題復古秋山對月圖 | |
元・鄭東元> |
天 兮月朤朤,
山 兮水㵘㵘。
木森森兮竹,
勢兮墨鱻鱻。
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復古の秋山に月に對するの圖に題す
天 (けつけつ)として 月朤朤 たり,
山 として 水㵘㵘 たり。
木森森 として 竹 (しょくしょく)たり,
勢 (かんかん)として 墨鱻鱻 たり。
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◎ 私感註釈
※鄭東元:鄭采のこと。 ◎この詩は、主として『幼學詩韻三編』(天保十三年 江戸書林)附録の幼學詩話から採録した。
※題復古秋山對月圖詩:復古の「秋の山で、月に向かう絵」を題にして詩を作る。 ・題-:…を題にして詩を作る。 ・復古:人名か。 ・秋山對月:秋の山で、月に向かう。 ・-圖:…の絵。
※天 兮月朤朤:大空はつながって、月は照って。 ・:けつけつ。=結〔けつ;jie2●〕。つながって、の意か。 ・兮:〔けい;xi1〕兮字脚で、語調を整え、リズムをとる。句末や言葉を伸ばして言うときに使われる。 ・朤朤:はんはん。らうらう(ろうろう)。・朤:はん。=槃。寒韻。○。月の照ること。また、らう(ろう)=朗〔らう;lang3●〕。ほがらかなさま。声が高く、よくとおるさま。ここでの朤は、韻脚ともなるので、寒韻○の「はん」と見れば承句、結句に繋がる。
※山 兮水㵘㵘:山は………として、(湖や川の)水は広がっている。 ・ :(不明)。 ・㵘㵘:ばんばん/まんまん。寒韻。○○。 ・㵘:ばん/まん。寒韻。○。おおみず。 なお、「淼淼」ともするが、此処は韻脚となるので、不適。「淼」は〔べう/めう;miao3●〕(=渺)で、韻脚とならないため。「淼」は〔べう;miao3●〕広い水。(=渺)。「淼淼」は〔べうべう;miao3miao3●●〕水などの限りなく広いさま。(=渺渺)。
※木森森兮竹:樹木は盛んに茂って、竹は繁っている。 ・森森:しんしん。樹木が盛んに茂っているさま。 ・:しょくしょく。しきしき。さつさつ。「職」「音色」「音殺」。竹が叢ること。
※勢 兮墨鱻鱻:(絵を描く)筆勢は清冽で、墨の色は新鮮である。 ・勢:筆勢を謂う。 ・ :かんかん。峭寒。きびしく寒い。清きこと。 ・鱻鱻:せんせん。生き生きとしているさま。 ・鱻:せん。=鮮。平声先韻○。あたらしい魚。魚の肉が生で新しい。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「朤㵘鱻」で、平水韻上平十四寒(朤㵘)・下平一先(鱻)。この作品の平仄は、次の通り。
○●●兮●○○,(韻) (「兮」は○)
○××兮●○○。(韻) (「×」は不明)
●○○兮●●●,
●○○兮●○○。(韻)
2019.9.5 9.6 9.7 9.8 |
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