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三百六十日,
日日醉如泥。
雖爲李白婦,
何異太常妻。
内(つま)に 贈る
三百 六十日,
日日 醉(ゑ)ひて 泥の如し。
李白の婦(よめ) 爲(た)りと 雖(いへど)も,
何ぞ 太常の妻に 異ならん。
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◎ 私感註釈
※李白:盛唐の詩人。
※贈内:(詩を)妻に贈る。 *詠う内容といい、後出「時人語」に依る語彙といい、どう見ても戯れ歌になると思うが…。庶民感覚で言えば、酔っぱらって帰ってきて、奥さんに叱られた時の誤魔化しの雰囲気を漂わせた作品である。 ・内:家内。妻。「内」は、後出「婦」「妻」とほぼ同義で使われている。この作品は後出『後漢書・儒林列傳・周澤』「時人爲之語曰:『生世不諧,作太常妻,一歳三百六十日,三百五十九日齋。』」に基づく。
※三百六十日:一年の全ての日。陰暦での一年の日数。
※日日醉如泥:毎日がひどく酒に酔っぱらっている。 ・日日:毎日。 ・醉如泥:ひどく酒に酔う。泥のように酔う。 *前出『後漢書・周澤』「『生世不諧,作太常妻,一歳三百六十日,三百五十九日齋。』の古註に、「漢官儀此下云『一日不齋醉如泥』」とある。「漢官儀:此(こ)の(歌の)下(つづき)に云ふに:「『一日だけの 齋(ものい)みをしない日は 酔っぱらって 泥のようになっている』」ということ。
※雖爲李白婦:李白の嫁とはいっても。 ・雖:…とはいっても。…といえども。 ・爲:…である。 ・婦:嫁。妻。
※何異太常妻:一体どこが(漢の周沢)太常の妻と異なろうか。 ・何:なんぞ。反語。疑問。 ・太常:卿の一。礼儀、祭祀を掌る官(『後漢書・百官』)。ここでは、漢の周沢のこと。前出『後漢書・儒林列傳・周澤』に「やがてまた大常となった。身を清め命令通りに誠心誠意祭祀を執り行っていた。しばしば病気になり、斎宮に病臥していたが、(周沢の)妻は周沢の持病を心配し、病状を窺い訊ねて来た。しかし、夫の周沢は、妻が斎戒の禁を犯したと大いに怒り、妻を監獄に送って謝罪した。世間の人は、その行為をきわどいことだと考えて、次のように語りあっていた。 『世に生まれて 諧(かな)わずして,太常の妻となる。 一歳 三百六十日, 三百五十九日 齋(ものい)む。」古註に、「漢官儀:此の下(つづき)に云ふに:「『一日 齋(ものい)まざるは 酔ひて 泥の如し』と」。原文は「數月,復爲太常。清潔循行,盡敬宗廟。常臥疾齋宮,其妻哀澤老病,窺問所苦。澤大怒,以妻干犯齋禁,遂收送詔獄謝罪。當世疑其脆激。時人爲之語曰:『生世不諧,作太常妻,一歳三百六十日,三百五十九日齋。』十八年,拜侍中騎都尉。後數爲三老五更。建初中致仕,卒於家。」とある。
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◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「泥妻」で、平水韻上平八齊。次の平仄はこの作品のもの。
○●●●●,
●●●○○。(韻)
○○●●●,
○●●○○。(韻)
2005.1.10 1.11完 2017.7.27補 |
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