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ドックサイダー("DOCKSIDER" 0-4-0 STEAM SWITCHER) 1970年 |
ドックサイダー("DOCKSIDER" 0-4-0 STEAM SWITCHER) |
初期のバックマン(BACHMANN・ホンコン製)の機関車で、トミーナインスケールからもSLブームの最中、貴重な蒸気機関車製品として販売されました。
サドルタンクのため太く見えるボイラーと、短いホイールベースの組み合わせが印象的なうえ、フルワーキングのバルブギヤーの動きには機械的な楽しさがありました。ハンドレールや解放テコなど、一部に金属パーツが使われていたのもアクセントとして効果的でした。
ボイラー内にはびっしりウエイトが詰まっており、やや伸長したキャブ内にキャラメルモーターが平らに収まっていて、窓越しに向こう側が見透かせます。
音も動揺もやや大きめ、油の焼けるような臭い付きですが、数両の貨車を牽いて小レイアウトを走らせるには結構楽しめる走りです。 ただ集電車輪が少ないため、レールの汚れに敏感で、調子を崩しやすいこともありました。モーターの整流子のミゾにカーボンが詰まって不調になることもあり、針先などでほじり出すようにという指示がカタログ等に載っていることもありました。
1970年には姉妹品の「U.S.R.A蒸気機関車セット」も発売されています。バックマンから前年に登場した0-4-0テンダーをセットしたものです。
発売期間が短く、ドックサイダーほどには出回っていません。
4755:1398 "U.S.R.A" 0-4-0 STEAM SWITCHER AND TENDER 1969年 |
4755:1398 |
この0-4-0テンダーは、後に童友社からも電池式パワーパックとのセットで販売されています。
バルブギヤーやテンダーの手すりなどディテールパーツがなく、未塗装という姿でした。
トミーが1973年に国鉄形の貨車を販売するようになりますと、それらを同梱した「国鉄SL貨物列車セット」も販売されました。
何か無理やりな感じですが、もう「国鉄SL」と言い切っています(笑)。※1974年トミーナインスケールカタログより画像引用
セットの機関車の名称は「BタイプSL」とされ、日本向けに小変更を受けています。側面のロードネーム表記がなくなり、キャブ側面の番号も「B89」に変更されました。ただし煙室扉中央の番号刻印は元の98のままでした。
その後、単品も発売され、ブランドがトミックスに代わっても継続販売されました。
HN-506 Bタイプ小型蒸気機関車 |
HN-506 |
ドックサイダーはバックマンのNスケールの初期からの製品であり、途中で細かい仕様変更があります。またトミーナインスケール向けの変更もあります。
ただ、独特な上廻りの印象が変わらず維持されているのはちょっと嬉しいところです。
おもな外観変化についてご紹介します(裏返すと床板などにも若干の変化があります)。バックマンとトミーの時系列的な関係は正しくないかもしれません。もし詳しくご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください。
バックマン |
バックマン (拡大写真) |
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トミー(ドックサイダー蒸気機関車セット) |
トミー(ドックサイダー蒸気機関車セット) (拡大写真) |
バックマン |
バックマン (拡大写真) |
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トミー(HN-100 国鉄SL貨物列車セット BタイプSL) |
トミー(HN-100 国鉄SL貨物列車セット BタイプSL) (拡大写真) |
トミー→トミックス(HN-506 Bタイプ小型蒸気機関車) |
トミー→トミックス(HN-506 Bタイプ小型蒸気機関車) (拡大写真) |
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バックマン |
バックマン (拡大写真) |
バックマン |
バックマン (拡大写真) |
最終期のボディには少し変わった部分が見られます。
初期 端梁のリン青銅線が印象的です。 |
最終期 動力やシリンダーの変更により、端梁前部やステップ形状も変更されました。 |
初期 筒状に出っ張ったライト状のモールドがあります。中身は凹面鏡のようにふさがっています。 |
最終期 筒状の出っ張りはなくなり、浅いフチのある丸窓になって開口しています。 |
しかし後部に関しては、他にも形が違うのを見たことがあるような気がしたのです。
それで、上の写真を撮ってからもう一度手持ちのものをあさってみますと、初期(だったはず)の中に唯一、どちらでもないものがありました。
初期B なんじゃあ こりゃあ??筒状に出っ張っているうえ、貫通しています。 |
もともと金型が複数あったのかしら…?
ちょっと謎が深まってしまいまして、解明には専門家の方に伺う必要がありそうです。
バックマン版、トミー版ともに色々ありますが、基本的にはその時期のバックマン版をもとにし、「TOMY」の刻印などを入れたものがトミー版となっています。
バックマン 0-4-0テンダー(1969年) おなじみの透明の蓋が回転して開くもの。ヒンジ部が壊れやすいです。 |
バックマン ドックサイダー(1970年) 0-4-0テンダーと並びフルワーキングのバルブギヤー。黄色い厚紙のスペーサーが入っています。 |
トミー ドックサイダー蒸気機関車セット(1970年) バックマンのセットとほぼ同じ。機関車は最初期のフルワーキング版です。 |
トミー U.S.R.A蒸気機関車セット(1970年) ドックサイダーと同じ構成です。今も、これぐらいのコンパクトなトータルセットが欲しいなァ…。 |
バックマン バルブギヤー黒色化 黄色のスペーサーがプラ成型品になりました。この時期の動力車には「GUARANTEED FOR LIFE」のオレンジ色のシールがあり、トミーの「国鉄SL貨物列車セット」もそうでした。 |
トミー 合併テコ省略 商品名「Bタイプ小型蒸気機関車」。「トミーナインスケール」と刻印されています。 |
トミックス 同じ仕様(合併テコ省略)でケースが青になり、「トミーナインスケール」の刻印が「TOMIX」に変わりました。 |
バックマン ロゴ変更 機関車は合併テコ省略版、ケースはBACHMANNのロゴが変わり、ケース中敷きはペラペラなブリスター品です。 |
バックマン 簡略ロッド ロッド類が金属製になり簡略化されたものです。この時期は紙箱になっています。 |
諸般の事情で時期がはっきりしないものもありまして申し訳ありません。恐らく他のバリエーションも存在するでしょう(特にバックマン版)。
現在のファンの方には、まったく興味のない機関車かもしれませんが、トミー/トミックスの初期からのファンにとっては大変懐かしい模型かと思います。