子供の科学のラジオ>その3
一度試行錯誤の末組み立てたラジオでも、もっと実用的にするために、ケースなどを変えたり、自分でプリント基板を設計して作り直したくなるものです。
悲しいかな回路の設計ができないため、実装面しか工夫が及びませんが、配線図の通りに結線さえすれば働くと考えていたら大間違いでした。
お灸をすえられたというか、いい勉強になりました。
これは「#3 2石レフ・ポケットラジオ」を、プリント基板に変更してみたものです。 ケースは現在の薄型名刺ケースを利用し、持ち運びを考慮してダイヤル類はすべてケース内に入れました。部品の取り付け高は制約を受けますが何とかなりました。 オリジナル版です。 |
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結果ですが、なぜか先に作ったオリジナル版よりも感度がよいです。この違いは電波の弱い局でハッキリわかります。 |
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右がオリジナルの配線、左がこれをもとに配線路を作ったプリント基板です。基本はただ配線をプリント配線路に置き換えただけですが、ケースに直付けになっていたバリコン・ボリューム・バーアンテナも基板に実装するなど、多少は工夫しました。 部品面の高さを確保するため、ボリュームを裏返しに取り付けたので、音量の調節方向が他と反対です。普通の記事では、ボリュームは表から見て時計回りに音量が上がるように配線されています。 |
「#5 混信がなくて感度がよい4石スーパーラジオ」をもとに、小型の基板を作ってポケットラジオのサイズに組み立ててみることにしました。 オリジナル版(#5)です。 |
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詳しい方なら、いかに無知な人間が考えた基板かいくつも指摘できると思います。この時点では回路図のとおりに結合されていれば、部品の配置やパターンはどうでも働くものと考えていました。 部品を全部取り付け、スイッチを入れると始まった!「ギャー」「ビー」と異常発振が…。まあこれは2〜3石ラジオでも起き得ることなので、最初は簡単に直せると思いました。 バリコンがどこにあっても発振するので、まずは高周波の発振を疑いました。そこで、バーアンテナの同調コイルの接続を入れ替える→TR1のベースの前にある0.005μを、500pF〜0.002μFあたりで調整→どうしてもダメならアンテナコイルの両端に抵抗(30k〜100k)→結果、全然効果ありません。参った…。 中間周波の異常発振も起きているのかと考え、IFTにダンピング抵抗を付け加えたところ、何とかボリュームの中間あたりでのみ発振が止まりました。しかし感度が悪くなってしまい、ボリュームが中間位置より低くても高くても異常発振するので、使い物になりません。 |
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しまいにはトランジスタまで疑い、TR1〜TR3の2SC1815-Yを2SC372-Oに、TR4の2SC1915を2SC735のジャンクパーツに変更し、足もうんと短くしましたが、そんな問題ではありませんでした。 基板の下側のほう、グラウンドを広く取らなかったのがまずかったのかな…TR1のベースまでの距離が長いのかな、抵抗を変なところに立てて信号線が長くなったのがまずいのかな…。 ここでようやく勉強の必要性を感じ、ラジオや高周波回路の設計の本を読み漁りました(書店の検索端末で「ラジオ」で検索すると、数千冊マッチして気絶)。あ〜あ、本を読むとダメな例にすべて該当する。まあこれも勉強だ、あきらめずに基板ごと作り直すか…。 |
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ところが、左図の青線のリード線を追加し、パターン面から見てコ型になっていたグラウンドを口型にしたところ、ぴたりと異常発振が止まりました。 TR3(電圧増幅)の信号が、グラウンドから高周波側に回帰するとか、他の信号と混じって異常発振していたということなんでしょうか。本当は不適切なところはここだけではないのでしょう。 解決まで相当かかると覚悟しましたが、1週間程度で解決でき嬉しいです。でもこれは偶然です。 ★2006.1.11 なんと、これをお読みいただいた方から、問題点の可能性について誠に詳しいアドバイスを頂きました。見づらい回路図とパターンをご検討いただきまして本当に感謝しております。ありがとうございました。
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左が子供の科学のオリジナル版(#5)の作例で、長さ110mm×幅80mm×深さ34mmです。右は今回の完成品で、長さ98mm×幅64mm×深さ28mmとなりました。しばらくはこちらがレギュラーになるでしょう。 もしこれがうまくいったら、さらに密度を上げて同じケースに6石スーパーなどを組んでみたいと思っていたのですが、今の私には実力的に早すぎるようです。 |
オリジナル版:CHERRY CK-606 | |||
製作時期 | 結果 | 失敗原因(推定) | |
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初回 | 2005年6月 | 成功 |
市販されていたラジオと同様の6石ラジオを、いつか自作の基板とケースに組んでみたいと思っていました。 そのまま組み立てたところです。 |
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次に、この回路図を参考に、自分でプリント基板を起こしてポケットラジオを組み立てます。 |
パターンを考えたら基板の製作です。
パターンが込んでいるので、今までのようにテープやマジックを使う方法ではうまくいかないかもしれないと考え、細い曲線や広い面は、プラ用塗料(水性アクリル塗料)を筆塗りすることにしました。模型をやっていますから、筆と塗料の扱いに慣れています。
直線に近いところはテープのほうが楽です。あとで塗りつぶすアースの大体の輪郭もテープで形作っておきます。 | 息を殺して細筆でパターンを描きます。少しでも指先が狂うと、表面張力で隣のパターンに塗料がくっついてしまうので、失敗は許されません。 広い面は平筆で手早く塗ります。乾いてから何度か重ね塗りして確実にします。 |
念のため一晩乾かして翌日にエッチングしました。シンナーでふき取ると、きれいな銅箔パターンが現れてひと安心! |
直線に近いところはテープのほうが楽です。あとで塗りつぶすアースの大体の輪郭もテープで形作っておきます。 |
息を殺して細筆でパターンを描きます。少しでも指先が狂うと、表面張力で隣のパターンに塗料がくっついてしまうので、失敗は許されません。 広い面は平筆で手早く塗ります。乾いてから何度か重ね塗りして確実にします。 |
プラ用塗料は金属への食いつきが弱いので、エッチング中に誤ってパターンをこすったりしないように注意が必要です。でも、一度コンピュータでパターンを作っているんですから、普通はこんなことをせずに、ポジ感光基板を使うでしょう。
基板さえできたら、気分的にはもうできたようなものです。 各部の寸法がシビアなので、ケースへの組み付けのほうが大変でした。イヤホンジャックを無理に基板実装しなければ、もう少し余裕があったと思います。 感度が良いので、2〜3石ラジオと違い、バーアンテナの指向性をあまり気にしなくても十分です。車の中でもガンガン鳴ります。 なぜこれを「子供の科学のラジオ」でご紹介したかといいますと、子供の科学の広告にずっと登場していたおなじみのラジオであり、今も手に入るものだからです。 |
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左が元のキットをそのまま組み立てたもの、右が今回の工作です。 原型としたキットは少なくとも1977年には発売されていました。この頃はすでに家庭用テレビゲーム(テニス、スカッシュなど)の最初のブームが起きており、テレビゲームの組み立てキットも発売されていました。そして、その後まもなくついに「マイコン」のキットが子供の科学の広告にも登場します。 |
秋葉原には、通信販売でも見つけにくい部品が普通に売られていますが、トランジスタラジオの組み立てに欠かせないと思われる部品でも、見かけなくなったものもあります。
このほか秋葉原にはありますが、スピーカーを止める「つめ」、スーパー用バーアンテナ、中間周波トランスなども地方では意外に手に入りにくい部品です。古いトランジスタラジオを探して分解したほうが、安く手っ取り早く入手できたりします。
ジャンク店を探せば、平型ボリュームをまだ発掘可能との情報をいただき、探したところありました。「つまみ」も色々あって助かりましたが、お店の方いわく「あんまり平型ボリュームを欲しがる人はいないから」とのこと。ポケットラジオの工作には欠かせないと思っていたのですが…。でも、昔も地方では入手しにくい部品でした。
5kΩ平型ボリュームのスイッチ付きが、つまみ付きで秋葉原に入荷しているのを発見。まだちゃんと仕入れてくれるお店があったことも嬉しかったです。
「#13 出力をちょっぴり大きくした3石高1ラジオ」はラグ板使用でサイズが大きかったのと、混信が多くて当初の性能が出ているのか気になったため、自分でプリント基板を起こして新たに組み立ててみることにしました。 オリジナル版(#13)です。 |
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基板は、スピーカー裏の段よりも低い位置に収めるため、幅55mm×長さ42mmとしました。後ろ側に電池を縦に置くので、あまりスピーカーを下に寄せると厚みで電池が高くなりすぎ、名刺ケースのフタができなくなります。 発振すると手が付けられなくなるので、今までの経験を踏まえてできるだけアースを広くし、信号線は太くして最短で結ぶように心がけました。しかし、いくつかの線が交差しているところがあるうえ、チョークコイルとバーアンテナの距離も近くて心配です。 ※注 左図は部品側から見たイメージです |
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異常発振は起きましたが、次の方法で治りました。この方法はオリジナルの記事にもあります。
他に、チョークコイルと並列に抵抗をつなぐという常套手段がありますが、そこまでには及びませんでした。 今回の作例では、バーアンテナのコイルを左の写真の位置にすると最高の感度となり、分離もよくなります。チョークコイルとバーアンテナの位置関係に大きな意味があるようです。 |
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左が子供の科学のオリジナル記事の作例(#13)で、長さ110mm×幅80mm×深さ34mmです。右は今回の名刺ケースサイズで、ケース寸法で長さ91mm×幅61mm×深さ35mmです。 性能はオリジナルに比べて一段上がり、感度が上がって混信もまったく感じられなくなりました。オリジナルとの違いは配線をプリント配線にしたことと、TR2をC828からC1815GRに変えたこと、そしてバーアンテナをPB-450(丸コア)からSL-55GT(現在のリード線型)に変更したことくらいです。 |
奥澤清吉氏の「子供の科学」でのトランジスタ工作は、1974年頃まではほとんどプリント基板を作る小型のものでしたが、1975年になると一転して大半がラグ板を使うものに変わります。76年になると電子工作の記事は各号1つだけに減り、田嶋一作氏と奥澤清吉氏が1号おきに執筆されていますが、プリント基板を使うものは5月号の2石レフレックスラジオ1つだけで、それも74年5月号の使いまわしです。
奥澤氏の記事は76年7月を最後に子供の科学から消えているようで、そのあとを増永清一氏・高田瑛道氏が引き継いでいます。
掲載:子供の科学 1974年4月号 | |||
製作時期 | 結果 | 失敗原因(推定) | |
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初回 | 2005年7月 | 成功 |
この2石レフが紹介されたのは74年4月号ですが、翌月の5月号では2石直結レフが紹介されています。ちょっと2つの回路を比べてみましょう。 |
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●4月号の回路図 「子供の科学」編集部の許可を得て作図し掲載 こちらが今回製作した4月号の回路です。容量結合となっています。実は奥澤清吉氏の記事にこの回路の2石レフが登場するのはこれが最後で、これ以降はすべて次の直結式が繰り返し出ています。 |
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●参考:5月号の回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載 実は「その1」でご紹介した「#4 感度がよい2石レフレックス・ラジオ」も同じ回路です。 |
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さて、今回限りで登場しなくなった、4月号の回路で製作しました。 バーアンテナはPB-450の代わりにBA-200を使いました。今のPB-450は丸棒型のコアのため、長さも太さもスペースをオーバーしてしまいます。 しかし、最大感度に調整しても、直結式の2石レフレックス・ラジオに比べると、感度は少し落ちるように思います。バーアンテナなどいくつかの部品を変えて、条件を近づけて実験しましたが、感度は追いつきませんでした。 |
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●プリント基板パターン 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載 ●おもな部品(他に各種2mmビス・ナット・2mmはとめ・配線用ビニール線等)
※異常発振したときは、基板のヨビ穴に調整用抵抗の100kΩをつなぎます。だめなら68kΩ、47kΩと順に下げます。 |
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プリント基板は、名刺ケースに組み立てるいつものサイズ(幅55mm、長さ48mmくらい)です。広いアース面が少なく、基板用テープで難なくパターンを作れます。 この手のラジオは、基板作成時間:ケース加工時間:配線時間=5:4:1くらいでしょうか?小中学生向けの工作としては、実装工程が本格的です。 |
掲載:子供の科学 1974年3月号 | |||
製作時期 | 結果 | 失敗原因(推定) | |
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初回 | 2005年8月 | 成功 | 3石にしては感度悪し? |
掲載:子供の科学 1974年7月号 | |||
製作時期 | 結果 | 失敗原因(推定) | |
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初回 | 2005年8月 | 失敗…? | こういう性能なのか、感度非常に悪いです |
単三電池2本程度で動く市販ラジオと違い、雑誌の記事やキットのスピーカーラジオは、高価な9V電池のものが多かったので、子供にとっては電池代も大変でした。