Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>C53
C53 1981年 |
C53 |
ボディーは同社の通常のシリーズにならい、ホワイトメタル一体成型です。別付けのディテールパーツもほとんどありませんが、実物が直線的でシンプルなシルエットなので、この表現はそれほど不利ではなかったように思います。先輪の関係でフロントデッキ周辺の寸法が苦しいらしく、このあたりの形に特徴があります。
だいぶあとになってからデフなしが製作されたらしいのですが、私は一度も見たことがありません。
C53流線型 1982年 |
C53流線型 |
流線型の上廻りは真鍮エッチングによるものなので、ぼってりした感じがなくすっきりできています。
ボイラーカバーの形状は少し簡略化されていて、水平のランボードから角が付いて切り立ったような形になっています(実物はなだらかに持ち上がっています)。それでも全体の造形がよいので別段おかしくは見えません。
下廻りは基本的には標準型と同じテンダードライブですが(ちょっと削られている)、機関部が軽いのでゴロゴロ音が少なくスムーズです。もちろん今になって古い製品を購入しても、それがすぐスムーズに動くかどうかは別です。
C53標準型 1999年 |
C53標準型 |
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C53流線型 1999年 |
C53流線型 |
1999年に発売されたボディキットです。
この頃市販品として手に入るC53が何もなかったので、発売が発表されたときは大喜びしました。
下廻りがKATOのC55なので走行性能が抜群です。C53特有の少し離れた第一動輪も再現できるようになっていますが、ちょっとした動力部の改造が必要で、その際に調子を悪くしないよう注意が必要です。第一動輪を移設することで必要になる新しいサイドロッドも付属しています。
ベース車両が1/140のため大柄ですが、いつもの同社らしい方法で特徴をよく表現しています。
流線型も同年のうちに発売されましたが、ワールド工芸もほぼ同時に発売予告を出したので、この変わった形式がなぜか競作になってしまいました。
流線型も第一動輪を移設することができますが、先に標準型を工作したところでは、それほど見た目に飛びぬけた効果はなかったので、この作例では移設していません。
一見組み立てやすそうに見えますが、先頭部はパーツ構成が複雑なので、ちょっと苦労するかもしれません。そのほかは楽です。
大きいので編成バランスはちょっと悪いのですが、線材の手すりがたくさんついている先頭部は、4社の中で一番精密に見えます。
登場当時はNゲージのC53の決定版でしたが、発売後すでに12年が経過したので、もう中村精密と同様、知らない方が増えている製品かもしれません。
発売日・価格について曖昧でしたが、当時の情報を頂きましたので補足いたしました。ありがとうございました。
キングスホビー、モア、ワールド工芸(流線型)と、金属製品のC53が同じ1999年に集中して発売されていたとは驚きです。
C53デフ無 33号機 1999年 |
C53デフ無 33号機 |
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C53デフ付 33号機 1999年 |
C53デフ付 33号機 |
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C53デフ付 30号機 1999年 |
C53デフ付 30号機 |
トレインショップから韓国サムホンサ製のC12が発売されて話題になった頃に、ホビーショップモアから発売された金属完成品で、製造は韓国Kwang Myung Modelsというメーカーです。すべて特急用の20立方米テンダー仕様となっています。
C53の模型としては下廻りの印象が特によいです。コアレスモーターの割にボイラーが太いのですが、横から見た姿はなかなか端整で塗装も上質です。ディテール表現は大変多く、グレズリー式弁装置の連動テコも付いています。
他形式の流用がないため動輪なども専用部品で、カウンターウエイトの向きもそれらしく作られています。これはワールド工芸製品が出た現在でも有利なところです。
手作りの独特な味がある模型です。
▲他の製品と並べた前面の様子。左からC62旧製品(KATO)、C12(トレインショップ)、C53(モア)、D50(マイクロエース)です。(拡大写真)
ライト点灯などのギミックはありません。走りは滑らかです(個体差はあります)。車輪にゴムタイヤはなく、牽引力はあまり期待できませんので、平坦線専用と考えるのがよいと思います。
動力は第2動輪のギヤケースが可動式となっていて、サイドロッドもそこで前後に分離しています。
ロッドピンが特殊な六角ネジで、それを締める専用ドライバーが付属しています。これらは同じ韓国製のトレインショップや天賞堂のシリーズによく似ています。韓国での設計製造に同じ方々が関わっているのでしょうか。
C53流線型 1999年 |
C53流線型 |
キングスホビー製品の2ヵ月後に発売されました。競作になったからでしょうか、当時の広告に「C53標準型は当分の間発売されません」などと書かれていました。
複雑な形状の先頭部はロスト一体となっており、大きさがスケールに近く編成バランスはよいです。初回品では従台車がキャブ下のカバーに引っかかりやすく、塗装を傷めないようにやや注意が必要です。
なお、これとほぼ同じ時期に、同じワールド工芸のOEMで、宮沢模型から「D52戦時準改装型」が発売されていました。マイクロエースからはC12が発売された、そういう時期です。
C53流線型(新) 2010年 |
C53流線型(新) |
11年ぶりの改良再生産です。機関部上廻りは元のままですが、動力ユニットは高精度ギヤ採用で一新され、牽引力増強装置も装備されています。
走り装置は後方に少し移動し、クロスヘッドと固定式の合併テコの表現も見映え良くなっています。テンダーは前妻や後部給水口部を中心に大幅にディテールアップされました。
初回品とはモデルにした時期が違うようで、外板の一部の模様などが変更されています。
同時にリニューアルされたC55流線型では、ボディーの幅を前方に向かって狭めたことがアピールされていましたが、C53流線型は同様の変更はなされませんでした。
流線型の初回で「当分の間」発売されないと書かれた標準タイプが、「当分」期間を終えてついに発売されました。
初回はデフなし・デフ付きの2タイプが同時に発売されました。
C53 デフなし 2011年 |
C53 デフなし 2019年、ダイカスト輪心に変更され、C53 前期型 デフ無しとして再生産されました。 |
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C53 デフ付き 2011年 |
C53 デフ付き |
いずれも初期型、12-17テンダー装備機がプロトタイプです。
C53のシルエットはストレートなボイラーに蒸気ドームひとつというあっさりしたものですが、ランボード上には多数の機器があるので、それらの多くがロストパーツで表現されています。
組み立てると見えにくくなるのが残念ですが、シリンダー前方にはグレズリー式弁装置の連動テコの表現もあります。組み立て時にスノープロー、前面テールライトのステー、エプロンの模様、増設天窓のオプション部品が選べます。
動輪には同社のC55やC51で使われているプラスポーク輪心が共通で使われているため、カウンターウエイトの格好などは実車と同じではありません。しかしC53のエキセントリックロッドの溝は表現されています。
エンジン側に動力がないため形態的に有利で、またテンダー内蔵の動力は新動力のため走りもなかなか好調です。
設計開始の告知がなされてから発売されるまで1年半以上かかったため、無事に発売されてホッとしました。なにしろ初回の流線型以来12年越しですから…。
その後も少しずつバリエーション展開されています。基本的にはテンダーの形と添付デフの種類を変えてのラインナップです。
テンダー台車枠が、エッチング板の折り曲げ式から真鍮ロストパーツに変更されました。組み合わせ部分の寸法形状などが一部見直され、初回の2タイプよりも組み立てやすくなっています。
ものによってディテール表現方法に多少の違いがあり、たとえばランボード下に2本揃って付いている配管は、間が抜けているものと、つながっているものがあります。
C53前期型 20立方米テンダー仕様 2012年 |
C53前期型 20立方米テンダー仕様 |
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C53後期型 川崎車輌製 2012年 |
C53後期型 川崎車輌製 |
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C53前期型 名鉄デフ4種付 2013年 |
C53前期型 名鉄デフ4種付 |
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C53後期型 川崎車輌製特急テンダー仕様 2015年 |
C53後期型 川崎車輌製特急テンダー仕様 |
2年後の2017年には、動輪輪心がダイカスト製に変更されました。輪心形状は引き続き汎用型です。
C53後期型 汽車会社製 2017年 |
C53後期型 汽車会社製 |
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C53後期型汽車会社製 20立米テンダー 2019年 |
C53後期型汽車会社製 20立米テンダー |