Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




                                        
      宣州謝樓餞別校書叔雲
              
                  李白 

棄我去者 昨日之日不可留,
亂我心者 今日之日多煩憂。
長風萬里送秋雁,
對此可以酣高樓。
蓬莱文章建安骨,
中間小謝又清發。
倶懷逸興壯思飛,
欲上青天覽明月。
抽刀斷水水更流,
舉杯銷愁愁更愁。
人生在世不稱意,
明朝散髮弄扁舟。

******

宣州の謝樓にて 校書 叔雲に 餞別す       

                       
我を棄て去る者は  昨日の日にして 留む可(べ)からず,
我が心を亂す者は  今日の日にして 煩憂
(はんいう) 多し。
長風 萬里  秋雁を 送る,
(これ)に對し 以て  高樓に 酣(たけなは)なる可(べ)し。
蓬莱の文章  建安の骨,
中間の小謝  又た 清發。
(とも)に 逸興(いつきょう)を 懷(いだ)きて  壯思 飛び,
青天に 上りて 明月を覽
(み)んと 欲す。
刀を抽
(ぬ)きて 水を斷てば  水 更に 流れ,
杯を舉
(あ)げて 愁ひを 銷(け)せば  愁(うれ)ひ 更に 愁ふ。
人生 世に在
(あ)りて 意に 稱(かな)はざれば,
明朝 髮を散じて  扁舟
(へんしう)を 弄(ろう)せん。

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◎ 私感註釈

※李白:盛唐の詩人。
701年(長安元年)〜762年(寶應元年)。字は太白、号は青蓮居士。諸国を遊歴した後、翰林供奉に任官したが、安禄山の乱で、賊軍についたとされ、夜郎に流され、後に赦される。後世、詩仙と称される。

※宣州謝樓餞別校書叔雲:宣州の謝樓で、校書である叔父の李雲に餞別の宴をする。 ・宣州:現・安徽省東南の宣州市。ここの北50キロメートルのところに李白の墓がある。 ・謝樓:謝が建てた建物の名。 ・餞別:人を送別すること。(酒や食べ物を用意して)旅立つ人を送別する酒宴を催す。 ・校書:官職名。 ・叔雲:李白の叔父の李雲、「叔華」ともする。李華のこと。

※棄我去者昨日之日不可留:わたしを捨てて去ってゆくものは、過去の日々であって、(わたしはそれを)留めることができない。 ・棄我去者:わたしを捨てて去ってゆくもの(は)。 ・者:…は。…ものは。…とは。…というもの(は)。主語の後に置き、断定、判断の主格を提示、強調する。主語を明示する。 ・昨日之日:過去の日々。過ぎ去った日々。過去。 ・不可:…することができない。 ・留:一定のところから去らないようにする。とどめる。

※亂我心者今日之日多煩憂:わたしの心を乱すもの(は)、今、現在のことであって、苦しみ憂えるところが多い。 ・亂我心者:わたしの心を乱すもの(は)。 ・今日之日:現在。今。 ・煩憂:〔はんいう;fan4you1●○〕苦しみ憂(うれ)えること。非常に心配すること。

※長風萬里送秋雁:遠くから吹き渡ってくる風が秋鳥の雁を送ってきた。 ・長風:遠くから吹き渡ってくる風。遠くまで吹いてゆく強い風。 ・萬里:遙か彼方。長大な距離をいう。 ・送:送る。ここでは、萬里の長風が秋雁を送ってきたことの意になる。 ・秋雁:秋になって渡って来るガン。 *季節の移ろい、時間の経過を表すものであり、孤独な旅路をも表すものである。

※對此可以酣高樓:このような(秋の季節の到来に)対しては、たかどので酒を飲んで楽しむべきものだろう。 ・對此:これに対して。このような状況に対して。 ・可以:…することができる。 ・酣:〔かん;han1○〕酒を飲んで楽しむ。楽しむ。また、たけなわである。ここは、前者の意。 ・高樓:たかどの。

※蓬莱文章建安骨:漢代の文学や建安体の気骨。 ・蓬莱文章:漢代の文章。漢代の書庫。漢代宮中の書庫である東観のことを、蓬莱山にある仙人の書籍に擬えて「道家蓬莱」と呼んだことによる。 ・建安:後漢末の献帝時代、建安年間(196年〜219年)の曹操、曹丕、曹植の父子や、建安七子らの時代。 ・骨:気骨。後漢末、献帝の建安年間、魏の都である建を中心に行なわれた建安年間(196年〜219年)の曹操、曹丕、曹植の父子や、建安七子らの詩風のこと。五言詩で、慷慨、気骨の風を好んだ。

※中間小謝又清發:(建安と唐代の)中間にあって、(六朝の)謝は、山水詩に長けていて。またしても清げである。 ・中間:建安と唐代の中間。南北朝、六朝のことになる。 ・小謝:謝のこと。謝霊運の大謝に対してこう呼ぶ。李白は、暗に小謝である謝に自らを擬えている。 ・又:またしても。 ・清發:清げである。清新溌溂としている。彼等は山水詩に長けていたことによる。

※倶懷逸興壯思飛:(李白と李雲)は、世俗を離れた風雅な趣きを懐(いだ)いて、雄々しい思いを放っている。 ・倶:ともに。李白と叔父の李雲(李華)のこと。 ・懷:いだく。心の中に、ある考えや感情を持つ。思う。 *このあたりは、『古詩源』にその元の詩句があるのかどうか、現在調べているところ。 ・逸興:世俗を離れた風雅な趣き。格別に興味深いさま。一風変わった面白味のあるさま。 ・壯思:雄々しい思い。 ・飛:とばす。空を翔(かけ)る。いいふらす。

※欲上青天覽明月:大空に上って、明月を見たいものである。 *この句は前出の「倶懷逸興壯思飛」の中身になる。 ・欲:…しようとする。…たいとおもう。 ・上:のぼる。上の方へ行く。 ・青天:青空。大空。 ・覽:〔らん;lan3●〕見る。『春宵覽月』「沙邊唯覽月華秋」とある。蛇足になるが、我が国の小林一茶の「名月をとってくれろと泣く子かな」を思い出してしまうが、ここは、「攬」ではない。諸本みな「覧」とする。 ・「攬」〔らん;lan3●〕とる。つかむ。つまみとる。 ・明月:澄みわたった月。

※抽刀斷水水更流:刀を抜いて、川の水面を断ち切っても、水は、さらに流れてゆく。時間の流れを押し留めようとしても時間は止まることなく過ぎ去ってゆく。(別れの時は刻々と近づいてくる)。 *後出・南朝・宋・鮑照の『擬行路難』の「瀉水置平地,各自東西南北流。」に、そのイメージは似ていよう。とここも謝に元の詩句があるのか。 ・抽刀:刀を抜く。 ・斷水:川の水面を断ち切る。 ・水更流:水は、一層流れてゆく。川の流れは、古来、時間の推移を謂う。『論語・子罕』に「子在川上曰:逝者如斯夫!不舎昼夜。」(子 川上に在りて曰く:逝く者は斯くの如きか! 昼夜を舎かず)。逝川は、流れ去る川の水で、歳月等の時間で一度去って再び帰らないものの譬えとしても使われる。 ・更:一層。さらに。

※舉杯銷愁愁更愁:(一杯能解千愁と謂われる)杯を持ち上げて酒を飲んでも、(愁いは解かれることなく)愁いは、ますます深まってくる。 *南朝・宋・鮑照の『擬行路難』に「瀉水置平地,各自東西南北流。人生亦有命,安能行歎復坐愁。酌酒以自ェ,舉杯斷絶歌路難。心非木石豈無感,呑聲躑躅不敢言。」とある。 ・舉杯:酒を飲む。杯を持ち上げる。李白は『把酒問月』故人賈淳令余問之「天有月來幾時,我今停杯一問之。
人攀明月不可得,月行卻與人相隨。皎如飛鏡臨丹闕,拷喧ナ盡C輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲陝刀B白兔搗藥秋復春,娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」 とここでも酒盃が出てくる。 ・銷愁:愁いを消す。曹操の『短歌行』「對酒當歌,人生幾何。譬如朝露,去日苦多。慨當以慷,憂思難忘。何以解憂,唯有杜康。と憂愁を解くものとしての酒を詠う。  ・愁更愁:一層愁えてくる。

※人生在世不稱意:人が生まれ落ちて、この世に生きていくのに際して意に適わないことがあれば。 ・人生:人が生まれ落ちて。SV構文。 ・在世:この世に生きる。 ・不稱意:意に適わない。

※明朝散髮弄扁舟:明日の朝(近未来に)、冠を外して隠居して、小舟に乗って孤独な旅路に出よう。 ・明朝:明日の朝。将来。この作品では「棄我去者
昨日之日不可留」「亂我心者今日之日多煩憂」と、過去、現在のことをいっている。されば、ここの句「明朝散髮弄扁舟」での「明朝」とは、未来のことととるのが妥当になろう。 ・散髮:冠を外す。隠居する。ざんばら髪にする。 *髪型をいうことで身分の変化を謂う。 ・弄:〔ろう;nong4●〕自由勝手にあやつる。なぶる。 ・扁舟:小舟。(人生の)孤独な旅路をもいう。

               ***********




◎ 構成について

 韻式は「AAAbbbAAA」。韻脚は「留憂樓 骨發月 流愁舟」で、平水韻下平十一尤。入声六月等。下平十一尤。次の平仄はこの作品のもの。

●●●● ●●○●●●○,(韻)
●●○● ○●○●○●○,(韻)
○○●●●○●,
●●●●○○○。(韻)
○○○○●○●,
○○●●●○●。(韻)
●○●●●○○,
●●○○●○●。(韻)
○○●●●●○,
●○○○○●○。(韻)
○○●●●○●,
○○●●●○○。(韻)

 

2005.9. 2
     9. 3
     9. 4


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