漢詩 陸放翁　　　書事
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　南宋　陸游

關中父老望王師， 想見壺漿滿路時。 寂寞西溪衰草裏， 斷碑猶有少陵詩。

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　　　　　　　　事を書す
　　　　　　　　　　　

關中の父老　　王師を　望み，
想見す　　壺漿（こしゃう）の　路に 滿つる時。
寂寞たる西溪　　衰草（すゐさう）の裏（うち），
斷碑　　猶（な）ほ有り　少陵の詩。

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私感訳注：

※書事：事件、事柄について、感懐を書きとめる。陸游と同時代人の范成大の『州橋』「州橋南北是天街，父老年年等駕迴。忍涙失聲詢使者，幾時眞有六軍來。」や盛唐・杜甫の『悲陳陶』に「孟冬十郡良家子，血作陳陶澤中水。野曠天�C無戰聲，四萬義軍同日死。群胡歸來血洗箭，仍唱胡歌飮�ｷ市。�ｷ人回面向北啼，日夜更望官軍至。」と感慨は同じ。

『宋三大家絶句』より

　・關中：中国北方の政治の中心地。当時は、漢民族の支配から離れて、金の支配下になっていた。函谷関、武関、散関、蕭関の四つの関の中にある地域のことで、渭水盆地一帯のこと。現・陝西省。唐代までは歴代の首都（周…鎬京、秦…咸陽、漢以降、隋、唐…長安）が置かれ、政治の中心地であった。　・父老：北宋の遺民のこと。また、村の主立った年寄り。前者、特に北宋遺民（淮河以北の金の領土となったところの漢民族の人民で、南宋の立場に立った見方）に対しての用法では、辛棄疾の「渡江天馬南來，幾人眞是經綸手。 長安父老，新亭風景，可憐依舊。」や、前出范成大の『州橋』「州橋南北是天街，

年年等駕迴。」と同様の用法。年老いた人への敬称、出身地の主立った年寄りの意では、『史記・高祖本紀』の「高祖還歸，過沛，留。置酒沛宮，悉召故人父老子弟縱酒，發沛中兒得百二十人，�ﾍ之歌。酒酣，高祖撃筑，自爲歌詩曰：『大風起兮雲飛揚。…」や『項羽本紀』には「父兄」も出てくる。ここでは、前者の詩詞での用例にある北宋の遺民のことになる。　・望：待ち望む。前出紫字の「等」に同じ。　・王師：皇帝の軍隊。後出『孟子・梁惠王下』の青字部分に依る。また、前出赤字の「六軍」にその義は同じ。

※想見壺漿滿路時：（王師がやって来るその日、）路には（王師を迎えるための）飲み物が路に満ちあふれているさまを推し量って目に浮かべている。　・想見：推し量って目に浮かべる。…だということがわかる。　・壺漿：〔こしゃう；hu2jiang1○○〕（王師を迎えた時に出す）飲み物。壷に入れた飲み物。『孟子・梁惠王下』に「以萬乘之國伐萬乘之國，箪食

２００５．　２．２７ 　　　　　　２．２８ 　　　　　　３．　１ 　　　　　　３．　２完 ２０１２．１２．２３補

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