章臺柳 柳氏答詞 | |
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唐 柳氏 |
楊柳枝, 芳菲節。
所恨年年贈離別。
一葉隨風忽報秋,
縱使君來豈堪折!
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章臺 柳 柳氏の答詞
楊柳枝,芳菲 の節 。
恨 む所は 年年 離別に贈らる。
一葉 風に隨 ひて忽 ち 秋を報じ,
縱使 ひ 君來 れども豈 に 折らるるに堪 へんや!
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◎ 私感註釈
※柳氏:柳(りゅう)さん。中唐・韓翃の愛人という。
※章台柳:柳氏答詞。この詞は、中唐・韓翃の愛人・柳氏が韓翃の『章台柳』「章臺柳,章臺柳!昔日今在否?縱使長條似舊垂,亦應攀折他人手。 」に答えたものといわれる(が…)。 ・章台柳:「章台柳(しゃうだいりう)」は填詞の詞牌。(=詞の形式名)。この言葉が表す本来の意味である「章台の柳(やなぎ)」(章台の女性を暗示する/女性の姓・柳(りゅう)さん)の意があり、本意。この作品は詞。=填詞=詩餘であって、近体詩の絶句ではない。 ・章台:戦国時代に秦王が咸陽(現・陝西省長安県故城)に建てた宮殿。転じて、繁華な街。いろざと。盛唐・崔國輔の『長樂少年行』に「遺卻珊瑚鞭,白馬驕不行。章臺折楊柳,春日路傍情。」とある。
※楊柳枝,ヤナギの枝(が)。 *作者の柳(りゅう)氏を暗示する。
※芳菲節:芳(かんば)しく美しい季節(となった)。 ・芳菲:花が芳(かんば)しく香る。よいにおいの草。草花の芳しく美しいさま。 ・節:とき。頃。気候の変わり目。
※所恨年年贈離別:恨(うら)めしいことは、毎年、別離に贈られることだ。 ・所-:…ところ。…とき。…こと。動詞の前に附き、動詞を名詞化する働きがある。 ・年年:毎年。 ・離別:別れ。
※一葉隨風忽報秋:(時が流れて、)(柳の)一枚の葉が風に吹かれて、忽(たちま)ち秋を報(し)らせて(くれば)。 ・隨風:風にまかせて。風に吹かれて。風のままに。 ・忽:たちまち。 ・報秋:秋の知らせが来る。秋を報(しら)せる。
※縱使君來豈堪折:よしんばあなたが来ても、(枝を)折られることに(もはや)耐えられない。/あなたの来るのが遅くなったら、よしんばあなたが来ても、わたしは、他の人からの身請けの誘惑に(もはや)耐えられなくなってしまった(後だろう)。 ・縦使:〔(たとひ)zong4shi3●●〕よしんば…でも。よしんば…とも。たとえ…であろうとも。たとい。よしや。かりに。=縦令。 ・君:あなた。ここでは、韓翃のことになる。 ・豈堪:どうして耐えられようか。(もはや)耐えられない。どうして打ち克とうか。 ・折:折る。ここでは、「攀折」(引っぱって(枝を)折る。草花を引っ張って折る)の意で使う。前出・韓翃の『章台柳』「章臺柳,章臺柳!昔日今在否?縱使長條似舊垂,亦應攀折他人手。 」に前出・楊巨源の『折楊柳』に「水邊楊柳麴塵絲,立馬煩君折一枝。惟有春風最相惜,殷勤更向手中吹。」とある。なお、漢代、長安の都を旅立つ人を見送る時、ヤナギの枝を折って、はなむけとした故事がある。
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◎ 構成について
填詞。二十七字。(単調)。三仄韻。(第一、二句は畳韻。)韻式は「aaa」。韻脚は「節別折」で、詞韻第(平水韻)。この作品の平仄は、次の通り。
○○●,(韻)
○○●,(畳韻/畳韻でなくとも可。本頁では、畳韻ではない。)(韻)
●●○○○●●。(韻)
●●○○●●○,
●○○●○○●。(韻)
2017.3.29 3.30 3.31 |
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