huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
古楽府 漢楽府 長歌行



                     
題新淦蕭寺壁
         題青泥市寺壁 
           

            
          南宋・岳飛


雄氣堂堂貫斗牛,
誓將直節報君讐。
斬除頑惡還車駕,
不問登壇萬戸侯。



    **********************

              新淦の蕭寺壁に題す

雄氣 堂堂  斗牛を 貫き,
誓って 直節を 將
(も)って  君讐を 報ぜん。
頑惡を 斬除して  車駕を還さば,
問はず 登壇  萬戸侯を。

             ******************

◎ 私感訳註:

※題新淦蕭寺壁:江西の新淦に駐屯した際、そこの蕭寺で作った詩。この「題新淦蕭寺壁」は『岳飛集輯注』の中の題。『岳忠武王文集』では「駐兵新淦題伏魔寺壁」とする。 ・新淦:〔しんかん;xin1gan4○●〕現・江西省新淦〔xin1gan4〕。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)24−25ページ「北宋 両浙路 江南東路」。現代では、新干〔xin1gan4〕と書き表す。南昌西南100キロメートルのところにある。 ・蕭寺:伏魔寺のこと。 *この作品は広く『題青泥市寺壁』という題で流布している。(青泥駅の地名は長安東南40キロメートルの藍田。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)40−41ページ「唐 京畿道 関内道」にある。)

※雄氣堂堂貫斗牛:雄々しい気概は、威儀があって盛んであって、東北方の天をつらぬくばかりの勢いを見せている。 ・雄氣:雄々しい気概。 ・堂堂:いかめしく立派なさま。 ・貫斗牛:(東北方の)天をつらぬく(ばかりの勢いである)。斗牛の用例は、辛棄疾『水龍吟』「夜深長見,斗牛光焔。」、李清照『菩薩蠻』「角聲催曉漏,曙色回牛斗。」、秋瑾『寶劍歌』「君不見劍氣貫斗牛。」などがあり、天の気として描写している。 ・斗牛:二十八宿の星宿名で、二十八方位に当てはめて、方位を表す。斗宿と牛宿の間で、丁度、北東にあたる。北斗星と牽牛星のことではない。『晋書・巻三十六・張華傳』中の「斗牛之間」のこと。『晋書・巻三十六・張華傳』に「…,斗牛之間常有紫氣,(道術者皆以呉方強盛,未可圖也,惟華以爲不然。)……。華…乃要煥宿,…。煥曰:「僕察之久矣,惟斗牛之間頗有異氣。」がある。(張華は、斗宿と牛宿の間に紫色の気を認めたが、(道術者たちはまだ呉國が強く、まだ立ち上がるときではないとみたが、張華は尚も不審に思い)そのわけを雷煥に尋ねた。雷煥は、それは宝剣の神光が天に当たっているのだと答えたという。 ・斗牛:斗宿と牛宿の間で、東北。また、牽牛星と北斗の間。

※誓將直節報君讐:必ずや誓って、まっすぐな気節をもってして、君主の仇に報いよう。これは靖康之変のことを指す。靖康二年(1127年)に金が京(現・開封)を陥し、徽宗、欽宗を始め、皇族官僚ら数千名を北方に拉致し去った。これで北宋が滅んだ。この事件は、宋が金に対して度重なる背信行為を行ったために起こったものであるが、漢民族にとっては、中原を取られて江南半壁の地に追いやられた屈辱の事件であり、自民族王朝(北朝)の亡国の恥辱として、長く深く心に刻まれている出来事である。岳飛『滿江紅』(怒髪衝冠)「耻,猶未雪。臣子憾,何時滅。」に同じ。 ・誓將:誓って…を。…ことを誓う。盛唐・岑參の『與高適薛據同登慈恩寺浮圖』に「塔勢如湧出,孤高聳天宮。登臨出世界,磴道盤虚空。突兀壓~州,崢エ如鬼工。四角礙白日,七層摩蒼穹。下窺指高鳥,俯聽聞驚風。連山若波濤,奔走似朝東。松夾馳道,宮觀何玲瓏。秋色從西來,蒼然滿關中。五陵北原上,萬古濛濛。淨理了可悟,勝因夙所宗。
誓將挂冠去,覺道資無窮。」とある。 ・將:…をもって。 ・直節:正直な節度。まっすぐな気節。 ・報君讐:君主の仇に報いる。北方に拉致された徽宗、欽宗の仇を討つこと。

※斬除頑惡還車駕:(邪魔をする)金軍の指揮官たちを刀剣で切り除いて、皇帝(の乗った車)を取り返そう。 ・斬除:(刀剣で)切り除いて。 ・頑惡:頑固で悪い。ここでは、敵・金軍の指揮官を指す。 ・還車駕:皇帝を取り返す。 ・車駕:皇帝の乗った車や輿。玉輦。寶輦。寶駕。龍馭のこと。

※不問登壇萬戸侯:軍人として出世して、地位をもらって万戸侯となることについては、気に懸けない。 ・不問:問いたださない。とがめない。 ・登壇:地位を授かるため、築かれた壇にのぼること。 ・萬戸侯:多くの封土を持った諸侯。軍人としての出世した形態でもある。





◎ 構成について

一韻到底。韻式は、「AAA」。韻脚は「牛讐侯」。平水韻下平十一尤。この作品の平仄は次の通り。

○●○○●●○,(韻)
●○●●●○○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)

2003.9.26
     9.27完
2007.7.14補
2015.1.13

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