漉實ゥ梅繞屋疏, 秋眠不著鳥相呼。 雨聲偏向竹間好, 山色漸從煙際無。 |
野堂
漉 黄梅 屋 を繞 りて疏 なり,
秋眠著 せず 鳥相 ひ呼ぶ。
雨聲 は偏 へに竹間 に向 いて好く,
山色漸 く煙際 より無し。
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◎ 私感訳註:
※王庭筠:金代の文学家、書画家。1151年〜1202年。字は子端。号して黄華山主、黄華老人、黄華老子。別号に雪渓。金代の遼東の人(現・営口熊岳)。米芾の甥。文名は早くから顕著で金・大定十六年(1176)の進士。翰林修撰に至った。ことばは淵雅であり、字画は精美で、『中州雅府』に填詞十六首を収める。
※野堂:いなかの住まい。
※緑李黄梅繞屋疏:青いスモモや黄色に熟したウメの実は、家をめぐってまばらにあり。 ・緑李:青いスモモ。 ・黄梅:〔くゎうばい;huang2mei2○○〕黄色に熟したウメの実。 ・繞:〔ぜう;rao4●〕めぐる。まつわる。めぐらす。 ・屋:家。家屋。 ・疏:まばらである。
※秋眠不著鳥相呼:秋の眠りは、鳥が呼びあう(声のために)寝付けない。 ・不著:寝付けない意。 ・著:〔ちゃく;zhuo2●〕つく。つける。唐・李暇の『怨詩』に「羅敷初總髻,尠F正嬌小。月落始歸船,春眠恆著曉。」とある。
※雨声偏向竹間好:雨の音は、竹の生えているところでは、ひとえに好く。 ・雨声:雨音。 ・偏向:ひとえに。ひたすら。≒偏於。ここでは、一方に偏っている意、偏向(へんこう)の意はない。 ・竹間:竹の繁みの意。 ・好:よい。
※山色漸従煙際無:山の景色は、靄(もや)の(立ち籠めている)きわからは、無くなっている。 ・山色:山の景色。山光。 ・漸:ようやく。だんだんと。 ・従:…より。…から。 ・煙際:靄(もや)のきわ。
◎ 構成について
2015.5.20 |