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C58の組み立て 8日目-塗装

ここで大失敗するとすべてが水の泡ということで、できればやりたくない作業でもあります。
しかし、やらないことには完成しません。

今回予想される失敗
・水洗いの乾燥が不充分で、内張りの間から水が染みてくる
・目立つところにホコリがついてしまう
・表面が平滑にならず、細かいザラザラになってしまう
・デフ裏などを塗る際、別の部分に塗料がかかって厚塗りになってしまう
・調色した塗料が途中でなくなり、同じ色を作れなくなる
・塗装中に支えから外れてしまう
・乾燥前に塗料がタレて不均一になる

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部品の確認

部品の確認

塗装すべき部品をすべて並べて確認します。これまでの組み立てに関わっていない部品は、うっかりすると塗装を忘れてしまいます。

ボイラーの手前においてある丸みのついている部品は、ボイラー下部ふさぎ板です。
テンダー手前の白い部品は台車枠です。ホワイトメタル製なのでバリなどを削っておきます。

洗浄について

まずハンダの削り忘れはないか、ペーパーのかけ忘れはないかよく確認します。

指の脂や残ったフラックスなどの汚れを歯ブラシなどで丁寧に洗い流します。サンポールなどを使ったり、クレンザーをかけたあとに中性洗剤で洗うという方法がよく紹介されています。
私はクリームクレンザー→中性洗剤→水洗いの3回程度です。どんな方法でも脂っ気をしっかり取ることが大切です。

そのあと十分乾燥させます。張り合わせになっている板の間に水分が残っていたりすると、いくら重ね塗りしても小さい染みができてくることがあるので要注意です。

用具の準備

乾燥したらプライマーを下塗りします。

手前の割り箸は部品を支持するための棒です。一番上の棒は先が少し太くなっていますが、これは機関車用です。全部で10本くらい用意しています。

プライマーは一般的に使われているマッハのメタル用シールプライマーです。その溶剤も用意します。
クレオス(旧グンゼ)のMr.メタルプライマーも使えますが、あまり強力ではないという報告が多いのでそれを承知で使います。ただ磨き出し部品の保護用に1本あると便利です(透明なので)。

注:その後、製品は改良されて「Mr.メタルプライマー 改」に置き換わり、完全な透明ではなくなったようです。これについては未経験です。

エアブラシ

吹き付け用具も特別なものは持っていません。タミヤのHGコンプレッサーとHGエアブラシです。
静かなので深夜でも使えて重宝しますが、大型の模型をダーッと塗るにはあまり適しません。

※その後「HGコンプレッサーレボ」に代替わりしてACアダプターが内蔵され、家庭用電源専用になっています。

模型の取り付け

あらかじめ支えの棒に両面テープなどで部品をしっかり取り付けます。乾燥中にこの棒を固定できる場所も用意します。乾燥中に床などに落ちることがないよう、これは重要です。

下塗りと本塗装の間模型を支え続けますから、ぴったり密着して確実に固定されるようにします。塗装中に固定が弱くなって機関車がボトリ、では泣くに泣けません(私はやりました)。特に機関車は重いうえ、すわりが悪いので要注意です。

ブロワーなどで塗装するすべての部品からホコリを吹き飛ばします。特にデフ表面・屋根・煙室扉・テンダー側面にホコリがつくと目立つので、ここは十分注意します。

メタル用シールプライマーで塗る場合

シールプライマーを専用のラッカーシンナーで薄めます。
薄めなくても塗れる場合があるようですが、私の機材では濃すぎるようで、いつも2倍くらいに薄めています。あらかじめ紙などに噴射して濃度とエアブラシの引きしろは調整しておきます。

車体裏側など目立たない部分から始めていきます。最初はエアだけを出して表面のホコリを吹き飛ばし、次にいったん模型からノズルを外して少しずつ塗料を出し、ツブツブなどが出ないようなら噴射を模型の上に移してフワーッという感じで塗っていきます。
噴射を止めるときはいきなりエアを止めると、次にボタンを押したときに先端に残った塗料がいきなり飛び出して、見苦しいツブになることがあります。模型に当たらない位置で噴射量をゼロに戻してからエアを止めるようにします。

プライマーは着色されているので(注:透明の品もある)塗ったところは少し黄色くなりますが、もともと真鍮の車体は黄色っぽくて塗った箇所がわかりにくいと思います。光の反射などを利用して確かめながらムラのないように全体を塗ります。

塗り終わったらホコリがつかないように注意して、安全な場所に確実に固定しておきます。

Mr.メタルプライマー(缶スプレー)で塗る場合

Mr.メタルプライマーの缶スプレーで塗る場合は、塗装面から20センチ程度の距離を、機関車の全長を1秒弱で通過するくらいの速度でシューッと一気に塗り、これを下から・横から・上から、のように繰り返して全体を塗ります。
あまり噴射が瞬間的すぎると塗料のツブツブ同士が一体の塗膜にならず、分離したツブのまま乾燥してしまうので、全体が均一に「濡れる」ようにきちんと塗る必要があります。少しでも噴射が多いとタレるのでやや微妙な作業です。

缶スプレーは勢いが強く、周りの気流を巻き込むので、エアブラシに比べてホコリがつきやすいように思います。もしも室内で新聞紙などを敷いているのでしたら、あまり低い位置で作業すると新聞紙の上のホコリが巻き上げられて付着することがあります。 あらかじめ新聞紙上をサッと吹いて乾燥させておく方法もあります。
糸くず状のホコリならすぐ取れば影響ないので、手近にピンセットを置いておきます。

プライマー処理終了

プライマーを塗り終わり、乾燥が終わったところです。

このあと本塗装で失敗すると、このプライマーもろとも溶かしてやり直さなければなりませんから、気合を入れていきます。

塗料と溶剤の準備

本塗装の準備をします。私はつやあり黒とつや消し黒を適当な割合で混ぜるだけで、特別な調色はしません。
レベリングうすめ液で薄めます。つや消し黒はエアブラシが詰まりやすいことがあるので、約3倍以上に薄めたほうが良いようです。また少し光沢を混ぜたほうが塗料が滑らかに出るように感じます。

いずれにしても十分試し吹きをして、ハンドルの引き具合に応じて滑らかに噴射濃度が変わるよう、納得がいくまで薄め加減を調整します。

本塗装

あらゆる方向から塗装するので、車体が支えの棒にしっかり固定されているかもう一度確認します。

基本的には下塗りと同じです。エアでホコリを吹き飛ばしてからフワーッと塗っていきます。
塗装面から20〜30センチ離すようにとよく言われますが、私の場合エアブラシではせいぜい5〜6センチです(缶スプレーならそんなに近づけると滅茶苦茶になります)。もし薄めすぎた場合は距離を広げたり、塗料の流出量も絞ったりします。

いきなり失敗するのを防ぐため、車体の下側から始めて様子を見ます。デフの表面やキャブ側面のように目立つ平面は最後にします。ランボード上の小部品の側面、キャブひさしの裏側、ドーム前後など塗り残しの出やすい場所から塗り始めつつ、全体を塗っていきます。

デフの裏側はエアを弱く、塗料の量も絞って慎重に塗ります。あまりここだけにこだわると、よりブラシに近いボイラー上などにたっぷり塗料が乗ってしまうことがありので、少し塗ってはほかのところを塗り・・・などのように少しずつ進めます。
ランボード上の網目もいくつかの方向から塗っておかないと、塗り残しが出ていることがあります。

デフ表面は一定方向に塗り、表面に届いた塗料のツブ同士がつながって一様な膜になることをイメージしながら丁寧に塗ります。
機関車全体を塗り終える頃には、最初に塗ったあたりは乾いていますから、もう1〜2巡すれば十分塗れます。

缶スプレーの黒で塗る場合もプライマーのときと同じ要領で、塗料が表面で一様な膜になる程度の早さで缶を動かします。垂れるのを恐れるあまり、「パッ」「パッ」と点射してはドライヤーを当て・・・ということをすると、平滑な塗膜にならず塗装に粒状感が残ってしまいます。吹き付け直後にドライヤーを当てたりするともろにそうなります。

乾いたら3回くらい重ね塗りします。デフの裏やその部分のボイラー(煙室)の下側が特に塗りにくいので、そういう部分は多少黒さが足りなくても適当に妥協したほうが全体的にはきれいに仕上がります。あらかじめ筆で黒を差しておく方法もあります。

エアブラシよりも難しいですが、塗膜は少々厚くなるものの、缶スプレーに熟練している人なら見劣りなくきれいに塗ることができます。エッチング板の帯材で表現されているパイピングも、塗膜の厚みのせいで丸いパイプのように見えるという利点もあります。

塗装完了

特に失敗もせず無事に塗れました。しかし完全に乾いて支えの棒から外し、安定したところに置くまでは安心できません。

塗装後の側面

ピントが合っていませんが目立つホコリもつかず一応成功です。ツヤの具合はちょうど狙った程度にできました。
いつも旅客用機よりも貨物用機のほうのツヤを抑えて作っています。

乾燥

全部の部品を塗装したら数時間乾燥させ、支えの棒から外してさらに乾燥を続けます。
次の作業にかかるまで丸一日乾燥させますが、本当に塗膜が最終的な強さになるまでは、2週間くらいかかるのだそうです。

Mr.メタルプライマーを使った場合は、マスキングテープやインレタの台紙ではがれたという方もいらっしゃるようなので、一応慎重に扱われることをおすすめします。 私はMr.メタルプライマー+カンスプレーで作ったワールド工芸の蒸機を6両くらい持っていますが、特にはがれもせず現在に至ります。

塗装中に落としてほこりまみれになったり、乾燥まで済ませた炭水車をぶつけて側板を曲げてしまい買いなおしたり、用具を片付けるときにシンナーの飛沫が乾燥中の車体にかかってしまったり、大人でも泣きたくなるような失敗を今までたくさんしてきました。
いよいよ車輪やロッド…その前に、色差しや窓ガラス取り付けなどの仕上げを済ませておくことにします。


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