逢侠者 | |
中唐・錢起 |
燕趙悲歌士,
相逢劇孟家。
寸心言不盡,
前路日將斜。
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侠者 に逢 ふ
燕趙 悲歌の士 ,
相 ひ逢ふ劇孟 の家。
寸心 言ひ盡 くさざるに,
前路 日將 に斜 ならんとす。
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◎ 私感註釈
※錢起:中唐の詩人。字は仲文。呉興(現・浙江省)の人。722年(開元十年)〜780年(建中元年)。天宝十年(751年)の進士。大暦中に翰林学士となった。大暦十才子の一人。
※逢侠者:偶然に男伊達(おとこだて)に出くわした。 ・逢:(偶然に)出くわす。 ・侠者:男伊達(おとこだて)。
※燕趙悲歌士:古(いにしえ)の燕や趙の戦国時代の国々では、世を愁えて悲壮な歌を詠んだ身分の高い人が多くいたが。 ・燕趙:戦国時代の国名で燕(地名は○)や趙。どちらも現・河北省の北部と南部にあった。 ・悲歌:昔、燕や趙には、世を愁えて悲壮な歌を詠んだ詩人が多くいた。 ・士:身分の高い人。
※相逢劇孟家:(今日、わたしは、)漢代の侠客である劇孟に(紛(まが)うべき人に)出くわした。 ・相逢:出くわす。 ・劇孟:漢代の侠客の名。大きな勢力を持ち、母の死には、千人以上の会葬者があったという。『史記』にある。『史記』(『二十四史』第一巻三一四八頁 中華書局版805ページ)に詳しい。
※寸心言不尽:心が(昂ぶって)、言葉が尽きることなく(時間をとってしまったが)。 ・寸心:こころ。=方寸。
前路日将斜:ここから先の道は(まだまだ遠く)、陽が)沈もうとしている。 ・前路:ここから先の道のり。将来。平仄で「(●)●」とすべきところで使う。なお、「前程」「前途」は「○○」とすべきところで使う。 ・将:まさに…んとす。・斜:(陽が)沈もうとしている。
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◎ 構成について
この作品の平仄は、次の通り。韻式は、「AA」。韻脚は「家斜」で、平水韻下平六麻。
○●○○●,
○○●●○。(韻)
●○○●●,
●●●○○。(韻)
2022 7.3 7.5 9.3 9.4 9.5 9.7 9.8 |
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