KATOから5月に発売された、ユニオンパシフィック ビッグボーイ#4014を分解し、再度組み立ててみました。
従って全然正しい分解・組み立て手順ではなく、個人が行き当たりばったりに進めているものです。
2023.7.30/2023.8.5
[1-分解編] 2-組み立て編
まずはKATO U.S.A.の公式サイトにある部品図をダウンロードしました。これがあるとだいぶ心の支えになります。
実際にどういう順番で分解すればよいのか、また部品のどこがどこにはめ込まれているのかは、これだけで全部わかるわけではありません。なので、そこは自分で考えるところです。
まずテンダーのドローバーを後方に引き抜いてエンジン部から分離しました。
ドローバーのテンダー側は台車を外さないと取れません。
キャブは裾を少し外側に開くようにして上に引っ張れば、簡単に取れました。
キャブのガラスは前後と側面のすべてがはめ込まれており、無理に外すと破損の危険も高そうだったので、時間をかけて慎重に取り外しました。
従台車も後方に引き抜いて外しておきました。
部品図を見ると、ボイラー上の2箇所のドームやカバーの下に取り付けネジが隠れているようでした。
後部のカバーの後端にプラスチックドライバーを差し込んで浮かせてみました。
パカッと取れました。ネジが2本見えます。
前方のドームは側面を内側に少し押して、爪を外すことを意識しながら上方に外しました。
こちらにもネジが2本見えます。しかし、これらのネジを外しただけでは、ボイラーと走り装置を分離することはできませんでした。
ドームを外したところには、走り装置(動力ユニット)の回転軸と、それを左右から挟む薄い集電板が見えました。
後方も同じです。前後の走り装置はそれぞれ単独で動輪から集電し走行できますが、この接点によって前後が電気的に並列つなぎにもなっています。
左側ランボード下の配管パーツを横に引き抜いて外しました。要所に取り付けピンがあります。
前後の2本に分かれています。
右側は後方の1本のみです。前端(写真右側)にアルコ式動力逆転機が付いています。
左側の火室下部とタンクを横に引き抜いて外しました、
残った配管やタンクを外しました。配管同士が組み合わされて本体にはめ込まれていました。
可動式の蒸気管はジョイントの構造がすぐにはわからなかったので、まずは外れるところから外してみました。別にここで外しておく必要はなかったようです。
くねくね曲がる関節がどのようにはめこまれているのかは、まだわかりませんでした(横からスライドさせてはめ込む構造でした)。
右側も同様に、火室下部と前方の配管3本を外しました。
ランボード+ボイラー下部の片側2箇所ずつのネジを外し、ランボードをボイラーから外側に抜き取りました。
ランボードの前の方にある小さなツメ(丸囲み)が、煙室脇のスリットに引っかかっているので、そこだけ無理に引っ張って壊さないように気を付けました。
この段階で、後方走り装置がボイラーから下側に分離できるようになっていました。
知らずにいたらボトッと落とすところでした。
煙室扉の上部を後方から爪楊枝の先で押し出し、煙室扉を外しました。
煙室扉を外さないとハンドレールも取れません。
煙室扉の端にある「Big Boy」の小さなロゴがチャーミング。
ベルやナンバープレートは煙室扉の裏側にあるピンに、裏側から差し込まれています。ベル本体も外せますが、なくすと情けないので付けたままにしておきました。
ハンドレールの取り付け脚を後方から順に少しずつ抜き、最後に前方のループ部を煙室前方から外しました。
ここでドームカバー下にあった4つのネジを外し、ボイラーケーシングを取り外しました。
前端は少し煙室下部に回り込んでいるので、気持ち後方に抜く感じで取りました。
あえて外しませんでしたが、ボイラー上には他に安全弁など細かいパーツもいくつか差し込まれています。
残った煙室はフレームから前方に外すのですが、煙室下部の排気管や前デッキなどが邪魔になり、まだ取れませんでした。今は長いフレームとともに、前方走り装置と不安定につながっています。
このへんからさっぱりわからなくなり、手当たり次第になってしまいました。
変な手順だと思いますが、他人がアドベンチャーゲームに行き詰って右往左往しているのを見ていると思ってください。
何かと邪魔になりそうな、デッキ上の手すりを引き抜いておきました。
デッキ天板を上に引き抜いて外しました。手でつかんでぐらぐら動かしていたら何となく取れました。
テキトーに外したため、再組立ての時にどうはまるのかわからず苦労したので、外す前にもっとよく写真を撮っておけばよかったです。
デッキ天板を外すと、その下に3本の可動式配管のジョイントが現れます。
中央の排気管のジョイントを恐る恐る持ち上げてプチッと外しました。下を向いているので見えませんが、両側に小さいツメのついた割ピンのようなジョイントです(部品図を拡大してみると、何となくわかります)。
上にそのまま引っ張っていいものか悩んだのですが、それしかないと思ってそうしました。
前端が外れた排気管を、90度水平に回転させ、後部を煙室下部からまっすぐ下に抜き取りました。これで排気管が外れました。
煙室を上下ひっくり返したところです。配管後部のジョイントはT形になっています。ここを煙室下部のスリットにはめ、前方に90度回転させると落ちなくなるしくみでした。
配管側のジョイント形状は部品図からわかりますが、煙室下部の受け側のほうがどうなっているのかわからなかったので、無理に引っ張って外すのは避けていました。
煙室前端のネジを外すと、邪魔ものがなくなった煙室が前方に外れ、走り装置も分離できました。
フレームの前方上部には、透明プラスチックの絶縁ナットが入っているので、なくさないように保管しておきました。もしなくして代わりにうっかり金属ナットを使うと、左右がショートして走らなくなってしまいますね。
ほかフレーム上部にある前後2対の集電板も簡単に取れるので、外しておいたほうがよかったかもしれません。私は再み組立てまでテープで仮留めしていましたが、テープを剥がすときに一緒にくっついていたりして、あまり具合良くありませんでした。
左右のフレームは別にいいやと思って分離しませんでした(笑)。
シリンダー後方下側あたりにあるネジを外し、デッキ部をまっすぐ前方に抜き取りました。
先輪を外してありますが、付けたままでも先台車の内側を貫通するようにドライバーを差し込んで、ネジを緩めることができます。
残った可動式の蒸気管を外すのにビビッているため、まだ後方にぶらぶらしています(ジョイント部を真横にスライドさせれば簡単に外れるのですが…)。
とりあえず取れそうなところからということで、ライトを引き抜き、コンプレッサーも真上に引き抜きました。コンプレッサー上部に付いている繰り出し管も外れます。
カプラー解放テコを外し、前面のエプロンを持ち上げつつ取り外しました。
外せば劇的に何かが起きる、というものでもありませんでした。
カウキャッチャーは後部のツメを浮かせる感じで取り外しました。
他に外せるものがなくなったので、最後まで気の重かったシリンダーを外しました。
シリンダーは爪で台枠にはめ込まれていました。ツメを緩めるつもりでシリンダーを前後に軽く動かしながら、側面方向に引っ張って外しました。
私はこうしてシリンダーを外すまで先台車を外せませんでした。何かうまい外し方があるのかもしれませんが。
シリンダーの内側です。内側前後の2つのツメで台枠に固定されていました。ここも傷めたらアウトな箇所ですね。
シリンダーや弁室の蓋など銀色の箇所は別パーツです。内部には真鍮のウェイトが入っていました。
なかなか取れませんでしたが、台枠裏側の留め具を何とか外し、内部のライト基板を外しました。
留め具は左右2箇所ずつのツメで台枠にはまっているだけですが、本当にぴったりはまっているために取るのに苦労しました。何かコツがあるのかもしれませんが。
なおはめるのは逆に簡単です。
DCC化してライト点灯を制御するときは、この基板の接点を金属フレームから分離して、直接配線する必要がありますかね…。海外で発売されているDCCプリインストールモデルではどうなっているのでしょう。
このあたりは、D51など見慣れたものと作りが似ているので気が楽です。
第3動輪のリターンクランクを引き抜いて、第3動輪につながっていたロッドを外しました。
D51と異なる点として、第3動輪クランクピンには金属のカラーがはめ込まれています(矢印)。なくすと連動に支障が出そうなので、慎重に外して保管しておきました。
底面の2本のネジを外して動輪押さえ板(底板)を外し、4つの動輪を台枠から抜き取りました。
念のため動輪には小さなテープを貼って、順番と左右の別を書いておきました。
それぞれの連結棒体は付けたままにしておきましたが、扱っているうちに不意に取れてクランクピンをなくしてしまう恐れもあるので、外したほうがいいかな〜とは思いました。 その脱着の際にピンをなくす恐れもあるので、いずれにしても注意は必要ですね。
バルブギヤー一式(およびクロスヘッド・メインロッド)を台枠から取り外しました。3つのピンを少しずつ外側に引き抜きました。
外したバルブギヤーです。
スライドバーが外側・内側の2本になっていて、その間にクロスヘッドがはまり込んでいます。
その他は特に見慣れないところはありませんでした。合併テコやメインロッドは外していませんがパーツは分かれています。
ダイキャストブロックの首のところにある、第4動輪の線バネを押さえている部品を外しました。
(最終的に左右のダイキャストブロックを分離するため、左右にまたがっている部品は外そうとしています)
写真では上下2個の組み合わせのように並べてありますが、左右2個がダイキャストブロックを挟むように組み合わせられています。
線バネは外さずに、テープで仮押さえしておきました。
モーターの配線を外す前に、向きを確かめておきました。右ブロックが黒リード、左ブロックが赤リードです。
配線が左右交差するようにモーターが固定されていました。どの向きでも通電すれば回転はしますが、部品図もそうなっているので理由があるのだと思います。
モーターの集電板は、ダイキャストブロックにしっかりはめ込まれているので、無理やり引っ張ると簡単に曲がってしまうので恐怖です。
多少曲がっても大丈夫ですが、はめ込む際に緩くなってしまった時は、集電不良にならないよう曲げ直しが要ります。
モーター押さえを外しやすくするため、左右のダイキャストブロックの隙間にマイナスドライバーを差し込んで、微妙に間を広げておきました。
上部の灰色の部品をすべて外し、モーターとフライホイールをまっすぐ上に引き抜きました。
モーター軸前方のユニバーサルジョイントも取れますが、これも破損したら超アウトな部品なのでそのままにしています。
モーターの下に敷いてあるピンク色のシートも大切なので保管しておきました。
マイナスドライバーでダイキャストブロックの隙間を少しずつ広げ、左右のブロックを分離しました。
ギヤが落ちないように気を付けました。グリスが付いているので、どちらかにくっついていると思いますが…。
前後2箇所(矢印)にあるプラスチック製の絶縁ブッシュを挟んで、左右のブロックがはめ込まれています。
通常、修理などで左右のダイキャストブロックまで分離することはまずないと思います。内部のグリスにホコリがベタベタつくと嫌なので、中身を確かめたあと、すぐ両方を合わせ直しておきました。
後方走り装置もほとんど同じですが、ちょっと違うかもしれないので一応分解はしてみました。
後方のシリンダーカバーにはバネが仕掛けられていて、ほどよい弾力で上下に動きます。まったく予想していなかった仕掛けで驚きました。
上部の留め具を外し、左右つながったシリンダーカバーを外しました。
左右のシリンダー上部にバネがはめ込まれています。
前方走り装置と同様に動輪押さえ板と動輪を外し、バルブギヤーとシリンダーを左右に取り外しました。
シリンダーのはめ込み方法は前方シリンダーとは少し違いましたが、左右に引けば取れました。
線バネの留め具を外しました。前方走り装置と異なり、左右の留め具はつながっておらず、それぞれツメでダイキャストブロックに引っ掛けられていました。
前方走り装置と同様にモーター類を外したあと、左右のダイキャストブロックを分離したところです。
前後の絶縁ブッシュがどちらも左側ブロックに付いていますけども、分離のたびにどちらかに残るだけのことです。
前後ともダイキャストブロックは同じ部品で、中身の違いもないようです。再び組み合わせておきました。
前方台車はスナップ式にツメではめ込まれているので外すのがちょっと怖いのですが、引っ張って外しました。何かコツがありましたら教えてください。
ドローバーも外れました。集電線は一度外すと外れやすくなることがあるので、そのままにしてあります。
後部台車は車輪押さえ板を外してから、前方に少しずらすようにして外しました。D51やC62などのテンダー台車の外し方と同じかと思います。
中間の3軸の台車は内側からツメを外したほうがよいかと思い、上下を分離しました。これは上下に引っ張って簡単に外れました。
内部のウエイトに、すでに錆が出ていました。何年か経ったらどうなっているのだろう…。
ウエイトの載った板を外すと、底部に台車のツメが2つ見えました。
ツメを緩めて台車とバネを外しました。
床板に組み込まれている長いサスペンション集電板はそのままにしておきました。
電車などでも、何か取り付けが面倒くさいと感じる部品でして(個人的には、ですヨ)。
テンダー妻板は前方に外せました。細いツメで引っかかっています。
テンダーの天板は裏側のツメで本体にはめ込まれています。一番後ろのツメが外れにくかったため、裏側からドライバーで軽く押して外しました。
このツメを傷めてしまうと、組み立てが緩くなってしまうことがあるかもしれません。
外した天板から、さらに手すりを外したところです。
後部妻板はハシゴによってカンヌキのように本体に留められていました。
先にハシゴを外すと簡単に後部に抜き取れました。
ライトは非点灯ですが、レンズが内側にも出っ張っているので、ここをLEDで照らせば点灯はできそうです。
最初に外すハシゴですけども、左右がつながっていまして、内側に結構しっかりしたツメがあるので、これを折らないように取るのが難しかったです。
ハシゴ上部を少し外側に開くようにしながら、下側に押してツメを下げ…みたいな感じで取りました。
結果をこうして書くと簡単にバラバラになるように見えますけども、写真を取りながらでのべ6時間ぐらいかかったような気がします。
国内のD51やC57などと違い、壊したら簡単にAssyパーツを入手できないので、自分としてはかなり慎重に進めました。
これだけの部品が設計・製造され、しかもちょうどよい抵抗で差し込めるような絶妙な具合での仕上がり。接着剤の使用は1箇所もなし。もちろん量産品。大量の部品を美しく塗装したり正確に組み立てたりするのは人。メーカーというところは本当にすごい、すごい。一素人には考えの及びもつきません。
複数の素材を使い分け、それぞれの製造工程、原料や部品の在庫、いったいどんな具合に管理されているのでしょうね。やっぱり製品の背後に人間の努力を感じると、じわりとすごさ・ありがたみを感じます。
前方シリンダー付近の配管構成や、後方シリンダーのサスペンションには、大げさかもしれませんが畏怖の念まで抱きました。
ほぼ逆順ですが、簡単に再組み立て編も書きました。
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