戲爲六絶句 其二 | |
杜甫 |
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楊王盧駱當時體,
輕薄爲文哂未休。
爾曹身與名倶滅,
不廢江河萬古流。
戲れに六絶句を爲す
王楊盧駱は 當時の體,
輕薄 文を爲して 哂ひ 未だ休まず。
爾曹 身と名と倶に滅ぶも,
廢れざる 江河 萬古に流る。
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◎ 私感註釈
※杜甫:盛唐の詩人。712年(先天元年)〜770年(大暦五年)。字は子美。居処によって、少陵と号する。工部員外郎という官職から、工部と呼ぶ。晩唐の杜牧に対して、老杜と呼ぶ。さらに後世、詩聖と称える。鞏県(現・河南省)の人。官に志すが容れられず、安禄山の乱やその後の諸乱に遭って、流浪の一生を送った。そのため、詩風は時期によって複雑な感情を込めた悲痛な社会描写のものになる。
※『戲爲六絶句』其二:たわむれに六首の絶句を作る。其の第二首。 *初唐の詩人を称え、それ(初唐の四傑)を批判した者を逆に批判した詩。
※王楊盧駱當時體:王勃(わうぼつ)や楊炯(やうけい)、盧照鄰(ろしせうりん)、駱賓王(らくひんなう)の「初唐四傑」は、生存時に流行していた詩文形式を採用しただけであるが。 ・王:王勃を謂う。「初唐四傑」の一。 ・楊:楊炯、「初唐四傑」の一。 ・盧:盧照鄰を謂う。「初唐四傑」の一。 ・駱:駱賓王のこと。「初唐四傑」の一。 ・當時體:その頃(初唐)に流行した詩の体裁。・當時:〔たうじ;dang1shi2○○〕その頃。その時代。当時。 蛇足になるが、〔たうじ;dang4shi2●○〕(時を移さず)その時すぐに。直ちに。この時。今。ここは、前者の意。 ・體:形式。格式。
※輕薄爲文哂未休:輕薄な者は、(その詩の批判を)文に著して、それを嘲笑し、今に到るもまだやむことがなく続けている。 ・輕薄:上滑りで真心がない。考えがあさはかで、言動に慎重さを欠く。 ・爲文:文章に表す。 ・哂:〔しん;shen3●〕わらう。そしりわらう。あざわらう。 ・未休:まだやめない。まだ終わらない。
※爾曹身與名倶滅:あなたがた軽薄な者の肉体や名声は、ともに滅んでしまったが。 ・爾曹:なんじら。ここでは、批判者らを指している。 ・…曹:複数を表す。…ら。…たち。 ・身:肉体。 ・名:名声。 ・倶:どれもいっしょに。ともに。みな。どちらもそろって。
※不廢江河萬古流:「初唐四傑」は、尽きることのない長江や黄河のように、その名は永遠に伝わり流れていく。 ・不廢:おとろえない。すたれない。 ・江河:長江と黄河。長江や黄河。大河。 ・萬古流:永遠に伝わる。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「休流」で、平水韻下平十一尤。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●◎○●,
○●○○●●○。(韻)
●○○●○●●,
●●○○●●○。(韻)
2008.6. 3 6. 4 7.12 7.13 7.14完 2009.9. 7補 |
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