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      妾薄命  

                 李白
昔日芙蓉花,
今成斷根草。
以色事他人,
能得幾時好。


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妾薄命
昔日  芙蓉の花,
今 成る  斷根の草。
色を以て  他人に事
(つか)へ,
(よ)く  幾時(いくとき)の 好(よろし)きを  得たりや。


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◎ 私感註釈

※李白:盛唐の詩人。字は太白。自ら青蓮居士と号する。世に詩仙と称される。701年(嗣聖十八年)〜762年(寶應元年)。西域・隴西の成紀の人で、四川で育つ。若くして諸国を漫遊し、後に出仕して、翰林供奉となるが高力士の讒言に遭い、退けられる安史の乱では苦労をし、後、永王が謀亂を起こしたのに際し、幕僚となっていたため、罪を得て夜郎にながされたが、やがて赦された

※妾薄命:後宮の女性をうたう。 *曹植に同題の詩がある。

※昔日芙蓉花:昔は芙蓉の花のように(華麗に咲く花の女王でもあり、天子の側にいて愛でられたものだった(が))。 ・昔日:むかし。 ・芙蓉花:フヨウの花。華麗に咲く花の女王でもある。

※今成斷根草:(歳をとり、容色が衰えた、或いは兵乱に遭い、)今は根無し草となり、飛蓬のように、零落して各地を流浪するようになった。 ・今成:今は…となった。 ・斷根草:根無し草。飛蓬、転蓬。 *零落して各地を流浪するさまをいう。

※以色事他人:色香をもって、人につかえれば。 ・以色:色香をもって、色事で、の意。 ・事:つかえる。動詞。 ・他人:ほかの人。

※能得幾時好:一体どれほどの期間が、すばらしい時間としてあり得るのだろうか。 *すばらしい月日は、長くはなかろう。 ・能得:…が可能である。 ・能:よく。 ・得:得る。 ・幾時:どれほどの時間。「幾」は、比較的少ない数(10以下)を問う場合に使う。

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◎ 構成について

韻式は「aa」。韻脚は「草好」で、平水韻上声十九皓。次の平仄はこの作品のもの。

○○●○○,
●●●○○。(韻)
○○○●●,
○○○●○。(韻)

2007.10.16
     10.17完
2009. 9. 2補
2016. 8. 5
2020.10. 3

漢詩 填詞 詩餘 詩余 

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