C57 1(トミックス) その2

もう少し各部を見てみましょう。

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色差し・印刷

ボイラー上の表現

手に取ってみると、繊細な印刷に目を奪われます。
細い空気作用管が1本、ボイラーを超えて向こう側に回っていますが、そこにまで銅色が入っています。これを自分でやろうとしたら、面相筆で入れるにしても烏口で入れるにしても、相当な達人でないと難しそうです(私は絶対ムリ)。

空気作用管の要所にある配管留めもきれいに表現されています。もっとも配管留めの表現がないのは、KATOの新しいD51 498(注:根本部分だけある)と、マイクロエースのC59ぐらいでしょうか。

連結長・テンダー

Nゲージの場合、一部を除いてキャブとテンダーの間隔は広めにできています。縮尺1/150とか1/140とか言っても、この部分だけは曖昧な扱いで、寸法から除外して述べられることが多いと思います。

上部から見た1号機と135号機 1号機(上)と135号機(下)を並べたところです。
機関部の長さは同一ですが、テンダー後端を見ると1号機のほうが数ミリ短くなっています。
1号機と135号機のドローバーの違い

これは機関部と炭水車をつなぐドローバーの長さが変わっているためです。
1号機は屋根こそ長いものの、キャブ本体は標準的な開放キャブなので、135号機のドローバーを流用すると機炭間隔が広くなりすぎるようです。機構的には広くても問題ありませんが、外観を追求したかったのだと思います。

ちなみに1号機のドローバーを135号機に取り付けてみたところ、機炭間隔はほぼ密着し、カーブ不能の直線番長となりました。

テンダーも1号機では丸ごと作り変えられています。

テンダー(1号機)
C57 1 妻面が平らな普通のテンダーです。動力ユニット以外はほとんど丸ごと作り直しているという感じです。
テンダー(135号機)
C57 135 密閉キャブ対応のため妻面に後退角が付いています。後部ライトの位置や台車も違います。

なおテンダー後部はほぼ一体モールドですが、開放テコとテールライトレンズは別パーツになっています。

キャブ下配管

ユーザーの改造や工作でも見せ場になる箇所です。従台車が動き回るために機能とディテールの両立も難しいところですが、最近はプラ量産品でも凝った表現が見られるようになりました。
135号機ではやや不自然なデザインに見えたので、1号機でどうなるか注目していました。

キャブ下(1号機)
C57 1
分配弁周辺の表現が整理され、135号機の表現に比べてずっと自然になりました。全体のバランスの中でちょうどよい表現だと思います。
従台車もちゃんと作り変えられています。このタイプの従台車は一見同じに見えますが、組み立て方式の違いなどで異なる派生タイプがあります。
キャブ下(135号機)
C57 135
縦棒が4つ並んでクシ状のシルエットとなってしまい、ここは実物の印象とは違う感じがありました。従台車と干渉しないように下側のみ外側に曲げるなど、苦心の跡がわかります。
キャブ下(KATO D51 498)
D51 498(KATO)
参考までに並べました。 若干設計者の悪ノリが入っているのかもしれませんが、びっしり並んだ配管と、外側に張り出させた後部台枠で、キャブ下の隙間を視覚的にシャットアウトしています。

トミックスはキャブの窓を開けておいてくれれば、一層格好良かったのにという気がします。窓は開けて走っている場面が圧倒的に多いからです。 もっとも、閉じている窓をユーザーが自分で開けるのは何とかなりますが、逆は難しいかもしれません。

非公式側ボイラー

トミックス トミックス
逆止弁は銀色のプラパーツで、ボイラー側面に差し込まれています。
ハンドレールは銀色の金属線で、その上の通風管はボイラーにモールドされています。
マイクロエース マイクロエース
逆止弁は配管付きのパーツで、一緒に給水ポンプの排気管も作られています。その一方でより目立つ通風管はありません。
KATO KATO
ボイラー上のディテールはほぼ一体成型です。
汽笛もドームと一体なので、上部をナイフで削って分離することをよくやりました。

発電機配管

発電機周辺(トミックス)
トミックス
発電機の配管がモールドされていますが、キャブ屋根にかかる目立つ2本の排気管と消音機は省かれています。ディテールのさじ加減は難しいですが、昨今の技術的な見せ場でもあり、特定機の特徴でもあるので作ったほうが良かったように思います。
発電機周辺(KATO)
KATO
一体成型ながら、排気管の周辺は頑張って表現されているために見映えがします。吸気側は省略されています。キャブやランボード下は、さすがに最新のトミックス製品に比べて寂しい感じです。

ドーム

前面やキャブと並んで、蒸機を似せるにあたっての最重要点です。昔なら木型を何度もやり直したのかもしれませんが、今ならコンピューターで基本的な図形を組み合わせてまとめるのでしょうか。
メーカーによってそれぞれ捕らえ方が違う部分でもあります。

ドーム(トミックス)
トミックス
細部のディテールは細かいです。側面部と後部のつなぎがもう少しスムーズであれば、もっと良かったかもしれません。
ドーム(マイクロエース)
マイクロエース
初期のD51でさんざん言われたせいか、結構よく形が取れています。
ドーム(KATO)
KATO
昔からの見慣れた格好ですが、手作り風のよい丸みで、全体のデザインに合っているようです。

単機で見ても、実物そっくりの外観は好印象ですが、客車を引かせると全体のスタイルが見事にまとまって、眺めていても飽きません。
直近の他社製品と同じ土俵で見ると、ディテール面で目立つ部分の省略もあり、値段の差を考えると何かしらの心残りも感じます。しかし編成のシルエットが美しく、走行性能もよいので、レイアウトを走らせるのは特に楽しいでしょう。 C57 135やD51 498を見送っていて、新系列の蒸機は今回のC57 1が初めてという方は、その走りや外観に驚かれることとと思います。ここ数年で時代はここまで進んでおります。

C57+やまぐち号

改造などに適した標準タイプや、180号機の発売もあるといいですね。美しい門鉄デフなど望んでいる方もいらっしゃると思います。
このシリーズには引き続き期待しています。


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