楚狂接輿歌
『論語・微子』
鳳兮,鳳兮!
何コ之衰。
往者不可諫,
來者猶可追。
已而!已而!
今之從政者殆而。
**********************
。
楚狂 接輿歌
鳳や, 鳳や,
何ぞ コの衰へたる。
往く者は 諫
(いさ)
むべからず,
來る者は 猶
(な)
ほ 追ふべし。
已
(や)
みなん! 已
(や)
みなん!
今の 政に 從ふ者は 殆
(あやふ)
し。
******************
◎ 私感訳註:
※楚狂接輿歌:楚狂:楚の国の狂人。接輿:〔せふよ;jie1yu2〕この歌の中心人物の名前になる。孔子の乗った輿(こし、かご、車、乗り物)に近づいた人、の意。 ・歌:『論語・卷九・微子第十八』に「楚狂接輿歌而過孔子曰:」とあって、やがてこの歌の「『鳳兮,鳳兮!何コ之衰也。往者不可諫(也),來者猶可追(也)。已而,已而!今之從政者殆而。』」へと続く。その後は「孔子下,欲與之(楚狂を指す)言,趨而辟之(孔子を指す),不得與之(楚狂を指す)言。」となっている。孔子がこの歌は『莊子・人間世』「孔子適楚,楚狂接輿遊其門曰:「
鳳兮!鳳兮!何如コ之衰也!來世不可待,往世不可追也
。天下有道,聖人成焉;天下無道,聖人生焉。方今之時,僅免刑焉。福輕乎秩C莫之知載;禍重乎地,莫之知避。
已乎已乎
,臨人以コ!
殆乎殆乎
,畫地而趨!迷陽迷陽,無傷吾行!吾行郤曲,無傷吾足!」となっている。
※鳳兮,鳳兮:鳳凰よ、鳳凰よ。孔子よ、孔子よ。 ・鳳:高い徳の備わった想像上の霊鳥。麒麟同様、徳の高い天子が出た場合に現れる想像上の霊鳥。ここでは、徳をいう孔子を指す。鳳凰。 ・兮:韻文としてのリズムをとっていて、実質上の押韻の補助をしている。後出の「而」に同じ。
※何コ之衰:なんと、徳の衰えた時代となったことか。 ・何:なんと。 ・コ:徳。道をふまえた立派な行い。 ・衰:衰える。この時代の社会の様相を言う。
※往者不可諫:過去は諫め正すことができないが。 ・往者:過去。過ぎ去ったこと。 ・不可:…できない。 ・諫:いさめる。ここでは、いさめ正す。
※來者猶可追:将来。これから先のことは、まだ猶も追いかけて、変更できる。 ・來者:将来。これから来るところ。 ・猶:なおも。 ・可追:追いかけることができる。
※已而!已而:よした、よした。やめた、やめた。おしまいだ、おしまいだ。楚狂接輿が孔子に話しかけている語なので、語りかけの言葉、或いは呟きのことば。『歸去來兮辭』の「已矣乎」
に意味は同じ。ただしそちらは後者の意になる。 ・已:やむ。 ・而:韻文としてのリズムをとり、実質上の押韻の補助をしている。前出の「兮」に同じ。
※今之從政者殆而:今の時代の政治に携わっている者は、滅亡が近い。 ・今之從政者:今の時代の政治に携わっている者。 ・殆:あやうい。不安。危険。滅亡が近い。あやぶむ。
◎ 構成について
韻式は「aabb」。韻脚は「衰追」〔-ゐ韻 -wi韻〕、「已殆」〔-い韻 -i韻〕。平水韻の韻部でいえば、上平四支(衰追)。上声十賄(殆)。上声四紙(已)。次の平仄はこの作品のもの。
●○,●○。
○●○○。(韻)
●●●●●,
○●○●○。(韻)
●○,(韻) ●○,(韻)
○○○●●●○。(韻)
青字と赤字が押韻している。紫字や黒字は虚字脚
といえる。
鳳
兮
,鳳
兮
,
何コ之
衰
。
往者不可諫,
來者猶可
追
。
已
而
!
已
而
!
今之從政者
殆
而
。
2003.12.30
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