子供の科学のラジオ>その2

子供の科学のラジオ その2

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少し年代がさかのぼります。特に1〜2石ラジオは単純な工作ですが、仕上がりにはどれひとつとして同じものがありません。感度、選択度、音質のすべてが違っていて面白いものです。

#8 やさしくて感度がよい2石ラジオ

掲載:子供の科学 1974年2月号(奥澤 清吉氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2005年2月成功本当に感度がよい
やさしくて感度がよい2石ラジオ

簡単な回路の割にプリント基板を作ったりするので、昔は組み立てるまでに至りませんでした。
というわけで初挑戦です。

たいへん小型のラジオですが、部品の関係で記事と同じ寸法のケースでは実装できず、若干大きくなりました。
感度を上げるために、バーアンテナSL-45GTの2つのコイルを直結し、トランスST-30もイヤホンとチョーク接続されています。
イヤホンのジャックが電源スイッチを兼ねた構造になっています。

やさしくて感度がよい2石ラジオ裏側

バーアンテナホルダーが入手できないので、コアにプラ板をエポキシ系接着剤でがっちり接着し、そのプラ板に穴を開けて基板にネジ止めしています。
部品の大変少ないトラ検の直結式ですが、感度は予想以上によく大変満足しました。
補助アンテナなしで十分いけますし、分離も結構いいです。これは組みあがって気持ちがすっきりしました。

2石ラジオ回路図(子供の科学1974年2月号より許可を得て掲載)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得て作図・掲載

●おもな部品(他にビス・ナット・配線用ビニール線等)

  • トランジスタ…2SC372-Y ×2 ※2SC1815で代用しました
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • バーアンテナ…SL-45GT
  • 抵抗器…1/8P 2kΩ、47kΩ 各1
  • コンデンサ セラミック… 0.002μF ×1、電解…6.3V 47μF ×1
  • トランス…ST-30
  • クリスタル・イヤホン(プラグつき)
  • イヤホン・ジャック
  • 電池…1.5V単5×2と電池ホルダー(2連直列つなぎ)
  • ケース…47×72×23mm
    ※注:オリジナル記事での寸法です。現在のポリ電池ホルダーは少し大きいので、組み込めないかもしれません。
2石ラジオプリント基板パターン/配線図(子供の科学1974年2月号より許可を得て作図掲載)

●プリント基板パターン
拡大図に部品の配線例をお示ししました。
注意点が2箇所あります。まず、イヤホンジャックの金具を加工して、イヤホンプラグを差し込んだときに、2つの接点が接触してスイッチ代わりになるようにします。イヤホンジャックは端子のつながり方が色々なので、実際にお使いになるものを調べて配線してください。
もうひとつは、バーアンテナSL-45GTの2つのコイルを直結して使用することです。具体的には端子2と3を接続してしまいます。そして、コイル全体を端のほうに寄せて受信帯をカバーします。

本誌では他に、プリント基板を作らずにベーク板に穴をあけてハトメを打って使う方法と、4mmピッチのユニバーサル基板を使って同じように配線する方法も少し触れられています。

◆気づいたこと◆

  • 昔は普通に売られていた、ベーク板式の安っぽい電池ホルダーが近場で入手できませんでした。プラ製は見栄えがよいですが、ちょっと大きくなってしまうので、ラジオを小型に組み立てようとすると苦しいことがあります。
  • イヤホンジャックがスイッチ代わりだと、片手でスイッチを操作しにくいので、ちょっと不便です。別途スイッチを取り付けたほうがよさそうです。

#9 手作りのコイルで-やさしい丸型ゲルマ・ラジオ

掲載:子供の科学 1975年1月号(泉 弘志氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回(推定)1975年1月成功 
再挑戦2005年3月成功 
丸型ゲルマ・ラジオ

その昔、私が初めて作ったラジオです。ラジオ作りはゲルマラジオから…というのは、今も昔も変わらないようで、多くの人が今でもいろいろなゲルマラジオを作っているようです。
エナメル線をぐるぐる巻いて同調コイルにするのですが、丁寧に並べて巻くという作業が昔はうまくいかず、苦労しました。
今やってみると、これのどこが難しいのかというような作業です。

丸型ゲルマ・ラジオ裏側

部品はとても少なく、内部はバリコンとダイオード1個だけで、その他の部品は省略されています。ちゃんと聞こえますし音質も問題ありませんが、それらはすべて電波の状態とアンテナしだいです。
電灯線アンテナを作れば、長いアンテナを張らなくてもベッド・ラジオとしては十分実用になります。
電池も要らないので、今回も作ってからはよく使っています。

丸型ゲルマ・ラジオ回路図(子供の科学1975年1月号より許可を得て掲載)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得て作図・掲載
 もっとも、これだけの部品でゲルマ・ラジオを作れと言われたら、誰が考えても同じになるかもしれません。

●おもな部品(他にビス・ナット・ビニールテープ少々)

  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • ゲルマニウム・ダイオード…SD46、1N60など、ゲルマラジオ用のもの
  • クリスタル・イヤホン(プラグなし)
  • 1L2Pの立型ラグ板 ※ただし、なくても空中配線で何とかなります。
  • エナメル線…コイル用に0.26mmくらいの太さのものを15メートル
  • ビニール線…アンテナ用、配線用を兼ねて数メートル
  • ケース…直径7.5cmの丸型プラスチック密閉容器
丸型ゲルマ・ラジオ配線図(子供の科学1975年1月号をもとに許可を得て作図)

●ケース内の配線
工作らしい工作は、コイルを巻くことだけです。
初めにケースの周囲4箇所に、滑り止めのためのビニールテープを貼り付けておきます。 巻き始めの小穴2つに1回エナメル線を巻きつけます。あとは、コイルを数回ケースに巻いては片側に寄せてぴったり並べ、また数回巻いては寄せて、を繰り返していきます。 60回巻いたら、終りの小穴にエナメル線を1回巻きつけて内側に引き出し、配線します。
ゲルマニウム・ダイオードは熱に弱いので、足をラジオペンチやクリップで挟んで放熱しながら素早くハンダ付けします。

●聞き方
アンテナ線は数メートルを伸ばし、天井などに張りますが、鉄筋の建物のように電波の弱いところではうまくいきません。
または、電気スタンドのようにコンセントに差し込んであるコードの周りに、アンテナ線を5〜10回絡ませます。感電の危険があるのでアンテナ線を直接コンセントに差し込んではいけません。
夜の静かなときにイヤホンを耳に差し込み(あまり遅くて放送が終わっていればダメですが)、耳に神経を集中させてバリコンのダイヤルを少しずつ、じりじりとゆっくりと回していきます。どこか非常に遠くから、かすかに「何か聞こえたかな?」と感じたら、さらにゆっくりダイヤルを回して調整します。音は今にも消え入りそうなほどかすかで、まさに蚊が鳴くような音量かもしれません。けれども、ゲルマ・ラジオとはそういうものです。電波の強いところなら、慣れると強い放送はちゃんと聞き取れます。

◆気づいたこと◆

  • コイルを巻くための「エナメル線」が、ホルマル線やポリウレタン線に押しやられて脇役に退いていることを今になって知りました。
  • 100ピコのコンデンサを介すれば、アンテナ線をコンセントに差し込んでも感電しない…というのは理屈はわからずとも知っていたのですが、何となく疑いを持っているため今でも電灯線アンテナには緊張します。

#10 音質がよい5石高1ラジオ

掲載:子供の科学 1975年11月号(奥澤 清吉氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2005年3月成功周波数の高い局が少し感度不足
音質がよい5石高1ラジオ

何台も作っていると、感度だけではなく音質も気になってきて、Hi-Fiラジオ的なものも作ってみたくなりました。
この時期の子供の科学には、音質のよいラジオとして1974年10月号「5石ハイ・ファイ・ラジオの作り方」と、この1975年11月号「音質がよい5石高1ラジオ」の2つが紹介されていますが、どちらも基本的に同じもので、使用するプリント基板のパターンも同じです。

回路は高1、音質を上げるためトランスを使っていません。電力増幅はSEPPのため、トランジスタ2個のランクも合わせる必要があります。
古い時代の設計なので、所定の半導体を集めるのに時間がかかってしまいました。

音質がよい5石高1ラジオ裏側

本当はもっと大きいスピーカーを使いたいのですが、急に値段が高くなってしまううえ、ケースも大きくなるので8センチでがまんしました。
なかなか設計どおりの電流が流れず調整に苦労しましたが、無事成功です。音質は本当によく、手作りとは思えないほど生意気な音が出ました。
ただ、800kHz以下の局は大変よく受信できるのですが、それを超えると感度が不十分になってしまい、ロッドアンテナなどが欲しくなります。この原因は私の実力では突き止められませんでした。

バーアンテナ交換後の裏側

その後、ロッドアンテナを取り付けて多少は感度がよくなったのですが、地元ではロッドアンテナの入手すら難しくなっていて、別の小型ラジオから取り外しました。
次にはスーパー用の長いバーアンテナ(AM-88)を買ってきて、バリコンと一緒に交換しましたが、実用にはなるものの「5石でこの程度?」という感じが残ります。
まだ色々思案中ですが、回路の知識が乏しいのに思いつきだけでやっているため、望み薄です。

5石高1ラジオ回路図(子供の科学1975年11月号より許可を得てトレス)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載

●おもな部品(他にビス・ナット・2mmはとめラグ・配線用ビニール線等)

  • トランジスタ…2SA493-GR、2SC372×2、2SA509、2SC509
  • バーアンテナ…PB-450
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • チョークコイル…4mH
  • ダイオード…1N60、1S1555×2、TLR-105(パイロットランプ用LED)
  • コンデンサ セラミック… 50V 0.0047μF、0.01μF 電解…6.3V 3.3μF、33μF、100μF×2、470μF
  • 抵抗器…1/8P 30Ω、100Ω、390Ω、15kΩ、56kΩ、270kΩ、2kΩ×2、3kΩ×2、巻線1/2W 1Ω×2
  • 半固定抵抗…2kΩ ※2kΩと記載されています。回路図では200Ωとなっている箇所。
  • ボリウム…平型10kΩ S付+つまみ
     ※本誌の回路図は10kΩですが、部品表では5kになっていました。私の作例は10kを使いました。
  • スピーカー…7〜12cm 8Ω
  • イヤホン・ジャック
  • 電池…6V(4AA)+スナップ ※4AAの代わりに、単3電池4本とポリ電池ホルダーで結構です。
  • ケース…バター入れなど 142×92×56mm ※電池、スピーカーに応じて決めます。
5石高1ラジオ用プリント基板(子供の科学1975年11月号より許可を得て掲載)

●プリント基板パターン 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載
拡大図に部品の配置方法を記載しました。

もともと、大型のケースに大きいスピーカーで組むことが想定されているので、基板サイズも大きく、部品が多い割に製作は楽です。
この作例ではケースに基板を密着させ、バリコンのダイヤルには裏側に軸の出っ張ったものを使って外に出しています。ケースの外板が厚かったり、軸の出っ張ったダイヤルが買えないときは、基板を内側に少し浮かせてダイヤルを中に入れます。また、ボリウムは部品表では平型となっていますが、これもケースと基板の取り付け方に応じて決めます。

●調整
発振したときは、チョークコイルに※印の20〜100kΩの抵抗器をつなぎます。止まらないときは※印の0.0022〜0.0047μFのコンデンサをつなぎます。
SEPPのため、回路図に記されている通り流れるようよく調整しないと、音がひずんだり、音が小さくなったりします。

◆気付いたこと

このラジオの回路は、「はじめてトランジスター回路を設計する本」(奥澤清吉氏・奥澤煕氏共著、2002年版、誠文堂新光社)に、「5石ハイファイラジオ」として今も掲載されています。トランジスタなどの部品は現在のものに変更されています。プリント基板のパターンは省かれていますが、ここに掲載したものがそのまま使えると思います。

コーヒーブレイク…売られていたバーアンテナ

お店によって違いがありますが、今でも意外と多くの種類のバーアンテナが売られており、割と動いている(売れていっている)ようです。いろいろ集めてみました。
(2009年現在)

SL-45GT

SL-45GT 製造:「あさひ通信」 コア50mm
2009年現在でも色々な店で手に入ります。昔は「静水電子」製造だったような。これと次のSL-55GTで、子供の科学のラジオはほとんど組むことができます。

SL-55GT

SL-55GT 製造:「あさひ通信」 コア50mm
2009年現在の定番です。昔は平板型の端子式でしたが、今は面取りされた丸棒型のリード線式です。同じく定番のPB-450のコアも変更されましたし、何かの事情で平板型のコアが入手できなくなったのでしょうか。

SL-50GT

SL-50GT 製造:「あさひ通信」 コア50mm
上記2種に比べれば、取扱店が少なくなります。SL-45GTのリード線版、といった感じでしょうか。リード線の色分けがないので少し使いにくいです。

SL-41GT

SL-41GT 製造:「あさひ通信」 コア50mm
2008年頃?から見かけるようになりました。SL-50GTとほぼ同じですが、リード線はSL-55GTと同色の色分けなので使いやすいです。SL-55GTの丸棒コア型と考えてよさそうです。

PA-63R

PA-63R 製造:「マックス」 コア30mm
マックス(プリンス)のロングセラーで、昔からよく出回っていています。

PB-450

PB-450(平板コア) 製造:「マックス」 コア50mm
SL-45GT/55GTと並んで「子供の科学」ではよく使われていました。これは昔と同じ平板型のコアですが、2005年頃を最後に見なくなりました。

PB-450(最近の)

PB-450(丸棒コア) 製造:「マックス」 コア60mm
PB-450のその後のバージョンです。説明書は同じですが、コアが丸棒型になり、長さも10mm伸びて60mmとなっています。そのまま置き換えできないことが多いので、何とかまた元の形に戻ってほしいのですが。

(2009年現在、ほとんど品切れになってしまったようです。SL-55GT等で代用します。)

AP-50R

AP-50R 製造:不明 コア50mm
PB-450(平板コア)のコンパチみたいな製品で、リード線の色分けも同じなのでそのまま代わりができます。「コスモ電子」で購入しましたが、2005年初めに在庫終了になってしまいました。付属の説明書の1石レフの回路図もPB-450の説明書とほとんど同じで、チョークコイルのインダクタンスが違うだけです。

BA-200

BA-200 製造:「アイコー電子」 コア45mm
一応平板コアですが、PB-450より狭く(厚みは同じくらい)短いです。感度はよいので小型に作りたいときには便利かもしれません。付属の説明書はなぜかSLシリーズとそっくりです。

AM-88

AM-88 製造:不明 コア80mm
「千石電商」で売られているスーパー用バーアンテナです。ホルダー付きです。このホルダーはSL-50GTなどにも合います。

上記の製造元は、添付の説明書に書かれているメーカー名をそのまま書いただけです。実際には違うところが製造しているものがあるかもしれません。

型番受信周波数インダクタンス使用バリコンQ
SL-41GT535〜1605kHz330μH±20μHMax.260pF開放Q 100以上
SL-45GT535〜1605kHz330μH±20μHMax.260pF開放Q 100以上
SL-50GT535〜1605kHz330μH±20μHMax.260pF開放Q 100以上
SL-55GT535〜1605kHz330μH±20μHMax.260pF開放Q 100以上
PB-450(平板)(記載なし)(記載なし)300pF(コイルをコア端から5mm)
290pF(コイルをコア中心)
1000kHzにて200〜240
PB-450(丸棒)(記載なし)(記載なし)300pF(コイルをコア端から5mm)
290pF(コイルをコア中心)
1000kHzにて200〜240
AP-50R(記載なし)(記載なし)(記載なし)(記載なし)
PA-63R535〜1605kHz360μH300pFまたは360pFタップ切り替え1000kHzにて150
BA-200535〜1605kHz330μH±5%Max.260pF開放Q 100以上
AM-88530〜1650kHz620μH140pF(2連)(記載なし)

昔は、ミューラーの0840TRというものもよく売られていて、SL-45GTと同じような用途に使われていたように思います。
PB-450より少し長いPB-455とか、SL-45GTの高感度版のSL-45GAとか、仲間もたくさんありましたね。

◆その後◆

そのPB-455を30年ぶりに入手しました。

PB-455

昔、近所の店にはPB-450がなく、買いに行くと必ずこのPB-455が出てきました。
外観はPB-450にそっくりですが、青リードがなく、代わりに黄色リードがついています。
説明書も付属しておらず結線の仕方もわからず、これを使ったラジオは必ず失敗するように感じていました。

改めて調べると、次のようになっています。

PB-455

ああなるほど…。これは当時の私の頭では代用不可能です。PB-450はコイルが2個巻いてあるのですが、PB-455は1個のコイルで作られており、再生タップが赤・黄の2本用意されていたのですね。

#11 感度がよい3石レフレックス・ラジオ

掲載:子供の科学 1974年6月号(奥澤 清吉氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2005年3月成功 
感度がよい3石レフレックス・ラジオ

考えてみると、ここまで3石ラジオというものを作ったことがありません。
2石レフはすでに2台作ったので、今度は3石レフを作ってみました。

2石レフに比べると部品が多いので、厚みのあるスピーカーにかぶせる形で基板を作らなければならず、昔の深い名刺ケースが必要です。現在ではほとんど手に入らず、色々な人に打診してようやくひとつ手に入れました。

なんと間違えて両面の基板を買ってきてしまい、片面は丸ごとエッチングで銅箔を溶かすはめに…そろそろ弱っていたエッチング液にとどめをさすことになってしまいました。

感度がよい3レフレックス・ラジオ裏側

板型コアのバーアンテナの手持ちが残り少なくなったので、古いラジオを分解してスーパー用のバーアンテナを取り出し、少し巻きをほどいて使用しました。コイルを左右に動かせば大きく受信帯が変化してくれるので、ほどく量は目分量でもうまくいきました。

感度は良いのですが、#4の2石レフの感度が非常に良かったため(注:偶然の産物で再生がかかっていた模様)、それとの差は極端に大きくはありませんでした。ちょっと「サー」という雑音が大きめで、音質も固いです。いくつかの抵抗とコンデンサを変えて調整しようとしましたが、大して改善しませんでした。

3石レフレックス・ラジオ回路図(子供の科学1974年6月号より許可を得てトレス)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載

●おもな部品(他に各種2mmビス・ナット・2mmはとめ・配線用ビニール線等)

  • トランジスタ…2SC372-Y×2、2SC735
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • バーアンテナ…PB-450
  • ダイオード…1N60、SD34など×2
  • チョークコイル…4mH
  • コンデンサ セラミック… 50V 100pF、同0.01μF×2
        電解…6.3V 100μF、10V以上3.3μF×2、同10μF
  • 抵抗器…1/8P 100Ω、1kΩ、30kΩ、470kΩ、10kΩ×2
  • ボリウム…平型5kΩ(A) S付+つまみ
  • スピーカー…5cm 8Ω
  • トランス…ST-81(ST-32)
  • イヤホン・ジャック
  • 電池…9V(006P)+スナップ
  • ケース…名刺入れなど ※深さ35mm程度の厚口用でないとできません。
  • (パイロットランプを付けるとき)発光ダイオードTLR-105と2kΩ
3石レフレックスラジオ用プリント基板(子供の科学1974年6月号より許可を得て掲載)

●プリント基板パターン 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載
拡大図に部品の配置方法を記載しました。

最近の単連ポリバリコンに合わせて、E端子を中央に寄せて描きました。また、バーアンテナのリード線の色分けはPB-450の場合です。現在のPB-450は名刺ケースに収まらないので、SL-55GTなどを使用するとよいと思います。

●調整
異常発振が止まらないときは、チョークコイルと並列に47kΩか100kΩをつなぎます。「サー」という雑音が大きいときは、チョークコイルにつながっている10kΩを、15kΩか20kΩと取り替えます。

◆気づいたこと◆

  • 本誌掲載のプリント基板パターンに1箇所の抜けがあるので、その通り作っても鳴りません(上のプリント基板パターンでは修正してあります)。 電池スナップのマイナスから、パターンがどこにもつながっていないので、すぐわかりました。
  • ピーピー発振してしまったので、チョークコイルに抵抗をつないで止めようと思ったのですが、電池スナップのコードの取り回しひとつで発振が止まることがわかり、そちらで調整?しました。

#12 壁どめ型にもなる…感度の高い1石・丸型レフレックス・ラジオ

掲載:子供の科学 1975年5月号(泉 弘志氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2006年7月成功 
1石レフレックス・ラジオ

泉氏お得意の丸型ケースに組むラジオです。現在では食品入れケースが当時に比べてかなり立派になっており、なかなか記事のようなシンプルなものは見つけられませんが、ここでは氷削り器用の製氷カップを利用しました。
トランジスタは2SA103が使われていましたが、入手できないので2SA100としました。

1石レフレックス・ラジオ裏側

使われている抵抗は1本だけ、コンデンサも2本だけのシンプルなものですが、バーアンテナとトランジスタのあたりが込み合っているので、ハンダごてが入りにくいかもしれません。
ラグ板はバリコンの上に置くので、片方の取り付け穴にL金具を取り付けて、ケースの側面に固定するようになっています。この小L金具という部品も、昔に比べると入手が難しくなってきています。

さすがにレフレックス式なので、鉄筋の建物でも窓のそばならバーアンテナだけで十分受信できました。壁どめ型にもなると書かれていますが、イヤホン式なので、イヤホンの長さの範囲でしか人間は動けなくなります(笑)。
音量調整のボリュームは省略されていますが、丸いケースを左右に回せば音量が変わるので、操作としてはボリュームを回すのと変わらないような気がしてきました。

1石レフレックス・ラジオ回路図(子供の科学1975年5月号より許可を得て掲載)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載

●おもな部品(他にビス・ナット・配線用ビニール線等)

  • トランジスタ…2SA103
  • ゲルマニウム・ダイオード…SD46×2 ※ゲルマ・ラジオ用なら何でも
  • VC…単連ポリバリコン+つまみ
  • L…小型バー・アンテナ ミューラー0840TR
  • T…12.5kΩ:50kΩのトランジスタ用トランス 山水ST-30
  • RFC…2mHのコア入り高周波チョーク(リード線が固い線のもの。マイクロインダクタで可)
  • R…1/4〜1/8P 50kΩ
  • C1…0.01μF 50Vのセラミック コンデンサ
  • C2…100pFのセラミック コンデンサ
  • クリスタル・イヤホン(プラグなし・ハンダ付け用)
  • Sw…2Pか3Pの超小型トグル・スイッチ
  • 電池…1.5V単5×1と電池ホルダー
  • 6Pの溝付き平ラグ板、ラグ板固定用に小L金具
  • ケース…直径7.6cm×高さ3.5cm以上の丸型食品入れなど
1石レフレックス・ラジオ配線図(子供の科学1975年5月号より許可を得て作図)

●ラグ板配線図
拡大図に部品の配線例をお示ししました。
バーアンテナの左側の端子は、ラグ板への固定のために使われているだけで、2次巻線は使われていません。右側の1次巻線の端子のうち黒端子は、固定と配線をかねています。裏側の銀(回路図では「灰」と表現されています)端子をトランジスタのベースに接続します。
トランジスタをハンダ付けするラグ3箇所は上に曲げておきますが、ここは狭いのでハンダ付けしにくいです。
なお、トランスの足はラグのはとめ穴にはめ込んでハンダ付けし、外装板を通じて両側のラグが導通するようにします。

ラグ板の左側の1箇所の穴にL金具をネジ止めし、そのL金具をケース側面に開けた穴にネジ止めして固定します。

◆気づいたこと◆

  • バーアンテナは、懐かしいミューラーの0840TRが使われていて、これの端子をラグ板にハンダ付けして固定するようになっています。驚いたことに2006年になっても0840TRを売っているお店があり、新品(というのかどうかわかりませんが)で入手しました。

    0840TR

    ケースの大きさには余裕がありますから、取り付け方を工夫すればSL-45GT等でもOKです。

#13 出力をちょっぴり大きくした3石高1ラジオ

掲載:子供の科学 1975年3月号(奥澤 清吉氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2005年4月成功(やや混信) 
出力をちょっぴり大きくした3石高1ラジオ

いくつか記事の出ていた3石高1というものも作ったことがなかったため、試しにやってみました。
回路は#11の3石レフレックスラジオとそっくりで、Tr1周辺が違うだけです(レフレックスラジオだって高周波増幅してますし)。
奥澤先生のトランジスタラジオはたいていプリント基板を作るのですが、中にはラグ板に組むものもあり、これはその一つです。また、このラジオは発振を止めるのが難しいと書かれていました。

先に基板を作る必要がないのですぐに組み立てられますが、配線が込み合うので見た目にあまり美しくはありません。また、どうしてもケースが大型になります。
Tr1の2SC372代わりに2SC1815を、Tr2の2SC828の代わりにも2SC1815を、Tr3の2SC735の代わりに2SC1959を使いました。Tr2はその後2SC828を入手して交換しましたが、性能的には特に違いは感じられませんでした。

出力をちょっぴり大きくした3石高1ラジオ裏側

問題の発振はやはり発生しました。止め方としてはバーアンテナのコイルの接続を入れ替える、チョークコイルを入れ替えるかバーアンテナからなるべく離す、チョークコイルと並列に抵抗(10〜47kΩ)を入れるといったものがありましたが、結局チョークコイルを傾けてバーアンテナのコイルからできるだけ遠ざけるのが一番効果がありました。
当初は混信が激しく、実用にならないほどだったのですが、バーアンテナのL2の左右の接続を入れ替えたところ、混信が緩和されて感度も増しました。

ケースを入れ替えた様子(中身)

本誌と同じレイアウトにするため、その後ケースを変更し、スピーカとバーアンテナを交換しました。本誌の作例で使用されていたのと同じケースは、今でも手に入ります。バーアンテナを短いものに変えたので、電池をスピーカの上に置けるようになりました。ネジ止め式バーアンテナホルダーは、入手できないので自作しました。
なぜか性能が少々変化し、出力が少しアップして混信も減りました。それでも、他に組み立てた同クラスのラジオに比べれば、やや混信は大きめです。これだけ配線がごちゃごちゃしていると宜なるかなです。

3石高1ラジオ回路図(子供の科学1975年3月号より許可を得てトレス)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載

●おもな部品(他に各種2mmビス・ナット・配線用ビニール線・スピーカー取り付け金具等)

  • トランジスタ…2SC372-Y、2SC828(S)、2SC735
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • バーアンテナ…AL-55 ※かなり古いものです。PB-450、SL-55GT、BA-200などお馴染みのものでOKです。
  • ダイオード…1N34 ※1N60などゲルマ・ラジオ用でOK
  • チョークコイル…4mH
  • コンデンサ
      セラミック… 50V 0.01μF×2
      電解…6.3V 220μF、10V 10μF、33μF、47μF
  • 抵抗器…1/8P 47Ω、3kΩ、10kΩ、30kΩ、300kΩ
  • S付きボリウム…平型5kΩ+つまみ
  • トランスー…ST-82
  • ケース…114×75×30mm
  • 乾電池…9V(006P)+スナップ
  • スピーカー…5.7cm 8Ω
  • イヤホン・ジャック、イヤホン(電磁形 8Ω)
  • ラグ板…7(14)P
3石高1ラジオ配線図(子供の科学1975年3月号より許可を得て作図)

●ラグ板配線図
拡大図に部品の配線例をお示ししました。

ラグ板のラグは、全部上に曲げてから部品をハンダ付けします(スペースの関係と思います)。バーアンテナの2次巻線は、端のほうをTr1のベースにつなぎますが、異常発信したときは入れ替えます。

バリコンに関係なく発振するときは、47μFを100μFに、10μFを4.7μにするよう記事中に記されています。

また、回路図の点線にあるように、スピーカーの端をマイナスにつないだほうがよいそうですが、配線が込み合うということで本誌の作例では省略されています。

◆その後◆

ラグ板をプリント配線に変更したものを作ったところ、大幅に性能が改善しました。→「#18 出力をちょっぴり大きくした3石高1ラジオ プリント配線版」

#14 部品が少ない-やさしい工作で…直結式2石ポケット・ラジオ

掲載:子供の科学 1975年3月号(泉 弘志氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2005年5月成功 
直結式2石ポケット・ラジオ

「その1」の最後にある(#7)直結式2石イヤホン・ラジオの3ヶ月前に発表されていたものですが、こちらはトランスの代わりに負荷抵抗を使っていたり、電池が倍の電圧になっていたりといくつかの違いがあります。
2石直結というラジオはこのほかにも誌面で何度も発表されていますが、回路はいろいろです。トランジスタは2個だけなのに、その使われ方はさまざまで、中にはなぜ鳴るのかよく理解できないものもあります。

直結式2石ポケット・ラジオ裏側

余っていた名刺ケースに組む都合で電池は単4としました(元は単5で少し太い)。バーアンテナは、本誌ではミューラーの0840TRが使われていましたが、ここではSL-45GTを使っています。
トランジスタは元の記事どおり、2SC372-Oを2個使いましたが、私が知っていた頃の2SC372とは形が違っています。末期はこうだったんですね。

あっさりできて鳴りましたが、同じ2石直結でも、感度は前のほうの(#7)直結式2石・イヤホンラジオのほうが一段上です。単にバーアンテナの大きさの違いなのかもしれませんが…。

直結式2石ポケット・ラジオ回路図(子供の科学1975年3月号をもとに許可を得て作図)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得て作図

●おもな部品(他に各種2mmビス・ナット・配線用ビニール線等)

  • トランジスタ…“東芝”2SC372-O×2
  • バーアンテナ…“ミューラー”0840TR ※1〜3石ストレート・ラジオ用なら何でも。
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • 固定抵抗(1/4〜1/8W P型) R1…5MΩ R2…10kΩ
  • コンデンサ(50V セラミック) C1…0.01μF C2…0.001μF
  • クリスタル・イヤホン(プラグなし)
  • 電池…1.5V 単5×2、電池ホルダー単5・2本用 ※作例は単4
  • SW…2P(または3P)の超小型トグル・スイッチ
  • 6Pの溝付き平ラグ板 ※溝なしでOK
  • ケース…100×66×32mm 以上の食品入れなど ※作例は薄手名刺ケース
直結式2石ポケット・ラジオ配線図(子供の科学1975年3月号をもとに許可を得て作図)

●ラグ板配線図
拡大図に部品の配線例をお示ししました。
この図はバーアンテナにSL-45GTを使った作例です。
右端の2つのラグを固定用に利用します。あらかじめ右下のラグのはとめ穴にビニール線2本をハンダ付けしておき、2つのラグを少し上に曲げます。そこにSL-45GTの端子2と端子4をハンダ付けして固定します。実際に配線に利用しているのは端子1と端子2だけです。

2次巻線は使っていないので、バーアンテナにPA-63Rを使い、黄色と黒のリード線を利用してもよいと思います。

◆気づいたこと◆

バーアンテナのコイルを端ギリギリにしないと、地元の一番周波数の高い局(1440kHz)が受信できませんでした。他のラジオと同じバリコンを使っているのですが、バリコンかバーアンテナに個体差があるんでしょうか。


子供の科学でトランジスタを使ったラジオや電子工作の記事の全盛は、1960〜1970年代の10年くらいだと思います。ほとんどが1〜3石で、やさしく作れるようにという制約があるため、ほぼ同じ回路のものが形や部品を少々変えて繰り返し掲載されています。
さて、このコーナーはまだ続きます。


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