睡起偶成
　　　　　　
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明・王陽明

四十餘年睡夢中， 而今醒眼始朦朧。 不知日已過卓午， 起向高樓撞曉鐘。

　　　
大塩平八郎著『洗心洞箚記』明治三十年出版
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　　　　　　　　　　 睡起偶成　　

四十餘年　　睡夢の中，
而今（じこん）　眼を醒（さ）まし　　始め 朦朧（もうろう）たり。
知らず　　日　已（すで）に　卓午（たくご）を 過ぎたるを，
起きて　高樓に向（おい）て　　曉鐘（げうしょう）を　撞（つ）く。

無情思，�闃ﾅ兒童捉柳花。」とある。　・偶成：偶然にできた詩。ふとした思いつきでできた詩。普通は、絶句に多く見られる詩題。

※四十餘年睡夢中：（今までの）四十余年は眠っている時の夢の中であった（が）。　・四十餘年：作者が自覚した年齢になる。　・睡夢中：夢の中。眠って夢を見ていた。自覚がなかったことをいう。

※而今醒眼始朦朧：今は目を覚ましたが、初めのうちはぼんやりとしていた。　・而今：いま。この節。現今。　・醒眼：目覚めた眼差し。　・始：初め。始まり。初めて。やっと。副詞。また、はじめる。動詞。ここでは構文から見て、名詞、副詞的な用法で「はじめ」の意とするのが妥当であり、動詞「始める」と取るのは苦しい。　・朦朧：〔もうろう；meng2long2○○〕おぼろげに見えるさま。月の没しようとして、かすんでおぼろなさま。薄暗いさま。意識の確かでないさま。

※不知日已過卓午：太陽は、正午をとっくに過ぎているのが、（わたしは）分からなかった。　・不知：分からなかった。　・日：太陽。　・已：とっくに。すでに。　・過：すぎている。　・卓午：〔たくご；zhuo1wu3●●〕真昼。正午。

※起向高樓撞曉鐘：たかどので起ち上がって、夜明けを告げる鐘を打ち鳴らそう。　*この句の意は如何様にも取れるが、王陽明『睡起偶成』の其二「起向高樓撞曉鐘，猶多昏睡正朦朧。

２００５．１１．２０ 　　　　　１１．２１完 ２０１７．１２．　３補

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