Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>C61(3Dプリンター)の造形テスト
Photonではナンバープレートの造形はあきらめていましたが、Sonic Mini 4Kでは単純な書体なら細く小さな文字でも造形できそうだったので、ようやくやりました。
期待度はかなり低かったです。
かなり大雑把なデータですが、プレートの幅が5mmありませんのでまずは単純にしました。
造形時に0.035mm四方のドットで文字を構成するため、文字の線の太さが4ドット程度です。従って3D CAD上で微妙な形の文字を作っても、結果に表れません。
プレートの一番薄いところは0.15mm、文字の浮き出しは作業性を考えていったん0.12mmにしました。これはデータ上での話で、造形時は0.035mm単位で丸められてしまいます。
底部にある厚みのない板(データ上は厚さ0.001mm)は、スライサーChituBoxの問題回避のため入れてあります。
バグかどうかわかりませんが、ChituBoxのバージョンによっては、モデルがあまりに小さい場合、ラフトが正しい位置・大きさについてくれず、まるででたらめな形になることがあったためです。実は現在の最新バージョンでどうかは確認していません。
高さが低いので、20分ちょっとで造形できました。
車体と同じ、Anycubicのブラック樹脂ですが、どこもかしこも薄いので透けてしまい、なんだかわかりません。
正しい形に造形できているのかも、なんだかわかりません(笑)。
文字の形は見て取れます。外枠とも融合はしていないようです。
文字の厚みがほとんどないようにも見えます。あまり文字が薄いと、金・黒に塗り分けるのが困難になるのを心配しています。
一応、文字をもっと厚くしたり、太さを変えたりしたデータも用意して造形はしておきました。
まずは金色をエアブラシで塗りました。あとで塗る黒に負けないように、溶剤系のMrカラーを使いました。買いに行ったお店に普通のゴールドがなく、Mr.メタリックカラーGX(ブルーゴールド)になりました。
塗ってみたら造形不良はなく、文字の深さも思ったより深めに見えました。これなら筆塗りで黒を入れても大丈夫に思えます。翌日まで金色を乾かしました。
印象で弱そうな塗料、タミヤカラー(水性・アクリル)のフラットブラックを筆塗りし、1分程度待ってから、専用溶剤を含ませた綿棒で文字とフチの黒をふき取りました。
綿棒は、先が細くとがった三角タイプが一番使いやすかったです。太いと残したい部分まで吸い取られて薄くなってしまいます。
特別きれいなわけではありませんが、手作り工作に使えそうなものはできました。
これはC61のうち、文字が大きなナンバープレートに見えるよう、やや強調して作りましたが、普通の大きさの文字でもできそうです。
8620や9600の初期のような飾りのついた文字でも、造形ドット数は少ないものの、それなりに見えるかもしれません。「形式XX」の文字はさすがに小さすぎるので、点々ぐらいしか入らないと思います。
あと、ちょっと上下方向に太く出たようです。外枠も上下の長辺のほうが太いですし、文字を構成する線も横棒のほうが太いです。
材質が固いため、切り離すときにプレートの一部が欠けたりして大変緊張しました。切り離しの際に結構失い、歩留まり60%という感じだったでしょうか。 今度作る機会があれば、ランナー(サポート)をもっと工夫したほうがよさそうです。あまり考えなかったので…。
水平造形した煙室部に斜め造形したボイラー部を接着し、全体をそのままつや消し黒で塗装しました。
表面のペーパーがけやサーフェイサー塗りは一切行っていませんが、デフやテンダー側面の縞模様はごくわずかです。5万円程度の3Dプリンターでこれだけ行ければ十分かと思いました。ここまでは誰がやっても同じ結果になります。もし光沢面にしたければそれなりに後加工が必要で、腕の差が出ると思います。
今まで作った色んな機関車の3Dデータから部品を寄せ集めたところ、それぞれが自分の見た感じに合わせて大きさをデフォルメしてあったため、バラバラになっているところもあるかなと思います。どれが正しい大きさだったかわからなくなっていまして(笑)。
特定の1両を狙ったものではないため、各機の形態を相当調べる必要があり、今まで気づいていなかったこともあり勉強になりました。
C61は1号機のみ特殊な形態ですが、市販の図面は1号機を元にしたものが多く、2号機以降の一般形の図面のほうが珍しいかと思います。どうでしょう。蒸気機関車スタイルブックも旧版は1号機で、新版は書き換えられていますがデッキ部などはやはり1号機です。原書房の蒸気機関車設計図面集も1号機ですね。
C61のモーションプレートも試作しましたが、元のC57の位置に形を合わせてみたところ、加減リンクの中心軸の位置が大きくずれてしまったのでやめました。
さすがにここまでずれると不自然さしかありませんでした。
現状、ヤスリがけなどの後加工をしないと滑らかにならないのは、ボイラーの側面など垂直に近い傾斜部です。傾斜は液晶パネルの1ドット(約0.035mm)の厚みの段々として再現されます。横方向の厚みなので積層ピッチを細かくしても薄くなりません。これが広い間隔で入るものですから嫌でも目に留まります。
こういうところを丁寧に仕上げて完成させていけば、単なる印刷物が作品と呼べるものになっていくのでしょうね。
ただそういう後処理は、むかし初期のワープロで印刷した大きな文字の輪郭のギザギザを、ペンでつないで滑らかにしていたようなことを思い出します(なさいませんでしたかね…私はやりましたけど)。じきにプリンターとフォントが進歩してギザギザなんてなくなったので、3DプリンターもいつかはそのままでOKになると思っているのですが、汎用品の液晶パネルを使って製品を安く上げている以上、そう簡単ではないかもしれません。
KATOの1/140蒸機の動力で作ってみたかったものは、今のところこれで終わりです。
長々と失礼いたしました。