺茫:はてしなく広いこと。
※家在扶桑東更東:あなたの家(国)は、神木の扶桑のあるところの東の、そのまた東にある。
※此去與師誰共到:(今)ここを去って、誰が敬龍法師と共に行くのだろうか。
※一船明月一帆風:(それは)船の(上に輝く)明月と、(その船の)帆に(吹くつける)風だけである。孤独な旅路であることを謂う。
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◎ 構成について
五言絶句。韻式は「AAAAAA」の平声一韻到底。韻脚は「中東風」。平水韻上平一東になる。この作品の平仄は次の通り。
○○●●●○○,(韻)
●●○○○●○。(韻)
●●○○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2003.6.20 |
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