醉下祝融峯 | |
南宋・朱熹 |
我來萬里駕長風,
絶壑層雲許盪胸。
濁酒三杯豪氣發,
朗吟飛下祝融峯。
******
醉 ひて祝融峯 を下 る
我 來 りて萬里 長風 に駕 し,
絶壑 層雲 許 も胸を盪 がす。
濁酒 三杯豪氣 發 し,
朗吟 して 飛び下 る祝融 峯。
****************
◎ 私感註釈
※朱熹:南宋の儒学者。名は熹。字は元晦、仲晦。号して晦庵、晦翁、雲谷老人など。尊称として朱子と呼ばれる。宋学の大成者。南剣州の尤渓(現・福建省尤渓)の人。その学は、宋の周敦頤、程明道、程伊川、羅予章、李延平らの学と道、仏の学を総合大成し、儒教の体系化を図った中興の祖であり、朱子学の創始者である。1130年(建炎四年)〜1200年(慶元六年)。
※酔下祝融峰:(酒に)酔って(南岳・衡山の)祝融峰に下る。 ・祝融峰:湖南省東部にある南岳・衡山の諸峰の最高峰。海抜1300.2メートルの景勝の地。
※我来万里駕長風:わたしは、遠くまで吹いてゆく強い風を御(ぎょ)して、遥々(はるばる)とやってきた。 ・駕:(動詞)御する。操縦する。運転する。 ・長風:遠くから吹き渡ってくる風。遠くまで吹いてゆく強い風。盛唐・李白の『宣州謝脁樓餞別校書叔雲』に「棄我去者 昨日之日不可留,亂我心者 今日之日多煩憂。長風萬里送秋雁,對此可以酣高樓。蓬莱文章建安骨,中間小謝又清發。倶懷逸興壯思飛,欲上青天覽明月。抽刀斷水水更流,舉杯銷愁愁更愁。人生在世不稱意,明朝散髮弄扁舟。」とある。
※絶壑層雲許盪胸:深く険しい谷や幾重(いくえ)にも重なった雲(のさま)は、こんなに胸を揺(ゆ)さぶっている。 ・絶壑:〔ぜつがく;jue2he2●●〕深く険しい谷。=絶谷。 ・層雲:いくえにも重なった雲。 ・許:このように。こんなに。これ。この。かく。しかく。かくも。 ・盪:〔たう;dang4●〕動かす。ゆさぶる。揺るがす。揺れる。揺れ動く。
※濁酒三杯豪気発:にごり酒を数杯(飲んだので)、雄々しい気概が起こり。 ・濁酒:にごりざけ。どぶろく。発酵させただけの白く濁った酒。 ・豪気:雄々しい気概。豪邁な気概。豪胆。
※朗吟飛下祝融峰:詩歌を声高らかにうたって祝融峰に飛んで下り立った。 ・朗吟:詩歌を声高らかにうたう。
***********
◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「風胸峰」で、平水韻上平一東(風)・二冬(胸峰)。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○○●●○○。(韻)
2019.4.24 4.25 4.29 4.30 |
次の詩へ 前の詩へ 金陵舊夢メニューへ ************ 詩詞概説 唐詩格律 之一 宋詞格律 詞牌・詞譜 詞韻 唐詩格律 之一 詩韻 詩詞用語解説 詩詞引用原文解説 詩詞民族呼称集 天安門革命詩抄 秋瑾詩詞 碧血の詩編 李U詞 辛棄疾詞 李C照詞 陶淵明集 花間集 婉約詞:香残詞 毛澤東詩詞 碇豐長自作詩詞 漢訳和歌 参考文献(詩詞格律) 参考文献(宋詞) 本ホームページの構成・他 |