Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


焚書坑
                                                  

         唐・章碣

竹帛煙消帝業虚,
關河空鎖祖龍居。
坑灰未冷山東亂,
劉項元來不讀書。





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焚書坑(ふんしょかう)

竹帛(ちくはく) 煙 消えて  帝業(ていげふ) (むな)し,
關河(くゎん が ) (むな)しく(とざ)す  祖龍(そりゅう)(きょ)
坑灰(かうくゎい) (いま)だ冷えざるに  山東 (みだ)る,
劉項(りうかう) 元來(がんらい)  (しょ)を讀まず。

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◎ 私感註釈

※章碣:晩唐の詩人。秘書省正字であった孝標の子。原籍は桐廬(現・浙江桐廬縣)、後に錢塘 (現・浙江省の杭州市)に移る。進士に登第するが、後に流落して、終わる所を知らずといわれる。837年(開成二年)~。

※焚書坑:秦の始皇帝による思想統一の手段としての「焚書坑儒」を指すが、「焚書坑」という詩題では「書物を焼いたあな」の意になる。なお、歴史上の「
焚書坑儒」は、秦・始皇帝が行った、(儒家の)書物を焼き捨て(=「焚書」)、始皇帝に批判的な学者(儒者)を坑(あな)に生き埋めにして殺した(=「坑儒」)という儒家に対する思想言論の弾圧のことだが、詩題からは前半の「(儒家の)書物を焼き捨てたこと」だけが伝わる…。似た趣で、反対のことを謂ったの詩に、唐・林寬の『歌風臺』「蒿棘空存百尺基,酒酣曾唱大風詞。莫言馬上得天下,自古英雄盡解詩。」がある。

※竹帛煙消帝業虚:書物は煙と焼き尽くす(という秦の始)皇帝の(思想統一の)事業(である「焚書坑儒」)は、むなしく。 ・竹帛:〔ちくはく;zhu2bo2●●〕書物。「竹」は竹簡、「帛」は白きぬ。古く、紙の発明される以前、竹簡や布帛に文字を記したところから、書物の意。「焚
坑儒」の「書」。 ・煙消:煙と消える。「焚書坑儒」の「」のことを謂う。 ・帝業:天子が国を統治する事業。天子がその国を支配し治める事業。帝謨。ここでは、秦・始皇帝による国家経営で、郡県制の施行、度量衡・文字・貨幣の統一、焚書坑儒による思想統一、万里の長城の増築、阿房宮や陵墓の造営などの事績。 ・虚:うつろ。むなしい。

※関河空鎖祖竜居:(春秋戦国時代の秦(現・陝西省)地を防禦する)函谷関や黄河で以て始皇帝の居所を防禦してはいたものの、その甲斐がなかった。 ・関河:関や大河で、防衛線の意。ここでは、函谷関や武関と黄河といった敵の侵攻からの(春秋戦国時代の)秦(現・陝西省)一帯の防禦ライン。 ・鎖:ここでは、防禦する意。 ・祖竜:皇帝の始祖。ここでは、秦の始皇帝を指す。「龍」は皇帝を示す。 ・居:ここでは、皇居の意で、始皇帝のいた咸陽、またそこの阿房宮をさす。

※坑灰未冷山東乱:(「焚書」をした)あなの灰がまだ冷え切っていないというのに(春秋戦国時代の)秦(現・陝西省)の東側の崤山の外側(の大澤郷や沛県)では叛乱が起こっている(ではないか)。 ・坑灰:あなの灰。作者が「焚書坑儒」を、「焚書坑」と理解していたことから起こる表現。「焚書坑儒」の「坑」は動詞で「あなにす、あなにする、生き埋めにする。あなに落とす」の意で、「坑儒」は「儒者をあな埋めにする」の意・ここの詩句で「坑灰」と使う場合の「坑」は名詞の「あな」。 ・未冷…:まだ冷えていない(のに…)。駱賓王が徐敬業の乱で、則天武后(武則天)を排斥する檄「一抔之土
未乾,六尺之孤何托(安在)。…を作った。 ・山東:(春秋戦国時代の)秦(現・陝西省)の東側の山の外側。崤山以東の黄河流域一帯。(春秋戦国期の)秦の地は、四方が山に囲まれ、関によって護られており、秦の東方の山は崤山であり、その東側。大澤郷、沛県などのあるところでもある。 ・乱:陳勝・呉広の秦末の農民叛乱。

※劉項元来不読書:(「焚書」も無意味で、秦帝国を倒した)劉邦も項羽も、もともと読書家ではなかった。 ・劉項:ここでは、劉邦と項羽とを指す。 ・元来:もともと。 ・不読書:読書家ではない。読書人たらない。項羽の学問についての考え方が『史記・項羽本紀』のはじめの部分(史記巻七・項羽本紀第七の二九五頁 中華書局版では79ページ)に遺されている。「項籍少時,學書不成,去學劍,又不成。項梁怒之。曰:『書足以記名姓而已。劍一人敵,不足學,學萬人敵。』於是項梁乃敎兵法,大喜,略知其意,又不肯竟學。」(項籍(=項羽)が若い時、書法を学んだがものにならず、剣術を学びに行ったが、ものにならなかった。(おじの)項梁がその不甲斐なさを怒ったが、項羽は「書法は、名前が書ければ事足りる。剣術は一人の敵と戦うだけのもので、学ぶに足らない。(わたしは)万人の敵と戦う術を学びたい」と言った。そこで、項梁は項羽に兵法を教えた。項羽は大いに喜び、ほぼその意味を理解し、熱心に学び続けた)。蛇足になるが、現代中国人の感覚では“不读书”は「勉学をしようとしない」「勉強をしない」の意となり、“刘项元来不读书”とは「劉邦も項羽も、もともと勉学をしようとしなかった」「劉邦も項羽も、もともと勉強嫌いだった」の意となり、ニュアンスが異なったものとなっているが、ここは、日本に伝わった意で、可。(“不”は意志の否定。“读书”は「勉学をする」。)前出・林寬の『歌風臺』では「自古英雄
盡解詩。」とする。


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◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「虚居書」で、平水韻上平六魚。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2011.6.24
     6.25





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