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湖上春來似畫圖,
亂峯圍繞水平舖。
松排山面千重翠,
月點波心一顆珠。
碧毯線頭抽早稻,
青羅裙帶展新蒲。
未能抛得杭州去,
一半勾留是此湖。
春 湖上に題す
湖上に 春 來れば 畫圖(ぐゎづ)に似て,
亂峯 圍繞(ゐぜう)して 水 平らかに舖(し)く。
松は 山面に 排して 千重(せんちょう)の翠,
月は 波心に 點じて 一顆(いつくゎ)の珠(たま)。
碧毯(へきたん)の線頭は 早稻(さうたう)を抽(ひ)き,
青羅(せいら)の裙帶(くんたい)は新蒲(しんぽ)を展(の)ぶ。
未だ能(あた)はず 杭州を 抛(なげう)ち得て去ることの,
一半 勾留するは 是れ 此の湖。
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◎ 私感註釈
※白居易:中唐の詩人。この詩を作った当時は杭州刺史であった。
※春題湖上:春に(西)湖上で詩を作る。
※湖上春來似畫圖:湖上に春が来るさまは、絵のようであり。 ・湖上:(杭州の)西湖上。 ・春來:春が来る。春が訪れる。 ・似:…のようだ。…に似ている。…のごとし。 ・畫圖〔づぐゎ;tu2hua4〕絵。
※亂峯圍繞水平舖:不揃いにそびえたつ峰々が取り囲んで、湖面は平らかに敷き詰めた(ようである)。 ・亂峯:不揃いにそびえたつ峰々。 ・圍繞:〔ゐぜう;wei2rao4○●〕かこみめぐる。とりまく。 ・水:ここでは、湖水のことになる。 ・平:たいらかに。 ・舖:〔ほ;pu1○両韻〕しく。しきつめる。
※松排山面千重翠:松の木は山の表面に並んで、幾重もの
・排:〔はい;pai2○〕ならぶ。並べる。 ・山面:山の表面。 ・千重:〔せんちょう;qian1chong2○○〕 ・翠:〔すゐ;cui4●〕みどり。カワセミ色。萌葱色(もえぎいろ)。
※月點波心一顆珠: ・點:あかりをつける。火をともす。しるしをつける。点を附ける。点じる。 ・波心:波のまんなか。 ・一顆:〔いつくゎ;yi4(yi1)ke1●●〕ひとつぶ。 ・顆:〔くゎ;ke1●〕まるい物を数える量詞(助数詞)。また、つぶ。まるい物。 ・珠:〔しゅ;zhu1○〕たま。たまつぶ。真珠。
※碧毯線頭抽早稻: ・碧毯:〔へきたん;bi4tan3●●〕緑色の絨毯(じゅうたん)。 ・碧:〔へき;bi4●〕みどり。あお。青緑。あおいし。 ・線頭:糸の尖(さき)。毛先。 ・線:いと。 ・-頭:…のさき。…のはし。…の上。 ・抽:〔ちう;chou1○〕(穂が)出る。伸び出る。草木が芽を出す。抜きん出る。また、ぬく。 ・早稻:〔さうたう;zao3dao4●●〕わせ。ここでは、生え揃ったわせの穂のことになる。
※青羅裙帶展新蒲: ・青羅:〔せいら;qing1luo2○○〕青いうすぎぬ。 ・裙帶:〔くんたい;qun2dai4○●〕婦人服の裳裾(もすそ)のひも。 ・展:のべる。ひろげる。 ・新蒲:新たに(生え揃った)ガマ(の穂)。
※未能抛得杭州去:まだ杭州を抛(なげう)って去ることができないのは。 ・未能:まだ…できないでいる。 ・抛得:…をなげうって…。・-得:動詞のすぐ後に附き、動作や状態の結果、程度、方法を表す。 ・杭州:現・作者は、杭州刺史としてここにいた。 ・去:(杭州から)去って行く。行く。去る。
※一半勾留是此湖:(杭州からわたしを去らせないように)とどめている半分(の理由)は、この湖なのである。 ・一半:半分。なかば。 ・勾留:〔こうりう;gou1liu2○○〕(ひっかかって)滞在する。(用事で)とどまる。とらえてとどめる。 ・是:…は…である。これ。主語と述語の間にあって、述語を明示する。〔A是B:AはBである。〕。 ・此湖:この湖。西湖のことになる。
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◎ 構成について
韻式は、「AAAAA」。韻脚は「愁洲樓秋流」で平水韻下平十一尤。この作品の平仄は、次の通り。「當」は両韻で、ここでは○。
●●○○●●○,(韻)。
○○○●○○○。(韻)
○○○●○●●,
○●●○○●○。(韻)
●●●○○●●,
○○○●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2005.4.17 |
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