京中正月七日立春 | |
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晩唐〜五代・梁・羅隱 |
一二三四五六七,
萬木生芽是今日。
遠天歸雁拂雲飛,
近水遊魚迸冰出。
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京中正月七日立春
一二三 四 五六七 ,
萬木 芽を生 ずるは是 れ今日 なり。
遠天 の歸雁 は 雲を拂 ひて飛び,
近水 の遊魚 は冰 より迸 りて出 づ。
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◎ 私感註釈
※羅隠:五代・梁の文人。833年(太和七年)〜909年(開平三年)。字は昭諫。本名は横。江東生と号する。呉越、新城の人或いは、錢塘(現・浙江省)餘杭の人。晩年、呉越王・銭鏐に仕えて、銭塘県令などを任じた。後梁の朱全忠に諫議大夫として召されるが、行かず。『舊唐書・列傳・羅弘信・子威』「錢塘人羅隱者,有當世詩名,自號江東生。」或いは「江東人羅隱者,佐錢鏐軍幕」(『舊五代史・梁書』)ともする。
※京中正月七日立春:都での(陰暦)一月七日の立春。*立春での生命の躍動を詠う。 *(月の満ち欠けの周期を基にした陰暦の)一月一日の頃に立春となるが、立春は太陽の運行に基づいた二十四節気の一つで、一月の始まり。ただし、月の正朔に基づく陰暦の一月一日と太陽の運行に基づいた二十四節気の立春とは微妙なずれがある。それゆえ、この詩のように「陰暦一月一日の七日後は春分」の場合もあれば、そうでない場合もある、と云う。 ・京中:都の中。都で。 ・正月七日:(月の満ち欠けの周期を基にした)陰暦の一月七日。「人日」。 ・立春:(太陽の運行に基づいた)二十四節気での一月の始まり。
※一二三四五六七:一日、二日、三日、四日、五日、六日、七日(と数えて)。 ・一二三四五六七。ここでは、一日から経過した日にちを数えている。
※万木生芽是今日:あらゆる木々が芽を出すのは、(七日の)今日(=立春)である。 *万物がよみがえる立春を謂う。 ・万木:あらゆる木々。 ・生芽:芽を吹く。発芽する。 ・是:…は…である。これ。主語と述語の間にあって述語の前に附き、述語を明示する働きがある。〔A是B:AはBである〕。 ・今日:〔こんじつ、こんにち;jin1ri4○●〕この日。きょう(けふ)。また、この頃。現在。つまり、立春の日である(陰暦)一月七日。
※遠天帰雁払雲飛:遠くの空では、北方に帰る雁(かり)が雲を振り払って飛ぶ(かのように力強く)。 ・遠天:遠くの空。 ・帰雁:春、北方に帰る雁(かり)。盛唐・王維の『使至塞上』に「單車欲問邊,屬國過居延。征蓬出漢塞,歸雁入胡天。大漠孤煙直,長河落日圓。蕭關逢候騎,キ護在燕然。」とあり、盛唐・王灣の『次北固山下』に「客路青山外,行舟告前。潮平兩岸闊,風正一帆懸。海日生殘夜,江春入舊年。ク書何處達,歸雁洛陽邊。」とあり、中唐・錢起に『歸雁』「瀟湘何事等濶,水碧沙明兩岸苔。二十五弦彈夜月,不勝C怨卻飛來。」がある。 ・払雲飛:雲を振り払って飛ぶ意。
※近水遊魚迸氷出:近くの水辺では、(自由に)泳ぎゆく魚が氷からほとばしり出る(かのように元気である)。 ・近水:近くの水辺の意。 ・遊魚:(自由に)泳ぎゆく魚。東晉・陶淵明(陶潜)の『始作鎮軍參軍經曲阿作』に「弱齡寄事外,委懷在琴書。被褐欣自得,屡空常晏如。時來苟宜會,宛轡憩通衢。投策命晨旅,暫與園田疎。眇眇孤舟遊,綿綿歸思紆。我行豈不遙,登降千里餘。目倦川塗異,心念山澤居。望雲慚高鳥,臨水愧遊魚。眞想初在襟,誰謂形迹拘。聊且憑化遷,終反班生廬。」とある。 ・迸氷出:氷からほとばしり出る意。
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◎ 構成について
韻式は、「aaa」。韻脚は「七日出」で、平水韻入声四質。この作品の平仄は、次の通り。
●●○●●●●,(a韻)
●●○○●○●。(a韻)
●○○●●○○,
●●○○●○●。(a韻)
2016.2.3 2.4 |
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