軍中夜感
軍中夜感
明・張家玉
裹屍馬革英雄事;
縱死終令汗竹香。
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。
軍中夜感
屍
(かばね)
を 馬革に 裹
(つつ)
むは 英雄の事;
縱
(たと)
ひ 死すとも 終
(つひ)
には 汗竹をして 香らしめん。
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◎ 私感訳註:
※張家玉:明末の抗清の英雄。戦に敗れて自殺した。1615年〜1647年。字は玄子。東莞(現・広東省宝安県)の人。
※軍中夜感:明末の張家玉が抗清の戦いの陣中でのもの。文天祥の『過零丁洋』「辛苦遭逢起一經,干戈寥落四周星。山河破碎風飄絮,身世浮沈雨打萍。惶恐灘頭説惶恐,零丁洋裏歎零丁。人生自古誰無死,留取丹心照汗。」
を聯想させる。
※裹屍馬革英雄事:戦闘で犠牲となっても立派な墳墓は要らない。それこそ英雄の事績である。ただ馬皮で屍体をつつんで葬ってもらえばそれでいい。それが英雄である。 *馬革裹屍:馬の皮で屍体をつつんで(葬る)意味で、戦闘で犠牲となっても立派な墳墓は要らない。ただ馬皮で屍体をつつんで葬ってもらえばそれでいいということ。戦闘の犠牲となることを厭わないことをいう。『後漢書』巻二十四馬援列傳第十四に「方今匈奴、烏桓尚擾北邊,欲自請撃之。
男兒要當死於邊野,以
馬革裹屍
還葬耳,何能臥牀上在兒女子手中邪
?」に由来する。辛棄疾の『滿江紅』「漢水東流,キ洗盡、髭胡膏血。人盡説、君家飛將,舊時英烈。破敵金城雷過耳,談兵玉帳冰生頬。想王カ、結髮賦從戎,傳遺業。 腰間劍,聊彈鋏。尊中酒,堪爲別。況故人新擁,漢壇旌節。
馬革裹屍
當自誓
,蛾眉伐性休重説。但從今、記取楚臺風,庚樓月。」
や、陸游の『隴頭水』「隴頭十月天雨霜,壯士夜挽穀セ槍。臥聞隴水思故ク,三更起坐涙數行。我語壯士勉自強,男兒堕地志四方。
裹尸馬革
固其常
,量若婦女不下堂。生逢和親最可傷,歳輦金絮輸胡羌。夜視太白收光芒,報國欲死無戰場。」
でも謳われている。 ・裹屍馬革:かばねを馬のなめし皮で包む。 ・裹:つつむ。 ・屍:しかばね。かばね。屍体。死体。 ・馬革:馬のなめし皮。屍体を包むもの。 ・英雄事:立派で雄々しい男子のことがら。
※縱死終令汗竹香:たとえ死んでも千載青史に芳名を遺そう。 ・縱死:たとえ死んでも。 ・縱:たとえ…でも。 ・終:ついには。 ・令:…に…をさせる。…をして……しむ。使役表現。 ・汗竹:歴史。油を抜いた竹に歴史の記録を記したことによる。青史。 ・香:かおる。歴史上に芳名を流し伝えること。
◎ 構成について
対聯。次の平仄はこの作品のもの。
●○●●○○●,
●●○●●●○。
2004. 4.10完
2005. 2.11補
2019.10. 9
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