昨夜夜半, 枕上分明夢見。 語多時。 依舊桃花面, 頻低柳葉眉。 半羞還半喜, 欲去又依依。 覺來知是夢, 不勝悲。 |
女冠子
昨夜 夜半,
枕上 分明に 夢に見(まみ)ゆ。
語ること 多時にわたる。
舊に依る 桃花の 面(かほ),
頻に 低ぐ 柳葉の眉を。
半ば羞ぢ 還た 半ば喜び,
去らんと欲して 又 依依たり。
覺め來って 知るは 是れ 夢,
悲みに 勝(た)へず。
****************** 私感訳註: ※女冠子:詞牌の一。双調(単調、異体もある) 四十一字。換韻。この作品は、前のページの女冠子と聯章詞(聯章体=同一の事柄を複数の詞で詠み、セットで一纏まりとなっているもの)になっている。この詞は、男性の側に立って描かれている。なお、この作品の影響を李Uの『喜遷鶯』「曉月墜,宿雲微,無語枕頻欹。夢回芳草思依依,天遠雁聲稀。 啼鶯散,餘花亂,寂寞畫堂深院。片紅休掃盡從伊,留待舞人歸。」は、受けている。 ※昨夜夜半:昨夜の夜中に。 ・夜半:真夜中。夜中の零時前後。 ※枕上分明夢見:枕元ではっきりと夢で会った。 ・枕上:枕辺で。寝ていて。 ・分明:(古語・白話)はっきりと明らかなこと。 ・夢見:夢で会う。(「夢を見る」の意はない。 ・見:会う。 ※語多時:多くを語り合ったその時。 *(想いを)語ることが長時間に亘る。多くの時間、(情愛を)語った。 ※依舊桃花面:昔ながらの桃の花のような顔だった。 ・依舊:昔ながらの。以前と同じで。 ・桃花面:桃の花のように麗しい女性の容貌。美貌。 ・面:かお。 ※頻低柳葉眉:しきりと美しい眉を下げて。 ・柳眉:女性の美しい眉。 ※半羞還半喜:半ばは恥じらい、なおまた、半ばは嬉し(そうであり)。 ・還:なおも。また。 ※欲去又依依:行こうとしても、名残が尽きなくて離れがたい。 ・依依:名残惜しく離れにくいさま。 ※覺來知是夢:覚めてみて、夢であるということが分かった。(分かったことは、夢であることだ)。 ・覺來:(夢から)覚めてみれば。 ・知是夢:夢であるということが(やっと)分かった。知ったことは、夢である。 ※不勝悲:悲しみに勝(た)えない。とても悲しい。 ◎ 構成について
双調(単調・異体あり) 四十一字。換韻。韻式は「aaBB AA」。但しこの作品は「aaBB BB」となっている。韻脚:「半見 時眉 依悲」になる。 「半見」:第七部去声。「時眉依悲」:第三部平声。 ○●,(仄韻) ●○●。(仄韻) ●○○,(平韻) ●○○●, ○○●●○。(平韻) ○○●●, ●●○○。(平韻) ●○○●, ●○○。(平韻) 以上のようになる。 |
2001.4.14 4.15完 2014.8. 6補 |
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