中唐・白居易 |
槐花雨潤新秋地,
桐葉風翻欲夜天。
盡日後廳無一事,
白頭老監枕書眠。
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祕省 の後廳
槐花 雨に潤 ふ 新秋の地,
桐葉 風に翻 る 夜ならんと欲するの天。
盡日 後廳 一事 無く,
白頭の老監 書 を枕にして眠る。
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◎ 私感註釈
※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜846年(會昌六年)。字は楽天。号して香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。左拾遺になるが、江州の司馬に左遷され、後、杭州刺史を任ぜらる。やがて刑部侍郎、太子少傅、刑部尚書を歴任する。その詩風は、平易通俗な語彙表現を好み、新楽府、竹枝詞、楊柳枝等に挑戦し、諷諭詩や感傷詩でも活躍し、仏教に帰依した。本サイトでは、「抒情詩の頁」に多く集めている。
※秘省後庁:秘書省の後の方の庁舎にいて。 ・秘省:秘書省のこと。宮中の文書・記録を司る役所。 ・後庁:後の方の庁舎。 ・庁:役所。
※槐花雨潤新秋地:槐(エンジュ)の花は雨で潤(うるお)っている、新たな秋の地上(の光景であり)。 ・槐:〔くゎい;huai2○〕エンジュ。マメ科の落葉高木。 ・潤:うるおう。
※桐葉風翻欲夜天:キリの葉は風に翻(ひるがえ)って、夜になろうとしている。 ・桐葉:キリの葉。 ・翻:ひるがえる。ひるがえす。ひらひらする。 ・欲夜:夜になろうとする。「夜」は動詞。
※尽日後庁無一事:一日中、後の方の庁舎では何事も無く。 ・尽日:一日中。 ・無一事:何事も無い。
※白頭老監枕書眠:白髪頭(しらがあたま)の老いた長官(=作者)は、本を枕にして眠っている。 ・白頭:白髪頭(しらがあたま)。 ・老監:老いた長官。作者自身を謂う。 ・枕書眠:書を枕にして眠る。
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◎ 構成について
この作品の平仄は、次の通り。韻式は、「AA」。韻脚は「天眠」で、平水韻下平一先。
○○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○●●●○○。(韻)
2022 7.3 |
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