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雨宮タイプBタンク〔密閉キャブ〕(新)の組み立て

昨年発売された〔密閉キャブ〕が、一部改良のうえ発売されました。
現時点では入門用のNゲージ蒸気機関車キットとして最も取り組みやすいもののひとつです。
初回の雨宮タイプBタンクの記事をなぞる形で、適宜写真を差し替えながら進めました。

2013.8.21

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前年2012年に発売された初代製品はこちらです。→雨宮タイプBタンクの組み立て


これは私がキットを組み立てた過程そのものをメモ書きしたもので、正しい組み立て手順の説明ではありません。
不適切な手順や勘違いも多々あるものと思いますので、製品付属の組立説明書に沿ってご検討ください。

昨年の雨宮タイプBタンクの組み立てと、文・写真が同じ箇所があります。大部分が本当に同じなので…。

キットの様子

今回は標準ロッドタイプのみとなりました。その代わり、細かいクロスヘッドの組み立て用パーツは2組ずつセットされており、失敗もできます。

ボイラーは、前回の真鍮挽物からホワイトメタル鋳造に変わりました。煙突やドームもすべて一体成型になっているため、ほんの少し手間が少ないです。キャブもろとも上廻り一体成型を期待しましたが(笑)、それはかないませんでした。

動力フレーム

左右に分かれた金属フレームに車輪を左右から圧入する構造です。一度組み立てると軸抜きは困難なので、失敗しないように気をつけて組み立てます。構造がシンプルなので、分解を必要とする場面はあまりないと思います(それでも前回は分解するはめになりました、私は…)。

左右フレームの折り曲げと穴あけ

フレームを折り曲げ、曲げた部分の内側に軽くハンダを流して補強しました。

要所にタップを立ててネジを切っておきます。今回は1.7mmのプラネジが廃止されたため、すべて1.4mmタップでOKです。

軸穴は、車輪が軽くはまることを確認しただけで、ペーパーがけも何もしませんでした。

車輪の取り付け 軸穴に動輪を差し込み、真鍮スペーサーをはさんでギヤ軸を差し込みました。ピンバイスでギヤ軸を少し(ポロリと取れない程度に)押し込んでいます。
車輪の圧入

反対側にも真鍮スペーサーを入れ、車輪を軸穴に差し込んで、万力で圧入しました。
圧入しながら、真鍮スペーサーが変なところに挟まらないように、ピンセットで時々直します。中央のギヤに当たって軽く止まるところで圧入をやめ、左右の車輪の間隔を測って(約11.2mm)具合を見ます。

軸を曲げずにまっすぐ車輪を差し込むことができればよいので、他にも何か使える道具がありそうです。たまに、指ですっと入ってしまうこともありますが…。

左右の仮留め

左右のフレームにプラワッシャーを挟んで絶縁します。さらに段付プラワッシャーを通してネジ留めし、ネジによって左右のフレームがショートすることを防ぎます。

この状態で転がりをチェックします。軽く転がらなければ、一度ネジを緩め、平らなところに置いてもう一度締め直してみます。車軸が斜めにならないようにします。

アイドラーギヤ

前後の動輪は1個のアイドラーギヤで連動します。ギヤの表裏に、小さな真鍮ピン(ギヤ軸)を圧入します。公式ブログのとおり、両面テープでピンを貼り付けて、ギヤのほうを押し付けて圧入しました。

アイドラーギヤに真鍮ピンを差し込んだところ

こんな感じです。特に接着剤などは使いません。

アイドラーギヤの取り付け

左右のフレームを少し緩めて、アイドラーギヤをはめ込みます(写真は旧製品です)。

ギヤ取り付け後

はめ込んだところです。ギヤを直接フレーム内側にネジ留めするわけではないので、緩んで分解が必要になるようなことはありません。ただ台枠が薄いので、外側に膨れてギヤ軸が穴からずれることはありえます。

なお、後ろの段付プラワッシャーとフレームの間には、あとで配線のラグを挟んで共締めします(つまり後ろのネジはあとで一度外します)。ラグがネジに直接触れるとショートします。

集電線の取り付け

0.2mm真鍮線を適当な長さに切り、取り付け金具で取り付けます。小さな取り付け金具の裏側には溝が彫ってあるので、ここに真鍮線を挟みます。

真鍮線はまっすぐのままだと車軸に強く当たりすぎるので、あらかじめ少し中央から斜めに曲げておきます。ごく軽く当たっていればそれでOKです。適切な曲げ具合がよくわからないので、参考角度が説明書に載っていれば楽だったなと思います(意外とこういう「加減」が初心者には難しいものなので)。
でも多少当たりが強くても弱くても、全然走らないようなことはないと思います。

輪心の組み立て

輪心は3枚をつづら折りに重ねて、断面から軽くハンダを流して貼り合わせました。全周にがっちりハンダを流す必要はなく、上下2箇所程度の固定で十分かと思います。
動輪に軽く入る程度のゆるさになります。塗装後に接着します。

床板

下廻りは洋白エッチングで、シリンダーブロックのみホワイトメタルです。
旧製品では標準ロッドと簡易ロッドで使う部品が多少違いましたが、今回は標準ロッドのみなので間違うことはありません。

床板、ダミー台枠

床板と主台枠(ダミーフレーム)は折り曲げ、説明書に従って要所に1.4mmタップを立てます。
このダミーフレームの内側には、組み立て済みの動力フレームをあとで入れ込みます。動力フレームの本体はこのダミーフレームに隠れて見えなくなるため、塗装の必要がありません。

ダミーフレームは左右を垂直に曲げますが、曲げ具合によってスライドバーと動輪の間隔が微妙に変わるので、走行状態に影響が出ることがあります。なるべく正確な直角にします。

床板と台枠の固定 床板と台枠は前後2箇所のネジで仮留めし、ハンダ付けしてからネジを外しました。ネジには予備がないのでなくさないようにします。
床板上部

床板上部にはボイラーの取り付け台を固定しました。「F」の刻印が前方になります。ハンダ付けは床板との接点を表から行いました。あとでサイドタンクに隠れて見えなくなるので、多少ハンダがはみ出しても大丈夫です。

前方にはつかみ棒をハンダ付けしましたが、スライドバーや床下のハシゴなどを取り付けたあとのほうが安心でした。

スライドバー スライドバーは一枚を折り曲げ、台枠に取り付ける「のりしろ」を付き合わせます。
細い角の折り曲げ部分は、内側に少しハンダを加えて補強しました。
スライドバー、ハシゴなどの取り付け 床板と台枠に、スライドバーやディテールパーツを取り付けます。取り付け部の浅いくぼみに重ねてしっかりハンダ付けします。
シリンダーブロックの取り付け

シリンダーブロックは旧製品と違い、ピストン棒の穴を開けたりスペーサーを重ねたりする必要はなく、バリを取ればそのまま使えます。
ホワイトメタル製のため、ハンダごての熱で溶けます。接着剤で固定するのが順当です(慣れた人ならハンダ付けも可能。ただし曲がって付いたりすると、やり直しが厳しくなります)。
前側のふたも接着剤で貼り付けました。

下廻り完成

仮に動力フレームを入れて、輪心を置いてみたものです。これで下廻りは終わりです。

ここまでで相対的に難しいのは、集電線の調整と、スライドバーの取り付けのように思います。
あと動輪の圧入は、圧入中の1軸にばかり注目していると、思わぬ部分が万力に引っかかっていて、ぐにゃりと曲がることがありますから注意が必要です。
(こんな書き方をしているときは、実際に失敗しております)


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