拜新月 | |
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唐 李端 |
開簾見新月,
便即下階拜。
細語人不聞,
北風吹裙帶。
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新月を拜す
簾を開ければ 新月見 れ,
便即 ち 階を下 りて 拜す。
細語 人 聞こえず,
北風 裙帶 を吹く。
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◎ 私感註釈
※李端:中唐の詩人。開元二十年(732年)〜貞観八年(792年)趙郡(現・河北省)の人。字は正己。大暦五年(770年)の進士で、校書郎となったが、病の為に江南に移り、杭州司馬に任ぜられた。衡岳幽人と称して隠者の生活を送った。大暦十才子の一人。
※拝新月:三日月を拝(おが)む。唐の教坊(=宮廷音楽を管理する部署)の曲名。 *「拝新月」の風習は、当時の民間の習俗と云う。なお、この詩は李端のものではなくて、耿湋のものともする。 ・拝:拝(おが)む。 ・新月:三日月。陰暦で朔(さく=ついたち)を過ぎた頃、西の空に見える細い月。
※開簾見新月:(若い女性が、)カーテンを(巻いて)開けると、三日月が見えた(ので)。 ・簾:カーテン。すだれ。 ・見:みえる。(自ずと)目に入ってくる。現れる。なお「現れる」の意の場合は:「見」〔けん;jian4●〕ではなくて、「見」〔けん;xian4●〕と読む。 また、「(意識的に)みる、うかがいみる、見守る」意は、「看」。
※便即下階拝:急いで階(きざはし)を降りて、(三日月を)拝(おが)んで(願い事をした)。 ・便即:(「便」「即」も)すぐに。ただちに。すなはち。なお現代語(中国語)で「即便」の語があるが、その場合の意は「よしんば…であろうとも。たとえ…としても。仮に…としても」。 ・階:きざはし。堂にのぼる階段。
※細語人不聞:ささやき(声だったの)で、(願い事は)他の人には聞こえなかった。 ・細語:ささやき。 ・不聞:きこえない。 「聞」は:(受動的に)きこえるの意で、(意識的に、聴き耳を立てて)きく意は、「聽」。
※北風吹裙帯:(ただ、)北風が、裳裾(もすそ)のひもに吹きつけていた。 ・裙帯:もすそのひも。衣裳のスカート状の部分のひも。
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◎ 構成について
韻式は、「aa」。韻脚は「拝帯」で、平水韻去声聲十卦(拜)・九泰(帶)。この作品の平仄は、次の通り。
○○●○●,
●●●○●。(韻)
●●○●○,
●○○○●。(韻)
2017.1.29 1.30 |
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